「エヴァンゲリオンですらハッピーエンドで終わったのになんでプロレスまでバッドエンドにしなきゃいけないんだ」MAOとデスペラードが新日本プロレスメインイベントで笑顔のクレイジーファイト!

17日、国立代々木競技場・第二体育館にて新日本プロレス『セキチュー Presents BEST OF THE SUPER Jr.32』が開催。メインイベントではエル・デスペラードvsMAOが行われた。
DDTからBOSJに初参戦したMAOが、IWGPジュニア王者であり前年度覇者のデスペラードと初対戦。
MAOは世界で活躍するクレイジーファイターであり、呼応したデスペラードが場外で大暴れ。MAOはエプロンからのウルトラタイガーアタックから場外戦を続け、そのままカウント19まで海野レフェリーが数えるが、帰ってこない2人を見てリングに戻れと呼び戻しに行く。
じゃれ合うようにリングに戻った2人は「DDT」「新日本」とお互いの団体のコールを起こして突然の団体対抗戦へ。MAOが右ストレートを打ち込めばデスペラードはスリーパー。MAOがジャストフェイスロックで切り返すと丸め込み合戦になり、MAOがスタナーを仕掛けるがデスペラードが海野レフェリーを盾にしてKOしてしまう。
レフェリー不在の状況になるとMAOが「自由だー!」と叫び、リング下からプラボックスを持ち出すと会場から自然と「DDTコール」が起きる。お互いの脳天に楽しそうにプラボックスを叩き込みあい、2人でプラボックスを並べると一緒にコーナーに登りチョップの打ち合いへ。
そこへ浅見レフェリーがリングインして注意し、2人でトップロープに上がると肩を組んで一緒に後ろに落下しプラボックスに自爆する。

破片が背中に刺さりグッタリするも、MAOがビックブーツを打ち込んでいけばデスペラードはスピアー。そしてデスペラードがブレーンバスターで突き刺せばMAOはみちのくドライバーIIで返し、居合キックを打ち込むもデスペラードは中指を立ててヘッドバッドの打ち合いへ。
MAOが大坂臨海アッパーを狙うもデスペラードがカウンターの掌底アッパーで迎撃し、笑いあいながら掌底の打ち合いへ。髪を掴んで額へのナックルの打ち合いから、右ストレートの受け合いを経て、ラリアットの相打ちからMAOの大坂臨海アッパーにデスペラードがロコモノ。お互いフォールは1で返し、MAOの居合キックをスピアーで迎撃したデスペラードがリバースタイガードライバーからピンチェロコで叩きつけてフォールも2。
驚きを隠せないデスペラードが垂直落下式リバースタイガードライバーからダメ押しのピンチェロコで3カウントを奪った。

会場の『MAO』コールを聞いたデスペラードは「新日本のファン持ってかれちゃうじゃん。最高に楽しかったよ。MAOちゃん、ありがとう。あんなスーパースター、そう簡単には来てくれないよ。DDTさんありがとうございました。楽しみにしていたMAOちゃん終わっちゃったんで、こっから新日本の選手がたくさんMAOちゃんとやると思うけど、食われないか心配だな。なあ新日本のジュニアの選手よ。俺は、ほぼ食われたぞ。たまんねーな。恐ろしい。でも、だから、来てもらった甲斐があるってもんじゃん。MAOちゃん、次はあんたの庭でやろうか。今日は精一杯気を使ってくれてあれで終わってたんだろ。お前の領域に入ったらな、エンジンのついてない乗り物も、エンジンのついてる乗り物も出てくるからな。まだ俺はそれを体験してないぞ。髙木(三四郎)さんみたいに轢かれたりとかさ、ちょっと警戒してたけどさすがにそれはなかったな。石森さんみてえなシビれるような技術でやり返してくる人も、MAOちゃんみたいな閃きと独創的なアイデアで返してくる人といっぱいいる。だから『BEST OF THE SUPER Jr.』は面白い!」と、MAOとの試合の余韻に浸りながら笑顔に。
そして「俺はスーパージュニアが一番好きだから。やっぱり、このシリーズが一年通して一番面白かったって言われるように全力でやってるし、他の選手だってそのつもりだし、佐藤光留さんの言葉を借りパクしますが、ジュニアはヘビーを許さん。なんか世代交代だとか、年齢だとかキャリアだとか周りがピーピーピーピー言い出して、な?今現在ベルト持ってそこそこ時間たっちゃうと、俺が言ってないのに周りから言われると急かされてるみたいじゃん?早くそこどけって。どかしてみせろよ。そういうこっちゃ!新世代だ?今の世代が?スーパー新世代とかハイパー新世代とかよくわかんねー事言い出してるけどいいんだよ別に。かかってくりゃいいじゃん。勝てないお前らが悪いんだよ。じゃあな」と王者として若きジュニア選手たちを挑発した。

そしてバックステージでMAOは「もう『ウチの方が凄い』『この団体はクソだ』、そういう時代じゃないって俺はずっと信じてるし、俺はそういうやり方が大っ嫌いだ。『エヴァンゲリオン』ですらハッピーエンドで終わったこの時期に、なんでプロレスまでバッドエンドにしなきゃいけないんだ。俺は常にそういう気持ちを持って、コロナ禍を戦い抜いてきた。『ALL TOGETHER』をやってもオール・トゥギャザーできない、そういうプロレス界が本当に嫌だった。でもデスペさんやヒロムさんは違う。『俺らも凄いけど、お前らも凄い』。そういうモチベーションでプロレス界をぶん回してんだよ。俺はこれが正しいと思ってるから、これについて行く。だからここに来た。ウチも凄いし、新日本も凄いんだ。プロレス界、みんな凄くていいだろう。世界で戦っていこう。世界中回ろうぜ。日本のプロレスをもっと世界に広められるし、『BEST OF THE SUPER Jr.』はその模範的な大会であるべきだと思う。デスペさんやヒロムさんに俺は、その姿勢を見せられてる。DDTのMAOもそこに100%賛同して乗っかっていくから、ジュニアの祭典は本当にお祭りらしくやっていこうぜ。今日は本当に新日本ファンも俺を受け入れてくれてありがとう。DDTファンもいつも通り応援ありがとう。何よりデスペさん、本当にありがとうございました」と深々と頭を下げた。
新日本プロレスのメインイベントという場で繰り広げられた2人の世界は賛否両論となっているが、“つまらなかった”という言葉は聞こえてこない。ニンジャ・マックといいMAOといい、新日本におけるジュニアの新たな可能性を今回のスーパージュニアが開き続けていることは間違いないだろう。