「頑張っても報われない世界で奇跡を起こせるのがプロレスだ!」ドロドロの怨念を奇跡に変えた中野たむが悲願の赤いベルト獲得で歓喜の涙!
23日、神奈川県・横浜アリーナにて、スターダム『ALLSTAR GRAND QUEENDOM 2023 Powered by SoftBank NFT LAB』が開催され、中野たむがジュリアとのライバル対決を制してワールド・オブ・スターダム王座初戴冠を果たした。
ジュリアとたむは幾度も名勝負を展開してきたライバルとして知られており、2021年3月3日の日本武道館大会で行なわれた“敗者髪切りマッチ”は伝説に。この闘いの見届人となった北斗晶から“デンジャラス・クイーン”と呼ばれたジュリアは、大一番の奥の手としてノーザンライト・ボムを使用するようになった。
女子プロレス界の名勝負数え唄とも言われる2人の試合だが、髪切りマッチでは敗北して髪を刈られたジュリアに話題が集中。昨年10月の『5★STAR GP』の決勝戦でジュリアに敗れて優勝を逃した際には「私がチャンピオンになってからもずっとアイツと比べられて!髪切りのときもアイツが注目されて!いつになったらアイツに勝てるのか。ナンバーワンじゃないと意味がないんです」と悔し涙を流した。
たむの中の情念はドス黒く沸き続けており、今年3月の国立代々木競技場第二大会でジュリアに挑戦表明した際には「何賭けたっていい!髪だって名前だって財産だってなんだって賭けるよ!アンタと戦えるなら奴隷になったって良い!」と鬼の形相で迫った。
これを受けたジュリアは「今の私たちだったら、このベルト賭けるだけで十分なんじゃねーのか?」と爽やかに受けて立つ姿勢を見せたが、これもたむの癪に障った様子。
事前の記者会見では、たむが「ジュリア、私はアンタがこの世で一番大っ嫌い。アンタから髪もベルトも奪ったけど、ホントの意味でアンタに勝ったと思ったことは1回もない。私がチャンピオンになったのに、丸坊主になったジュリアばっかりが注目された。全部わかってて丸坊主になったんだろ、テメーは!」と激昂して襲いかかるも、逆に流血葬にされてしまった。
女子プロレスの醍醐味とも言える剥き出しの感情と感情がぶつかり合うこの試合は、顔面をバチバチと打ち合うビンタ合戦や、頭蓋骨同士がぶつかり合う音が広い横浜アリーナに響くヘッドバッド合戦など壮絶を極める。
たむがタイガードライバーやトワイライト・ドリームを繰り出せば、ジュリアもバックドロップやノーザンライト・ボムで応戦。いつどこで試合が決まってもおかしくない大技同士のぶつかり合いで会場が沸く中、たむが掟破りのノーザンライト・ボムを繰り出し、トワイライト・ドリームからのバイオレット・スクリュー・ドライバーで突き刺して3カウント。
悲願の赤いベルトを手にしたたむは、「ジュリア!私さ、ブスかな?」と笑顔で問いかける。髪は乱れ、化粧も落ちてしまったたむだが、その宇宙一カッコイイ姿に会場は大歓声を以て応える。
そして、たむが「あんたの大切な!赤いベルト!奪ってやったぞ!私の最大のライバルだ。あんたと戦うのには命だって捧げてもかまわないって思ってる。どうせ、あんたのことだから、また、しつこく、このベルト取り返しに来るんだろ。来てよ。来なきゃ絶対許さない」と語りかけると、ジュリアも「私の、これからやりたいことにどうしても必要なその赤いベルトを奪ったんだ。たむ、ぜってぇ許さねぇ。まあ今日は楽しかったよ。ただし!お前の顔は、もう当分見たくねー」とニヤリ。
観衆に向き直ったたむは、「この世界は、ほんとにどうしようもないことばっかりで、頑張っても報われないことが多くて、どうしても勝てないやつがたくさんいて、でも!そんな世界を!そんな世界に、ほんの少しだけ奇跡を起こせるのが、プロレスだー!」と絶叫。
そして、「これから私のことをぶっ壊す覚悟がある挑戦者と片っ端から闘っていきたい。そして、たむにぶっ壊される覚悟がある奴らの挑戦待ってます」と、今後の防衛ロードに向けての展望を語った。