#大家帝国主催興行11.17後楽園大会 マッスルメイツの2015〜HARASHIMA&大家vs.棚橋&小松
#大家帝国主催興行〜マッスルメイツの2015〜
日時:2015年11月17日(火)
開場:18:00 開始:19:00
会場:東京・後楽園ホール
観衆:1800人(超満員札止め)
▼第1試合 オンリー丸め込みタッグデスマッチ 30分1本勝負
[旧マッスル軍]ペドロ高石/●趙雲子龍
12分5秒 首固め
[新生マッスル軍]○久保佑允/7代目Mr.マジック
▼第2試合 タッグマッチ 30分3本勝負
[旧マッスル軍]男色ディーノ/アントーニオ本多
0-2
[新生マッスル軍]大石真翔/勝俣瞬馬
※KAT-TOOの勝利
1本目:変則ルール
[旧マッスル軍]●男色ディーノ/●アントーニオ本多
5分43秒 ミラクルエクスタシー×ミラクルエクスタシー→エビ固め
[新生マッスル軍]○大石真翔/○勝俣瞬馬
2本目:特別ルール
[旧マッスル軍]男色ディーノ/●アントーニオ本多
14分4秒 十字架固め
[新生マッスル軍]○大石真翔/勝俣瞬馬
▼第3試合 全日本手相撲選手権決勝戦
[旧マッスル軍]○藤岡典一
0分42秒 捻り出し
[新生マッスル軍]●山里亮太
※藤岡が優勝
▼第4試合 シングルマッチ 30分1本勝負
●マッスル坂井
13分16秒 ジャーマン・スープレックス・ホールド
○竹下幸之介
▼第5試合 スペシャルタッグマッチ 30分1本勝負
○HARASHIMA/大家健
17分36秒 蒼魔刀→体固め
棚橋弘至(新日本プロレス)/●小松洋平(新日本プロレス)
ユニット総選挙1位だった#大家帝国が主催し、マッスル一夜限りの復活!後楽園熱狂
2015年DDT一番のモヤモヤだった棚橋発言は、まさかの“棚橋プレゼン”で見事解消!
オープニング
まず井上マイクリングアナがグッズの紹介をしたあと、野郎Z軍から11.29 BOYZ後楽園大会に乱入を予告するような怪文書が届いたことが紹介された。
平日にも関わらず超満員に埋まった後楽園ホール。まずは「いよいよあのマッスルが5年ぶりにここ後楽園ホールに帰ってくる。行こうか、ピリオドの向こう側へ」のナレーションからオープニングVTRがスタート。
『DDTドラマティック総選挙』ユニット部門で1位となった男色ディーノ、スーパー・ササダンゴ・マシン、大家健の「#大家帝国」。#大家帝国は2010年10月6日の後楽園ホール大会を持って「次やるときは20年後」と宣言して“最終回”となった奇才・マッスル坂井が手掛けてきた伝説の『マッスル』を、ユニット部門の1位になったら復活させると選挙公約を掲げた。
ファンは当然、その大会が『マッスル』として行われるかどうかに注目していたのだが、男色ディーノは「中間発表で我々1位でした。で、これはあるかもしれんと3人で話し合って……で、今からアタシたちはとんでもないことを言います。ごめんなさい。ひょっとしたら処分の対象かもしれないです」と意味深発言。
そしてササダンゴ・マシンは現在撮影中のDDT製作映画第2弾のクライマックスを、この#大家帝国プロデュースの11.17後楽園大会で撮影したいという。『マッスル』ではあるが、今回はDDTの映画なので今年1年間DDTで頑張ってきた人を中心に構成したいと希望。その中心になるべき人物はズバリ大家。
さらに今年で一番モヤモヤしたことをここで解決したいというササダンゴ・マシン。DDTの中で今年一番物議を醸したことと言えば、8月23日のDDT両国国技館大会でHARASHIMAと対戦した新日本プロレスの絶対的エース、棚橋弘至が試合後にテーブルを叩きながら「全団体横一列で見てもらっては困る! ロープの振り方、受け身、クラッチのこの一個の細かい所にいたるまで違うんだから」と発言したことだ。
棚橋が声を荒げることが珍しい上に、HARASHIMAに対してぶつけた不満なのかどうかもハッキリしない言い方だったためファン、関係者、そしてHARASHIMAもモヤモヤしていたことなのは確かだ。そこでササダンゴ・マシンは大家、そしてHARASHIMAが『マッスル』で対戦するに相応しい相手として棚橋のブッキングを会社側に要請。その結果、この日HARASHIMA&大家vs.棚橋弘至&小松洋平というカードが実現することになったのだ。
一人でダメなら全員で、というドラマティックドリームチームだが、この日の対戦カード発表では第1試合からセミファイナルまでは「未定」と発表され、メインカードが改めて発表されると場内大歓声。
すると早速「本日の興行ですが、まだメインイベント以外のカードが決まっておりません。もう少々、VTRのほうをご覧ください」のアナウンス。VTRでは鶴見亜門をはじめとするマッスル戦士が久しぶりに集まった様子が映し出される。
Mr.マジックこと下島裕司氏は『ワールドプロレスリング』のプロデューサーに就任したため欠席。カードが決まっていないのにチケットは完売状態……こんな状況は頭がおかしくなっても仕方がないはずなのに、どこか余裕が漂うマッスル戦士。あれから5年が経ち、すっかり社会人として成熟したマッスル戦士は“SWOT分析”でマッスルの強みと弱みを分析していく。
亜門が考えてきた対戦カードを発表するが、マッスル戦士の反応は冷ややか。居た堪らなり、自ら出したカードを引っ込めた亜門は、#大家帝国のLINEグループからこっそり退出したという……
マッスル戦士登場
