【全文掲載】那須川天心が武尊との世紀の一戦を制した『THE MATCH 2022』の一夜明け会見で約30分思いを激白!「ダウン取ったシーンだけで言ったら多分500回くらい見てる」
20日、都内某所にて『THE MATCH 2022』の一夜明け記者会見が行われ、那須川天心が武尊戦を振り返るとともに人生の“第一章”を総括した。
天心vs武尊戦のスタートはRIZINが旗揚げされた2015年にまで遡る。
Krush58kg級王者であった武尊がKrush55kg級王者であった大雅との王者対決を制して世間の注目を集めると、RISEバンタム級王者となった天心がK-1の会場に現れ「RIZIN大晦日で戦いましょう」とラブコールを贈ったことで両者の対戦の可能性が生まれた。
ファンは当然この頂上対決に熱い期待を寄せたが、それぞれ違う組織の象徴たる2人の対戦は当事者間だけでは決められるものではなく、様々な“大人の事情”によって実現には至らなかった
しかし、2020年の大晦日RIZINに武尊が現れて天心と抱擁を交わし「来年に実現させる」という決意を表明。“大人”たちも実現に向けた動きを見せ始め、ついに2022年6月19日に世紀の一戦が実現。
互いに大きなものを背負い、互いが互いをリスペクトしながら行われた一戦は多くの感動を呼び、その経済効果は約50億円とも言われる。
この日の一夜明け会見では勝者の天心のみが出席し、前夜の武尊戦、そして自らが“人生の第一章”と銘打ったキックボクシング人生などについて約30分思いを語った。
那須川天心
「皆さんこんにちは!那須川天心です!昨日はたくさんの応援ありがとうございました!こうやって勝って、計量と同じ場所でまた違った感覚でこうやって戻ることが出来て非常に嬉しいです。ホントにこんな東京ドームという大舞台で相手が武尊選手という最高の素晴らしい選手で、そういった選手とこうやって大きな舞台で戦えて、そこで勝つことが出来て本当にホッとしています。武尊選手には本当に感謝しか無いです。昨日は皆さん本当にありがとうございました」
――昨晩のご自身の試合はご覧になりましたか
「自分の試合は結構、見ました。なんか色んな人に挨拶しに行ったりしたらずっと流れてたんで。ダウン取ったシーンだけで言ったら多分500回くらい見てるんじゃないですか?(笑)」
――改めて、試合をご覧になっての感想は
「うーん、そうですねえ、チームとずっとやってきた作戦がはまった試合だったかなと思いましたし、本当に非常に自分の中でも過去1番ハードな試合だったなっていうのも思いましたし。やっぱり、本当に武尊選手という最高の選手がいたからこそ、こういった熱い試合が出来たんでね。非常に、久々に楽しかったですね」
――昨日でキックボクシングを卒業しました。夜が明けて、今朝の気持ちはどうでしたか
「初めて一睡もできなくて。結構寝れるんすけど、寝れなくて。なんか、なんだろう。この興奮と言うか、この感じからずっと覚めたくないなっていうのがあって。だから、僕の中ではまだ6月19日です」
――昨日の試合を受けてボクシング界もざわついています。ダウンを取った左フックじゃボクシング特訓で生きてきた技か
「あれは今までを通しですかね。絶対パワーだったら武尊選手には勝てないですし、ホントに今回は大きく振るっていうのは一切意識して無くて、来たところをホントにコンパクトに針の穴に糸を通すみたいな感じの意識でコンパクトにショートにカウンターを合わせていくっていう。やっぱり、僕のほうが距離は遠いんですけど、やっぱりパンチは大きくなってしまうと相手の方がコンパクトで撃ち合いの距離は強いので、そこを修正するトレーニングはずっと父親とやったりしてましたね」
――対抗戦はRISEの勝ち越しに終わりました。RISEとしての強さはどういうところにあったと思うか
「どっちが強かったとかっていうのでは無くて、みんな選手が頑張って、応援してる人たちもRISE派、K-1派っていたと思うんですけど、ただそうじゃないものが結構生まれたと思うんですよね。両方の選手を応援してましたし、僕の友達とか身内とか、僕を応援してる人でも武尊選手のことをすごく応援したくなったとか、RISEしか見てなかった人もK-1を見たくなったとか、こういうことが今回の試合であったんで、結果としてRISEの選手のほうが勝ち越したっていうのはあるんですけど、そこまで関係ないんじゃないですか?って僕は思います」
――他のRISE勢の勝ち星は気になっていたか
「自分も格闘技めっちゃ好きなんで、ファン目線として気になってましたよね。どこから見てたかな。YA-MANとアッシーは見ました。いやあ、おもろかったです(笑)2人ともファイターだなって思いましたし、ああいう選手がいるからこそ、ああいう試合があるからこそ会場の熱気も増しましたし、本当に見ててワクワクする試合でしたね」
――メインに至るまでの試合を見ていてジャッジの傾向は気になったか
「あ!それ結構気になりましたね。そう、ビックリしたんすよ。自分の試合、2R目で相手にポイント入ってたから、『えっ?!』と思って。『倒れた?』みたいなのがあったんですけど。あとは全体的に、なんだろ。ホントに色んな気を遣ってるんだなって(笑)10-10(笑)お伺いを立てないようにじゃないですけど、『あれ?これ10-9だと思うんだけどな』ってところでも10-10だったから、イーブンが多かったから、『これ、ダウンでも取らないと10-10にされるな』っていうのは自分の中にあったっすね。見てて」
――試合では蹴り足キャッチをかなり成功させたのがリズムを掴むキッカケになったと思いました
「あれがキッカケってわけじゃないですけど、蹴り足は結構クセでというか、元々そういう練習はしてるんで、あれはもういつもどおりやったって感じですね」
――先程玖村選手から『ボクシングで結果を残したらキックに戻ってきてほしい』という言葉がありましたが、その可能性はありますか
「どうなんですかねえ?わかんないっすよね。わかんないっていうか、ほぼ無いんじゃないですかね(笑)」
――逆に言うと、もう戻らないつもりという気持ちがなければボクシングには行けない?
