パンクラス4.26有明大会 ISAOvs.マルロン・サンドロ、高谷裕之vs.ガイ・デルモ
PANCRASE 266
日時:2015年4月26日(日)
開場:13:30 開始:14:00
会場:東京・ディファ有明
観衆:1900人(満員)
本戦第2部
▼第1試合 ライト級 3分3R
△クリスMAN(パラエストラ八王子)
3R終了 判定1-1
△ロビー“スーパーナチュラル”オストヴィッチ(Jesus Is Lord)
▼第2試合 フェザー級 3分3R
○土肥 潤(総合格闘技道場MIBURO)
1R 0分41秒 チョークスリーパー
●蓮實 光(パラエストラ栃木)
▼第3試合 スーパーフライ級 3分3R
○山本あつし(フリー)
3R終了 判定2-1
●北郷祐介(和術慧舟會 横浜道場)
▼第4試合 ウェルター級 3分3R
○佐藤洋一郎(グレイシーバッハ東京)
3R終了 判定3-0
●KAZZ(GRABAKA)
▼第5試合 ウェルター級 5分3R
○村山暁洋(GUTSMAN)
3R終了 判定2-1
●ダニエル“ニンジャ”ロバーツ(Cesar Gracle)
▼第6試合 ウエルター級 5分3R
○レッツ豪太(総合格闘技道場コブラ会)
不戦勝(※サノが7.9kgの体重オーバーにより失格)
●マーティン・サノ(Nick Diaz Academy)
▼第7試合 ライト級 5分3R
○久米鷹介(ALIVE)
3R終了 判定3-0
●奥野“轟天”泰舗(CAVE)
▼第8試合 セミファイナル フェザー級 5分3R
○高谷裕之(高谷軍団)
3R 4分11秒 TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
●ガイ・デルモ(GUTSMAN)
▼第9試合 メインイベント フェザー級 5分3R
○ISAO(坂口道場一族)
3R終了 判定2-1
●マルロン・サンドロ(NOVA UNION)
第20回ネオブラッド・トーナメント1回戦
▼第10試合 ライトフライ級 3分3R
○高橋達也(ロデオスタイル)
2R 1分24秒 フロントチョーク
●アウトロー竜治(和術慧舟會 横浜道場)
▼第11試合 ライトフライ級 3分3R
●田丸慶輔(総合格闘技宇留野道場/ハイブリッドファイター)
1R 1分44秒 フロントチョーク
○大津ヒロノブ(和術慧舟會GODS)
※この結果により、2回戦は高橋達也vs.大津ヒロノブに決定。
▼第12試合 フライ級 3分3R
○ヤックル真吾(T-REX JUJITSU ACADEMY)
3R終了 判定3-0
●後藤琢也(パンクラス大阪 稲垣組)
▼第13試合 ライト級 3分3R
●西川純也(GRABAKA)
1R 1分25秒 TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
○NORIMICHI(アブソリュート岡山)
▼第14試合 ライト級 3分3R
●ロン“ザ・ケイブマン”スローター(ALIVE)
1R 2分58秒 TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
○小林 裕(U-FILE CAMP)
※この結果により、2回戦はNORIMICHIvs.小林裕に決定。
▼第15試合 ウェルター級 3分3R
●マンモス谷部(NATRAL9)
3R終了 判定3-0
○丸山数馬(nico mma dojo)
▼第16試合 ミドル級 3分3R
○荒井勇二(GUTSMAN)
3R終了 判定3-0
●ジョシュア・ロビンソン(ロデオスタイル)
▼第17試合 ミドル級 3分3R
●大場慎之助(パラエストラ東京)
3R 0分24秒 TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