懐かしいPENPALSの『LONEY DAYS』をBGMにした選手紹介VTRのあと、リング上にあがったマッスル戦士だが、早くも坂井の目に涙が。「マスクって便利だね」と苦笑いする坂井だが、「後楽園ホールにお集まりの皆さん、こんにちは。今日はマッスルやるって言っちゃったんで、メインイベントの直前までこのネタで頑張りますので応援よろしくお願いします!」と挨拶。
しかしディーノがこれは#大家帝国の興行なのに、マッスル坂井がいることに疑問はないのかと尋ねる。その辺はササダンゴマシンで台本を書いていたという坂井は苦笑い。しかしディーノはまだササダンゴマシンというものを消化してきれていないという。そんなディーノに坂井は「俺は俺だよ」と語りかける。
アントンはともかく、藤岡典一にも「メガネ」コールが飛び、どうやら『マッスル』の認知度はある模様。ペドロ高石は49歳になって老眼鏡が離せなくなったという。趙雲は現在もプロレスを続けているので至って元気。するとペドロが「やっぱり坂井君とかディーノみたい十把一絡げの三流レスラーじゃこのでっかい舞台を仕切るのは無理なんじゃない」と言い出し、こういう大きい舞台を仕切れる“天才演出家”がいないかなと嘆いていると、マッスル総合演出の鶴見亜門が軽快なステップで登場。
アフロも茶髪になった亜門に対し、アントンが「調子に乗ってるんじゃないか?」と詰め寄り、メガネに手をかけると、亜門は「メガネに触るな!」とガットショットからペディグリーをお見舞い。すると亜門はオープニングVTRの会議のあと、居酒屋に移動して結局不毛な時間を過ごしたマッスル戦士を一喝。
さらに今度は大会2日前に坂井から亜門に「マッスルで自由になる方法」と題したパワポの資料が手渡される様子がスクリーンで映し出される。だが、ボツを出した亜門は煽りパワポにもダメ出しすると、「何もしなくていい。コスチュームとリングシューズだけ持って後楽園に来いよ。お前たちがレスラーとして何が足らないか分からせてやる!」と告げる。
VTR明け、亜門による「マッスルメンバーにとって足らないものとは何か」と題した煽りパワポが始まる。高い演技力とおいしいコーヒーを入れる技術が自分の強味だという亜門は、SWOT分析でマッスル戦士を分析。
強みと弱みがシビアに分析されていたが、「強み×機会」「弱み×機会」「強み×脅威」「弱い×脅威」から導き出されたマッスル戦士にレスラーとして足らないものとは……愚直に頑張ること! そこで亜門はこの大会での煽りパワポを一切禁止を言い渡し、マッスル戦士には亜門が用意した新生マッスル軍との対抗戦を4試合を行ってもらうという。
第1試合
旧マッスル軍vs.新生マッスル軍の対抗戦4試合の煽りVTRを制作した映像班の福田、今成、久保の3人を改めて紹介した亜門。なぜかお揃いのネルシャツを着ている映像班……。坂井は「マッスルの煽りVはうちら身内が作るべきでは」と言うが、亜門は「お前も佐古さんももう身内じゃないだろ! ギャラが高いんだよ! 映像班なら給料制だし」と身も蓋もないこと言う。
そこで福田亮平制作の第1試合煽りVがスタート。何ともポップな作りで高石と趙雲は、昼は敏腕営業マンとしてお客さんを、夜は首固めやスクールボーイで対戦相手を“丸め込む”と紹介。そこでこの2人が丸め込みのみで3カウントが認められる「オンリー丸め込みデスマッチ」で、新生マッスル軍の久保&7代目Mr.マジックと対戦することが発表された。
マジックが入場してくると、なぜか緑の紙テープが飛んだり「ヤス」コールが起こる。趙雲と久保の先発で試合開始。神実況の場内実況が流れるところもマッスルだ。いきなり久保がウラカンで丸め込むが、カウントは2。続いて高石がカポエイラの動きでウォーミングアップ。
困惑するマジックをヘッドシザースで投げた高石はカニ挟みクラッチ。カウント2で返したマジックに対し、趙雲は手を後ろに回し“無抵抗主義”のまま営業スマイルを浮かべる。そこにマジックがリストロックを決めていくが、木曽レフェリーが反則カウントを取る。
何と丸め込み以外は反則だということがここで発覚! マジックは丸め込もうとする趙雲をパワーボムで叩き付けようとするが、これは反則なのでゆっくり落として丸め込む。趙雲もエビ固めで切り返していくが、お互いにマジック2。
続いて久保がドス・カラスクラッチ、ヨーロピアンクラッチと次々にテクニックを披露。しかし趙雲もゴリースペシャルの体勢から逆さ押さえ込みのように丸め込む。久保もホルヘスペシャルを出していくと、レッグクラッチホールド、首固めと引き出しの多さを発揮。さらにマジックも入ってきて2人がかりで丸め込むがカウントは2。
すると高石が「ちょっと待ちたまえ! こんなことで試合を終わらせていいんですか?」と言い出す。趙雲も「確かに私から3カウントを取れば試合終了ですよ。だけどこの試合でこの形で試合を終わらせてしまったら、この先二度と訪れることのない唯一のチャンスを手に入れることが出来なくなるんですよ」と言い出す。
まさかの“営業トーク”で久保とマジックを丸め込もうとする高石と趙雲。潰しが効かないレスラーの2人を生命保険に勧誘。しかもここでサインをすれば1か月保険料無料&海外ドラマを無料見放題の特典付きだという。早くもサインするマジックに対し、ずっと拒んでいた久保だが「決断出来ない男はモテないよ」と言われ、サインする気になった久保。
だが、そこをラ・マヒストラルで丸め込んでいった高石と趙雲。しかしカウント2で返した久保はマジックがレフェリーを丸め込んでいる間に、趙雲に裏拳からゴロースープレックス。そしてマジックがレフェリーを介抱したところで、久保が趙雲を首固めで丸め込んで3カウント。
第2試合
