「生え抜きみたいな顔すればなんとかなるだろう!」潮﨑豪と宮原健斗が10年ぶりの三冠戦を経て電撃和解!

22日、東京都・後楽園ホールにて全日本プロレス『旗揚げ記念シリーズ2025』が開催。53周年の旗揚げ記念日となる今大会で宮原健斗と潮﨑豪の三冠ヘビー級選手権試合が行われた。
潮崎は小橋建太の付き人を経て2004年にNOAHでプロレスデビュー。生え抜きのヘビー級選手としてNOAHの中心人物となり、2009年にGHCヘビー初戴冠後は幾度も王者に。しかし2012年に小橋建太さんが引退を発表すると、秋山準、金丸義信、鈴木鼓太郎、青木篤志さんとともにNOAHを退団。2013年に全日本プロレスに入団するも、2015年に退団しNOAHへフリー参戦。2016年にNOAHに再入団し『I am NOAH』を決めセリフとしていたが、今年9月30日に潮崎のNOAH退団が発表。この退団は潮崎側から申し入れたものだといい「自分を必要としてくれる場所で挑み続けます」と自身が活躍できるリングを求めての行動であることを明かしていた。
潮崎の退団には賛否両論あり、丸藤正道は「俺が彼の肩にノアのジャージをかける事は2度と無いだろう。中途半端な事するなよ」とSNSで発信するなど怒りをあらわに。潮崎が保持していたZERO1の世界ヘビー級王座の管理についてはZERO1側と潮崎側に意見の相違があったものの【TEAM NOAH】の盟友であった小峠篤司がZERO1のリングに出向いて土下座謝罪とともに代理でベルトを返上する男気を見せたことで傍目には潮崎の株が下がる形になってしまった。
そんな潮崎はリングネームを“潮﨑豪”へと変更し、今月11日の全日本プロレス行田大会に電撃参戦。現世界タッグ王者のザイオン&オデッセイら強大な外国人選手を擁するユニット【HAVOC(はぼっく)】の新メンバーとして全日本に本格上陸を果たし、宮原健斗の持つ三冠ヘビー級王座へ挑戦を表明。
宮原と潮﨑の関係は複雑なものがある。
2人はかつて【Xceed】でチームメイトとしてタッグを組み世界タッグ王座を戴冠。2015年3月には潮﨑が持つ三冠王座に宮原が挑戦したこともあるなど切磋琢磨した間柄。しかし潮﨑が2015年9月に全日本を退団したことで世界タッグ王座は返上となり、宮原は1人で放り出される形に。
それでもあのタイミングで潮﨑が退団したからこそ宮原の成長と覚醒が早まったという見方もでき、“期待の若手”の域を脱しきれずにいた宮原が史上最年少三冠王者(当時)となり現在も全日本の太陽のように君臨する今の風景は、潮﨑の退団がなければ見られなかった可能性もある。
こうした過去もあり、宮原は潮﨑の帰還を猛批判。“出たり入ったり”という言葉を基軸に、ユニットやベルトを途中で放り出してきた過去を糾弾し怒り心頭。かつてのように格上として接してくる潮﨑に対して「もう時代は動いてる」と潮﨑の退団から全日本を10年支えてきた者としての意地を口にしていた。
旗揚げ記念日ということもあり、宮原は3本のベルト(PWFヘビー級王座、インターナショナル・ヘビー級王座、UNヘビー級王座)を身に付け、文字通り全日本の歴史そのものを背負った姿で登場。潮﨑はブーイング7、声援3といった中で迎えられる。

試合は序盤にこそ場外戦があったものの、互いが歩んできた10年間をじっくり確かめ合うかのような重厚なレスリングを展開。潮﨑に対してはブーイングが目立つも、激しいエルボー合戦や、快音が響く逆水平チョップの連打を見ると徐々に歓声が勝っていく。
終盤戦に入ると、宮原はブラックアウトで、潮﨑はラリアットを連打して互いに猛攻。潮﨑がゴーフラッシャー、リミットブレイク、豪腕ラリアットと畳み掛け、宮原がカウント2.9で返した際にはこの日一番の健斗コールが贈られる。
潮﨑はアームカバーを外して本気の豪腕ラリアットを狙うが、宮原がカウンターのブラックアウトで顔面をぶち抜き、シャットダウン・スープレックスの体勢。着地した潮﨑が袈裟斬りチョップ。さらにローリング袈裟斬りを狙うが、宮原がブラックアウトで阻止してシャットダウン・スープレックス・ホールド。これで3カウントが叩かれた。
マイクを取った宮原は「潮﨑豪、出たり入ったり!出たり入ったり!ベルトを返上したり!ユニットを野放しにしても……いいじゃねーか!誰だそんなちいちゃいこと言ってた奴は!ちいちゃい人間だねえ!そんな小さいことを言ってる奴の顔が見てみたいねえ!」と絶叫。
宮原は退場しようとしていた潮﨑をリングに呼び込み「全日本プロレスという場所は誰のものでもないんだ。この全日本プロレスは強くてカッコ良くて、デカいヘビー級が集まるリングだ。潮﨑豪、なかなかお似合いじゃねーか?日本プロレスファンで、潮﨑豪の全開ファイト見たいファン、いるだろう?!これは俺の考えじゃないからな。日本のプロレスファンのメッセージだ。俺には関係ねえ!ただよ、お前が選んだ道はHAVOCだ。ただ今日は……ハグしようぜ」と両手を広げる。
一度は拒否した潮﨑だったが、自分から勢いよく宮原にハグ。大・潮﨑コールに「潮﨑!おかえり!」の声が飛ぶ中、潮﨑が涙しながら退場していった。

その後、宮原は「出戻りだろうがフリーだろうが、生え抜きだろうが、俺だってこんなこと言ってるが10年前に移籍してきた身分だ!生え抜きみたいな顔すればなんとかなるだろう!デカい奴が闘うところを見たいだろう?!これからも全日本プロレスはプロレスファンにドキドキワクワクするプロレスを見せるからな!」と宣言。
大会を締めようとした宮原を大森北斗が襲撃し、ドラゴン・スープレックス・ホールド。宮原に挑戦表明を行い、北斗の地元である北海道の札幌大会(11月3日)にて両者の三冠戦が実施されることが決まった。
なお、今大会の休憩明けには11月22日の後楽園ホール大会から開幕する世界最強タッグ決定リーグ戦に潮﨑がHAVOCの芦野祥太郎と組んで出場することが発表。潮﨑が歩み始めた二度目の“王道”はまだ始まったばかりだ。
















