“無形文化財バトラーツ”をプロレス界に突き刺した阿部史典&野村卓矢がバチボコの殴り合いの末に笑顔で夢を叫ぶ!石川雄規も「俺ももう心置きなく…」

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 23日、東京都・新宿FACEにて『格闘探偵団2~新宿より愛をこめて~』が開催された。

 『格闘探偵団』は、バトラーツに魅せられてプロレスラーを志した阿部と、【アストロノーツ】のパートナーであり阿部の影響でバトラーツにハマった野村の手によって創られた大会。“バトラーツの復興”を掲げるわけではなく自らの手で“最新型のB”を創り上げるという理想を掲げている。
 この阿部の試みは、石川雄規や日高郁人など元バトラーツの面々が全面バックアップ。格闘探偵団のロゴもバトラーツのロゴをデザインした江川晴康氏によるものだ。

 昨年10月には、新たな“B”の旗揚げ戦とも呼べる『ぼくらは格闘探偵団』が開催。
 “B”の魂を継承する存在たる阿部が見せる新たな格闘探偵団がどういったものになるのかに注目が集まったが、チケットは事前に完売。急遽増席され当日券が発売されるなど大会は大成功。
 今大会は海外でも大きな話題を呼び、これを機に阿部&野村は海外からのオファーが急増。ジョシュ・バーネット主宰の『Bloodsport』にも出場を果たすなど世界にその名を轟かせる。
 また、阿部がBloodsport日本大会の際にプレゼントしたという格闘探偵団Tシャツをジョン・モクスリーが着用してIWGP世界ヘビー級王座戦に臨んだことから世界中のプロレスファンの記憶に『格闘探偵団』の5文字が刻み込まれることともなった。

 そんな大好評を受け、今年も第2回大会として『格闘探偵団2~新宿より愛をこめて~』の開催が決定。
 当初は第1回大会を終えて燃え尽きかけていた2人だったが、世界からの高評価や上の世代からも下の世代からも参戦希望が殺到したことを受け「人に影響を与えてしまうものをやった以上は中途半端には終われない」と再燃。阿部は「自分と野村さんが責任を持って、もう少し我々が元気な限りは色んな人と殺し合いをしていきたいと思いました」とその意気込みを語っていた。

 今年もチケットは事前に完売。新宿FACEでは稀に見る席数が配置され、495人(超満員札止め)の大入りとなった。


 メインイベントでは、阿部史典&石川雄規vs野村卓矢&村上和成のタッグマッチが実施。
 試合は、村上がゴングを待たずに奇襲しバトラーツ時代から因縁ある石川とバチボコの殴り合いを展開する中で始まる。村上が「楽しいなァ!」と叫びながらヘッドバッドを連打していくと石川も強烈な張り手で応え、互いにアンクルホールドで捕らえて意地の張り合いへ。あまりにも長すぎてうずうずしたのか、「長いよ!1回下がろう!」と阿部&野村がそれぞれのパートナーを引っ張り戻してタッチを受ける。
 阿部と野村の闘いはまさに喧嘩芸術。互いに確かな技術があることを大前提とした感情むき出しの殴り合い、極め合いが展開されていき、若い力に触発されてベテランたちも奮起。
 石川が不敵な笑みを浮かべながら野村を変幻自在のサブミッションで翻弄していったり、村上がロープブレイクを目指す阿部の顔面に場外から左ストレートを叩き込むなどそれぞれの色を出して大暴れ。
 最後は阿部と野村の対面となり、ゴツゴツと骨同士がぶつかり合う音が響くヘッドバッド合戦へ。倒れた阿部が「負けたくねーんだよ俺は!」と吼えて起き上がるも、野村がフライング・ヘッドバッドを顔面にクリーンヒット。野村がスリーパーホールドからの肩固めに捕らえて死闘に終止符を打った。

 締めを任された阿部は「私より上の世代は尊敬してるし、本当に憧れの人がいっぱいいるんですけど、俺らインディーで僕らより下の世代は本当に小さくまとまってて、目標も小さくて、正直張り合いなくて困ってんです。先に言っとくぞ。俺と野村はそんなインディーとかちっぽけなところで勝負しないから。俺らはな、プロレス界に突き刺すためにこうやって身体張ってなァ!命削ってなァ!やってんだよなァッ!追いつけるもんなら追いついてみろよッ!俺らはな、どんどんどんどん世界に羽ばたいて、このアストロノーツ!格闘探偵団を命かけて広めていくからな!お世話になってる光留さんもそうだし、鈴木みのるとか鈴木秀樹とか、もう名前挙げ出したらキリ無いけど、そんな人たちは絶対いつも褒めてくれないけど、いつかはさ、そういう人たちに『大したもんだな』って言われるためにプロレス頑張ってんのよ。いつまで続けられるか分かんないけど、命ある限り身体張って広めていきましょう!」と熱い思いを叫び、師・石川に倣って『1!2!3!ナーシャ!』の掛け声で大会を締めた。


 バックステージに戻った阿部は「しあわせでした。光栄でした。僕らのアイドルが同じ場に上がってくれて」と恍惚の表情。
 死闘を終えて笑い合う阿部と野村を見ていた石川は「これで、今日の見たら俺ももう心置きなく……」と言いかけるが、阿部に「石川さん、ホラ!売店で小遣い稼いで!」と追い払われて続きを言わせてもらえず。まだまだ最前線で闘うことになりそうだ。

 阿部は「下の世代もやりたいって奴出てきたんですけど、やっぱり空っぽなんで。基礎とか内々の部分を分かってもらわないとやっぱりイヤなんで。しっかりとルーツとか技とかレスリングとか、しっかりと学んでもらって。僕らも学んでる最中なんで。ずーっと学んでますよ。10年間。まだまだ弱いし。飛び級って無いんで。それをしっかりとやって、一緒にそういうファイター増えてったら嬉しいですし。率いるの慣れてないから、そこは色々頑張んなきゃいけないですけど、そういう芯は残していかないと。無形文化財なんで」と“B”の魂を後世に伝えていく覚悟を語った。

 石川は『Bloodsport』の打ち上げの際に自らの父たる藤原喜明のもとへ阿部&野村を連れて行き「孫の代が出てきました」と紹介して2人の頑張りを長時間にわたって熱弁したのだという。
 これを聞いた藤原組長は「格闘探偵団バトラーツの“B”ってのはなぁ、馬鹿の“B”だからなぁ」とだけ答えたという。この言葉を聞いた阿部&野村はさらにバトラーツへの愛を深めたのだと語っていた。

 阿部と野村が受け継いでいるのは格闘探偵団という名前でもなく、バトラーツ関係者の技術でも人脈でもない。『格闘探偵団バトラーツ』の“イズム” そのものだ。
 令和の世に転生した“B”がどのような闘いを生み出していくのか。阿部と野村、そして2人に感化されて生まれる新世代の台頭にも期待したい。

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