第2試合の煽りVではプ女子ブームの一端を背負っているKAT-TOOに対し、男性人気の一端を支えているのがディーノ&アントンのルームシェアーズだと紹介。亜門が「KAT-TOOには大歓声、ルームシェアーズにはブーイングを。(※観客「えー」)マッスルだぞ! マッスルでは鶴見亜門の言うことは?(※観客「絶対!」)」と諸注意。
マッスルファンに受け入れられるかどうか心配していたKAT-TOOだが、『チャンカパーナ』を踊りながら入場すると、よーく調教された(?)観客は大歓声で迎え入れた。一方、オリジナルのアカペラテーマ曲で入場したルームシェアーズにはブーイングが飛ぶ。
しかも3本勝負で行われるこの試合、1本目はパートナーの手をつないだままで試合をする変則ルールだという。ロックアップからルームシェアーズをロープに押し込んだKAT-TOOはクリーンブレイク。アントンが大石をリストロックに捉えると、勝俣が「大石く〜ん」と励ましながら逆にディーノの腕ごと捻り上げていく。
KAT-TOOをロープに振ったルームシェアーズはショルダータックルでなぎ倒す。だが、KAT-TOOもルームシェアーズの攻撃をかわしてダブルのドロップキック。ならばとルームシェアーズはダブルの男色クローからダブルのブレーンバスターで投げていく。
さらにルームシェアーズはダブルのバイオニックエルボーを狙ったが、アントンが腕を回すとディーノに“ワキ固めを誤爆”してしまう。すかさずKAT-TOOが襲いかかるが、ダブルのバイオニックエルボーを叩き込んでみせたルームシェアーズは、2人でコーナーに登りダブルのダイビング・フィストドロップを投下。これを剣山で迎撃したKAT-TOOは、ダブルのミラクルエクスタシーを決めて3カウント。
2本目はコーナーに控えたパートナーにタッチをしないと交代できない特別ルールだという(※一見通常のプロレスルールっぽいが、あくまでも特別ルールらしい)。いきなりディーノが背後から勝俣に襲いかかり、男色殺法で凌辱していく。しかし勝俣もロープに飛び乗るとミサイルキックを返して大石にタッチ。
アントンをアームドラッグで投げていった大石だが、アントンはボディスラムで叩き付けると、思わず観客に手を振りそうになるが、必死に堪える。大石を羽交い締めにしたアントン。ディーノがラリアットを見舞って行くが、大石がかわしたためアントンに誤爆。
檄怒プンプンのアントンに謝るディーノだが、そこに大石が飛び付いてスタナー。さらに絶品!(=大石が使うムーンサルト系の技の総称)を投下すると、勝俣もブファドーラを投下。すると大石がアントンに「手振りてぇんじゃねぇか? 手を振れば俺たちみたいにモテるよ〜」と誘惑。
陥落したアントンは爽やかな表情で手を振ってしまう。大石はさらにモテたければディーノの頭に拳を振り下ろせとアントンに告げる。勝俣に抑え付けられたディーノが「アントン、目を覚ませ!」と絶叫すると、スクリーンにはルームシェアーズの2人が仲良く海外旅行をする様子がスライドショーで流れる。
それを見たアントンはKAT-TOOの2人にダイビング・ブレーンチョップを振り落とすと、大石にバイオニックエルボーを叩き込んでカバー。しかし松井レフェリーがなぜかカウント2でカウントを止めてしまう。するとスクリーンでは松井レフェリーと大石の禁断のデート現場を撮影したスライドショーが流れる!
あまりの出来事に呆気に取られる一堂。そこを大石がアントンを丸め込み、松井レフェリーが愛の3カウントを叩く! 2-0でKAT-TOOが勝利。松井レフェリーとデキていた大石だが、「これからも女の子のために頑張るからね!」と笑顔で言ってみせた……
第3試合
第3試合の煽りVは『トレーニング・モンタージュ』をBGMに、坂井が“手相撲”について熱く語る様子が映し出され、何とここで全日本手相撲選手権の決勝戦を開催するという。旧マッスル軍からは「DDTで一番の手相撲マスターは俺なんだよ!」と豪語する藤岡がエントリー。一方、新生マッスル軍からはなぜかディーノが世界一の手相撲マスターとして南海キャンディーズの山里亮太を推薦。
たまたま会場で観戦していた山ちゃんをディーノが拉致してバックステージへ。そしてこの一戦は中継ということでスクリーンに手相撲場の様子が映し出される。互いに10年以上の手相撲キャリアを誇る藤岡と山ちゃんは、互いを認め合うコメントをしてから、カーテンの向こう側へ。
何やら野獣のような叫び声が早くも響く中、カーテンが開けられると手相撲……つまりオ…ではなく、腕相撲で藤岡が山ちゃんを下したところだった。
村田アナは「あれは腕相撲でしょ! 手相撲バカにしてませんか?」と納得いかない様子だが、解説の鈴木健氏は「僕は手と手でやる相撲だからあれだと思ってましたよ」と言い張るため、仕方なく気持ちを切り替えるため休憩に。
<試合後コメント>
山里亮太
「俺が一生懸命築いてきたもの、今日全部壊れちゃいましたよ! なんですか大丈夫だから大丈夫だからとずっと言われて今日来て、あんなに盛り上がったお客さん、宇宙みたいに静かになったじゃないですか! 俺のせいですか? 俺言われたまんまにね、腕相撲で闘うだけで、会場盛り上がるからって言われて今日来て、腕相撲して、M-1でもあそこまで滑ってないですよ俺!? これどういう事なんですかとりあえず坂井さんに会わせてくださいよ。こんな滑ると思ってなかったですもん僕。何撮ってんですか?面白いですか滑った男撮って。やめてくださいよ、記事になんないでしょうこんなもん。一人の男が滑っただけですよ。帰らしてくださいよ」
――今までの人生でいうとどれぐらいの滑り具合でした?
