【試合詳細】9・26 ストロングスタイルプロレス後楽園ホール大会 【レジェンド王座】村上和成vs船木誠勝 【SSPW女子タッグ】ジャガー横田&藪下めぐみvs本間多恵&優宇 スーパー・タイガー&永田裕志vs間下隼人&関根“シュレック”秀樹 Sareee vs ZONES

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『初代タイガーマスク ストロングスタイルプロレスVol.30』
日程:2024年9月26日(木)
開始:18:30
会場:東京都・後楽園ホール
観衆:1388人(満員)

▼シングルマッチ 20分1本勝負
△高瀬みゆき(フリー)
11分11秒 両者リングアウト
△尾﨑妹加(フリー)

▼タッグマッチ 30分1本勝負
日高郁人(ショーンキャプチャー)/●岩﨑永遠(BURST)
10分17秒 デスバレーボム→片エビ固め
○ダーク・ウルフ(DarkerZ)/阿部史典(格闘探偵団)

▼STOMPING presents シングルマッチ 20分1本勝負
○Sareee (フリー)
7分42秒 ダイビング・フットスタンプ→片エビ固め
●ZONES(Evolution)

▼タッグマッチ 30分1本勝負
○スーパー・タイガー/永田裕志(新日本)
13分13秒 牙斬→片エビ固め
間下隼人/●関根“シュレック”秀樹(ボンサイ柔術)

▼WメインイベントSSPW認定女子タッグ選手権試合  60分1本勝負
【王者組/CRYSIS】ジャガー横田(ディアナ)/○藪下めぐみ(フリー)
18分57秒 飛びつき式腕十字固め
【挑戦者組】●本間多恵(フリー)/優宇(EVE)
※初代王者組が2度目の防衛に成功。

▼Wメインイベント② レジェンド選手権試合 60分1本勝負
【王者】○村上和成(フリー)
7分14秒 殺人キック→エビ固め
【挑戦者】●船木誠勝(フリー)
※第18代王者が初防衛に成功。

村上和成が船木誠勝との18年越しの死闘で激勝し永田裕志を逆指名!初代タイガーマスクが盟友・小林邦昭さんを追悼

オープニング


 大会開始に先駆け、平井丈雅代表が挨拶を行った。

平井代表「皆様、本日は……いえ、本日も“初代タイガーマスク”佐山サトル……“過激な仕掛け人”新間寿が新日本プロレスに入門させて生み出した“初代タイガーマスク”佐山サトルが主催致しますストロングスタイルプロレスにお越しいただきまして誠にありがとうございます。2024年、もう間もなく2025年の年も見えてきました。佐山サトル総監がプロレスの、猪木会長から受け継ぐストロングスタイルを世の皆さんに提唱したいと話をしたのが2005年1月23日でございました。その日に佐山総監に『6月9日に後楽園ホールを押さえている。猪木会長のストロングスタイルをもう1度皆様に伝えたい。そのためにプロレス団体を始める』とお告げになられました。ストロングスタイルプロレスが設立され、初代タイガーマスクを生んだ“過激な仕掛け人”新間寿会長もすぐに合流され、多くのここにいる皆様、そして一般社団法人初代タイガーマスク後援会が出来、佐山サトルはさらに強くストロングスタイルプロレスを推進していく形になりました。もう間もなく、20年を迎えます。その中で佐山サトルはプロレスを愛し、武士道を構築し、国体を愛する佐山サトルがこの20年間、色んなことがありました。その佐山サトルを支えてくれたのが、今日ここにいらっしゃる皆様です!本当にありがとうございます!そして佐山サトルと40年前に新日本プロレスのリングで最大のライバル、そして最良の先輩・後輩としてお互いに尊敬し合い、切磋し合い、愛し合った小林様が先般あのような形で天国に召されました。佐山サトル、そして息子の聖斗くんとともに最後のご挨拶を小林邦昭様にさせていただきました。本日はここにいらっしゃる皆様とともに、新間寿とともに、ここにいる皆様とともに、小林邦昭様を、尊敬の念を以て10カウントゴングを一緒にさせてください。第3試合終了後に佐山サトル、そして新間寿が皆様の前にご登場させていただきます。そのときはいつものようにこのパネル(※タイガーマスク応援パネル)を掲げていただき、そして10カウントゴングの際には是非、小林様への我々の感謝を込めて(※ボード裏面の)掲げていただきたいと思います。全6試合、佐山サトルが認めたストロングスタイルを継承する試合が第1試合からメインまで行われます!皆様!1秒たりとも目を離さずにご覧いただければと思います!宜しくお願い致しますッ!!」

