可愛くて強い絶対王者がベルト防衛も客入りに苦悩…「悔しいしか言葉が出てこない」

21日、後楽園ホールにてアイスリボン『雨のち、リボン2025』が開催。メインイベントでは勝愛実(かつまなみ)の持つICE×∞(シングル)王座に藤田あかねが挑戦した。
あかねは2013年にアイスリボンでデビュー。度々怪我に悩まされるも、地元を愛し愛媛プロレスなどにも参戦し、凶器を使用するハードコアマッチに傾倒していく。
2021年に王者が自由にルールを決められるFantastICE王者となるが、その日をもってアイスリボンを退団し、世羅りさが結成した“デスマッチ&ハードコアユニット”プロミネンスとして活動を開始する。
2024年末に同ユニットを脱退すると、2025年1月4日のアイスリボンに3年ぶりに参戦。防衛戦が行われていなかったFantastICEに杏ちゃむが挑戦表明を行い、2月の板橋大会であかねが防衛。
4月には入江茂弘相手に防衛を重ね、5月25日北沢大会で勝の持つICE×∞王座に挑戦を表明したあかねは「自分勝愛実が怖くて怖くてしかたなかったんですよ。7,8年前、お互い別々の場所にいる時に、試合が組まれるたびに数日前から鬱になるぐらいは試合がしたくなかったんですよ!でも、あの頃の何も自信のない自分とは違います。色んなところで色んな選手と色んな形式で試合してきて、負けない自信がつきました」と並々ならぬ思いを語っていた。

試合は序盤から勝が容赦ない攻めを見せあかねは防戦一方に。場外でも勝はボディスラムからステージからのダイビングフットスタンプを投下し、リングに戻すとリバーススプラッシュ式フットスタンプからリバーススプラッシュ式ダブルニー連発とボディを徹底的に攻めていく。
エルボーの打ち合いから勝が投げ捨てジャーマンで叩きつけるもあかねもバックドロップで叩きつけ、勝の裏拳にあかねがヘッドバッドで返しダブルダウンに。
勝は胴絞めフロントネックで捕らえ、なんとかロープに足を伸ばして逃れたあかねがショルダータックルからバックフリップ。ハンマーブローからロープに飛ぶが、勝はローリングラリアットで迎撃すると、イナズマバスターで突き刺してからダイビングエルボードロップを投下。さらに顔面に容赦ないエルボーを連打し、前のめりに倒れたあかねだったが引き起こされるとヘッドバッドで反撃する。必殺のアメリカンオレンジドライバーで突き刺すも、勝はスライディングラリアットで反撃し、スタナーから左右の鋭角エルボー連打。ぐったりするあかねにトラースキックを叩き込み、コーナー上に座らせると雪崩式オレンジブロッサムで投げ捨てる。動かなくなったあかねにとどめのダイビングエルボードロップを投下し3カウント。

試合を終えた勝は「8年ぐらい前のお前なんか、私の記憶と眼中にもなかったのに、今日のあかねには、このベルトを取りに来る、全力で取りに来る気迫と覚悟しか感じませんでした。あかねの成長、嬉しいけど、悔しい。だけど、強くなったね。これからあかねとは対角でやりあっていきたいなと思います。ここまでやりあえる選手、アイスになかなかいないんじゃないですか?」と高評価。
しかし4度目の防衛戦ながら285人という寂しい客入りに「アイスリボン19周年迎えて、20年目一発目のこの後楽園ホールで、できることなら会場いっぱい埋めたかったけど、悔しい。悔しいしか言葉が出てこないです。最後のエンディングでもアイスリボンみんなもっともっと頑張っていかないといけないって若手がプラスのメッセージ残してくれたんですけど、ほんとに彼女たちの言う通りで、そうやって口に出して言ってくれる選手どんどん増やしていきたいなと思います。もちろんこのICEのチャンピオンが私である以上は誰がなんと言おうとアイスリボンの最強は勝愛実なんで、今日またチャンピオンとしての強さを手に入れたので、前しか向かないで突っ走っていきます」と涙を堪えながらコメントした。
スターダムとアイスリボンが女子プロレス界1位2位を争っていた時代を知っているあかねも「今日勝さんがどれだけICE×∞のベルトに命をかけてるか身を持って体感しました。なんであんだけ強いすごいレスラーがトップにいるのに、お客さんがいないのかなって思っちゃいます。お客さんが入っていれば、気合が入るとかお客さんの数じゃないですけど、やっぱり勝愛実がすごいのに客入りが寂しいのは、他団体の出戻りみたいな自分が言うのもあれですけど悲しいなって思います。もっと勝愛実を見てほしいです」と悔しそうに言葉を紡ぐ。
今のアイスリボンは色々な体制変更を経て、15年ぶりの小学生キッズレスラーりこと小学生&中学生姉妹の緋彩ませ&緋彩もえのライバルストーリーや、あかねによるFantastICE戦、真琴のレギュラー参戦などかつてのアイスリボンらしさを取り戻しつつある。星ハム子の娘である星いぶきと松下楓歩も復帰し、若返りを果たしたアイスリボンは間違いなく今見るべき団体の一つとなっているだろう。