【会見】新日本プロレス&スターダムが合同戦略発表会を実施!“アジア進出”を目指し『アジア太平洋プロレス連盟』の発足や『Historic X-over』第2回大会の開催など重大発表目白押し

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 10日、東京都・飛行船シアターにて『新日本プロレス&STARDOM戦略発表会 2023』が開催。

 新日本プロレスとスターダムがそれぞれ例年行ってきた戦略発表会だが、最近は両団体の接点が増えてきていることもあり初の2団体合同の戦略発表会を開催するに至った。
 同会は、スターダムパート、新日本プロレスパート、合同パートの3部制で実施された。

スターダムパート


 株式会社ブシロードファイトの原田克彦社長、木谷高明オーナー。さらになつぽい、ジュリア、岩谷麻優がゲスト選手として登場。

 2021年度には4.6億円、2022年度は10億円だった売上高は、2023年度には15億円に。経常利益も2.5億円と最高利益を出しており、原田社長が「すごくない?」と照れ笑い。選手・スタッフの頑張りのおかげだとフォローしつつさらなる発展を誓う。

 YouTubeチャンネルも視聴回数1.2億回を誇り、登録者数も100万人達成が秒読み。月平均100本以上の動画を上げるなど発信の努力が結実したものとなった。
動画での発信についての歓談が盛り上がる中、岩谷がファンがSNSに投稿した動画がバズりにバズっていることを嬉しそうに報告。

 “ファンからの発信”の話題となると木谷オーナーの中でなにかのスイッチが入ってしまったか、「団体が出来て以来、今年初めて(観客動員数が)10万越えようとしてる団体で『お客さんが減ってる』みたいなクソみたいな動画上げてるサイトとかあるじゃない。ホントにもう、ネガティブキャンペーンやめてほしいですよね。事実と反してる。ちゃんとした数字ですからね。ちゃんと有料入場者数を出してますから」とぼやき始める。
 さらに「結構間違ったこと言ってんのよ。よく分かってないクセに言ってる。会社の利益のことなんかも経常利益も営業利益も最終利益もなぁ~んも分かって無くて喋ってる。メタメタなのよ。これ以上言うと宣伝になっちゃうか。あ~スッキリした!(笑)」と内に溜めに溜め込んだ愚痴を吐き出し、場内からは笑いが起こった。
 


 その後、スターダムはアジア進出に力を入れていく方針を発表。
 YouTubeの視聴回数国別ランキングは1位がインド、2位がインドネシア、3位が日本という順。インドは日本の約2倍の視聴者数を誇るなど、大きなブルーオーシャンを感じさせる。
各国で開催される『Bushiroad Expo』にてスターダムの試合を見せていく方針が明かされ、今年10月21日~22日にタイ、11月24日~26日にシンガポールでの大会開催を予定。

 原田社長は「タイは先日視察に行きましたが、非常に経済成長が著しく、バブル前の東京みたいな雰囲気がありまして。より一層成長を期待できるかなと。スターダム、ブシロードファイトもその経済成長を享受すべく中長期的な戦略を練って東南アジアに進出していきたいですね」と意気込み。
 木谷オーナーも「現地の人に知ってもらうことが第1目標。最終的に興行できればいいかなと思いますけど、そこで見た人たちが日本に来て見てみたいと思って欲しい。インバウンドにつながればという気持ちがあります。我々は日本人であり日本の会社ですから、最終的に日本のためになることをやりたいですね」とビジョンを語った。

 また、現在スターダム内で怪我人が続出している状況にも言及。
約2ヶ月に渡るリーグ戦『5★STAR GP』のさなかに地方ビッグマッチでの各王座戦が行われたり、歴代女子プロレスレジェンドが大集合した『ミッドサマーフェス 2023』や一夜限りのタッグが生まれた『ドリーム・タッグ・フェスティバル 2023』といった特番的なビッグマッチが行われたりと、選手にとってはあまりにも過酷なスケジュールが詰め込まれたことが原因であると分析された。

 これについてジュリアが「2ヶ月間でタイトルマッチとか組まれる選手は組まれてしまったり、ドリームタッグとか色んなものがありましたよね。皆さんNetflixとかでドラマとか一気見したくないですか?その方がグッと見られるとか、そういうのと近いのかなと思っていて。私はもっと短い、1ヶ月とかで(リーグ戦をやって)、終わってからタイトル戦とかテーマのある大会が開かれたほうが皆さんも見やすいですし、選手も集中しやすいですし、身体の負担も変わってくるんじゃないかな。……というのが選手たちの意見ですね」と直訴すると、場内からは大喝采。