○ボブ・アームストロング(ALIVE)
※この結果により、2回戦は荒井勇二vs.ボブ・アームストロングに決定。
本戦第1部
▼第18試合 バンタム級 3分3R
●統好(CRAZY ARMAMENT)
3R 1分56秒 チョークスリーパー
○山口 亮(RISING SUN)
▼第19試合 バンタム級 3分3R
●飯嶋重樹(ALLIANCE)
1R 1分50秒 TKO(スタンドのパンチ→レフェリーストップ)
瀧澤謙太(リバーサルジム東京スタンドアウト)
当初、第5試合に予定されていた阿部博之vs.宇都木正和(ライトフライ級初代王者決定版進出トーナメント決勝戦)は、阿部が計量会場に向かう途中、交通事故に遭い負傷したため、延期となった。
第6試合
レッツがケージインし、観客にあいさつ。
「本当なら、いまごろ、ここで試合をしている予定でした。相手は8kgぐらい計量オーバー。考えられないようなオーバーで、試合不成立になってしまいました。僕は試合がしたかった。でも、そんなルールを守れないような奴と試合はできません。選手として、王者として、僕にもプライドがあります。
今日ここに上がる選手は、みんな命をかけて練習して、減量して舞台に上がっています。そういう選手を差し置いてテレビに出してくれとは言いません。ただ、選手というものは、試合のために、ここで闘うために、いろんなことを我慢して、プレッシャーに押しつぶされそうになりながら、それを何度も乗り越えてこの舞台に上がっているんです。そのことを忘れないでほしいです。
僕は、今回この悔しい経験をしたことを次にぶつけます。ありがたいことに、次のオファーをもういただきました。近々、発表されると思います。この試合に向けて練習したことはムダになっていません。今までで一番強い自分になっています。この次までにもっと強くなって、またここに上がります。最後まで話を聞いていただいて、ありがとうございました」
第7試合
6年前、修斗でドローとなった試合の再戦。久米は3年ぶりのパンクラス参戦となる。階級を下げ、ここしばらくは韓国・Road FCで闘ってきた。しかし壁は厚く、3度タイトルに挑戦するもチャンスをものにすることは出来なかった。
奥野は昨年ワールドスラム準決勝でアキラと闘って以来のパンクラス。公開練習では6年前の久米との試合を振り返り「向こうが階級を落としたので、もう拳を交えることはないだろうと思っていたが、自分も階級を下げることになり、パンクラスという舞台で再会するのは面白い」と語っていた。完全決着をつけるのはどちらか。
1R、強烈なローキックを放った奥野はタックルからテイクダウン。奥野はなんとか背中をつけず尻餅で耐え立ち上がる。久米はパンチ、ハイキックを放ち、テイクダウン。金網へ押し込むと、一瞬でバックに回りバックマウント。さらにマウントに移行。パンチを入れて削っていく。奥野が立っても、久米は再び倒して厳しいパンチ連打。さらに、立った奥野を金網に押し付けてヒザ、パンチ。残り20秒は奥野が立ち打ち合いとなるが、パワーの差は歴然。奥野は調整がうまくいかなかったのか? ジャッジは三者久米を支持。
2R、奥野がパンチを振り、シングルレッグを狙うが久米はこれを切る。久米は奥野のパンチをくぐり、シングルレッグから金網へ押し込む。バックに回り殴りながらチョークを狙う。奥野は立とうとするが、久米はガッチリ捕らえて放さず、ヒジ、パンチを入れながらマウントへ。体勢を変えたい奥野だが、久米はバックを取る。思わず「うまい!」と言いたくなるスムーズな動き。残り10秒で奥野はなんとか立つも、少し打ち合って終了。このラウンドも三者が久米を支持。奥野の表情に激しい疲労が見える。
3Rも同様の展開。終始、久米がポジョションを取り続ける。奥野も状況を打開しようとしたが、久米の圧倒的なパワーの前に何もできないまま終わった。判定フルマークで久米の勝利。
