ロッキーとシュレックが巌流島で対戦!

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パンクラスから現ミドル級KOP・ロッキー川村が巌流島に初参戦した。
ロッキーはまだ練習生だった2005年、鈴木みのるに突然の指名を受けエキジビションマッチで対戦、今後のパンクラスを託された。翌年、ネオブラッド・トーナメントで優勝。その後、第4代ライトヘビー級KOP、第11代&第13代ミドル級KOPに輝いている。アグレッシブな打撃と突進力が身上だ。
昨年7月より川村亮から現在のロッキー川村に改名。大ファンである映画「ロッキー」の主人公、ロッキー・バルボアになりきり、MMAのみならずプロレスでも活躍。そして今回の巌流島参戦となった。

対する関根“シュレック”秀樹は、元警察官。静岡県警の刑事時代に捜査を通じて柔術と出会い、「警察官最強」と呼ばれた。しかし、43歳にして辞職。格闘技に専念するためだ。
以降、ADCCで4大会連続(2011、2013、2015、2017年)のアジア・オセアニア代表、全日本柔術選手権優勝、柔術アジア選手権優勝(いずれも2016年)などの戦績を残す。
MMAにも参戦し、日本人離れした体格で活躍。昨年12月には、ONE FC世界ヘビー級王者、ブランドン・ベラにも挑戦している。

お互い、ファイトスタイルが全く違う両者。どのような試合になるのか。尚、巌流島の寝技は通常15秒だが、この試合は寝技30秒の特別ルールでおこなわれた。

1R、川村がステップを使いパンチ、ローを打っていく。川村も大きい方だが、関根は川村の道着をつかみ、いとも簡単に崩す。片手でつかんで引き倒すパワーには驚かされる。さらに、道着をつかんだまま重いパンチを打ち込む。
2R、川村は少し距離を取りながら動き回ってパンチを打っていくが、またも関根につかまってしまう。
3R。関根のタックルを潰した川村。ボディを殴るが、30秒は短い。しかし、関根はスタミナ切れ。関根のつかみにも捕まらず、タックルを切る。終盤には左フックで関根に尻もちをつかせ、「転落」を奪う。関根は投げるが、ここで終了。
川村の3Rの追い上げは素晴らしかったが、一歩届かず、2−1で関根が勝利した。

試合後、川村は「センキュー、ポーリー! オレが弱いだけ。それだけだぜ!」とロッキー口調で話した。
「関根選手は半端じゃなく手が大きかった。僕はあんまり手が大きくなくて、女の子より少し大きいくらいなんですよ。あんな風に倒される! と思ったのは初めてだった。捕まったら動けないし、パンチもものすごく重かったです」と話す川村。MMAではないとは言え、パンクラス王者の敗北である。しかし、その表情に悲壮感はなかった。まるで、小さな子供が新しい発見をしたときのような顔だった。

あの日、鈴木みのるからパンクラスを託された川村。その後、近藤のあとを引き継ぐように、パンクラスの看板を背負い、他団体で闘ってきた。ケガもあった。パンクラス所属選手だからこそ、王者にならなくてはいけないというプレッシャーもあったはずだ。
しかし、恐らく川村の中で何かが吹っ切れたのだろう。ロッキーへの改名以降、のびのびと闘い、行動しているように見える。
だからといって、パンクラスを守る気持ちがなくなったわけではない。大会会場で、昔なら練習生がしていたであろうこまごまとした雑用をこなし、さまざまなところに気配りをする姿を、心あるファンは知っている。

負けはしたが、この挑戦は川村に新しい目を開かせたに違いない。今後のロッキーに期待したい。

(文・佐佐木 澪)

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