【コラム】東映映画『樹海村』出演のTAJIRI、ヘビー級の逸材・本田竜輝、イケメンハーフの大型元相撲取り兄弟…全日本プロレスの2021ニューフェースたち
2021年1月、全日本プロレスに新たな所属選手が二名加わった。
一人はWRESTLE-1でデビューし、同団体崩壊後は昨年9月より全日本にフリー参戦してきた本田竜輝。大森隆男に参戦を直訴し道場でのトライアウトを経て、3か月間フリーとして活動した末に全日本所属の座を勝ち取った。
180cm、100kgと、ヘビー級としての将来性は抜群。年齢も20歳とまだ若く、未来の全日本を牽引していく存在となれるか。
本田「WRESTLE-1が崩壊して、日本でいちばん大きい人たちが集まっている全日本が自分にはいちばん魅力的に映りました。昔から、大きい人たちのプロレスが大好きだったので。なので全日本で経験を積んで、プロレス界のトップを目指したいと思います」
本田の考える『大きい人たちのプロレス』とは
「技の一つ一つが大きくて、一発一発に力が入っている。そういうプロレスです。自分が目指すのも、そのようなプロレスです。それを全日本で学んでいきたいです」
そもそも、本田と全日本のとっかかりは田村男児の存在である。
「高校(東京・自由が丘学園高校)でレスリング部所属だったとき、月に一度、男児さんの高校(茨城・鹿島学園高校)の皆さんがこちらへ出稽古に来ていました。階級が同じだった男児さんとは、そのつど必ず一緒に練習していました。試合もしています。関東大会と全国大会で二度戦いました。戦績は…ボクの二戦二敗です。なので、それぞれの団体でデビューした後も、男児さんの存在は常に意識して戦ってきました」
さらに本田にとって、石川修司の存在も欠かせない。
「高校を卒業し、地元町田の総合格闘技・五木田ジムへ通っていたのですが、ある日そこへ石川さんが練習に来られたんです。その後、町田で生まれて初めて見たプロレスの大会に石川さんが出られていました。それで自分は身近で見た人がリングで活躍する姿を見て『絶対にプロレスラーになるんだ!』と決意したんです。その後、トライアウトを受けてWRESTLE-1に入門させていただきました」
素顔は控えめな若者だが、ここまでの本田のプロレス人生はかなり熱いものがある。
「自分はWRESTLE-1ではいちばん大きい部類だったんですけど、全日本では全然大きくありません。全日本には本当に大きな人たちが揃っています。しかも自分はそれほど器用でもない。だけど、いま寮に入れていただいて、男児さんをはじめとする仲間の人たちはみんないい人ばかりです。こんなにいい環境でプロレスに取り組める自分は幸せです。絶対に負けません。頑張ります」
今年の全日本若手戦線は、本田の活躍から目が離せない。
そして、もう一人。大ベテランのTAJIRIである。その経歴はいまさら説明の必要もないので省略するが、約4年間フリーとして全日本に上がり続けてきた末の所属という選択は、本人側にも全日本側にもそれなりの思惑と覚悟あってのことと推測できる。そんなTAJIRIは所属として、出資という形で全日本が新たに展開している映画事業にも参画。2021年2月5日より全国公開される『樹海村』(東映)に早速の出演を果たしているので、こちらも是非注目である。
※写真は『呪怨』でも有名な清水崇監督と。
さらに昨年末の後楽園大会でおこなわれた公開入門テストには4名が合格。そのうち二人はすでに合宿所入りし練習生生活を送っているが、その二人は日本とアメリカのイケメンハーフで元相撲取りの双子。しかも190㎝超級の大型新人だ。斎藤礼、順(ともに33歳)は出羽の海部屋で8年間の力士生活を経験。礼は三段目、順は幕下まで進んだ。
※写真、ゼッケンナンバー1が弟の礼。2が兄の順。
斎藤順「もともと格闘技やスポーツが好きだったのですが、将来は体を生かした道で生きていきたいと相撲へ進みました。しかし30歳でいったん廃業しアメリカへ戻ったときに『やはり日本で夢を叶えたい』と。そういう夢を諦めきれなくて。このたび全日本プロレスが演習生を募集していると知り、最後のチャンスだと思い受験し、合格させていただきました。もともとプロレスが大好きでしたし、全日本プロレスは体の大きな選手が多いので自分たち兄弟に最も合っている団体だと思いました。よろしくお願いいたします」
新たなニューフェースたちを迎え入れ、2021年の全日本プロレスはさらなる進化を遂げることができるのか。来年10月の旗揚げ50周年に向け、いま全日本プロレスは大きく変わろうとしている。
文…日々樹アキラ