第8試合
元DREAMフェザー級王者の高谷裕之がパンクラス初参戦。発表当初はアレッサンドロ・フェレイラと対戦予定だったが、フェレイラの急病により、フェザー級2位ガイ・デルモとの対戦に変更となった。打撃の高谷に対し、デルモはレスリング、グラウンドを得意とする。デルモはパンクラス2連勝中、フィジカルの強さとレスリング力で2位に上がってきた。公開練習で話していたように、高谷にタックルを決めることができるか。
1Rは静かな滑り出しとなった。お互い距離を取ってローと軽いジャブで様子を見る。手数を出しているのはデルモの方。打ち合うと、デルモが組んで金網へ押し込む。パンチで逃れる高谷。いったん離れるが、再び組むとデルモがヒザ。大きな展開には至らないが、手数でデルモが三者の支持を得る。
2R。やや手数を増やしてきた高谷だが、まだデルモの方が上回っている。このままでは高谷の印象はよくない。高谷のパンチをかわし、金網へ押し込んだデルモは、尻餅をつかせる。高谷は立ち、パンチを打ち込んで金網へ押す。終盤、高谷がやや盛り返して一人が高谷を支持、二者はデルモを支持。
3R。あとがない高谷は、攻めるしかない。しかしデルモもペースを落とさない。金網へ押し込み、パンチを連打する高谷。離れる。高谷優勢で進んだが、このまま判定に入ればデルモが勝利。ついにデルモが大物を食うか!? と思われた残り1分、高谷のパンチが炸裂! デルモが崩れるように倒れ、高谷が衝撃の逆転勝利を挙げた。
<試合後コメント>
高谷裕之
「ラウンドの計算はしてなかったけど、判定だったら危なかった。2Rから自分のパンチが当たっていると思っていたが、相手はタフだった。事前に調べた印象より、打撃を練習してきていた。組み技の選手だと思っていたら、打撃が良かった。ジャブをうまく当てられて、自分は印象悪いな、相手はうまいな、練習をやってきているなと思った。
組んだ感じは、やはりフィジカルが強かった。押し込んだときの密着の仕方が強くて巧くて、自分のやりたいことをやらせてもらえなかった。ただ、相手が疲れてきているのはわかった。ダメージがあるのも顔に出てきているなと思っていた。
自分はラウンドごとのジャッジも聞いていなかった。3Rで急に行ったわけではなくて、最初から倒したいと思って闘っていた。でも、これからは、ちゃんと頭を使って、計算をしながら闘わないとダメだなと思った。
最後のパンチは、試合中はどっちのパンチが当たったのかわからなかったけど、見たら倒れていたので追い打ちをかけた。左かなと思っていたけど、右のパンチが当たったらしい。早く映像を見てみたい。
今後は、タイミングを見て(パンクラスに)出させてもらえれば。今日、デルモ選手に勝ったので、他の選手ともやってみたい。特に外国人選手と闘って、海外との契約につなげていきたい。もちろん、チャンピオンのナム・ファン選手とも闘ってみたい。
パンクラスのケージは闘いやすかった。マットも滑りにくかったし、進行も早い。外国での試合みたいに待たされたりしないので良かった」
第9試合
元パンクラス フェザー級王者と、前ライト級王者の対戦。この2人の参入によって、パンクラスのフェザー級は一気に熱くなった。
マルロンはパンクラスとSRCでベルトを巻いたあと、海外に活動の場を移していたが、再びパンクラスに戻ってきた。昨年パンクラスと複数契約をかわしたが、海外との契約の関係でパンクラスには1年半ぶりの出場となった。前戦は2013年9月の内村洋次郎戦で、判定ドローに終わった。その後、ケージとなったパンクラスで雪辱を果たせるか。
一方のISAOは昨年フェザー級に転向。フェザー級初試合となったVTJではリオン武に勝利したが、パンクラス代表として参戦した大晦日のDEEPでは横田一則に判定負け。その悔しさを晴らし、名実ともにパンクラスのエースとなることができるか。
