【全文掲載】小橋建太と前田日明がトークバトルで初対決!娘の育児の悩みやスタン・ハンセンの恐ろしさを熱く語り尽くす!「男はどう頑張っても絶対女に勝てないからね(笑)」

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 10日、東京都・後楽園ホールにて小橋建太プロデュース興行『Fortune Dream 6』が行われ、小橋建太と前田日明がリング上でトークバトルを行った。

 年に1度行われている『Fortune Dream』では、小橋が大物選手たちとのトークバトルを実施することが定番となっており、これまでには長州力、天龍源一郎、佐々木健介、豊田真奈美、蝶野正洋と激闘を繰り広げてきたが、今回はついに“格闘王”前田日明が登場。
 両者はこれまで全く接点がなく、2018年8月31日に行われた高山善廣の支援興行『TAKAYAMANIA EMPIRE』の控え室で初めて顔を合わせて話をしたという。
 その際に小橋は「この人とトークショーをやったら絶対に面白い!」と感じて昨年末に オファーをしたという旨を明かしている。


――前田さん、リングに上ってみていかがですか
前田「自分がやってたときのリングよりも広いね、このリングはね。自分らがやってたリングはロープ内で5.5mでね。ロープまでちょっと距離があるかな」
小橋「最初に前田さんが入るとき『リング広いねぇ』って言ってました(笑)」

――小橋さんはリングの上で初めて前田さんを向かい合いますが、印象はいかがですか
小橋「去年、高山選手の興行(『TAKAYAMANIA EMPIRE』)で初めて会って」
前田「そうそうそう」
小橋「僕ね、このプロレスの世界に31年いて、初めて会ったんです!」
前田「小橋くんがすごい頑張ってる頃は、RINGS真っ最中で全然関わらなかったね」

――その時代のお互いの印象というのは
前田「えっとね、何試合かね、小橋くんの最後の方の頃にビッグマウス・ラウドに出て、今の子も見なきゃいけないなと思って何試合か見た中に小橋くんの試合もあって。それがちょうど例の、腎臓のガンをやる直前の試合でね」
小橋「今日、前田さんにオファーをして、前田さん快く受けてくださいましたけど……なんで受けてくれたんですか?(笑)」
前田「なんかねぇ、自分のビッグマウス・ラウドでプロレス界を見るようになって、すごい天龍さん(天龍源一郎)たちと手が合ってガンガンやってて。あのとき突然腎臓ガンだと。帰ってこれるのか、大丈夫かと思って。これで樹手術して抗がん剤やっていくと身体がゲッソリしちゃうなと思ったら、全然もう身体を維持しているのを見て、『あぁ、大したヤツだな』って。それで、しばらく試合してるから、受け身もどうかなぁーって思ったら、全然そんなの感じさせない試合でね。ホントにすごいなって」

――そういった話もあり、前田さんの中ではこういう機会があれば話してみたいという気持ちがあったのでしょうか
前田「そうですね」
小橋「去年のね、高山選手の興行、TAKAYAMANIAで、控室で前田さんが挨拶をする5分前まで控室で2人で話してたんです。5分前ですよ!で、前田さんの会社の人が『もう時間です』って言って前田さんがそのままリングに行って、『高山!プロレスラーは神経で動いてるんじゃない!魂で動いてるんだ!』って。……すっごい感動しちゃって」
前田「いやぁ、なんかね(笑)リング上で『神経で動いてるんじゃない』って言った後に、『あれっ、しまった!』と思ってね。『次の句は考えてねぇや』と思って(笑)」
小橋「だって、控室で初めて会って、あんな長い話を10分位してたのに、なにもそんな前田さん考えてる感じ無かったんですよ。その次にリング上で挨拶をしなきゃいけないのに、もうなんにも考えてない感じでしたね。それでいきなりリングに上って、あんな感動的な言葉を言ったから、『前田さんはやっぱり只者じゃないな』って思いました」
前田「頚椎損傷で、神経が損傷して動かないっていうから、『神経が、神経が、神経が……』って思って、とりあえず『神経で動いてるんじゃない』って言わなきゃいかんなと思って。その後はなんか、なんとかなるだろうって(笑)」
小橋「えぇっ!ホントにそんな感じだったんですか?!逆にすごいです、逆にすごい(笑)」