 原田社長もこの現状と選手からの声を重く受け止め、来年の5★STAR GPの日程については期間を短くする方針に転換することを明かし、「選手たちの健康と安全を守っていければ」と語った。

 その他、2024年1月4日にTDCホール大会が開催されること、2024年中にこれまで未上陸だった大分県、宮崎県、沖縄県で大会を行って47都道府県を制覇すること、2024年4月27日に横浜文化体育館改め“横浜BUNTAI”で初めてのプロレス興行を行うことなどが発表された。

新日本プロレスパート


 新日本プロレスパートには、大張高己社長、木谷高明オーナー、さらに海野翔太、マスター・ワト、棚橋弘至がゲスト選手として登場。

 2023年度(6月決算)の売上は、2019年度に達成した過去最高額(54億円)の約98%に及ぶ53億円に到達したことを報告。
 これに関してはグッズや他企業コラボ商品の展開などの会場外の収益が伸びていることが要因としてあり、来場者数に関しては直近最盛期の約65%に留まっているため今後は来場者数を増やすための施策を講じていく方針が語られた。

 この話題について、木谷オーナーは「今季が過去最高になればいいなと思います。コロナ期間中は、レスラーのみなさんが頑張りを見せていただきましたし、経営サイドはテクニックですごく稼げるようになったというか、経営力が増したというか。例えば、ワールド(NJPW WORLD)の会員が増えているとか、負担をおかけしているかもしれませんけどPPVを購入していただいたりとか、選手たちのYouTubeチャンネルを立ち上げてくれたりとかの協力もあって、TV出演も地道に見えています。あとはスポンサーもかなり増えたんですね。そういったことで経営力でこのように過去最高近辺まで来たということで。観客動員で言うと2019年が良すぎたっていうのもあると思うんですけど、65%くらいしか戻ってきていないので、唯一の課題はここのところで。経営サイドももう少し工夫すべきところがあるんじゃないかなと。選手の頑張りに応えなきゃいけないなと思います」と見解を語った。

 続いて、昨年の戦略発表会で課題として挙げられた『選手の高齢化問題』については、マスター・ワトがBEST OF THE SUPER Jr.を制覇したり、“令和闘魂三銃士”海野翔太&成田蓮&辻陽太らの台頭の他、アメリカから逆輸入した自前の外国人選手たちの活躍によって一定の解決が成されてきたという見解を発表。
 『THE スピリット』を経て入門した練習生を始めとし、現在の練習生の数は過去最高規模だといい、誰かが年内にもデビューする可能性もあることを匂わせた。

 また、2020年にコロナの影響で流れてしまった北海道ツアーが4年越しの11年ぶりに開催されることが発表。その他、台北大会が発表されるなどスターダムパートでも語られたようにアジア進出に力を入れていく方針が語られた。

 海外への進出・発信の話題になると、海野が「僕もイギリスに海外遠征に行ってましたけど、ホントにちっちゃいお子様から『シューター!シューター!』って言っていただいて。やっぱり新日本プロレスって名前だけが世界に広がっているというのは事実だなとこの身を以て感じました。やっぱりアメリカ、メキシコ、イギリスって海外進出している中で、それは個人的にいいことなんじゃないかなって。某選手は『撤退したほうがいいんじゃないの?WWE、AEWには勝てないから新日本プロレスは手を引くべきなんじゃないの?』っていう1意見もありますけど、正直リアルなところを突くと、今のままでは勝てないと思います。でも1人でも応援してくれている海外のファンが居るのであれば、僕はその地域で試合をして『これが新日本プロレスだよ』っていうのを見せてあげたいと思います。今回台北が決まってアジア進出ということで。フィリピンとかWWEが平気でTV放映されているっていうのもありますし、アジアってもっと広い視点で見たときに中東だったりインドだったりアフリカだったり」と持論を展開。


 そして、突然「僕はすごくいいと思いますけど、どうですかね?陽太選手」と、偶然一般客として戦略発表会を観覧していた辻陽太に話を振る。
 海野からマイクを受け取った辻は、「アジアは世界の人口の60%を占めている。木谷オーナー、この新日本プロレスをアジアに広めていくために何が必要だと思いますか?」と公開質問。