「一番だよ!」
――記憶に無いぐらい?
「記憶に無いし、この数分の記憶がないんだよもう。スベりすぎて。皆さんは、スベりすぎて手が痙攣したことってありますか? 俺今ずっとね、指先痺れて動かないんですよ。スベりすぎて。帰らしてください。俺この後の試合楽しみだったけど、会場に戻る自信がないんですよもう。見たかったな〜棚橋選手の試合。撮るなよ。あんなスベった奴撮るなよ。記事にするなよ絶対。会社動くからな。吉本興業動かすからな俺は。あれが松竹のやり方でしょ? ああやってね、府立の前に俺に向かい風吹かせてるんでしょ? 気付きゃ良かったな、府立の前だ。きったねぇ男だよほんと。もうダメだ」
――ますます憎い気持ちが増したんじゃないですか?
「そりゃそうでしょう。いやいや、しかも対戦場所大阪ですからね。大阪吉本の場所ですから。ええ。松竹さんは吉本の傘の中でやっている会社ですから。ホームでボコボコにしてやりますよ。こんだけ侮辱されると思っていなかったんでね。逆に皆さん聞きたいんですけど、人ってあんなにスベるんすか? 教えてくださいよ。俺、初めてだから、あんなスベったの。ツライなぁ〜、ツライなぁ〜。どうしよう、どうしよう。ちょっとさディーノさん、坂井に会わせてくださいよ。今日ウケるって聞いてたのに(ディーノが「大丈夫、大丈夫」と言いながら山里を控室へ連れて行く)」
第4試合
第4試合の煽りVではマッスルの人気絶頂時に突如引退し、実家の金型工場を継いだマッスル坂井が一枚のマスクをキッカケにブレイクした様子が映し出される。そのことを新潟の友人には「ぬるま湯に浸かっているときにたまに東京行けば、そりゃ面白がられますよ」と言われたり、藤岡からも「坂井さんも棚橋さんとやりたいんだと思います。割と新しい家なんですけど、売ってもいいくらいの覚悟ですよ」と言う。
さらに竹下までもが坂井を「ふざけるって感じですよ」とボロクソにコキ降ろす。棚橋と対戦経験のある竹下が坂井を叩き潰すために目の前に立ちふさがる!
久しぶりに『リローデッド』に乗ってマッスル坂井がシレッと復帰戦のリングにあがる。リングインした竹下は坂井に詰め寄り睨み付ける。ゴングと同時に両者ダッシュし、ショルダータックルは相打ちに。ショルダータックルでお互いにぶつかり合うと、逆水平チョップ合戦へ。
そこからショルダータックルでどうにか竹下をなぎ倒した坂井は、場外にエスケープした竹下を追いかけると、鉄製仕切り板に竹下を叩き付ける。さらに鉄柱に投げつけてからラリアットを叩き込んだ坂井はブレーンバスター。
場外カウント18でリングに戻った竹下だが、右腕を痛めた様子。すかさず坂井は腕固めに捉えていくが、竹下はロープに逃れる。フォアアームで反撃する竹下をドロップキックで吹っ飛ばした坂井は、ブレーンバスターの体勢に。足をフックした竹下だが、坂井はブレーンバスターで投げていくとチキンウイング・アームロックへ。
どうにかロープに逃れた竹下だが、坂井はのど輪で捕まえるとショルダーバスター2連発で右腕を破壊。竹下も坂井の串刺し攻撃を蹴りで迎撃すると、エルボーの連打からボディスラムを狙ったが、これは坂井が押し潰す。
竹下の右腕にショルダーをブチ当てていった坂井はロープに飛ぶが、竹下は追走式エルボー。坂井も追走式エルボーを返すが、竹下はゼロ戦キックを叩き込むと、坂井の巨体を豪快なブレーンバスターで投げてから突進してきた坂井にカウンターのトラースキック。さらにダイビング・クロスボディーを放つが、キャッチした坂井はブロックバスターで投げ捨てる。
坂井はドロップキックを叩き込むとエルボー合戦へ。敢えて竹下のエルボーを受け止めてからエルボーを打ち返していった坂井は、ラリアットを狙った竹下に対して相打ちに持ち込む。しかし3発目のラリアットで坂井をなぎ倒した竹下。
10分が経過し、竹下は串刺しフロントキック。しかし坂井も返す刀で対角線ダッシュのラリアットで竹下を吹っ飛ばしてから垂直落下式リーマンショック。カウント2で竹下が返すと2回目の垂直落下式リーマンショック。あと1回決めれば勝率がグッと上がるが、3回目の垂直落下式リーマンショックを狙った瞬間に場内が暗転!
