「“これもプロレス”がDDTだ！」引退を控えた赤井沙希が男色ディーノからDDTイズムを注入され「そらみんな辞めれないわ」
27日、東京都・後楽園ホールにてDDT『夏休みの思い出2023』が開催。赤井沙希と男色ディーノがシングルマッチで激突した。
赤井のプロレスラーキャリアも10年を迎えようという5月24日、赤井が突然の引退を表明し業界は騒然となった。
赤井は「私は、枯れて朽ちていく花ではなく、美しいまま散る花でいたい。それこそが赤井沙希のプロレス道の最終地点だと思っております」と11月12日の両国国技館大会での引退を発表。
心残りの無いよう全力で引退ロードを突っ走る赤井は、自身の10周年記念試合として男色ディーノとのシングルマッチを要求。
赤井は若手時代にディーノに教えられた「もっともがいてる姿を見せろ」「人間臭さを見せろ」というレスラー哲学に未だ納得がいっておらず、もやもやしたまま引退せぬために試合を通して語り合いたいという意向を伝えた。
最近はフェロモンズの男色“ダンディ”ディーノとして奔放に暴れ回っているディーノだが、赤井の思いを受けて「私の思想をテメーに叩き込んでやる。プロレスラーで良かったと思わせてやる」と今回はただの男色ディーノとして迎え撃つことを宣言していた。
しかし、ディーノは8月7日の山形大会で鼻骨を骨折。手術を要するレベルの負傷によって直前まで欠場していたが、赤井との対戦に向けて強行復帰してこの試合に臨んでいた。
2人は試合前に握手を交わすも、ディーノが握手と同時に腕を引き寄せてバックドロップ。さらにバズソーキック、垂直落下式ブレーンバスターと一気呵成の厳しい攻撃を見せ、ナイトメアから男色ドライバーを狙う。赤井がブレーンバスターで切り返し多彩な蹴撃で猛反撃していくと、呼吸がマトモに出来ないディーノは場外へエスケープし荒い息。
赤井はトドメのビッグブートを放とうとするも直前で足を止めてしまう。その姿を見たディーノは「テメー今顔面蹴るの躊躇したな。お前の心の弱いところが出てんじゃねーか？打ってこいよ！」と雄叫び。意を決して赤井がビッグブートを放つも、ディーノは「はい残念でしたぁ～」とキャッチしてエクスプロイダー。さらに男色ドライバーで突き刺すも赤井は気迫のキックアウト。
赤井はディーノの顔面に容赦無い連撃を放ち、新人賞を叩き込む。ディーノは鼻のギプスを外して両手を広げ赤井のすべてを受け止める姿勢へ。赤井がビッグブート、トラースキック、バズソーキックと放ち、最後に新人賞を放とうとしたところでこれ以上は危険と判断したレフェリーが試合を止めた。
マイクを取ったディーノは「今DDTはこんなに人数が増えて、若い奴らにチャンスがガンガン与えられて、その中で私がシングル出来るって状況はオメーが作り出してくれたんだ。それにまずはありがとうだな。それに対して、こんなコンディションで済まねえって気持ちもある。でも、私は言った通り、ぶっちゃけ病院騙してここにいるんだ。『やっちゃダメ』って言われるから言わずに出て来てる。それはなぜかって言ったら、私がそうしたかったんだ。で、もう1つ言うと……オメー強くなったな。今日はぶっちゃけ完敗だよ」と思いを吐露。
そして、「デビューしたてのオメーだったら『顔面蹴るのなんてプロレスじゃねえ』って言ってたと思うよ。私もそれがプロレスだとは思わない。でも、“それもプロレス”だと思ってる。“それもプロレス”ってのがDDTの強みだろ？“それもプロレス”の集合体だよ、ここは。まとめると……DDTを好きになってくれてありがとな。“これもプロレス”。それがDDTだ！オメーもDDTだ！」と熱い気持ちをぶつける。
赤井が感じていた“違和感”については、「先に答え言ってやるよ。意見が違うのなんて当たり前だよ。皆と同じ意見の人たちばかりで何が面白いんだよ。違う意見をこのリングでぶつける！だから面白いんだろ。だからオメーは違和感があってもなんにしても、全部背負って後2ヶ月半、強くなり続けろ」とアンサーを突きつけた。
赤井は涙ながらに座礼してディーノを見送り、バックステージでは「元々抱えてたモヤモヤは晴れました、でも違うモヤモヤが生まれて。『これの繰り返しなんだな、プロレスって』と思います。これが新しい試合が生まれるんだな。『そらみんな辞めれないわ』って改めて思いました。新しく出来たモヤモヤの答えが他の試合で生まれると思うので、答えを探し続けようと思ってます」と微笑みとともに語る。
一方、入場時に好みの男性客を襲ってキスをしていくパフォーマンスを復活させたディーノは「お客さんにチュー出来るのっていいね。これからも時代が変わっても私はお客さんに、どんな形でもチューし続ける。誰がなんと言おうとこの生き方を曲げるつもりはない！」と己のスタイルを貫き通していく覚悟を語った。
