UWF伝説の完結なるか!?“Uの象徴”船木誠勝へ問題児が挑戦表明!超人イリエマンが「その舞台はRIZINで!」と直訴

賛否両論を常に巻き起こす、イリエマン56歳の挑戦…猪木対アリ再現ルールから約1ヶ月。勝てば歴史的快挙達成、負けたら引退を公言していた一戦だったが、結果はイリエマン痛恨のドロー裁定となっていた。
試合会場には、本人の最終目標である400戦無敗ヒクソン・グレイシー戦交渉に向けての日本の窓口の一人も来場していただけに、イリエマンにとっては今後の先行きの見えない状況に陥ってしまい、トレーニングの再開もできないまま月日は過ぎていった。
その冷却期間中に思い立った新たなる目標、自身の率いるキングダムエルガイツの始祖にあたるのが伝説の団体UWFである。その象徴の一人である船木誠勝戦への対戦アピールに向けては『格闘技界最大の問題児』イリエマンでさえも多くの葛藤もあったという。
『UWFの光と、影。』
この言葉どおり、この両者の格闘技人生はあまりにも差異がある。パンクラスと、キングダムエルガイツという同じU系の格闘技団体を旗揚げした事のみは両者の共通項ではあるが、かたや船木は若き日の頃から格闘技界のメインストリートを歩み、スポットライトを浴び続けたカリスマ的存在。今年9月にデビュー40周年大会を控えている。対するイリエマンは、UWFインターナショナルの後継団体キングダムに入団したのち、団体は1998年3月20日の横浜文化体育館大会をもって崩壊。先輩である安生洋二や、金原弘光、山本喧一らが去ったあとの団体を引き継ぎ、その後はインディーに落ちぶれた中、格闘技界のバックストリートでまさに“ドサ回り”を続けてきた。
イリエマンは切実に語る。
「ヒクソン戦実現に向けて、前回(猪木VSアリ戦の再現ルール)の試合で勝利することが絶対条件だと考えていた。だけど、もしもこの先で最終列車にギリギリ飛び乗ることが出来るとしたら、日本人でヒクソン・グレーシーと最後に東京ドームで闘った男、船木誠勝に勝利することしか考えつかない」と。

船木誠勝氏にとっては青天の霹靂、まったくもって迷惑この上ないことで、性懲りもなく実現の可能性が低いところからのスタートだが、イリエマンが数々の挑戦を始めたときからずっと『無理だ』とか『やめとけ』と言われ続け、それを覆してきた歴史がある。多摩の山奥の無名団体からメジャー参戦を直訴した時も笑われた。
K-1やDREAMの地方大会まで顔を出し、会場前で出場嘆願の署名活動をアポなしで展開。K-1トライアウトの会場にも突然登場し、全選手中ダントツの体力数値を叩きだした。
そうかと思えば、イリエマン自身の文筆による実際にリングにあがる選手の気持ちを『インディー格闘家~メジャーへの道~』としてスポーツナビでシリーズ化。その挑戦史を3年余りの間、けっしてあきらめずに書き綴り、徐々に評判を呼んでついにはメジャー団体“戦極”のさいたまスーパーアリーナの大舞台まで上り詰め、実際に勝利してみせた。
DEEP佐伯氏からは「1000%ない!」と言われたメジャーリング登場。次は、本名入江秀忠からDREAMスーパーハルクトーナメントを優勝したばかりの飛ぶ鳥を落とす人気だったミノワマンに挑戦表明する為、DEEPのリングに登壇し超人イリエマンに突如改名。その後は、なんと韓国ROAD FCの日本大会でミノワマンの試合勝利後にケージに乱入。大量のSPに取り押さえられて、会場外につまみ出されるなどの非常識を駆使し尽くしながら、ついには夢の対戦を実現させた。決戦当日は、新宿FACEに平日ながら400人以上の長蛇の列をつくり業界を唖然とさせて見せた。しかもそのDVDは、全国TUTAYA・GEOなどの主要レンタルショップで高回転を上げ、キングダムに13カ月に渡って大きな利益をもたらしたと言うおまけつきだった。
この時も、先述の佐伯氏からは「10000%実現の可能性はない!」と、あらかじめお墨付きが出ていた。
韓国世界大会で、UFC3度王者の殿堂ダン・スバーンに挑んだ時も、30キロ以上の体格差をものとともせず決死の覚悟で挑み、なんと逆転の1本勝ち勝利。現在の日本人選手の中でも屈指の実績を誇る。この時ばかりは佐伯氏も、「とてもいい試合だった」と、感服の気持ちをSNSに綴っている。
何より、崩壊したUWF直系団体キングダムをたった一人で引き継ぎ、5名の世界・日本王者を育て上げ、何百人もの会員数を抱える名門ジムに仕立て上げたのもイリエマン自身が創り上げた奇跡だ。
旧キングダムは、何もかもを失った団体。地位も権力もないのなら、這い上がるには誰もやらないことをすればいい。
『船木誠勝VS超人イリエマン戦』

決戦の舞台実現はRIZINを強く熱望する入江マン。そのRIZINにも参戦をしつこく迫った期間があった。イリエマン曰く、『第1次RIZINの乱』の時は名古屋、さいたまスーパーアリーナ、ファン感謝イベントなどに、超人イリエマンのコスチュームと、自身のゆるキャラの着ぐるみを引き連れてアポなしで侵入を繰り返した。
その決果はというと、そのツケはすべて佐伯氏のところに連絡やら、クレームやらのご迷惑をかけてしまったという。極めつけはRIZIN大阪エディオンアリーナ大会会場前での、イリエマン考案、世界1過激なエルガイツルール(ヒジ・頭突き・金的有り)での試合決行予告。
この時、公のマスコミ発表は台風で対戦相手が大阪に来れなくなったと一応体裁をつけたが、その真実は佐伯さんから、「RIZINが話を聞くから辞めろ!」と、イリエマンに御達しがきていたのだ。まさに決行直前の連絡であった。
その後の、あの六本木のRIZIN事務所の会議室での話。イリエマンが(RIZINに)上がるなら通常のナンバーシリーズじゃなく、お祭りの大晦日じゃないかという言葉を、今こそ現実のものとして欲しいと、そこ!をイリエマンは強調している。ちなみに長年イリエマンと腐れ縁を続けてきた佐伯氏は、今回のことは全く知らないし関与していない。
「自分はどこまで行っても、DEEPで名を上げてもらった選手なんで、引退試合はDEEPで!」は、共通の認識として既に佐伯さんには話をつけてある。骨を拾ってもらうと。しかし、その前にやることは決めてあるとだけは伝えている。既にRIZIN側には、筋を通す為にLINEにメッセージを送ったが、既読スルー状態で返答は一向になし。こうなれば、『第2次RIZINの乱』をやるしかないではないか。本当に前途多難。今回の道は今までと違い、頷かせなければいけない相手が二つある。ヒクソンと闘った最後の戦士、船木誠勝と、日本最高峰格闘技団体RIZIN。きっと佐伯氏なら、今回のイリエマン最後の挑戦を鼻息荒く「10万パーセント、いや1億パーセントない!」と、断言することだろう。
やらないより、挑戦したほうがいい。初めからあきらめる人生なんて楽しくない。引退まで、残り2試合。負けたら、終わり。イリエマンの言う、UWFに古くから残る言葉“何があっても、あきらめない”が真実の言葉ならば彼の生き様こそが、すでに“U”なのかも知れない。