「まあそれはありますよね。ありますし、生半可な気持ちで転向するってことでは無いんで。時代の移り変わりは激しいですけど、たとえば両方できるようになるのかとかもわからないですし。だからといって両方やるとかは考えないんですけど。今はボクシングに集中したいっていうのは思いますね」
――練習の中でたまに蹴りたくなることもあるかもしれません
「どうなんでしょうね?やっぱり今までは、6月に決まるまではボクシングに転向するってのが頭にありながらキックボクシングやってたんで、そういう気持ちはなかったですけど、全く『終わり!』ってなったらどうかはわからないですよね。そこは多分大丈夫だと思います」
――今日夜21時から、昨晩の試合が無料放送されることになりました
「やっぱ、違法動画、ホントよくないと思いますね。特にTikTok。僕もTikTokで試合見ましたから。(※会場がざわつく)ちゃうちゃうちゃう(笑)流れてくるから!(笑)流れてくるから『ダメだよ』って思いながら見てるんですけど、見てはないんですけど、見てはないですけど……。そうのがあると、PPVを買った方々は正直いい気分ではないですし、ホントさっき榊原さんも言ってたっすけど、映画とかでも映画泥棒ってあるじゃないですか。それと一緒だと思うんで、やっぱりそこはちゃんと。見たいっていう気持ちもあるんだろうけど、そこは我慢してもらいたいなと。夜9時から公式でちゃんと出るんで、そこでちゃんと見ていただけたら嬉しいですね」
――リング上での涙がありましたが、そのときの感情は
「そうっすねえ、僕よく泣きますよねホントに(笑)あんま覚えて無くて。感情がバッと出てきたというか。やっぱり、6年、7年くらい望まれて出来なかったカードがやっと出来てと言うか。拳で語るじゃないですけど、2人じゃないとわからないところもたくさんあるし、表で言えないこともたくさんあるし、条件だったりとか今までの経緯だったりとか、そういった思いが全部あそこに出たのかなと。選手たちはお互いずっとやりたかったですし、色んな事情がやれなかったのをここで爆発させたというか、そういった感情がお互い出たのかなと思いました」
――今日この場がキックボクサー・那須川天心として最後の公式の会見になると思いますが、その感慨は
「そうですねえ。あんま考えてはなかったですけど、寂しい気持ちはありますね。ずっと覚悟はしてたっすけど、最高の形でというか、皆が納得する形でキックボクシングを終わるというか、日本で最強ってことをやっと証明できたので。そこは自信を持ってキックボクシングを終われるかなと。僕の第一章、終わり。それは寂しいですけど、自分の人生なんでしっかりと心に刻みたいと思いましたね」
――試合が決まる前、ご自身と武尊選手を“悟空とベジータ”と例えていましたが、今はどんな存在だと思いますか
「悟空とルフィっすね。わかります?同じ世界に存在しなかったわけですから。違う世界の主人公同士というか、そういう闘いだったのかなあと思いましたね」
――今回の試合に向けて一番後押しになった、力になったのはどなたのどういう言葉だったか
「後押し……誰だろ。えーと、ちょっと思いついたらあとで言います」
――戦いを終えて、武尊選手にはどういう感情を抱いているか
「やっぱり、お互いに寂しかったんだろうなっていうのを非常に、戦って終わって思ったのと、武尊選手もホントに覚悟を決めて試合に臨んでくれたし、僕も覚悟を決めて臨んだし。だから決してどっちの選手っていうか、今SNSがすごく発達してますけど、試合に対しての誹謗中傷だったりとか、そういうのって非常に傷つく人も本当にいるので、やめてもらいたいなって思いますね。本当に、プレッシャーっていうものはお互い半端なかったと思いますし。まあ、表に立つ以上、そういうこと言われる覚悟はあるのは当たり前なんですけど、それ以上に本当に感じるものって、俺も立場が似てるからわかるんですけど、ホントに1人になっちゃうと、そういうことをよく考える時間があると、嫌なマインドになったりするときもあると思うんで、そういうのはさせないようにしてほしいなって思いましたね」
――那須川天心という物語の第一章は、最高でしたか