第1試合


 互いにしっかり握手を交わしてからゴング。
 ロックアップでの力比べから妹加が押し込み、離れ際にエルボー。高瀬が「ナメんな!」と逆水平チョップを打ち込んでいき真っ向からの打撃戦。高瀬が低空ドロップキック連打で場外に落として打撃戦のラウンド2。妹加がアルゼンチン・バックブリーカーで担ぎ上げ、リングサイドを練り歩いて会場を沸かせる。

 妹加は高瀬をリングに戻してエルボードロップから串刺しラリアットを狙うが、高瀬がミサイルキックで迎撃。高瀬が串刺しラリアットからダイビング・ラリアットを放つが、キャッチした妹加がそのまま担ぎ上げてマイカバスターを狙う。高瀬がこれを切り返して卍固めに捕らえるが、妹加が倒れ込んでロープを掴む。

 高瀬が投げようとするが、妹加が着地して延髄ラリアットからサイド・スープレックス。さらにアルゼンチン・バックブリーカーからアルゼンチン・バスターで叩きつけ、セカンドからのダイビング・セントーンを発射。これをかわした高瀬がスピアーからダイビング・ギロチンドロップを見舞いえびす落としを狙う。これを振り払った妹加がラリアットで叩き伏せ、セカンドからのダイビング・セントーンをクリーンヒット。

 さらに妹加がアルゼンチン・バックブリーカーからアルゼンチン・コースターで叩きつけ、コーナートップに上がる。高瀬が追いすがって雪崩式ブレーンバスターで叩きつけ、ラリアットを狙うも下からすくい上げた妹加がスパイン・ボム。

 ダブルダウンから両者ふらふらと起き上がって打撃戦。妹加はエルボー、高瀬は逆水平チョップで打ち合っていき、競り勝った高瀬がラリアットを発射。妹加もラリアットで迎撃して正面衝突が続き、妹加がロープワークを駆使してラリアットでなぎ倒す。妹加はさらにラリアットで追撃を狙うが、高瀬がロープを引き下げて場外に落とし、エプロンからミサイルキック。さらにエプロンからの攻撃を狙うが、妹加がリバース・マッケンローで刈り倒し、場外でアルゼンチン・バックブリーカーから跳ね上げてシュミット式バックブリーカー。
 エプロン上での打撃戦から妹加がブレーンバスターを決め、ともに場外に落下。場外でのラリアット合戦から高瀬がDDTを決めてリングに戻ろうとするが、妹加が必死に妨害。そのまま場外カウントが進み、両者リングアウト決着となった。

 当然2人は収まらず殴り合いを続け、互いに指を突き立て合って再戦を求めた。

第2試合


 日高と阿部の対面でゴング。リストロック、ヘッドロックの応酬からテクニカルなグラウンドの攻防が展開され、巻き投げからのヘッドシザースでじっくりと首を取り合う。クリーンブレイクから両者タッチ。
 岩﨑とウルフの対面となり、ロックアップ、ショルダータックルで力比べ。これは圧倒的に有利なウルフが余裕の遠吠えを行いながら受け止め、ショルダータックルからひっかき攻撃を連打。さらに串刺しラリアットを狙うも岩﨑がビッグブーツで迎撃して日高にタッチ。
 日高はミドルキックを連打も、ウルフが余裕で受けきって逆水平チョップ一発でなぎ倒す。さらにエルボー連打でコーナーに叩きつけ、阿部にタッチ。