『エトピリカ』が流れる中、「俺の名前はマッスル坂井」から始まる坂井の“心の声”が聞こえてくる。あと1回の垂直落下式リーマンショックで勝ちを確信した坂井だが、これを切り返してショートレンジラリアットを叩き込む(スローモーションで)。
すると、竹下は子供の頃からマッスルを見てて、スローモーションの間に相手の体力が回復するんじゃないかとずっと疑問だったという“心の声”が聞こえる。そこから完全に回復してマックスの力でジャーマンスープレックスを決めた竹下が3カウント。
勝った竹下はガッツポーズ……ではなくマッスルポーズ! 坂井が「お前に渡したいものがあります」と言うと、藤岡が2030年10月6日に開催予定の『マッスルハウス11』東京ドーム大会(!)のメインイベントへの出場権利書が入ったキャリーケースを運んで来る。
坂井から15年後のマッスルハウス11のメイン出場権利書を「受け取ってくれます?」と聞かれた竹下は「竹下幸之介、任されました!」と承諾。しかし15年後はまだ35歳の竹下だけに、坂井は15年後は海外のメジャー団体に行ってるかもしれないと心配する。しかし竹下は「もしそうなっても、2030年の10月6日は空けておきますよ!」と約束。坂井は「引退して5年経って、竹下みたいな後輩が出来て超嬉しいです」と語った。
さらに「ひと言いいですか」と言った坂井は、本当は自分がHARASHIMAのタッグパートナーでもよかったんじゃないかと思ったという。「なんで遠慮してんのか」と自問自答した坂井は、竹下に対しても「竹下も遠慮しちゃダメだよ! 周りの仲間も大事だけど、俺、ずっとプロレス苦手だったけど、本当にやりたいことを信じて、好き勝手やって、自分が信じることを自分のペースでやったら、絶対その姿を見てお客さんはついてきてくれるから! お前はDDTが好きだし、仲間思いで先輩思いで、本当にいい奴だけど、たまには遠慮するな! 周りの奴に合わせなくていいから好きなことやって、お前の考える理想のレスラーになればいいと思う。……本当に…頑張ろう」と涙ながらに訴える。
第5試合
竹下との真っ向勝負が「楽しかった」という坂井は「DDTは超好きです。超いい団体だと思ってます。これから俺たちの大事な仲間が絶対に負けちゃいけない闘いに臨みます!」と言うと、現在いろいろあってDDTと“あっちの団体”はむちゃくちゃ緊張状態にあるため、よくこの試合が実現出来たと思うと熱弁を振るった。
煽りVもないまま、B'zの『BAD COMMUNICATION』が鳴り響く中、腰にKO-D6人タッグのベルトを巻いた大家健が入場。続いてDDTユニバースの大「ハラシマ」コールを受けながらHARASHIMAが意を決した表情で入場。
対するどアウェーに乗り込んでくる形になった棚橋と小松は大ブーイングの中を入場。「DDT」コールが起こる中、棚橋は睨み付けるHARASHIMAを無視して大家を睨み付ける。すると小松がHARASHIMAにエルボーで奇襲攻撃。
波乱の幕開けとなったが、棚橋は大家を場外に連れ出して痛めつける。その間にリング上ではHARASHIMAが小松を思いきりジャンプしてストンピング。さらにHARASHIMAは小松の両腕を持って何度も踏みつける。ここでHARASHIMAは大家にタッチ。すると小松も棚橋にタッチ。敢えてブーイングを煽った棚橋は大家にガットショット。大家もチョップを叩き込むが、余裕の表情で受け止めた棚橋は張り手一発でダウンさせる。
大家は立ち上がってエルボーで向かっていくが、棚橋はまたも張り手一発でダウンさせる。タッチを受けた小松はレッグロックで大家を悶絶させる。そして棚橋と小松はダブルのクローズライン。
ここで棚橋は控えのHARASHIMAをドロップキックで場外に蹴落とすと、客席やステージに叩き付ける。DDTファンとも睨み合ってみせた棚橋にHARASHIMAが殴りかかるが、棚橋は涼しい顔でコーナーに戻る。その間も小松に捕まっていた大家はグッタリ。棚橋は敢えてHARASHIMAの前で腰を落としながら睨み付けて挑発すると、大家を踏みつけてエアギター。そして逆エビ固めに捉えた棚橋はシャチホコ式で反り上げる。
小松がHARASHIMAを場外に叩き落とすが、大家は自力でロープエスケープ。小松はタイガーレッグスピンでなおも大家の足を集中攻撃。「大家」コールを受けた大家はブレーンバスターを狙った小松を逆に投げると、必死にHARASHIMAに向かって手を伸ばそうとしたが、棚橋が入ってきてタッチを阻止。
小松からタッチを受けた棚橋は、ブーイングを飛ばす場内を見回してから大家にエルボースマッシュ。しかし串刺し式クロスボディーをかわした大家はショルダーをぶつけていくと、そこから渾身のカミカゼで棚橋を叩き付け、HARASHIMAにタッチ。フロントキックの連打を棚橋と小松に叩き込んだHARASHIMAは、棚橋にミドルキックを連打。
10分が経過し、HARASHIMAは串刺しフロントキックからもの凄い形相で棚橋をコーナーに乗せる。しかし棚橋は逆にHARASHIMAを場外へ投げようとする。コーナー上でのエルボーの打ち合いから、棚橋がフロントブレーンバスターでHARASHIMAを叩き落とす。
ここでエプロンから大家が棚橋の足を掴むと、HARASHIMAがジャンプしながら蹴り上げる。そして雪崩式ブレーンバスターで投げていったが、棚橋もツイスト・アンド・シャウト(=ネックスクリューからのシャウト)を返す。立ち上がった両者は真っ向からエルボー合戦。額をくっつけて睨み合うと、棚橋がエルボースマッシュ。しかしHARASHIMAがグーパンチを叩き込むと、棚橋も張り手を返してロープへ。だが、HARASHIMAはジャンピングキックで迎撃して大家にタッチ。
