髙阪も太鼓判!12.13パンクラス273で第2代ライトフライ級K.O.P王者決定戦に臨む神部建斗「まず今回相手をぶっ飛ばして、“あの人”とやらなきゃダメでしょ」
12月4日、都内港区のALLIANCEで神部建斗が公開練習をおこなった。神部は「PANCRASE 237」(12月13日・ディファ有明)において、武蔵幸孝(フリー)と第2代ライトフライ級キング・オブ・パンクラスの座を懸けて闘う。
神部は藤井伸樹をパートナーに、師匠・高阪剛の見守る中、3分1Rのスパーリングを披露。スピードはもちろん、隙のなさと反応の良さ、華麗な動きが目を引き、9日後に迫った試合にますます期待が高まった。
スパーリングを終えた神部は、笑顔で「結構キレが良かった。スパーリングをやっていても、押せ押せで出来る。本番でも同じように動けると思う」と、これまでの練習に手応えを感じている様子。2013年からパンクラスに参戦、翌2014年にはネオブラッド・トーナメント フライ級優勝。参戦以来6戦全勝でここまで駆け上がって来た。「ここまで早かった、あっという間。気付いたらここにいたっていう感じ」と言う神部。しかし「ちゃんと強い選手とやって勝って上がって来たから、そういう意味では普通。強い人に勝ったから上がって来た」と、決して運ではなく、努力があったからこそここまで来たという実感を感じている。師匠の高阪も「タイトルマッチをやれるだけの選手。本人の努力を認めていただいたと思っている」と話す。
既に調印式で顔を合わせている相手の武蔵について改めて訊くと「公開練習で、僕に会って勝つイメージが出来たとか言っているのがイヤ。単純に、ちょっとムカつく、見とけよって感じ」と不快感を表した。「もちろん、向こうも強いから勝ってるんだろうけど、俺の方が強いでしょ、絶対」とバッサリ。また、27歳の武蔵が「まだ自分たちの世代が上でないといけない」と話したことに関しては「いやいや、やっぱり俺らの世代。10代が取らないといけないと思う。(武蔵は)過去最強の相手とは思っているけど、勝つのは俺」と、武蔵の実力を認めながらも対抗意識を燃やした。
5分5Rは初めての経験。しかし、神部は全ラウンド闘うことにはならないだろうと予想している。「ちょっと長いから、早めに倒しちゃう。倒すことしか考えていない。先生も29日に試合(RIZINにてジェームス・トンプソンと対戦)だから、先に俺が勝ってバトンを渡したい」と言う。
今年8月の曹竜也戦以来、打撃も磨いてきた。「もともと組み技を得意としてきたが、打撃もやっていたらうまくいった。スタンドでも支配できると思うし、どの局面でも終わらせることができる」と自信を見せる神部。高阪も「ここ1年で、格闘技的にも、身体も、メンタル面のコントロール力も、伸びるスピードが加速していると感じる。これは計算してできるものではないけれど、彼自身が努力を続けて来たからこそ、タイトルに挑戦できるまでに至った。格闘技だけでなく、人間として大切なものも、格闘技の中で学び、成長している」と太鼓判を押す。
ライトフライ級は年内で廃止されるため、この試合の勝者は上の階級か下の階級を選び、王者への挑戦権を手に入れることができる。神部は「パンクラスのベルトは、高阪先生も巻いたベルトだから俺も巻きたい。やっぱりかっこいいし、先生のことが頭にある。階級をどうするかはまだはっきり決めていないけど、まずはこの試合。死んでも負けたくない」と話す。もし階級を下げれば「もちろんやる相手は決まっている」とニヤリ。ターゲットは初代ストロー級王者となったばかりの砂辺光久(reversal Gym OKINAWA CROSS×LINE)だ。「そのためにも、まず今回相手をぶっ飛ばして、“あの人”とやらなきゃダメでしょ。ワクワクする」と楽しそうに語った。その自信はどこから来るのか? 激しい練習をこなし、努力を続けてきたからだけなのか。神部は「自分を信じなきゃ勝てない。俺はいつも、俺は出来ると自分に言い聞かせている。格闘技は自信がないと出来ない」と表情を引き締めた。
武蔵は、自分の世代へのエールとして、また、生まれたばかりの子供と家族への思いを抱いて闘うと語った。では、神部は?「今回は、母が初めて試合を見に来るんです」。神部は母1人子1人で育った。格闘技の世界に入ったのも、母の支えがあったからこそ出来たこと。「ここまで俺を育ててくれて、世界で一番尊敬する人。試合のときは毎回、神社におまいりをしてくれている。母には“かっこいい男になれ”と言われて育った。ベルトを獲れば、母の言うかっこいい男に少しは近づけるかなと思う。ベルトを獲ったら、母にベルトを巻いて写真を撮りたい。一番大切な人に、一番いいところを見せたい」と言う神部の目は希望の光で輝いていた。
誰もが1人では闘えない。自分のためだけでなく、大切な人のためにケージに入る。12月13日、両者の熱い思いがケージでぶつかる!
【写真・文/佐佐木 澪】