 阿部は強烈な張り手から低空ドロップキックでヒザを打ち抜き、回転浄土宗からサッカーボールキック。さらにスリーパーホールドでじっくりと絞り上げていくが、日高が頭を抜いてロープに飛び低空ドロップキックを発射。これをかわした阿部は再び強烈な張り手からロープに飛ぶが、日高がアイルビーバックからのニールキックでやり返して岩﨑にタッチ。
 岩﨑はエルボー連打からランニング・エルボー、ブレーンバスターと連撃。さらにラリアットを放つも、阿部がフランケンシュタイナーで迎撃してウルフにタッチ。

 ウルフは串刺しバックエルボー連打からフェイスクラッシャー、エルボードロップと連撃してコールを煽りながらデスバレーボムを狙う。これを日高がカットし、阿部を踏み台にウルフへスイングDDTを見舞うアシスト。岩﨑はウルフの巨体をブレーンバスターで投げ切り、ラリアットをアピールしながらロープに飛ぶ。ウルフはこれを真っ向からラリアットで迎撃し、打ち合いの末に岩﨑を木の葉のようにふっ飛ばす。
 日高がカットに入るも、阿部がアイル・ビー・バック式伊良部パンチを叩き込んで排除。最後はウルフがアバランシュ・ホールドからデスバレーボムを決めて3カウントを奪った。

第3試合


 ゴングとともにZONESが突っ込んでショルダータックルでふっ飛ばし、Sareeeのクロスボディをキャッチしてボディスラム。そのままカバーに入るが、Sareeeがブリッジで抜けてロープに飛び、強烈なドロップキック。

 Sareeeはヘアホイップを連発してコーナーに叩きつけ、顔面をグリグリと踏みつける。リストロックの応酬となるも、ZONESは腕に噛みついて脱出。怒ったSareeeが凄まじいエルボーでふっ飛ばして逆エビ固め。さらにダブルレッグロックからキャメルクラッチに変形させていくが、再びZONESが腕に噛みついて脱出。
 Sareeeがブレーンバスターを狙うが、ZONESがボディスラムで切り返す。引き起こそうとするが、Sareeeが低空タックルで倒してマウントエルボー連打。ロープに飛ぶがZONESがショルダータックルでなぎ倒し、2発目、3発目と続ける。さらに逆水平チョップを見舞いながら「来いよ!」と両手を広げてSareeeのエルボーを要求。


 足を止めての打撃合戦が展開されていき、ZONESが連打で打ち勝ってバックフリップ。続けて串刺しラリアット連打からダイビング・エルボードロップを決め、ジャーマン・スープレックスを狙うもSareeeがカサドーラ・フットスタンプで切り返す。さらにフィッシャーマンを狙うが、振り払ったZONESがラリアットからデスバレーボムを狙う。Sareeeが暴れて着地するとZONESがロープに飛ぶが、Sareeeが追走ドロップキックから貫通ドロップキック。
 Sareeeはフィッシャーマンズ・スープレックス・ホールドからダイビング・フットスタンプを投下して3カウントを奪った。

 試合後、Sareeeが笑みを称えながら握手を求めるが、ZONESはその手をはたき落として掴みかかる。Sareeeは余裕で対処してZONESを場外へと放り出した。

 その後はプロレスファン専用のSNSアプリ 『STOMPING(ストンピン)』のストンピンマスクによってSareeeへ勝利者賞の贈呈が行われた。

小林邦昭さん追悼セレモニー


 小林邦昭さんの追悼セレモニーには、“初代タイガーマスク”佐山サトル、“過激な仕掛け人”新間寿、和田政宗コミッショナー、平井丈雅代表、永田裕志、船木誠勝、スーパー・タイガー、間下隼人、日高郁人、和田良覚レフェリー、テディ・ペルク国際部長、初代タイガーマスクマスコットガールの野尻栞里さんを始めとした初代タイガーマスク応援少年少女隊の皆さんが出席。

