子どもたちの声援も虚しくバッドエンド。二児の父が命をかけて挑んだ王座戦は望まぬ反則負け

15日、東京都・新木場1stRINGにてTTTプロレスリング『PROGRESS 2』が開催。ガッツ石島と定アキラがインディー統一無差別級王座をかけて激突した。
TTTプロレスリングは、故・ターザン後藤さんが掲げた“インディー統一”の遺志を受け継ぐガッツ石島が旗揚げした団体。90年代インディーの空気を色濃く残したディープなメンバーが参戦しており、令和最新型の“平成”を創り上げている。
2020年1月に旗揚げしたTTTは旗揚げ直後にコロナ禍に見舞われ、いきなり興行が出来なくなり解散の危機に瀕するという波乱の立ち上がりを見せる。
しかし、TTTは同じくコロナ禍にあえぐ地元商店街とタッグを結成し、商店街振興のためのプロレスイベントを継続的に行うといった草の根運動で支持を拡大。この活動は行政にも認められ、東京都の商店街振興事業の一環として多数の商店街と合同で行われるようになるなど社会から高く評価。昨年12月には初の後楽園ホール進出、2026年1月9日に2度目の後楽園大会を決定しているなど上り調子だ。
TTTは観衆の洗脳活動を主とする奇行系ヒールユニット【ゴキブリ商会】から侵略を受けており、ガッツは昨年12月の後楽園大会で長らく奪われていた至宝を奪還。それでも抗争はなおも続いており、今大会ではゴキブリ商会の若頭的存在である定アキラの挑戦を受けることに。
定は小学1年生の時からU.W.F.スネークピットジャパンで修練を積み、15歳の若さで故・アントニオ猪木さん率いるIGFでデビュー。31歳にして約16年のキャリアを誇り、人生の半分以上をプロレスラーとして過ごしている若き古強者だ。
二児の父である定は「子どもたちと公園行って、宝探しゲームしたんよ。『パパは宝なにかある?』って言われたの。俺、やっぱ何歳になっても男の子だからさ。光ってるものとか好きなんだわ。だからアンタの腰に巻いてあるお宝、俺のお宝物にしたいんだよね」と子どもの言葉から再び頂点を目指す覚悟を決めてガッツに挑戦を表明していた。
この日の会場には家族が総出で訪れており、試合中には「パパ!頑張れ!」「パパ!負けるな!」といった子どもたちの応援の声が終始響いていた。

定のセコンドにはゴキブリ商会の教祖である“唯一神”藤原秀旺が付き、試合中の場外乱闘で加勢して定をアシスト。定をワンチームでサポートしているかに見えた。
しかし、あくまでガッツを真っ向から打倒しての勝利を目指す定に対し、秀旺の介入は少々過剰。終盤に定が顔面へのニーアッパー、後頭部へのランニングニー、顔面へのランニングニー、垂直落下式ブレーンバスターと猛攻をかける中で秀旺が傘でガッツに殴りかかるが、これが定に誤爆。
これで一気にガッツに逆転を許し、ガッツがラリアットからゴーストバスターと必勝コンボを決める。これで試合は終わったかと思われたが、秀旺がガッツを傘で滅多打ちにしてカット。止めに来たレフェリーに暴行を加えたため、定の反則負けがコールされた。
定が呆然とする中、マイクを取った秀旺はウクライナとロシアの問題について独自の解決案を語る毒電波を垂れ流し始める。
これにブチ切れた定は「命かけてやってんだよ!」と傘を投げつけるも秀旺のマイクは止まらず、すべてを諦めたように無言でリングをあとに。

なんとも後味が悪い空気が会場を支配する中、次回4月19日大会ではTTTvsゴキブリ商会の完全決着戦が4vs4で行われることが決定。
この対抗戦のメンバーには定も含まれているが、秀旺と決定的な亀裂が生じた定はどう動くのか。