1R。お互い蹴りで様子を見る。身体を左右に振り、プレッシャーをかけるISAO。マルロンのローキックがローブローとなり中断するも、すぐに再開。ISAOは左ハイキックからロー。タックルには入れない。マルロンがタックルに入るとISAOは足を取ろうとするが、マルロンは逃れる。マルロンの右パンチがヒット、ISAOがダウン! マルロンがかぶさるが、ISAOは入れ替えて金網へ押し、立つ。ISAOヒザ。マルロンも入れ替え、金網へ押し込む。ボディブローからテイクダウン。ISAOはオープンガード。しかし、立って金網へ押し込み、パンチを打ち込んだところでゴング。ジャッジは三者マルロンを支持。
2R。ISAOは遠い距離からのパンチ。組んで金網へ押すと、マルロンは入れ替えてバックを狙う。ISAOも入れ替えてバックを取り、立つ。パンチ。ここでISAOのローキックがローブローとなり中断。再開すると、マルロンはパンチ、ハイキック。右パンチを効かせる。しかしISAOは金網へ押し込み、ヒザとパンチを打ち込む。ゴング。緊張感あふれる2Rは三者ともISAOを支持。
3R。ISAOが金網へ押すと、マルロンは入れ替える。いったん離れて、マルロンが右ハイキック! ISAOはパンチ。マルロンのパンチをくぐり組みたいISAOだが、マルロンは金網へ押す。ISAO、ヒジ連打。ISAOは、マルロンの押し込みに苦しむも、背中を着けさせず、必ず立ってきている。手数は両者ほぼ互角だが、ジャッジはどう取るか。2-1でISAOが勝利! マルロンとセコンドのレオ・サントスが判定に納得いかず怒り出す。マルロンは2試合連続で不本意な(本人的には)判定となってしまった。ISAOは苦しかった試合に勝利し、思わず涙ぐむ。そんなISAOを坂口征夫、窪田幸生ら道場の仲間が祝福していた。
<ケージ上コメント>
ISAO「大晦日のDEEPの試合は、パンクラス代表として出させていただいたのに、不甲斐ない試合をして負けてしまいました。改めてパンクラスで強敵と闘うチャンスをいただき、必死で、死ぬ気で練習してきました。応援してくださった人たちに恩返しがしたくて必死で闘いました。
今年からパンクラスはテレビの地上波放送がつきました。これを機に、格闘技がどんどんメジャーになっていくよう選手一同頑張っていきます。応援よろしくお願いします」
<試合後コメント>
ISAO
「厳しい試合になるのはわかっていたので、やってきたことを悔いなく出そう、負けを恐れず、酸欠になるくらい一所懸命やろうと思って臨んだ。
マルロン選手はパワーがあって、打撃も1発1発が強かった。出入りや際を意識して闘った。判定に関しては、3Rをどう見るかだと思った。でも、きわどいところ。判定を信じるしかなかった。金網際で押し込まれたときに、倒されて完全に寝かされていたら負けていたと思う。尻餅状態でなんとか持ちこたえられてよかった。寝かされたら相手は強い。自分が常に押し込んでいる状態にしたかった。
今後のことは、まだ試合が終わったばかりなのでわからない。いろんな人が、この試合をどう見てくれるか。でも、マルロン選手という強い選手に勝ったことはすごく嬉しい。強敵が相手でもKOや1本で勝てるように、今後も日々、努力したい。
(試合後、少し涙ぐんだのは?)すごく強い選手に勝ったという嬉しさや、大みそかに負けて、次は勝たなければという気持ちや…。次は、誰が相手でも絶対に勝たなくてはと思っていた。そういう気持ちや、判定が2-1だったことや……いろんな感情が入り交じっていたから。今は、ようやく勝った実感が湧いてきて、嬉しい。
(テレビの視聴者に向かって)マルロン選手という強い選手に勝ってすごく嬉しいです。テレビを見ている人も、会場に来てくれた人も、また見てください。また来てください」
【写真・文/佐佐木 澪】