「プロレスラーで100点、子供の前では自慢のカーチャンで100点!」出産を経て復帰した女子プロレスラー2人が王座を争い“母とプロレスの二刀流”を体現!

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 29日、東京都・後楽園ホールにて『アイスリボンマーチ2025』が開催。勝愛実が星いぶきを制してICE×∞王座の2度目の防衛に成功した。

 勝は2011年にJWP女子プロレスでデビュー。Leonと日向あずみの指導を受けており、デビル雅美直系のダブルアーム・バックブリーカーやロメロ・スペシャルの使い手として10代の女子高生時代から活躍していた。
 様々な団体に出場していたが、母の看病と介護により2014年に引退。その後母が亡くなり、遺品整理中に勝の試合について書かれた母の日記が見つかり復帰を決意。2016年にJWPに再入団し復帰した。
 JWPの権利問題で2017年にPURE-J女子プロレスを設立し、全選手が移籍し活動を続けていたが勝は2020年にPURE-Jを退団。その後妊娠し、一度はプロレスのために中絶を決断したが、エコー写真を見た時の感情と周りからの支えの声を聞き2021年から出産のための無期限休業に入っていた。
 その後しばらくは表舞台に姿を見せていたかったが、昨年6月に劇団『水色革命』の別ブランドで志田光が座長を務める『コルバタ志田組』に女優として出演。舞台上でプロレスの試合も行い、8月のアイスリボン後楽園ホール大会に姿を現すと入団を発表。9月の横浜大会で現役復帰した。

 今年1月には復帰からわずか4ヶ月で、真白優希を倒しICE王座戴冠。10年ぶりのシングル王座戴冠に「勝愛実のアイスリボン絶対王者への道が始まります!だけど気持ちは常にチャレンジャー。攻めの姿勢を崩さずにこれからもアイスリボンを引っ張っていくので、皆さんどうか応援よろしくお願いします!」と決意表明を行っていた。

 2月に勝が初防衛に成功すると、星いぶきが「そのベルトを休業する前に巻いていて、チャンピオンになってからまだそのベルト1回も獲られたことないんですよ。私は復帰して覚悟を持ってこのリングに立つことを決めました。第2の星いぶきの人生、そのベルトをかけてお願いします」と挑戦を表明。

 いぶきは、2017年に14歳でプロレスデビューし若手のエースとして活躍。2023年8月にはICE×∞王座戴冠を果たし、実母の星ハム子と現役レスラー唯一の母娘タッグでのタッグ王座戴冠も経験。団体の新エースとしての活躍が期待されていた中でいぶきの妊娠が発覚し、2024年4月にICE×∞王座を返上して欠場へ。
 同年10月に出産を終えると、わずか1ヶ月半でリングに復帰。出産から約5ヶ月半で再び頂点へと返り咲こうとしていた。


 試合は無駄な動きのないキレのあるグラウンドレスリングに始まり、スタンドの攻防になるや否やいぶきの強烈な張り手から卍固めでいきなり試合を決めにかかる。勝は序盤から大ダメージを負うも、場外戦へと引き込んで大量のイスの山へとボディスラム。北側ステージ上からのダイビング・エルボードロップで追撃して一気に逆転。
 勝は真っ向からの打撃戦へと誘い込み、容赦なくバチバチと顔面を蹴り合っていく。いぶきが得意の逆水平チョップを猛連打して勝の胸を赤紫色に腫れ上がらせて行くが、勝は折れずにジャーマン・スープレックス。さらに側頭部へのダブルハンマー&エルボーを連打していくと、いぶきはKO寸前のグロッキー状態に追い込まれる。
 いぶきは丸め込みで粘って蒼魔刀を連撃するなど最後の粘りを見せるが、勝がイナズマバスター、雪崩式オレンジ☆ブロッサム、オレンジ☆ブロッサムと畳み掛けて3カウントを奪った。

 マイクを取った勝は「星いぶき、これが現ICE×∞チャンピオンだよ。これが今のアイスリボンの顔だよ。どうだ?悔しいか?」と問いかける。
 いぶきが「悔しいよ!悔しいに決まってんだろ!でもな、負けは負けだ!」と叫ぶと、勝は「ある人が言ってたんだけど、私の大好きな言葉。『真の強者は自分の弱さを認めてこそ真の強者になれる』。この試合の真の勝者は……悔しいけど、星いぶき、アンタかもしれねーな。いぶきも私もリングを降りれば24時間365日休みなくママやって、週末はリングに立って。こうやって何不自由なく活動できているのは裏でサポートしてくれてる人がいて、こうやって応援してくれてる人がいる。それは全部全部当たり前のことじゃないよ?リングに立てば強さを追い求めて、リングを降りたら自慢のカーチャン。これからもプロレスラーで100点、子供の前では自慢のカーチャンで100点!いや、120点!お互いに頑張っていこうよ!」と拳を突き出すと、いぶきも拳を合わせて絆を深めた。

 熱いマイクで思いを叫んだ勝であったが、バックステージに戻ると笑顔はなく終始浮かない顔。
 今大会は今年初の後楽園ホール大会であったにも関わらず、観客数は263人。新木場1stRINGならば満員、新宿FACEならば半分、後楽園ホールならば南側客席の9割近くがオレンジ色に染まる人数だ。

 最初は「いぶきも私も大切な守らないといけない存在があって。『母は強し』って言葉もあるように守るものがある人は無条件に強いのかなって。それが心の強さで、闘いにもそれが出てたのかなと思います。真の強さが」といぶきとの闘いを振り返るも、最後は集客の話に。
 さらに表情を暗くした勝は「チャンピオンとして大会全体を見たときに、客入りが寂しいなと思ったんです。それはアイスリボンの今後の課題。後楽園ホールを満員にしていきたいです。アイスリボンの顔である以上これは改善していかないといけない。その深刻さを目の当たりにしました。今日の大会を見て『アイスリボンを変えていかないといけない』と思いました」と改革の必要性を口にした。

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