髪切りマッチで見せた敗者の男気に場内歓声!コロナ禍を支えたかつてのヤングライオンが「次は俺たちがプロレス界を最高の舞台にします!」

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 24日、北海道・北海道立総合体育センター 北海きたえーるにて新日本プロレス『THE NEW BEGINNING in SAPPORO』が開催。辻陽太と上村優也が敗者髪切りマッチを行った。

 今年1月5日の墨田区総合体育館大会では、L.I.JとJust 5 Guysの全面対抗戦が実施。この試合が不完全燃焼となったため、24日の北海きたえーる大会でシングル5番勝負での完全決着戦が行われることが決定した。

 この抗争の中心はIWGP世界ヘビー級王座をかけてリマッチする内藤哲也とSANADAの対決にあったが、“裏メイン”的な期待を集めていたのは辻陽太と上村優也の対決。

 辻と上村はともに2017年入門の同期。ともに2018年4月10日にデビューして切磋琢磨してきた。
 ヤングライオンは個人差はあれどデビュー2年前後で海外に出ることが慣例となっていたが、世界を巻き込んだコロナ禍が2人の飛躍を阻んだ。辻と上村は歴代最長の3年4ヶ月というヤングライオン期間を過ごした。

 その後、2人はともに2021年8月に海外遠征へ出発。
 辻はメキシコ、上村はアメリカで武者修行。辻は2023年5月に、上村は同年10月に凱旋帰国し、新日本マットの最前線で闘い合ってきた。
 つらい時期をともに過ごしたということもあってか、2人は互いを強く意識。今年1月4日の東京ドーム大会を始めとして、幾度も意地をぶつけ合ってきた。

 今月5日の後楽園ホール大会では、辻が「本来なら俺とお前はあのベルト(※IWGP世界ヘビー級)をかけて闘わなくちゃいけないんだ。このまま無意味な戦いを続けても何も生まれない。だから、次の札幌は完全決着と行こう。俺は次のお前とのシングルマッチでこの髪を賭けてやる。敗者髪切りマッチだよ」と提案。
 上村も「俺はお前の髪なんて興味ねえ。でも、逃げる理由もねえ」と覚悟を見せていた。


 この日の決戦では、互いの歴史を振り返るかのようなじっくりとした攻防を展開。ヤングライオン時代に何千回、何万回と繰り返してきたであろう基礎の動きだけで試合を成立させていく。
 中盤戦に入ると、辻が体格差を生かしたパワーファイトで優勢となるも、上村も腕への一点集中攻撃や巧みな丸め込み攻勢で食い下がる。辻が雪崩式スパニッシュフライを放てば、上村も即座にかんぬきスープレックスでやり返すなど意地と意地のぶつかり合いが続く。
 試合時間も20分超えて満身創痍の両者は、ロックアップで組み合ってのヘッドロック合戦を展開。限界を超えて原点に立ち返った2人の攻防には大歓声が起きる。
 最終盤、辻は怒涛のジーン・ブラスター連打。上村はフランケンシュタイナーからの腕十字、アームドラッグからの十字架固め、カウンターのRKOと多彩な“ジーン・ブラスター返し”を見せて投げっぱなしジャーマン。
 しかし、ダメージからか追撃に行けず一瞬棒立ちになったその瞬間を逃さず辻がジーン・ブラスター。これで3カウントが入り、死闘に終止符を打った。

 リング中央にはイスが用意され、上村はどっかり座って「切れ!」と覚悟を決める。
 辻はハサミで豪快に後ろ髪を切り取り、バリカンで中央の髪を刈り取る。上村は辻からバリカンを奪い、自ら落ち武者ヘアーにする男気を見せて退場していった。

 試合後、上村は「今日、負けたから髪を切った。たまたま負けたから髪を切っただけだ。俺は明日からもいつも通りトレーニングして、次の試合に備えるだけだよ。もうこのことは終わったこと。次だ!」と悔しさを飲み込んで前を向く。
 そして「辻は俺と同期で、パンデミック中もここにゲイブ(ゲイブ・キッド)を加えた3人で、新日本プロレスの苦しい時代をヤングライオンとして支えてきたんだよ。次は俺たちがメインイベンターとして、プロレス界を最高の舞台にします!」と未来に向かって吼えた。

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