樋口和貞が上野勇希、KANONを連破し、3年ぶり2度目の『KING OF DDT』制覇!「もうこのリングでは生きれないと思いました。今日このリングに立って、最後マイクでしゃべれることが幸せです」

DDTプロレスが5月25日、東京・後楽園ホールで『KING OF DDT 2025 FINAL!!』を開催した。シングル最強決定トーナメント『KING OF DDT 2025』は、樋口和貞が準決勝で上野勇希、決勝でKANONを破り、3年ぶり2度目の優勝を飾り、完全復活をアピールした。
樋口は2022年の同トーナメントで初優勝を果たし、当時空位だったKO-D無差別級王座を初戴冠。2023年1月に同王座から陥落したが、DDTの強さの象徴として君臨した。だが、昨年6月より首の故障のため長期欠場し、3・20後楽園で復帰。1回戦では青木真也、2回戦では正田壮史を下し準決勝に進出した。上野とは2023年11月26日、後楽園での『D王 GRAND PRIX』公式戦以来のシングル戦で、その際は樋口が敗れている。
上野のスワン式フランケンシュタイナー、ブラックアウトスリーパー、Jul.2、ドロップキックを耐えた樋口は上野のWR狙いをラリアットで阻止。さらに上野のスタンド式シャイニング・ウィザードをラリアットで迎撃。最後はクロースラムでトドメを刺して決勝進出を決めた。
もう一つの準決勝ではKANONが岡谷英樹と激突。両者は昨年初頭、抗争を繰り広げていたが、同年3月30日、横浜ラジアントホールでの一騎打ちでKANONが勝利。岡谷はこの敗戦で傷めていた左ヒザの治療のため長期欠場することを決断。1年弱が過ぎ、岡谷は2・23後楽園でKANONを襲撃し、ダムネーションT.Aに電撃加入し、KANONが追放された。その後、1年越しの遺恨が立場を変えて再燃していた。KANONは岡谷の竹刀攻撃に苦しめられたが、ラリアット連打で反撃。最後はスリーピーホロウ、ラリアットからLONELY DEZIRES(変型フェースバスター)で3カウントを奪い、初の決勝進出を果たした。
決勝は樋口vsKANONというフレッシュな顔合わせとなったが、激しいチョップの応酬に。さらにはラリアットの相打ちを連発。KANONは必殺のコブラツイスト2.0で締め上げるも、樋口は口に手を入れてあごを握り締めると、そのままクロースラムで両者ダウン。その後は壮絶なチョップのラリーとなり、樋口はダブルチョップを連発。KANONはラリアット6連打でぶっ飛ばす。蘇生した樋口はヘッドバット、ラリアット、ドクターボムとたたみかけるもカウントは2。樋口はクローで締め上げるも、脱出したKANONはラリアット。ところが樋口はそのままクローで捕獲し、最後はクロースラムで叩きつけて3カウントを奪った。
3年ぶりに優勝トロフィーを受け取った樋口は「優勝しました! 欠場して、正直もうこのリングでは生きれないと思いました。そこからここまで一つ一つ、一歩一歩進んでいって、今日このリングに立って、最後、後楽園、マイクでしゃべれることが幸せです。石田有輝、吉村直巳、中津良太、ハリマオ、いつも横に立っててくれてありがとう。そして、このトーナメントに出た選手たち。今日お集りいただいたお客様方、本当にありがとうございました」と歓喜のマイク。
バックステージで樋口は「対戦相手、すべての人たち、ハリマオ。1回戦から戦った青木真也、正田壮史、上野勇希、KANONにも、トーナメントに出たすべての選手に感謝です。ハリマオの3人にはホントに助けられて、欠場中も勇気づけられたりしたので。優勝できて感無量です」とケガを克服しての優勝に感慨深げ。そして「ただ、DDTにはトーナメント優勝というのがあって。もう一つありますよね。ベルトが…。KING OF DDT優勝者として、ベルトを狙っていければと思ってます」とクリス・ブルックスの持つKO-D無差別級王座への挑戦を視野に入れた。
かたや、初優勝がならなかったKANONは「強いわ、樋口。5月、すごい、今まで以上に、DDTに来て一番充実してました。また絶対KO-Dに挑戦する権利、自力で獲って、今度こそつかみたい。絶対頂点獲ります。悔しいけど充実感あります。DDT入団して本当によかったです」と悔し涙を流した。
準決勝で消えた上野は「優勝したかった。悔しい。でも、気持ちよかった。あれが僕たちが大好きな樋口和貞。タケちゃん(KONOSUKE TAKESHITA)、MAOちゃんが海外、新日本に自分たちの持つものを持って行き、すごい奴ら、勢いのある奴らと評価され、それは2人にしかできない。でも、自分たちは外に出ないと勢いがあるように言われないのか。僕はDDTがプロレス界にも世界にも、パワーのあること、夢のあることを伝えないといけない。だから優勝しないといけなかったし、チャンピオンにならないといけなかった」と唇を噛んだ。