まず控えの小松を叩き落とした大家は、足を踏みならすと炎のスピアーを狙ったが、棚橋はヒザへの低空ドロップキックからドラゴンスクリューを決めると、一気にテキサス・クローバー・ホールド。小松はHARASHIMAを場外に連れ出す。
HARASHIMAはカカト落としで小松を撃退するが、敢えてカットに入らない。大家は泣きそうな表情だが、自力でロープに脱出。小松が串刺しエルボーからハーフハッチで投げ、控えのHARASHIMAにフロントキック。15分が経過し、小松はウルトラタイガードロップを放つが、大家が避けて羽交い締めにしていた棚橋に誤爆。
タッチを受けたHARASHIMAだが、小松はジャンピングエルボーからファルコンアロー。ここで大家が棚橋を場外に引きずり出すと、HARASHIMAが小松にハイキック。そして蒼魔刀を発射したが、小松は得意技の後転してそのまま逆エビ固めへ。さらSTFにスイッチするが、ここで棚橋にヘッドバットを見舞った大家がリングに戻り、HARASHIMAを救出。
棚橋も戻ってきて合体攻撃を狙うが、大家はスピアーで2人まとめて吹っ飛ばすと、棚橋に炎のスピアーをお見舞いしてそのまま場外に連れ出す。その間にHARASHIMAはハイキックからリバースフランケンで投げ飛ばすと、下から蹴り上げる形の蒼魔刀を叩き込んで3カウント。
ディーノが大家を抱きしめる。そして小松を介抱する棚橋の前で勝ち名乗りを受けたHARASHIMA。HARASHIMAに詰め寄った棚橋だが、次の瞬間、踵を返してリングから降りると、そのまま小松に肩を貸しながら退場していったが……
エンディング
入場ゲート前で踏み止まった棚橋は、クルリと振り返ってリングへ……はなく、なぜか本部席へ直行。さらに坂井を呼び寄せてMacBookを操作するように指示すると、マイクを持った棚橋は「試合が終わった直後ですが、プレゼンテーションを始めたいと思います」と言い出す!
場内がどよめく中、「プロレス界をもっと盛り上げる方法」を題した、“掟破りの逆煽りパワポ”と言ってもいいプレゼンテーションを始めた棚橋。まず自己紹介をしてから、自分のプロレスラーとしての強みを「新日本道場で鍛え抜かれた肉体」「ハイフライフロー」と紹介。今回、ササダンゴマシンからの依頼でプレゼンをすることになったという棚橋だが、現在DDTと新日本プロレスは極度の緊張関係にあるという。
そのため交渉は不可能となったが、ササダンゴが所属する松竹芸能と棚橋が所属するマセキ芸能は友好関係だったため、直メールで交渉成立したという。そこでプロレス界をもっと盛り上げる方法を考えたところ、棚橋がファン時代に一番盛り上がった試合が1995年の新日本vs.Uインターの対抗戦、しかも両団体のエースだった武藤敬司vs.髙田延彦の熱狂だったという。そこで8月の両国大会での棚橋vs.HARASHIMAは「20年前、大学1年の自分が感じた興奮と熱狂を上回ることができただろうか?」そう考えてみた結果、それが出来なかった悔しさから試合後コメントで感情をぶちまけたと説明。
それはHARASHIMAに向けた言葉ではなく、棚橋の一人よがりだったということで、「HARASHIMAさん……ごめん。これからもDDTのエースの道を突き進んでください」と謝罪した棚橋は、プロレス界全体を盛り上げるため、棚橋は「棚橋弘至、来年の計画」を発表することに。
まずイッテンヨン東京ドームでIWGP王座を奪取し、8月にG1を連覇し、9月にはDDTの総選挙に立候補! 11月にはユニット主催興行を開催したいという。早くも総選挙で1位になる気満々の棚橋に「棚橋最高!」コールが起こる。最後に棚橋は“まとめ”として「今日、ここにいるすべての皆さーん、愛してま〜す!」と叫んで後楽園ホールを棚橋コール一色に染めてみせた。さらにエプロンに上がってHARASHIMA、さらに大家とも拳を合わせた棚橋は、大家とは「ヘッドバット、効いたぜ」とばかりに笑顔で頭と頭を合わせてから爽やかに引き上げていった。
マイクを持ったHARASHIMAは「とりあえずいまの気持ち、混乱してますよ。でも、言いたいことは、こういう場を作ってくれたディーノ、大家君、坂井君、本当にありがとう。あとこういう急な要請にかかわらず許可を出してくれた新日本プロレス、あと棚橋選手、小松選手、本当にありがとうございます。本当にちょっと混乱はしていますけど、棚橋選手……大丈夫なのかな?(※場内爆笑)でもみんながいま笑顔でいるこういう空間が、このリングから、このプロレスで生まれたんだから、僕はいいんじゃないかと思ってますけど」と言うと場内は拍手に包まれた。
続いて大家は「坂井! 俺はお前に対して悔しい気持ちでいっぱいだよ! でもね、悔しかった気持ちっていうのはみんな一緒だろ! そして今日勝った嬉しかった気持ちもみんな一緒だ! そうだよね? HARASHIMAさん、締めてください!」とマイクを渡す。
HARASHIMAは「プロレスの試合はいろんなことがあります。僕は今日の帰り……みんなが明日、朝起きて…それが数年後でもいいから『あの日、プロレス見てよかったな』『あの試合見てよかったな』って思える試合をこれからもしていきたいと思います。(※場内拍手)こうやって試合をしてけば、いまのプロレス人気がもっともっと、もっともっと上がってメジャースポーツ? そういうとてつもなくすごい存在にプロレスにまたなると思います!(※場内拍手)僕はみんなが笑顔になれるプロレスをこれからもしていきたいです。これからも大好きなプロレスやってやるさー!(※場内「なんでー?」)笑顔で帰れるプロレスを目指してやるさー!(※場内「なんでー?」)そして次のマッスルも……2030年もちゃっかり出てやるさー!(※場内「なんでー?」)なんでかって? それは鍛えているからだー!」で締めくくった。