「いやあ、最高だったんじゃないですか?最高でしたし、色んな経験ができましたし。僕は本当にテレビでK-1を見て、こういう舞台を見て、キックボクシングを初めて、それを僕が最後にやって終わることが出来たので、本当に完璧な……試合内容とかは全然完璧じゃないものもたくさんありますけど、人生のストーリーとしては完璧なんじゃないかなと。だから漫画でいうと第一期完結かなと思いますね」
――一部報道では、天心選手がずっとボクシングをやっていたジムからデビューするという話が出ていますが、その真偽を言える範囲で教えてください
「まだボクシングの件についてはまだ特に、今後どうするかっていうのをこれから決めていくことなので、そこは今特に言えることは無いかなと」
――『5ヶ月くらい休みたい』という発言がありましたが、23歳という年齢は時間がすごくあるようで無い……
「無いわけじゃないですよね?」
――再スタートの時期の想定はあるか
「時期は特に分かんないですけど、とりあえず1回落ち着きたいなっていう。5ヶ月とかは冗談ですけども、ちょっと落ち着きたいっていうのはあります」
――大人の発言をされているというわけではない?
「どういことですか?」
――次のことに対して……
「だからまだあんま決まってないんで、ってだけですね」
――昨日の試合後、負けた場合の壮絶な覚悟を話されていたが、「もし負けたらボクシング転向できないかもしれない」という考えはあったか
「そうですね。それも考えたことも……っていうか、考えましたね。その試合を、今回の6月のボクシングを延期して6月に試合をするっていう風に決めたときに、『これ俺もし負けたらボクシング転向は絶対できないな』っていう覚悟はあったんで、そういう気持ちはありました」
――ボクシング転向にあたり、自分の中のビジョンとして「1年以内にデビューしたい」「2年以内にチャンピオンになりたい」などの具体的な目標はありますか
「イメージは色々してますよね。あとは僕がどこまで出来るのかっていうところだと思うんで。そこがまだ分からないとイメージできないと思うので、そこからじゃないですか」
――ボクサーという第二章のゴールはどこだと思いますか
「どうですかねえ。でも、チャンピオンになるっていうのは誰しも目標としてあると思うんで、そこに向かってやっていくのは確かですね」
――第二章では、素晴らしかった第一章以上の那須川天心を見せてもらえると期待して良いか
「そうですね。僕の新たな挑戦と言うか、自分でもワクワクしてますし、ファンの皆さんもワクワクさせたいですし、そこは期待してもらっていいんじゃないかと思います」
――先程の玖村選手の『キックに戻ってきたら天心選手と闘いたい』という発言について、実現の有無はさておき、聞いたときの率直な気持ちは
「単純に嬉しいですよね。そういった『やってやるぞ』って選手がたくさんいるのは嬉しいことですし、玖村選手も実力ある選手なんで、今後K-1をもっともっと引っ張ってもらいたいと思いました」
――玖村選手と志郎選手の試合はご覧になられましたか
「あんま見れてないんですよね。でも、ダウンを取って勝ったっていう内容は知ってるんで。非常に素晴らしいことだなと思います」
――志郎選手の実力を知っているだけに、その志郎選手からダウンを取った玖村選手の実力を素直に評価すると
「そうですね。素晴らしい選手だと思います」
――K-1の選手にも那須川天心イズムは広げられたと思うか
「どうですかね?やっぱ団体が違うと考え方も変わってくると思いますし、団体によって信念だったり、会社によって信念・思想は違うじゃないですか。だから、それがどうかわからないですけど、少なからず刺激はお互いになったと思うので、これからも負けじとというか、お互い、中国の時代じゃないですけど(笑)三国志じゃないですけど(笑)……僕歴史わかんないんで。織田信長がしっかり引っ張っていけばいいと思います。わかんないですけど(笑)
――矢沢永吉さんのテーマ曲はボクシング転向後も使い続けたいか
「僕はそのつもりでいるんですけども、その方が、昔から見てくれているファンの方もそうですし、そっちのが盛り上がるじゃないですか。今はそのつもりでいます」
――那須川天心選手といえば、髪型・コスチュームなどで革命を起こした存在と言えます。ボクシング転向後もその路線は続けていきたいか
「そうですね。やっぱり皆さんが試合もそうですけど、試合以外で魅せるっていうのも僕は格闘技の1個のエンターテイメントだと思うので、そこは意識していきたいなと、僕は思ってます」