――小橋さんは、選手時代に前田さんのことをどのような印象で見ていましたか
小橋「やっぱり、僕がプロレスに入る前からトップレスラーだったんで。ダブルリストアームサルト、前田さん使われてたかもしれない。アレは僕も赤パンの頃、赤いパンツ履いてた頃、デビューから1年か2年くらいのときにあの技を使っていたんです。それはやはり、前田さんがヨーロッパから帰られた頃、“12種類のスープレックスがある”と、その使い手だと言われていた頃のイメージがやはりありますね」

――前田さん、12種類のスープレックスは12種類覚えているんでしょうか
前田「いやぁ、だいたい写真見ながらじゃないとなんとも言えないですね(笑)」

――ダブルリストアームサルトはどこで習得されたんでしょうか
前田「あれは、ゴッチさん(カール・ゴッチ)と練習してたときですね。ゴッチさんって言ったらね、グレコローマンの人だから。ロンドンオリンピック出たんですよね。それで準決勝でダメで」
小橋「僕ね、前田さんとこの間話をしたときに、すごい哲学を感じたんです。そういえば、UWFの旗揚げのときに前田さんが『選ばれし者の恍惚と不安二つ我にあり』って。……あんなの言えないですよ(笑)」

――前田さん、あの言葉は事前に考えていたんですか?
前田「あぁ、ぶっつけ本番ですよあれも」
小橋「あれもぶっつけ本番ですか?!」
前田「うん」
小橋「それは……すごいなぁ(笑)」
前田「あのときはね、あの当時のファンとか顔見合わせて『今なんて言った?』『どういう意味だ?』ってなってて(笑)あれはね、俺が高校時代ね、先輩がね、1人すごい文武両道で本を読む人がいたんですね。『前田、お前本読んでるか?武道家はな、文学を読まな文学を』って言われて、『えっ!文学って何ですか!』って聞いたら、『文学っていうのはなぁ……太宰治やんけ』って言われて(笑)分かんねぇから本屋に行って、新潮文庫のね、黒の背表紙のやつをバーっと見て、一番最初の短編集で『晩年』っていうのがあって、『葉』っていう短編があるんだよ。その一番最初に『選ばれし者の恍惚と不安と二つ我にあり』とあって、その後に『死のうと思っていた。春先に麻の反物をもらった。夏までは生きていようと思った』って。『うおおおおお!!カッコいいやんけ!夏まで生きようと思ったんや!』ってなって(笑)2つがすごい印象に残ってて、それでリングに上って『あれはこういう気持ちだったんだ』って、スッと出て」

――小橋さんは、文学についてなにかありますか
小橋「えぇっ?!……えっ?(観客席から「小橋負けんな!」の声が上がる)……いや、負けんなって言われても(笑)それは……うん、次行こう!(笑)」


――小橋さんは今子育てで悩んでいて、娘さんが懐いていないと……
小橋「そうなんです……」
前田「何歳?何歳?」
小橋「3歳です」
前田「うちも3歳の娘いるんですよ」
小橋「えぇっ!ホントですか!」
前田「56歳で頑張りましたよ(笑)あのね、男の子いるけど、男の子と女の子は全然違う。女の子育ててるとね、男はね、どう頑張っても絶ッ対女に勝てないからね(笑)男の子の方はね、小学生になっても『お父さ~ん!コチョコチョしてよ~!』って来るんだよ(笑)女の子の方はね、1歳半くらいで『いやっ!』てやるんだよ……。『パパとチューしよ~』ってやってね機嫌いいときはチュッとやってくれるんだけど、嫌なときは『いやっ!』って……」
小橋「それは何歳くらいまで続きました?何歳くらいで終わりました?」
前田「なんかね、聞いたところ、イヤイヤ期ってのがあって、それが早い子は1歳くらいから、4,5歳……3歳くらいで終わるみたいなんですよ」
小橋「うちの子、生まれたときからイヤイヤ期でしたね……。今もイヤイヤ期ですね……なんでか分からないですけど……」
前田「ちょっとね、コチョコチョを覚えたほうが良いですよ。なんかあったらね、『コ~チョ~コーチョ~』ってやってね(笑)」
小橋「ホントですか!」
前田「僕もね、イヤイヤ期のときね、機嫌がいい時にね、たまに『パパ~!コチョコチョして~!』とか言われるんですよ」
小橋「ホントですか!?コチョコチョしたら怒られましたよ……。『やめてっ!』って……なかなか難しいですね……」