そして引き返していったディーノ、大家、ササダンゴの3人はゲートの前で振り返ると、観客に向かって最後まで中指を突き立てた。
<試合後コメント>
棚橋弘至
「あのね、HARASHIMA選手は……HARASHIMAさんは、でいいか。HARASHIMAさんが8月から今日までモヤモヤしていたように、俺もモヤモヤしてましたよ。今日ここにね、机が無くて良かったですよ。机が無くて。ただ、そうなんすよ。団体の対抗戦っていう、シチュエーションが今日できて、悔しいけどファンのボルテージ、DDTのファンの皆さんの笑顔、新日本のファンのね皆さんにはほんと悔しい思いさせたけど、これからまた頑張ることで、しっかりとお返ししていきますから。今日はほんとに…なんだろう。次に向けて、いいスタートというか、これ以上は聞かないで! あんまり、言うと超でっかいブーメランになって返ってくるから」
ーー1つだけ、小松選手がパートナーとして抜擢されましたが期待通りの動きをしてくれたのではないかと思いますが。
「ほんとに、意思の疎通というか、新日本プロレスのヤングライオンは末恐ろしいですよ。ほんとにね、小松は俺以上のスターになるから。その時は、またDDTに呼んであげてくださいよ。それが、俺はもうほんと小松をスターにしますから。今日はありがとうございました。で、そうなんすよね、DDTの選手は、DDTのファンを、皆笑顔にしてるっていうね、この事実、ほんと動かせないけど、俺は新日本プロレスのエースとして、絶対自分が正しいという姿勢は、最後貫いていくっていうのは、ここで言っておきます。ありがとうございました」
竹下幸之介
「僕個人としては、マッスル、僕がサムライTVをとりはじめた頃に、マッスルが始まったんですよね2004年なんで。その頃一番サムライTVで面白かったテレビ番組は、マッスルでした。って、坂井さんに言うように言われました。実際の所はインディーのお仕事です。えーっとですね、でも、ほんとにでも坂井さん…は、いつも気にかけてくださって、あの、非情にこうマッスル、DDTとマッスルっていうのは切っても切れないものだと思います。そこにやっぱり自分がこうして、全然僕はその試合が次のマッスルハウス11のメインに上がる権利書がかかってる試合だとはほんとに思わなかったんですけど、ああいう風に坂井さんに勝って、あの権利書を手に入れたということはね、自分はすごく誇りに思っています。僕はDDT大好きなんで、でも、これ最後のメインで感じた事もありますし、プロレスをもっとメジャーにしたいというのは、これはたかがキャリア3年の自分ですけど、それは自分も強く思ってる事なんで。それは自分も、愚直に一生懸命頑張って、プロレスをメジャーにできるように頑張ります」
――坂井選手から遠慮するなと言われた事に関しては?
「うん、そうっすね、やっぱり、坂井さんはよくわかってるんで、プロレスラーの事とか、DDTのレスラーの事。なんかこう、説教されたわけじゃないですけど、こう、今実際考えさせられてますね、その言葉に」
――15年後、海外の某団体の話も出ましたが、海外に行く可能性ももしかしたらあるかもと?
「やっぱり、僕はプロレスが大好きなんで、夢はあります。でも、仮にサインする時があれば、その時の条件に、2030年10月6日は何があっても外せないという形でサインしたいと思います」
#大家帝国、HARASHIMA
ディーノ「おつかれさまでした」
坂井「おつかれさまでした。……(挙動不審な大家に)どういう空気ですか?」
大家「……おかしいだろう、坂井! おかしくねぇか、コレ! ねぇ、#大家帝国っていうんですよね? このユニット名は? #大家帝国主催興行なのに、大家健が知らない事があっていいんですか?」
坂井「……試合、超よかったです」
大家「そういうことじゃないだろう!」
ディーノ「人間の最盛期を目の当たりにしました」
坂井「(大家健という)人間の全盛期に立ち会えて本当によかった」
ディーノ「ここから落ちていく一方だからな。(大家が無反応だったため)『そんな事ねぇだろ!』、だろう?」
坂井「今日の大家健の雄姿を目に焼き付けて帰ろう。おつかれさま!」
ディーノ「おつかれさま!」
※坂井とディーノ、拍手
大家「話が伝わっていないっておかしいだろう!」
ディーノ「何が不満なの?」
大家「だから、なんで言わないの? あれ(=棚橋プレゼン)。おかしいでしょ」
坂井「だって、知ってたらクビになるかもしれないじゃないですか? 君たちが……」
大家「かっこいい……」
ディーノ「でもあれたぶん本当で、(棚橋が)パワポ(をやる)っていうのは直メールしたんですよね?」
坂井「でも誰も、本当に新日本とDDTはガチガチな緊張状態で、メインのVTRのコメントを頼むのもちょっと正直……。お互いちょっととてもお願いできる状況じゃなくて。これで試合が終わって、それで当然選手同士はわかり合えても、もっとなんか……そうなのかなって思いまして。
俺、まぁこんな事言うのも変な話だけど、棚橋さんの連絡先を知ってまして。こんなのやったら絶対ルール違反だってわかってるんですよ。業界の。でも俺は棚橋さんにメールしたんです。会って話がしたいですって。会って話して、お互い最高のかたちで終わらせたい。最高のかたちを見せたい。そこでいろんな話を棚橋さんとして、その気持ちを試合が終わった後にプレゼンしてみませんかって言ったんです。
