赤井沙希インタビュー[第3回]デビューから1年、両国大会で見せたプロレスラーとしての成長
赤井沙希がプロレスラーとしてデビューし、引退した愛川ゆず季さんとは違うアプローチの仕方で、プロレスをもっと世間に広げようとしてきた。
あのオスカープロモーションに所属するタレント・モデルでありながら、男色ディーノのケツに顔を突っ込み、中澤マイケルのお下劣殺法にも耐える姿は、普段プロレスを見ない人たちにとっても衝撃的だったようで、当バトル・ニュースや記事配信しているYahoo!ニュースでは高いアクセス数を叩き出した。
その一方、ちょうどデビュー1周年となった2014年8月17日のDDT両国国技館大会では、6人タッグマッチとはいえ、あのアジャ・コングと対戦。そこで赤井はしっかり“プロレスラー”としてアジャと渡り合ってみせた。1年経ってきちんと成長していた姿を見せられたことで、DDTファンは改めて「赤井沙希はプロレスラー」だと認識したのではないだろうか。
【取材・文/佐瀬順一】
赤井 いまとなってもどっぷりプロレスに気持ちは浸かっているんですけど、その時はDDTに所属して1選手となっちゃったら世間とプロレス界をつなぐ橋渡し的な役割が出来ないんじゃないかなと思って。その辺のバランスが難しいですね。リングに上がる以上は何があるか分からないですからきちんと練習はやっていますし、ぶっちゃけプロレスのことばかり考えてますけど(笑)。
ーー愛川(ゆず季)さんも引退する際に「もっともっと世間一般に女子プロレスを届けたかった」と言っていました。プロレスに浸かれば浸かるほど世間からは遠ざかってしまう。届けよう届けようと頑張ってもなかなか届かない。そういうジレンマみたいなものはあるでしょうね。どれが正解なのかとかは分からないですけど、愛川さんと違うアプローチの方法を選んだことで、また違う結果が出る可能性はありますよね。
赤井 これはあくまでも私の考えですけど、女性が一生懸命鍛えて強くなる……これはプレイヤーとして確かに素晴らしいことですけど、女子界で最強になっても男性には敵わへん。それやったら自分は、男子にないしなやかさとか柔らかさを見せていく選手なんかなと思っているんですね。
赤井沙希流のやり方でプロレスをもっと世間に届かせる
ーー世間に届くようにという点で言えば、愛川さんが顔をボコボコに腫らした写真は確かにアクセス数が高かったです。でも実は赤井選手が男色ディーノ選手のケツに顔を埋めた写真もかなりアクセス数が高かった!
赤井 アハハハ、ホンマに!?
ーーモデル、タレントであることを考えればなかなか勇気のいることだと思いますが(苦笑)、それでもあのシーンを見たとき、赤井沙希のプロレスに対する本気度は感じました。愛川さんのバッチバチの試合とはアプローチの仕方が違うだけで、世間に届けたいという気持ちは同じなのかもしれませんね。
赤井 そうですね。最近は普通に男子と闘っているっていうか、カードを見たら女子がうち1人ってこともよくあるんですけど、たまに女子と闘うときは歩いてきた道は違えど同じ性別やから倒しにいく気持ちで行ってますね。そういう意味で両国でアジャ(コング)さんとやってときは怖かったけど楽しかったですね。
ーーそういえばデビュー戦のときに対戦したスターダムの世IV虎選手とは試合後に睨み合いになったりしてましたね。世IV虎選手といえば“アイドルレスラーキラー”ですから、女子プロレスラーとの闘いみたいなものもやっていくのかなと思ってました。ところがところが徐々に対戦カードの中に女子1人だけになっていって、それも違和感がなくなり、もはや女子プロレスラーというよりは“DDTのレスラー”っていうイメージになってますよね。
赤井 そうなんですよ! 最初のほうこそ外から女子選手を呼んでくれたりしていたんですけど、最近は全然呼んでくれへん(笑)。私もデビューする前は「試合が終わったあとに乱闘とかするのはナンセンスよ。スポーツなんだから試合が終わったら、そこで終わり」とか言ってたんですけど、デビュー戦で試合が終わったあとに世IV虎と睨み合ってましたね(笑)。いや、プロレスをやらなかったら生まれへんかった感情っていっぱいありますよ! 泣くこともあまり普段はないんですけど、アジャさんとやったときも実は試合後に泣いたんですよ。
ーーえっ、何で泣いたんですか?
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赤井沙希(あかいさき)
オスカープロモーション所属のモデル、タレント。1987年1月24日生まれ。京都府出身。身長174センチ。2006年には旭化成せんいキャンペーンモデル、2009年にはK-1イメージガールとなる。2011年にはTBS系ドラマ『マッスルガール!』にビッグデビルこと向日葵役として出演。同年6月1日には埼玉・アイスリボン道場で星薫役だった志田光とタッグを組んで、藤本つかさ&真琴と10分間のエキシビションマッチを行った。ラジオ日本『ラジオ新日本プロレス』(2012年4月〜2013年3月)ではアシスタントを務める。2013年8月18日、DDTの両国国技館大会でプロレスデビュー。