あれ見てこれ読んであそこ行ってきた #2
- 2017-5-16
- WWEネットワークの散歩道
5月17日に開幕する新日本プロレスの『BEST OF THE SUPER Jr.24』。世界最高峰、最先端の戦いが繰り広げられてきたこの歴史あるリーグ戦で、今回日本デビューを果たすマーティ・スカルについて書いていきます。
新日本では現在ウィル・オスプレイ、ザック・セイバーJrと2人のイギリス人レスラーが活躍していますが、アメリカのインディーマットでは数年前からこの兆候が見えていたのです。イギリス本国でもプロレス熱が高まっているようで、WWEもUK王座を新設することで大きなマーケットとしての開拓に乗り出しました。現在のイギリス人レスラーでは誰がトップなのか?と考えた場合、アメリカのインディー団体で目立った活躍をしているということを基準にしたならば、オスプレイ、ザック、そして今回紹介するマーティ・スカルの3選手がトップ3と考えていいかと。その3人が新日本プロレスと契約し、日本で見られるというのは実はとてもぜいたくなことであり、ここにリコシェやドラゴン・リーといったアメリカ、メキシコのトップ選手が加わるというのは大変な企業努力の結果ともいえるわけです。ありがたやありがたや。
おっちゃんの昔話としてはイギリス出身というと日本では70年代ならビル・ロビンソン、80年代ならダイナマイト・キッド、90年代ならスティーブン・リーガルが代表選手と言えるでしょう。00年代だと不勉強のためすぐに名前は出てきませんが、イギリスマット自体はローカル団体がいくつかあるだけで、WWEやTNAのツアーだけが大会場での興行を行っていたという状況でした。
選手について言うと、おそらくはプロレスラー志望の若者たちに指導する元選手たちがキャッチ・アズ・キャッチ・キャンと呼ばれる伝統的な技術を教え、それを受け継いだ選手たちが日本、あるいはWWEマットを目指すという構造ができあがっているのでしょう。だからこそ試合そのものは近代的であり、細かいところでは古くから伝わる、そして観客からは目新しい技術が個性として発揮されるのが、イギリス人レスラーが日米で活躍できる要因のひとつではないかと思われます。
さてマーティ・スカルについて。彼のキャッチコピーはヴィランという、ディスニーやマーベル、DCコミックでは悪役の総称として使われる言葉が付けられています。これはイギリスマットでは悪役として使われていた言葉のようで、イギリス的ヒールという意味合いなのでしょうか。それではスカルの出場した大会のDVDレビューをすることで、スカルについてを書いていきます。
PWG『オールスター・ウィークエンド11 night1』:2015年12月11日
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こちらのDVDではスカル対リコシェが収録されています。今回のリーグ戦では5月31日の大阪大会で実現しますね。試合前にはルチャ・アンダーグラウンドでプリンス・プーマというマスクマンで活躍しているリコシェに対し「お前、プリンス・プーマだろう!」と挑発するのですが、観客の方から「俺たちはそれが好きなんだ!」というチャントが起きる場面からスタートします。
スカルの必殺技はチキン・ウィングことチキンウィング・フェースロックで、決めの前にはクルリと回って「チキン!」「ウィング!」と叫ぶのがルーティンとなっています。そして得意技のひとつが指の股裂き。PWGファンはその音を聴き逃すまいと静かになっていました。スカルの試合を生観戦する機会があれば、ぜひやってみてください。
このディスクでは他にもケニー・オメガ対"スピード・ボール"マイク・ベイリーやウィル・オスプレイ、マイケル・エルガンの試合も収録されているので、日本のファンにも入り易いかと思います。個人的にはオスプレイの対戦相手であるトレバー・リーはぜひ日本でも見てみたいのですが、可能性があるとしたらインパクト・レスリングからのルートでプロレスリングNOAHでしょうか。期待したいところです。
EVOLVE『EVOLVE 59』2016年4月2日
http://store.shopping.yahoo.co.jp/freebirds/evolve-br-59.html
ザックは古き良きヨーロピアン・レスリングを全面に打ち出していますが、スカルは普段はそれほど見せてはいません。こちらの大会ではUSA対ヨーロッパの対抗戦としてラインナップされたこともあり、意識的に多く出していったのでしょう。対戦相手のティモシー・サッチャーはこの時点でのEVOLVE王者でしたが、この試合はノン・タイトルマッチ。日本ではバレット・クラブ入りしたこともあり、スカルがどういう一面を見せてくるのかが楽しみです。
このディスクでは対抗戦のメインとしてリコシェ対オスプレイ。新日本参戦を熱望する元UFCファイターのマット・リドル対ザック・セイバーと注目のカードが揃っています。特にマット・リドルはWWEも注目している逸材なので、早目に呼んでもらいたいところですが・・・。
PWG『バトル・オブ・ロサンジェルス2016 ファイナル・ステージ』2016年9月4日
http://store.shopping.yahoo.co.jp/freebirds/pwg-dvd-bola2016-3.html
最後はマーティー・スカルがアメリカ進出で(今のところ)最大の結果を出したPWG恒例の『バトル・オブ・ロサンジェルス2016』から。ま、スカルが優勝するんですけど、決勝でのスカル対オスプレイ対トレバー・リー以上に、準決勝でのコーディ・ローデスとの対戦がスカルらしさ、そしてコーディのプロレスに対する愛情を感じられる一戦になりました。コーディは妻であるブランディ・ローデスを専属リングアナウンサーとして帯同しているのですが、奥さんの目の前で兄であるゴールダストの得意技であるシャッタード・ドリーム(コーナーを使っての急所蹴り)をモノマネ付きで披露し(観客も「彼女もそれを望んでいる!」チャントで後押し)、場外に出てはキスを盗みと相手の感情を逆なでするようなムーブで会場を沸かせていきます。
このディスクでは元WWEスターのジョン・モリソンことジョン・ヘニガン対リコシェ、オスプレイ対ザック、ヤング・バックス対フェニックス、ペンタゴンJr.、そしてライガーのお茶目さが爆発する10人タッグなど見所満載です。
初来日のスカルが本領発揮できるかはお客さんの反応にも大きく左右されるのかもしれませんが、これだけのメンバーが揃って行われるリーグ戦は世界でも新日本マットだけなのです。日本のインディー団体から有望選手が抜擢出場される流れはここ最近ありませんが、このリーグ戦に出場したいと熱望する選手が世界規模に広がったと考える方が自然なのかも。また来年からはライオンズ・ゲートで結果を出した選手なら、スーパージュニアへの参戦への道も拓けてくるのかもしれないですね。
スカルの日本第一戦は17日のオスプレイ戦。オスプレイが昨年与えてくれたものとはまた違うインパクトを残してくれることを期待しましょう!