したら『面白そうですね』って言ってくれて。会社に通すとダメって言われるけど、俺がやりたいんで。俺も棚橋さんも誰にも言わないで一緒にあの資料を作りました。だからこの後、実際に会社がどういう風な(対応をするか)。まぁわからないけれど、俺は間違っていないというか。
ああいう風なことを、思ってる事をやれるリングでDDTはなきゃいけないと思ってるんで。ちょっとみんなはビックリしたかもしれないですけど。やってしまいました。ちょっと今の俺に言える事はこれだけです。すいません」
ディーノ「(大家に)……みたいですよ」
大家「あの、はい。あの、はい。あの……俺は本当に言ってくれなかったのが悔しいだけで」
ディーノ「何を? ……ちっちぇな、お前!」
大家「ちっちゃいに決まってるだろうが! もともとちっちゃい人間だろうが!」
ディーノ「マッスルの時にも全部大家さんに話していましたかって話ですよ」
大家「確かにな」
ディーノ「変わんねぇんだよ」
大家「変わんねぇんだな。こういうのがないとマッスルじゃないんだろうな!」
ディーノ「そんなこと言うな」
大家「すいません」
坂井「特殊なシチュエーション」
ディーノ「こんな感じですよ。これが38歳の切り取った瞬間なわけですよ」
※HARASHIMA登場
坂井「おつかれさまでした!」
ディーノ「あの……わたしも(棚橋プレゼンは)知らなかったんですよ」
HARASHIMA「あぁ。まずはこういう場を作ってくれた皆さんに感謝だし、そうなんだけれど、あんな事までしてビックリしましたよ、坂井クン(と冷ややかに坂井を見る)。……でも棚橋さんが、僕はリング上で試合をして、試合の中で気持ちは通じたと思っているんで。どういうかたちであれ、試合をやる事で僕は感じるものはあったんですけど、見に来てくれたお客さんに更にわかりやすく説明してくれるのは、やっぱりそこはすごいです。(強調して)わざわざ説明してくれるなんて」
坂井「すごく(棚橋さんは)HARASHIMAさんに対して(何かを)言いたい気持ちはあっただろうし、棚橋さんもリングの上でシェイクハンド。棚橋さんのスタイルもあるだろうし。」
HARASHIMA「まぁ(握手は)しない……」
坂井「ああいうかたちで俺たちの世界観に乗ってくれたっていうのかな、その上で自分の言いたいこと、やりたいこと。HARASHIMAさんに伝えなくてはいけないこと、お客さんに伝えたいことっていうのを言える方法としてこのやり方に賛同してくれたっていうのがすごくうれしくて。これが出来るんだったら俺はもう、どうなっても構わないという気持ちで。それくらいの気持ちでやっていました」
HARASHIMA「僕としては棚橋選手があんなに素直に面と向かって謝ってくれるなんて思っていなかったんで。そこにビックリだし、やっぱりプロレスを、上を目指して楽しい方向にしていこうという、同じ気持ちを持っているんだなって感じられてよかったです。
僕はちょっと一連の発言の後に新日本だけ良ければいいのかなって結構ガッガリした見方をしてしまったんで、彼に対して。そうじゃなく、彼もこっちの世界観に踏み込んでくるし、プロレス界、業界を盛り上げていこうって同じ方向を目指しているってわかってよかったですね。うれしかったです」
ーーモヤモヤという意味ではスッキリした感じですか?
HARASHIMA「そうですね。あんだけ面と向かって謝られたら。スッキリしました」
ーーこれまで聞いたことのないようなHARASHIMAコールで、ファンの期待もすごく感じたんじゃないかと思いますが?
HARASHIMA「そうですね。うれしかったですね、みんなが同じ気持ちでいてくれたことがうれしかったです。非常に心強かったです」
ーー坂井選手は久々にマッスルでの興行をやってみていかがでしたか?
坂井「いやぁやっぱマッスルはこうだっていうのはないんだけど、DDTだからとかマッスルだからというのはないんですけど、マッスルでしかできないこと、マッスルがやらなくちゃいけないことというのを考えて、今回はいろいろ全体の構成とかマッチメークとか。
スゲーしんどかったですよ。しんどかったけど、やんなきゃいけないと思ったんで。自分たちは絶対やんなきゃいけないと思ったんで。それはもう楽しかったって言っていいのかわかんないけど、楽しかったです。棚橋さん、(言い直して)選手、すごいなって。そのひとこと。まぁみんなもそうだと思うけど、DDTのみんなは棚橋選手に最大限のリスペクトの気持ちです。これはマジです。で、すごいなって思いました」
HARASHIMA「すごいね。だってあんな事やって(新日本から)怒られちゃったらね。それでもお客さんにわかりやすく説明してくれて。来てくれたお客さんを満足させるっていう気持ちをすごく持ってる方なんだなって改めて感じました」
ーーちなみにHARASHIMA選手は他団体でも実力を見せるという事については、そこまでは興味ないというスタンスですが……
HARASHIMA「まぁそうですね。出てみるのもいいかなと。機会があれば。やっぱりそれもタイミングだと思うんで。視野は広がりましたね」
ーー2030年のマッスルに向けては?
坂井「……しばらくボケっとしていてもいいですか?」
HARASHIMA「スケジュールは空けておくから」
坂井「わかりました(苦笑)。今回は本当に逃げ切れて……、あ、逃げ切れたじゃないや」
ーーでは14年かけて考えてください。
坂井「はい(笑)。ありがとうございました!」