 まずは新間寿会長から挨拶が行われた。

新間会長「皆さんこんにちは。私は今年89歳になりました。力道山先生から始まり、アントニオ猪木、ジャイアント馬場、タイガーマスクを創り、そしてタイガーマスクの良き相手であった小林邦昭さん。多くの人々をリングサイドからお送りしました。その思いを護る者は、私は力道山でありアントニオ猪木、そしてジャイアント馬場、この3人の人々の下でプロレスは連綿と続いてまいりました。川の流れは絶えずして『ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず』(方丈記)。多くの人々がこのリング上から旅立ち、そしてこのリングの中で多くの人々に喜びを与えながら、このリングから去っていきました。今89歳になって思うこととというのは、アントニオ猪木というのは、本当にすごい人だった。ジャイアント馬場さん、この人も本当にすごい人だった。力道山道場で私は入門してベンチプレスを一番最初は40kgしか上がりませんでした。それがいつの間にか200kg上がるようになりました。私は今日ここで多くの人々とともにまたお会いできるという喜びを噛み締めながらご挨拶をさせていただきます。今日はご来場、誠に、誠にありがとうございます」

 続いて、佐山サトル総監が挨拶を行っった。

佐山総監「本日はご来場いただきまして誠にありがとうございます。17歳から18、19、20歳とこのリングの上で小林邦昭さんとともに高め合って最高の試合を行ってきました。小林さんは僕を後輩でありながら引っ張り上げてくれました。亡くなる1週間前に『俺たち良い試合をしたなぁ』と小林さんが言いました。僕はタイガーマスクの試合のことかと思ってたんですが、彼が言ったのは若手の時代。僕たちは70試合もやりながら、僕は1回も小林さんに勝てなかった。その時代のことを言ってました。その思い出に2人で浸りながら、『お互いに病気が治ったら飯食いに行こうな』という話をして、それが最後の会話になりました。非常に残念です。17歳から今、20年経ちますが……(※会場ややウケ)ちょっと違いましたね(笑)小林さんは僕にとって良きライバルであり恩人でもあり、僕のプロレス……“タイガーマスク”を創ってくれた人間であり、新間さんに引き上げられながらタイガーマスクを創った。ストロングスタイルの動きは道場で小林さんに作ってもらって、お互いにすごいライバルでありました。ベビーフェイスとヒールという、タイガーマスクと虎ハンターという、そんなことは一切関係なくライバルでした。タイガーマスクの試合は我々の時代、道場での動きをそのままリングの上でぶつけ合っていました。そして時は流れ、この歳になってもお互い尊敬し合っていました。小林さんが亡くなって……永遠の眠りについたことは。非常に残念で仕方ありませんでした。今、小林さんはこの会場に来ていると思います。必ず小林さんのために、プロレス界を新間さんと一緒に盛り上げていきたいと思います。本日はありがとうございました」

