「あと10年、あと5年早ければ」棚橋弘至が後藤洋央紀との運命のIWGP戦に敗北し涙！新日本プロレスの未来を後藤に託す
6日、東京都・大田区総合体育館にて新日本プロレス『旗揚げ記念日』が開催。後藤洋央紀と棚橋弘至がIWGP世界ヘビー級王座をかけて激突した。
現在の新日本プロレスでは、後藤洋央紀と棚橋弘至というベテラン2人が熱い旋風を巻き起こしている。
近年の後藤はタッグ戦線での活躍が多く、シングルではあまり目立った位置にいなかった。しかし、昨年のG1 CLIMAXでの熱闘からファンの後藤熱が高まっていき、後藤が45歳にして全盛期へ突入。2月11日の大阪大会にて、IWGPヘビー級王座から通算して9年ぶり9度目の挑戦で悲願のIWGP世界ヘビー級王座戴冠。現在の新日本は“後藤革命”のまっただ中にある。
棚橋は新日本プロレスで押しも押されぬエースとして君臨してきたが、昨年10月の両国国技館大会にて2026年1月4日の東京ドーム大会での引退を表明。現在は引退ロードを駆け抜けている真っ最中だ。
しかし、棚橋には思い残したことがある。棚橋は前身となるIWGPヘビー級王座は歴代最多の8度の戴冠を果たしているが、IWGP世界ヘビー級王座となってからの戴冠は無し。今回の2年ぶり3度目の挑戦で王座戴冠を果たし、引退までチャンピオンベルトを巻き続けることでファンに恩返ししたいという思いを語っていた。
プロレス界全体が落ち込んでいた暗黒期で新日本プロレスを支え続けた2人。2007年11月11日に行われたIWGPヘビー級王座戦を機に暗黒期脱却まで持っていった2人。この2人が譲れない思いを持って再び頂上対決を行うというこの試合は、単なる王座戦以上の意味を持つものとしてファンから熱い注目が集まっていた。
試合は、2人が道場で何千回何万回と繰り返したであろうロックアップから始まるじっくりとしたレスリングに始まる。
棚橋がヒザへの集中攻撃から掟破りの牛殺しを見舞い、裏GTRを耐えてスリングブレイド。さらにドラゴンスクリュー連打からテキサスクローバー・ホールド。これは18年前の両国決戦の決まり手だが、後藤は意地のロープブレイク。
棚橋はスリングブレイド2連発からコーナーに上ってハイフライ・アタック。続けざまにハイフライ・フローを放つが、かわされて自爆。それでも棚橋は果敢にテキサスクローバー・ホールドを狙っていく。
後藤のGTRをサムソンクラッチで切り返した棚橋だったが、後藤が即座に起きてヘッドバッド。それでも折れない棚橋はGTRをツイスト・アンド・シャウトで切り返す粘りを見せるが、後藤がぶっこ抜いて昇天・改。最後は後藤が印を結んでのPKからGTRを叩き込んで3カウントを奪った。
マイクを取った後藤は「棚橋さん、貴方がいなかったら俺はもうちょっと早くこのベルトを巻けたかもしれない。そんなことを思ったりもしましたが……棚橋さん、貴方がいなければ、今の俺はありません。残り少ない現役生活、最後の最後まで輝き続けて下さい」と感謝の言葉を述べて棚橋と握手。
棚橋は「一言だけ。……後藤ォーッ！！頼んだぞ」と熱いメッセージ。そして「今日を機に本隊とCHAOSの関係性、変わるんじゃねぇか？」と両軍の選手たちをリングに集結。2018年の共闘から境目が曖昧になっていた両軍が1つになることになりそうだ。
続いて、後藤が放送席で解説を務めていた永田裕志をリングに呼び出し「約束通り、次このベルトをかけて闘いましょう！」と次期挑戦者に指名。
永田も「後藤、素晴らしい試合だったよ。だからこそ挑戦しがいがあるもんだよ！やるぞ！」と応じ、ガッチリと握手を交わした。
バックステージに戻った後藤は「今日、棚橋さんに勝てたことで、胸を張ってIWGP世界ヘビー級チャンピオンだと言えると思います」と感慨にふけりつつ、永田戦に向けて戦意高揚。「新日本プロレス54年目を、この後藤洋央紀が選手一致団結して、この新日本プロレスを俺が盛り上げていきます」と決意を改めた。
一方、棚橋は涙で声を詰まらせながら「届かなかったかぁ、IWGP世界のベルト。届かなかったねぇ……。あと10年、あと5年、早ければって思うけど、俺がベルトを巻くことと同じぐらい、ファンの皆さんに応援してもらうことが、かけがえのない、俺の結晶です。一番っていいよなあ。一番になりてえよなあ……。だからプロレスって面白いと思うよ」と思いの丈を吐き出し、選手として最後の参戦となる旗揚げ記念日の試合を終えた。
