ウェルター級キング・オブ・パンクラスの調印式で鈴木と村山がお互いをリスペクト

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3月3日夕、都内新宿区のパンクラスで、「PANCRASE 276」(13日、ディファ有明)にて行なわれるウェルター級キング・オブ・パンクラスの調印式がおこなわれた。第8代王者・鈴木槙吾(ALLIANCE)と、挑戦者・村山暁洋(GUTSMAN)が出席し、廣瀬隆司コミッショナーの立ち会いのもと、出場誓約書にサインした。

王者・鈴木は昨年10月にレッツ豪太をバックチョークで破り、第8代王座に就いた。鈴木はベルトを巻いたその場で初防衛戦の挑戦者に村山を指名、この試合が決まった。鈴木は2014年12月、村山にTKO負けを喫しており、初防衛戦がリベンジ戦となる。
一方の村山は、2014年3月、チアゴ・ジャンボに判定勝ちし、タイトルマッチに挑戦したものの、レッツ豪太に破れた。その後、鈴木を破り、2015年はダニエル“ニンジャ”ロバーツ、窪田幸生に勝利して再びタイトルへの挑戦権を手にした。

挑戦者の村山は「今回、鈴木選手に挑戦させていただく村山です。鈴木選手は、試合会場で僕を指名してくれると約束してくれていました。尊敬できる選手とタイトルマッチを闘えて嬉しいです。いま、試合に向けて追い込んでいますが、鈴木選手のおかげでレベルアップできています。それを全力でぶつけたいです」と語った。一方、王者・鈴木は「初防衛戦ですが、前回は負けているので挑戦するのは僕の方だと思っています。かならず勝ってベルトを奪い取りたいです」と話す。対照的な両者だったが、お互い尊敬し合う者同士、ベルトへの思い、試合への意気込みを熱く語った。

――鈴木選手のタイトル獲得までの流れをどうご覧になっていましたか
村山「会場でも拝見していましたが、すごいKOの威力を感じていました。試合自体もそうですし、前に出る姿勢に圧倒されていました。僕は確かに以前勝っていますが、その時よりも大きくなっていると感じています。ですから、前回勝っていても関係ないです」
鈴木「僕は借りを返そうという気持ちはありません。いまは、たまたま僕がベルトを持っていますけど、初めてベルトを巻いたとき、次に巻いているのは村山さんだろうなと思いました。いろいろなことがあって、状況が変わっただけで、ずっと村山さんと闘いたいと思っていました。試合をやる前もやった後もイメージは変わらないですね。でも、もちろんあの時より強くなっていると思います」

――鈴木選手に指名されたときのお気持ちはいかがでしたか
村山「すごく嬉しかったですし、ありがたかったです。昨年10月の大会で、僕の試合前に、鈴木選手がお互い勝ったら僕を指名してくれると約束してくれたので、絶対に負けられないと思いました。でも、まさか会場で、ケージ上でそういう話になるとは思っていなかったので、驚きましたし、ありがたかったです。やる気が増しました」
鈴木「ファイトパスのインタビューがあるので出来ませんでしたが、もし出来たら、本当は村山選手にケージに入って来てもらいたかったです」

――お互いに尊敬し合っているお2人が闘うということは、どういうことだとお考えですか
鈴木「僕は、リベンジじゃないというところが強いですね。もしベルトが懸かっていなくても、試合をやらせていただけることが嬉しいです」
村山「鈴木選手と試合をした2014年12月以降、ずっと見ていますが、攻撃力も気持ちも、本当に危険な相手だと思います。そういう意味で、この試合は自分を高めていかなくてはいけない試合です。こんな強い選手とタイトルマッチをやらせていただけるのは、本当に光栄です」

——どう勝ちたいですか
鈴木「僕の言う“勝ちたい”とは、微妙な判定とか、どっちがどうなのかよく判らない試合ではなくて、勝っても負けてもはっきり鈴木だとわかる試合です。今回もそういう試合をしたいです」
村山「KOや1本を狙っていきたいです。タイトルマッチは5ラウンドなので、完全決着をつけたいと思います。練習環境は変わっていませんが、前回負けていることもありますし、今回は桜田(直樹)会長にもアドバイスしていただきました。打投極のつながりも重点的に指導していただいています」

――改めて、ベルトへの思いをお聞かせください
鈴木「やはり選手はみんなベルトを目指していると思います。でも、タイトルマッチまで辿り着けるのは一握りの選手で、ベルトを巻けるのは更に難しいです。僕は運が良かったと思いますが、一度巻いたからには長く巻いていたいです」
村山「タイトルマッチでは一度負けていますが、今回ようやくここまで辿り着けました。これが最後のチャンスだと思うので、勝ってベルトを巻きたいです」

 緊張した様子が初々しい村山、リラックスしながらも王者の風格、オーラを醸し出す鈴木と対照的な2人。しかし、試合に向ける気持ち、ベルトへの思いはお互い勝るとも劣らない。紆余曲折を経てここまで這い上がって来た実力者同士、必ずや熱い闘いとなることだろう。

(写真・文/佐佐木 澪)

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