 その後は小林邦昭さんに捧げる10カウントゴングが打ち鳴らされた。

<セレモニー後コメント>

初代タイガーマスク&新間寿会長
――10カウントゴングを聞いているときにどんな思いだったか
タイガー「いろんな時代があったことを思い出しちゃってね。若い頃の試合を思い出しました。非常に残念です」
新間「猪木さんは海外に行くときに『新間、お前も一緒に行ってくれ』って。なぜかって、私がトレーニングをやるから、猪木さんはヨーロッパで右の肩をローラン・ボックに受け身を取りそこねて3日くらいトレーニングが出来なかった。私はその時に熱を持っていたので冷やさなければならない。ちょうど私が冷やす器具を持っていったものだから、猪木さんのベッドの脇でその機械をずーっと12時から朝の6時まで当て続けた。そのときに猪木さんから初めて、本当に初めてだけど、『新間、ありがとうな』って言われたんだ。その言葉が嬉しくて嬉しくて。『ああこの人のために自分は一生費やしてもいい』って気持ちにさせてもらって。佐山サトルって人が新日本プロレスに来たときに僕が何を感じたかって、この佐山サトルっていう人のお父さんに会いたいと思った。この15歳の子がこういう対応ができるような、一生懸命になって自分が新日本プロレスに入りたいというこの熱意が、私の机のところで直立不動になって僕にお願いしている姿を見たときに、彼のお父さんっていうのは彼を本当にいい形で育てたなと。僕は佐山サトルを採ったのではなく、佐山サトルのお父さんを僕は彼から見て佐山サトルを新日本プロレスに入れた。1人1人、僕は一番長くプロレスに関係してる。力道山道場以来だから。力道山先生がどういうことをやったかってことを私は知ってる。でもあのひとっていうのは本当にトレーニングがすごかった。ヘッドロック1つで土佐の花って人を10秒間経たない内に落としてしまった。レスラーっていうのはすごいなと。トルコさんなんか、50kgの重りを頭からぶら下げて100回、200回と首を上下させるトレーニングをしていた。まぁ~力道山道場から新日本プロレスの道場っていうのは本当にすごい道場だった」

――プロレス界に素晴らしいライバル関係はいっぱいあったと思うが、佐山先生と小林さんはどうだったか
新間会長「いやぁ~、嬉しかったねえ。佐山サトルと小林邦昭の試合だなんて、やっぱタイガーの試合ってのはね、控室から外国人選手がみんな出てきて見てたんだ。ニューヨークに行ったときだって、控室に入り切らないくらいに選手たちがタイガーに会いに来たんだ。それでビンス・マクマホン・シニアが『新間、頼むからタイガーを3ヶ月ニューヨークに貸せ』って言うんだ。こっちはもう、とてもじゃない。日本のプロモーターたちはタイガーマスクが出るっていうんで試合を勝ってくれてた。2試合でも3試合でもタイガーが出るんだから。新日本プロレスっていうのは新日本プロレスの宝だと思う。一番最初にマスクを被って出るときには、控室が掃除小屋だったよね。蔵前国技館の。道具部屋でこんな狭いところでホウキも立ってて、そんな狭いところで2人でマスクをかぶせたら、マスクが合わなくて。佐山ちゃんは『新間さん、なんとかなりますよ。大丈夫ですよ』って。まあ、彼はなにはともあれ……」

――新間会長から見て初代タイガーマスクの最大のライバル・小林邦昭さんとはどういう存在だったか
新間会長「小林邦昭っていうのはねえ、僕が知らないところでタイガーの覆面を試合中かなんかに自分で出ていってタイガーのマスクを取っちゃったんだよ。それでひっちゃぶって(=引き裂いて)、ひっちゃぶったマスクを試合中に投げちゃった。こっちは頭に来てね。『小林!お前ふざけんな!』ってね。それくらい彼はタイガーに対して、自分と一緒に闘わせたいってことを彼は自分で作り上げた。そういうレスラーってのは新日本プロレスはほとんどそういうレスラーだった。誰とでもやってやる。誰の挑戦でも受ける。ただ、鎖鎌でやりたいって奴が来たときは本当に困った。まあ新日本プロレスはアントニオ猪木によって立上がって、猪木さんで持って来たけど、タイガーマスクになってからまた世界中に新日本プロレスの試合の申込みが。それくらいタイガーマスクってのは……嬉しかったなあ。私が入れたときは猪木さんが『新間、お前こんなちんこいの入れてどうするんだ』って。私が『社長、私が佐山サトルを入れたときにあなたなんて言いました?』って聞いたら『俺はなんにも言わねえよ。新間が勝手に入れたんだ』って。ちんこいのではグラン浜田ってのがいたんだ。『浜田と佐山なんてタッグでメキシコでしか使い物になんねえぞ』って。そんなことは無いと思ってね。マスコミとプロモーターに言わせてもらえばタイガーマスクなんてすごかったんだ。ニューヨークなんて3ヶ月貸してくれって言ったんだ。嬉しかったなあ~」