――話は変わりまして、小橋さんも現在大会のプロデュースをやっていて、前田さんは昔から大会のプロデュースを多く手がけていろいろな選手を発掘しています。どういったところが大会のプロデュースの肝なのでしょうか
小橋「前田さんはホントすごいですよね。ヴォルク・ハン、エメリヤーエンコ・ヒョードル、アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ、全部前田さんが発掘して」
前田「もう飛行機乗って見に行ったりしますね。選手がどうだっていう書類を見て、色々過去の経歴が書いてはあるんですけど、実際見てみないと。過去に世界選手権獲ったとかオリンピックで金メダル獲ったって言っても、『じゃあ今はどうなんだ』ってことで。ちゃんと見て、スパーリングもやってね。ヒョードルは……あれはハンと一緒だったね。ヴォルク・ハンのとき4人すごい奴がいて、ヒョードルは一番不器用で、一番弱っちかったね」

――前田さんといえば、引退試合の"霊長類最強の男"アレキサンダー・カレリン選手との試合が思い出されます
小橋「実は一年前の控室での話でもその話題が出たんです。カレリンと引退試合を迎えたっていうのは、もう日本で言えば柔道の山下さん(山下泰裕)を引退試合に迎えるような感じですよね」
前田「当時ね、友達の間で“なんとかリン”みたいに“リン”を付けて呼んだりしてたんでね、『カレリンってどんなかわいい奴だ』って思ったらね、すごいの来てね(笑)カレリンはね、金で動く奴じゃないですね。アイツ東シベリアでシノギあるから」

――小橋さん、“小橋vsカレリン”はどうですか?
小橋「えっ?!カレリン、カレリン、カレリン……?『前田さんとどうですか』って話じゃなくて、カレリン……?さっき控室で『前田さんと戦ったらどうですか』って言ってたのに、いきなりカレリン(笑)」

――今、カレリン選手の話が出たので(笑)
小橋「なんでやねん(笑)」

――改めて、前田さんとやったらどんな試合になったと思いますか
小橋「あのね、すごい前田さんと初めて会ったときに『デカい!』と。ジャンボ鶴田さんのイメージがあったんですよ」
前田「今ね、人生最高体重維持してるからね(笑)この3年位で20kgくらい太ったんですよ(笑)」
小橋「ジャンボ鶴田さんが引退をするときに、『前田さんと戦いたかった』って言ってたの知ってます?」
前田「あぁ、聞きました聞きました」

――前田さんにとってジャンボ鶴田さんや天龍源一郎さんの印象はどのようなものだったのでしょう
前田「ジャンボさんの試合見てすごいスタミナしてたからね。60分フルに戦って。すごいですよね」

――新日本プロレスで育って、UWFに行った前田さんにとって全日本プロレスのスタイルはどのように写りましたか?
前田「当時は新日本がストロングスタイルで、全日本がアメリカンスタイルとか言われてましたけど、今から見ると変わらないですね。試合があるとしたら、なんつーんですかね、相手が自分たちに対して不真面目なことをしてきたときにどう対処してたかって部分で新日本と全日本の差があるかなって。不真面目に出てくる外国レスラーに対してどうするかっていうのに違いがあった」

