『ザ・ノンフィクション』で大反響のトランスジェンダー女子プロレスラーがプロレス界の変革を叫び「みんなが受け入れてくれたことが私の自信になった」と涙!

11日、東京都・新宿FACEにてPPPTOKYO『Goddess Sanctuary―聖なる祝宴―』が開催。エチカ・ミヤビがHANAKOと2度目のシングルマッチを行った。
『PPPTOKYO』は“令和のバブル”をテーマにセクシー男優のしみけんがアドバイザーを務めるプロレス団体。慶應義塾大学卒の元・博報堂レスラー三富兜翔が総帥としてプロデュースし、シャンパンタワーやテキーラが飛び交うパリピ興行を開催している。
2021年9月には筋肉系YouTuberやセクシー女優としても活躍しているちゃんよたもプロレスラーデビューし、同じく生え抜きの“胸毛ニキ”こと八須拳太郎とともに朝倉未来主催の1分間最強を決める大会『BreakingDown』に出場して一気にPPPの一般知名度を高めた。
さらに、世界中のムービースターが集まる『コミックコンベンション』で外国人来場者へ日本の文化とも言えるプロレスの試合を見せるなど多方面での活躍を見せ、プロレス界の外に向けて大きな話題を振りまいてきた。
そんなPPPから2022年9月にデビューした生え抜き選手第3号が“トランスジェンダー女子プロレスラー”エチカ・ミヤビ。
エチカは高校生までは男性として過ごしていたが、今は女性として人生を歩んでいるトランスジェンダー。元々ちゃんよたが働いているマッスルガールズバー『筋肉女子・マッスルガールズ』でともに働いており、ちゃんよたの試合を見て憧れてPPPへ入門。小学校まではソフトボール、中学では軟式野球に打ち込み、高校では硬式野球で投手として140km/h近い速球を投げた過去もあるなど高い身体能力を持っている。
自らのアイデンティティに悩みデビュー後もプロレスファンから様々な言葉を投げかけつけられてきたエチカだったが、昨年には性別適合手術を受けて身も心も女性に。
エチカの生き様は今年8月にフジテレビの『ザ・ノンフィクション』で放送され、世間から注目される時の人に。トランスジェンダーとしての生き方を引け目に感じていたエチカはあまり自分からは自分の考えなどを表に出してこなかったが、番組を見た視聴者から多くの反響があったことで勇気付けられ“ノンフィクションに生きる覚悟”を固めたという。
PPPの旗揚げ6周年記念の今大会のメインを飾ったのは、エチカの3周年記念試合として行われたエチカ・ミヤビvsHANAKOのシングルマッチ。
2022年9月に178cmのエチカがデビューした際には当時の日本人女子最高身長の記録を更新したが、2023年3月に181cmのHANAKOがデビューしたことでさらに記録更新。
こうした面で名前が並ぶことが多かった2人は2024年9月の『NEW BLOOD 15』にてシングルマッチで対戦。その際にはHANAKOが圧倒的な実力差を見せて勝利したが、エチカは「華々しいリングでやっているHANAKOとは対照的に、私は客1人のフィリピンパブでマットプロレスという泥水をすすってきた。今の私はインディーながらも自信がある」とメジャー団体のHANAKOに対してインディー魂を携えて今回のリマッチに臨んだ。

新旧女子最高身長対決はド迫力のショルダータックル合戦で幕を開け、場外戦で大暴れ。エチカを観客席に叩き込んだHANAKOは、セコンドとして来ていた梨杏をHANAKOの上にボディスラム。さらにPPP団体スタッフである学生プロレスの後輩を引っ掴んでボディスラムでエチカへ投げ落とす。
必死のエルボー連打で反撃するエチカだったが、HANAKOは両手を広げて受け続ける余裕を見せて格の違いを誇示。ナメられっぱなしでいられないエチカはケンカキックの猛連打から打点の高いレッグラリアートで顔面をぶち抜き、強烈な野球チョップでなぎ倒す。さらにSTO、ミサイルキック、チョークボムと畳み掛けてラリアットを放つが、これをキャッチしたHANAKOが白鷺(※肩固め)。

エチカはなんとか振り払うも、HANAKOはホップアップ式のバックドロップから渾身のラリアットを叩き込み、最後はJPコースターを決めて3カウントを奪った。

マイクを取ったHANAKOは「1年ぶりのシングルやな。ずっとアンタと闘うん楽しみにしてたわ。今回も私が勝ったわけやけど、アンタ1年でちょっとは強くなったんちゃうの?でもアンタが1年頑張って泥水すすって成長してる間に、私もスターダムで1年頑張ってここまで強くなってん。でもなエチカ、アンタと試合するんメッチャ楽しいわ。ありがとう」と語りかける。
エチカはHANAKOへの感謝を口にしつつ「2年目のHANAKOと3年目の私でこのメインのリングに立てたことにメチャクチャ意味があると思ってる。この若い力でプロレス界変えてやろうと、帰れるんじゃないかと思ってる!私たちが試合をして、このリングで熱狂する。それは嘘偽りないノンフィクションだと私は思う。だからその嘘のないプロレスで、私たちの若い力でプロレス界を変えてやろうよッ!」と咆哮。
HANAKOも「当たり前やろッ!ウチらはプロレス界の未来や。もっとプロレス界良くして、ウチらで変えてこうな!団体なんて関係ない。インディーもメジャーも関係ない。いつでもどこでもアンタのこと待ってるわ。またやろうなッ!」と熱い雄叫びで応えた。

バックステージに戻ったHANAKOは「この1年でたしかに少しは強くなったのかもしれないけど、彼女もその2倍、3倍……いや、もっと強くなってて。私はその差に打ちひしがれていました。でも絶対に諦めない。プロレス界はリングでつながってるし、彼女とまたやる機会は絶対にあると思う」と3度目の正直を誓う。
そして『ザ・ノンフィクション』放送後の反響でプロレスへの取り組み方や姿勢が変わったかを問われると「私はずっと個性というかトランスジェンダーってことを後ろめたいと思っていて。そこをさらけ出して試合をすると、自分が壊れちゃいそうな気がしていたんです。でも放送を見てくれた人がすごく温かいコメントをくれて、周りの人も『エチカ面白いね、いいね』って言ってくれたことが……私、このままでいいんだって思えて。だから私はあの放送があって、みんなが迎えてくれて、このメインの試合があって、プロレスできてるなと実感してます。みんなが受け入れてくれたことが私の自信になりました」と涙ながらに胸中を吐露した。
