“なにも無いが有る町”びんご安田でみちのくプロレスが町おこし!新崎人生と地元を愛する住民たちが廃校で生んだ笑顔

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 22日、びんご安田(広島県)の廃校になった小学校のグラウンドでみちのくプロレスびんご安田大会が実施。

 駐車スペースには車が溢れんばかり、多くのキッチンカーが並び、さながら秋祭りの風情の賑わいを見せる会場の真ん中に特設リングがしつらえられた。
 その周りには「プロレスを生で見たのは何十年ぶりだろうか」とつぶやく往年のプロレスファンから、プロレスをこれまで見たことがなかった人まで大観衆が詰めかける。地元の人はもとより関西から推しの選手の応援に、遠く関東からはるばる観戦に足を運んだ人もいたと聞いた。

 フォッサマグナを越えて西日本に来ること自体が稀なプロレス団体が電車も日に4本しか停車しない山あいの小さな町になぜ招かれたのか。
 本興行の実行委員長である鳥井実香さん(59)にびんご安田の魅力を尋ねると「なにもないので、なにもないということを楽しむ、ないがある町として楽しんでいただけると認識しています」という答えが返ってきた。
 その何もないところに突如として出現した非日常空間は、壮観というより限りなくファンタスティックで、老若男女の歓声と笑顔であふれかえっていた。


 鳥井さんは吉舎町安田で18年間生活し、高校卒業後に徳島の大学に進学。その後徳島県でラジオのパーソナリティをしていた際にプロレスの番組を担当することになり、ちょうどそのタイミングでみちのくプロレスが地方に夢をというコンセプトを掲げて盛岡で旗揚げ。徳島で新崎人生選手がプロレス興行を行ったことから、みちのくプロレスや人生選手との交流が始まったという。
 2019年に地元びんご安田の小学校が廃校になったタイミングでUターンしてカフェとマルシェを運営。人生選手に町おこしの一環でプロレスをやってもらえないかと聞いたところ快諾いただき開催の運びとなったという。
 とはいうものの東北から団体ひとつ招くことは容易ではなかったはず。実現までに多くの人のサポート、尽力を要したことは想像に難くない。開催に先立ち実行委員長として挨拶に立った鳥井さんはリング上から、支えてくれたスタッフの皆さんに向かって謝辞を述べた。

 共にリングサイドに立った地元のカメラマンさんが言った。

 「ここの人たちは喧嘩しないんですよね、みんな」
 「それぞれがてんでに勝手に出来ることをやりだすけど、誰も文句言わないで、なんとなく自然にまとまっていく」

 なにもないびんご安田にはかけがえのない人との繋がりがあり、それが太い一本の絆となって人を招き、夢を叶える力になった。
 みちのくプロレスの選手たちも、休憩中ずらりと並んだキッチンカーを回って思い思いに飲食を楽しんでいたり、普段とは雰囲気の違う空間に笑顔を見せていた。子どもプロレス教室で、何気ないデモンストレーションにさえ拍手が来ることにMUSASHIが照れ笑いする一幕も。
 
 今日のこの日は、鳥井さんにとってゴールなのか、始まりなのかと尋ねると力強い答えが返ってきた。

 「ひとつのスタートです」

 「ひとりでみる夢は夢に過ぎないが、皆でみる夢は現実になるだろう」と言ったのは、オノ・ヨーコだ。
 確かにひとりで見ているだけの夢は叶わない。だが、皆が共感し皆でその夢を描き実現に向け力を尽くしたら叶わない夢はない。人との繋がり、プロレスの無限の可能性を改めて思わずにいられなかった。
 「ないがある町」びんご安田にプロレスの種は蒔かれ芽吹いた。この芽が枝葉を拡げ大輪の花を咲かせ結実する日をプロレスの力を信じて見守り続けたい。

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