――前田さんは厳しく行くタイプだったと思います
前田「天龍さんがスタン・ハンセンをノックアウトしてるんですよ。でね、あのときにビックリしたんだよ。天龍源一郎、天龍革命とか言ってるけど、『輪島さんだから出来るけど外人レスラーに出来るわけねーだろお前~』って思ったら、スタン・ハンセンをノックアウトよ。『うわ~!スタン・ハンセンをノックアウトした~!』って思って。で、どうなるかなと思ったら、スタン・ハンセン起き上がった瞬間にブワ~って天龍さんつまみ出してボッコボコにして(笑)」
小橋「飛んでいきましたもんね(笑)」

――小橋さんもハンセンにやられてますよね
小橋「いやぁ、あのね、天龍さんがノックアウトしたあと、そのあとセコンドが大変なんですよ(笑)ハンセンがすごい暴れまわって、僕らが止めてボコボコにされて」
前田「僕が驚いたのが、天龍さんが『あれ翌日どうなったんですか』って聞いたら、『それがなんともないんだよ』って。『えっ!なんでですか!』って聞いたら、馬場さんがスタン・ハンセンをちゃんと説得してなだめたらしい。すごいなって。それがね、『プロモーターってすごいな』って。あれ、新日本だとどうなってんのかな?(笑)」

――もっと焚き付けられてしまうかも知れません
小橋「僕、昔ハンセンにラリアット、ホントにやられるんですよ。セコンドでいても、試合でもやられたんですけど、新日本プロレスで前田さんが一番やられてるって話を聞いたんですけど(笑)」
前田「リング上で揉めるじゃないですか。揉めてワーッてリング降りて来て、『さぁ行くか!』ってなったらみんな引いていってて(笑)」
小橋「分かります!(笑)止めに入ると、一番やりやすい僕に、僕ハンセン止めてないのに、ジャンボ鶴田さんを止めてるのに、ハンセンが来て……」
前田「俺と全くの一緒だよ(笑)」
小橋「一緒ですか!(笑)」
前田「俺も猪木さんを止めてるのに俺のとこ来てバッコ~ンと!(笑)」
(※20分が過ぎ、トークバトル終了のゴングが鳴る)

――お二人の共通点が無いからどうしようという形で始まったトークバトルでしたが、「ハンセンにやられやすい」という共通点が見つかりました(笑)
小橋「時間が来てしまったけど、そんな共通点があってよかったです!(笑)」

――最後に前田さんからメッセージをお願いします!
前田「今プロレス界、選手の怪我っていうのがすごい大怪我が増えてるね。ホントに一生、ちょっと、どうかなっていう怪我をするよね。受け身を丁寧に取るっていうのが大事。色々練習しておくことは大事だよ。長く現役やってると、アゴに一発食らって、試合終わったときどうやってやったか覚えてない試合もある。そういうときに普段からそういうクセをつけてないと、中途半端な受け身をとって首痛めたとか、首折ったとかなっちゃいますね。そういう選手の受け身の練習っていうのをね。レフリーも選手の様子をよく見て、今ホントに意識が飛んでる状態なのかちゃんと判断して見極めて、レフリーが選手をコントロールして見てもらったりね」

 トークバトルが終わり、2人はガッチリと握手を交わした。

 トークバトル終了後、バックステージに戻った前田は、小橋について「すごい真っ直ぐな人なんで頑張って欲しいですね。すごい真面目に一生懸命やってる人って印象ですよ」と語る。
 スタン・ハンセンについて聞かれると「当時は馬力が一番の頃でね、大体ラリアットやると、こう(首を引く)、後頭部を打たないようにやるんですけど、視線の先に足の先があって、足の先に天井が見えるんですよね」とウエスタンラリアットの思い出を語る。
 最後に、満員の後楽園ホールのリングに立った感想を聞かれると「相変わらず後楽園ホールも1個の聖地としてね、これからも新しいファンが増えてプロレス界がどんどん続いていくと嬉しいですね」と朗らかに笑いながら語った。

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