 これを受けた木谷オーナーは、質問への回答の前に海外戦略の現状を説明。
 約4割が外国人会員であったNEW JAPAN WORLDだが、アメリカ・イギリスでは日本がまだコロナ禍で手探り状態であった頃にもガンガン大会を開催していたこともあり、相対的に新日本プロレスへの関心が落ちて会員数が激減してしまったという。それでもアメリカでは万単位の会員がいることもあり、アメリカ事業に関してはトータルで見ると黒字。しかし、アジアに関してはアメリカやイギリスの会員数に比べて会員数の桁が1つ、2つ変わってくるという。
 これを踏まえて辻への質問回答に移り、「プロレスってアングロサクソンが好きなスポーツなんですよね。日本とメキシコ以外はアングロサクソンの国でしか流行ってない。これをアジアにどうやって広めていくかって考えると、やはり見せるしか無い。配信とかTVよりもリアルで見せたほうが早い。リアルで見たほうが熱が伝わる。台北では12年前に合同興行でやりましたけど、まずはもう1回直に見せるところから始めようと」と熱弁。
 そして、1・4東京ドーム大会には毎年アメリカやイギリスから多くのファンが来ていることに触れ、アジアでプロレス文化が広まっていけば距離的に近い日本へ足を運んでくれるようになるのではないかというビジョンを語った。

新日本プロレス&スターダム合同パート


 最後に、各パートで登場した面々が全員集合した合同パートが実施。

 新日本プロレス×スターダムの合同興行『Historic X-over』の第2回大会が開催されることが発表。
 第1回大会は2022年11月20に開催され、男女混ざって試合をするミクスドマッチや、初代IWGP女子王者決定戦が行われるなど革新的な試みを行った伝説的な大会。日程や会場などの詳細については後日発表される。

 各選手が前回の『Historic X-over』についての思い出を語る中、海野翔太は「僕はどちらかと言うとミクスドマッチ否定派なんですよ。男性と女性を闘わせる意味が僕には理解が出来ない。同じブシロードのもとで合同興行を行うんだったら、新日本とスターダムが交互に試合をやっていくっていうのも1つの手なのかなと。無理してミクスドマッチで『大丈夫?』『怪我しない?』って不安要素があるんだったら」と一石を投じる。
 すぐに木谷オーナーが「ごめんなさい、男女は闘ってない。タッチしなきゃいけなかった」とツッコミを入れるも、海野は「でも最終的に女性が投げてるシーンもあったわけじゃないですか」と即座に切り返す。これには木谷オーナーも「確かに最終的にはそうでしたねぇ……」と尻すぼみに。
しかし、海野は最終的に「でもミクスドマッチやるんであれば、ファン投票とかも面白いかもしれないですね?」と提案するなど“ファンサの神様”としての存在感を存分に発揮した。


 また、両団体の戦略発表会で共通して語られた“アジア進出”というテーマへの答えの1つとして『アジア太平洋プロレス連盟』を来年1月に発足することを発表。
 当連盟は、新日本・スターダムをはじめ、PUZZLE(台湾)、DFW(中国)、SETUP(タイ)、GRAPPLE MAX(シンガポール)といったアジアに存在するプロレス団体とともに結成。

 来年1月にはこれらの団体とともに発足式を行う予定とのことだが、木谷オーナーは「ただ、あんまり期待しちゃダメですよ?僕もシンガポール行ったときに現地のプロレス団体を見に行ったんですけど、まだまだレベルは高くないですし選手の身体は小さいですし」と国ごとのレベルの差について言及。
 それでも、「ただ、色んな国に大きい人も身体能力が高い人もいるはずなんですね。新日本プロレスが一緒になってレスラーを育てていきたいと。プロレスの興行で大変なのはリングの調達をどうするかって問題なんですが、現地にはリングも元々ありますから。プロレス未開地、日本のお膝元のアジア地域にまず新日本プロレスとスターダムが中心になって、プロレスの種まき……種はあるんで肥料を足していって、アジア全体でプロレスが盛んになるようにやっていきたいなと思っています。『アメリカのWWEとかAEWに押されっぱなしじゃないか』という声もありますが、彼ら列強に勝つにはお膝元をまず固めて力をしっかり蓄えて、勢力をしっかり確立しなくちゃいけない。やっぱり、地元のレスラーが活躍するから応援したくなるというのは当然ありますし、日本人も日本人が活躍したほうが燃える人は燃えると思います。これから時間はかかるかもしれませんが、新日本プロレスとスターダムが中心になってアジアのプロレスを振興させていきたいと考えております。ですから、もしかしたら今ある階級よりも軽い階級よりももっと軽い階級でやるということもあるかもしれません」と、中長期的な目線でアジアのプロレス市場を育てていく気概を語った。

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