平成最後のG1覇者は棚橋弘至!「東京ドームのメインに戻る!IWGPのチャンピオンにもう一回なります!」
12日、東京都・日本武道館にて新日本プロレス『戦国炎舞-KIZNA- Presents G1 CLIMAX 28』が行われ、棚橋弘至が平成最後のG1 CLIMAXを制覇した。
10日にオカダ・カズチカとの30分フルタイムドローという死闘の末にAブロックで勝ち上がり優勝決定戦進出を決めていた棚橋は「プロレスにたくさんのファンの方が来てくれて、盛り上がってきてすごく嬉しい。けどちょっと、『棚橋ごくろうさん』っていう空気やめてくれるかな?俺の夢はまだ続いてるから!」とG1制覇の先にある夢を熱く語っていた。
11日に盟友ケニー・オメガとの6年ぶりのシングルマッチを制しBブロックを制覇した飯伏幸太は、優勝決定戦での棚橋戦について「僕はずっと棚橋さんのことを“神”って呼んできたんですけど、明日はホントに神を超えるときなのかなと思います」と静かに闘志を漲らせ真剣な面持ちで語っていた。
飯伏のセコンドにはケニーが、棚橋のセコンドには柴田勝頼が付き試合前から会場は大盛り上がり。
ゴングが鳴ると手4つから触れ合いはすれど組み合いはしない距離感を保つ緊迫した展開。打撃合戦を制した棚橋がエアギターで挑発すると飯伏もすぐさまミドルキックを連打してヒートアップ。棚橋は低空ドロップキックで飯伏のヒザを撃ち抜き、さらにヒザへストンピング連打からテキサスクローバーホールドを狙うなど飯伏の足に狙いを定めて執拗に攻撃。飯伏は敢えて痛む足での蹴り技を連発していくが、棚橋がキャッチしてドラゴンスクリュー。場外へ逃れた飯伏へコーナートップからハイフライフローを投下するなど苛烈に攻め立てていく。
リングに戻った飯伏は追撃を狙う棚橋をフランケンシュタイナーで場外に放り出すと、リング内からトップロープに飛び乗り、身体を反転させながら場外へスワンダイブ式ケブラーダ。さらにスワンダイブ式ミサイルキック、スワンダイブ式雪崩式フランケンシュタイナーなど空中戦で棚橋を圧倒。続けてジャーマンスープレックスからカミゴェを狙うが、棚橋は回避して強烈な張り手。
これに静かにキレた飯伏はリング中央で足を止めて棚橋と壮絶な張り手合戦。これを制した棚橋がハイフライフローを投下も、飯伏は剣山で迎撃。棚橋の後頭部へ飯伏がボマイェ。さらにその場飛びムーンサルトの形から棚橋の腹部へダブルニードロップ。さらにやり投げで棚橋の顔面をコーナーにぶっ刺し、エプロンに寝転がる棚橋をトップロープ越しにスワンダイブ式ジャーマンスープレックス。さらにシットダウン式ラストライド、カミゴェと狙っていくが、これをかわされるとクロスアーム式ジャーマンスープレックスホールドもカウントは2。
飯伏はさらにカミゴェを放つが、これをかわした棚橋がドラゴンスープレックスからハイフライフローを三連発。これには飯伏も肩を上げることが出来ず、カウント3。棚橋が35分に渡る死闘を制し、平成最後のG1を制覇した。
敗れた飯伏は涙。棚橋は握手を求めると、飯伏は首を横に振って握手を拒否。飯伏はケニーに付き添われ、両手で顔を覆いながらリングから去っていった。
笑顔の柴田に肩車でG1優勝を祝福された棚橋はマイクを取ると、「武道館×3!盛り上がっていこうぜ!」と叫びエアギターで武道館ライブを開催。最後は「今日はみんな!ありがとうございました!逸材!完全復活!見ていてください!日本武道館のみなさん!愛してま~す!」のマイクで大会を締め、優勝旗を折らないようにしっかりと手に持って退場していった。
先にバックステージに戻った飯伏は「もう、言葉がないです。……あー!本当にまだ頑張っても。本当に36年でいちばん頑張った一カ月だったような気がしますね。それでもまだ、まだ獲れませんか。まだダメですか。まだ……。もうあきらめることとかはしたくないですけど、ちょっと……あきらめそうな自分に。でも2年前に復帰してからは絶対に、絶対にあきらめないって決めて、またプロレスをやり始めたんで、何がなんでも獲ってみます。あきらめないです。これ以上はなにもないです」と頭を抱えて俯きながらコメントし、寄り添っていたケニーに小声で「ケニー、ありがとね」と囁き2人で去っていった。
トロフィーと優勝旗を持って現れた棚橋は、「今まで苦しんだ分……。苦しんでない苦しんでない!楽しんで喜んでやってきたけど、結果が出なかった分、今日はいつもより倍うれしいです」とG1制覇の感想を語る。
セコンドの柴田が試合前に棚橋に囁いていた発言の内容を聞かれると『新日本プロレスを見せろ』と言われた旨を明かし、「粋ですよね、やってくれることが」と笑顔。
対戦相手の飯伏については「もう飯伏に対して俺からどうこういうレベルはとっくに過ぎてて、あとは得意の飯伏が覚醒した状態を、覚醒した状態のままでいられるか。その分エネルギーは使うよ。でもそれが真のトップレスラーだから。俺はオンとオフがないから。それが自慢だから。もう飯伏の体力、気持ち、技術。何を取っても俺より上だと思う。それくらい評価している。あとはこの(自らの胸を指差して)持ちようなんですよ。俺が全員引っ張ってやるというのを飯伏に求めるのは酷かもしれない。じゃあ別に新日本プロレスじゃなくてもいいじゃないか。プロレス界、さらに大きなスケールで全部引っ張ってやるってことを言葉に出す。態度に表す。それが……もう言う事ないと思ってたけど、これで最後にします。わかってると思うから」と真剣な面持ちで語った。
さらに、今後について聞かれると「僕のいいところはどんなことがあっても、どんなかたちのプロレスが流行っても、俺がやってるプロレスがおもしろいって胸を張れるところ。なんでそうやって胸を張るか?それを『そうだ!』と応援してくれるファンもいる。『いやそれは違うぞ!』と言ってくれるファンもいる。……熱いじゃん!全員熱いじゃん!それがプロレス界にとって必要なこと。だから俺がプロレス界にもっとも必要なんです。例年通りであるならば、東京ドームに行けるでしょう。なんて言ったってよ~く知ってますから。あとは棚橋次第!ここから下がるか、それともここから上がるか。それだけです」と語り、最後に「東京ドームのメインに戻ること。それすなわちIWGPのチャンピオンにもう一回、なります!」と抱負を語り、自信に満ちた笑みを浮かべた。