――小林邦昭さんの印象は
新間会長「トレーニングがすごかった。新日本プロレスっていうのは1人がやるとそこについて全員がトレーニングをやるんだ。猪木さんがすごかった。トレーニング、トレーニング、トレーニング、トレーニング。だから猪木さんが海外に行くときには『新間、お前も一緒に行こう』って言うんだ。私はイスを3つ並べて腕立て伏せを毎晩1000回やったからね。選手がやるなら俺も出来るんだってね」

 新間会長の思い出話が続く中で後半戦開始のゴングが鳴ってしまい、インタビューは終了となった。

第4試合


 4人それぞれ緊張感あふれる雰囲気の中で握手を交わし、スーパーと間下の対面でゴング。

 互いに小刻みなステップを踏みながらローキックで牽制し合い、スーパーがボディへミドルキックでクリーンヒットを奪いヘッドロックへ。さらにショルダータックルでぶつかっていくが、真下は倒れず耐えて逆にショルダータックルでなぎ倒す。スーパーはすぐ起きてロー、ミドルのコンビネーションからソバットをみぞおちに突き刺す。思わず間下も下がっていき、両者タッチ。

 永田とシュレックの対面。緊張感のある手4つからがっぷり組み合っていき、ロープに押し込んだシュレックが離れ際にエルボーを見舞う。永田が怒涛のローキック連打も、シュレックはまさかのノーダメージ&ノーリアクション。焦った永田がハイキックを放つも、シュレックはこれをキャッチして持ち上げ、相手コーナーへと叩きつけてから永田を下がらせる。
 スーパーとシュレックの対面。シュレックがアップライトで構える中、スーパーはがら空きの足へローキック連打。これもシュレックはノーダメージ&ノーリアクション。しかし、スーパーがソバットをみぞおちに突き刺して怯ませるとブレーンバスターを狙う。シュレックはクラッチを切って脇固めも、永田がすぐにカット。シュレックはスーパーにヘッドバッド連打から間下にタッチ。

 間下はスーパーに首投げからサッカーボールキック。コーナーで控える永田へビッグブーツを見舞って落とし、小林邦昭さんを思わせるマスク剥ぎを狙うがすんでのところで失敗。シュレックにタッチ。
 シュレックは永田に見せつけるかのようにスーパーへショルダーアームブリーカーを連打していくが、スーパーがオーバーヘッドキックで後頭部を的確に撃ち抜いて永田にタッチ。

 永田はビッグブーツからミドルキックを連打。さらに串刺しビッグブーツからエクスプロイダーで叩きつけ、ロープに飛んでビッグブーツ。シュレックは倒れず耐えてベイダーハンマー連打からアバランシュ・プレス。間下にタッチ。

 永田と真下の対面となり、足を止めてのエルボー合戦が展開。永田が連打で打ち勝ってブレーンバスターを狙うが、間下が逆にブレーンバスターで投げ飛ばす。追撃を狙うが、永田が振り払って浴びせ蹴りをクリーンヒット。両者タッチへ。

 スーパーとシュレックの対面。スーパーも浴びせ蹴りを放つが、シュレックはキャッチしてボディスラム。間下とともにサンドイッチ式ラリアットを叩き込み、間下のFSRからシュレックのジャーマン・スープレックス・ホールドが決まる。これは永田がカットするも、シュレックは敵2人へ同時にアイアンクロー。なんとか振り払った永田が延髄切りを見舞い、スーパーもスピンキックで追撃。

 スーパーがローキック連打からローリング・ソバット。これを間下がカットも、永田が間下をナガタロックIIで制圧。スーパーもチキンウィング・フェイスロックでシュレックを捕らえてサブミッションの競演。


 スーパーが顔面へのローリング・ソバットを叩き込むとシュレックがバタリと倒れる。永田を振り切ってきた間下がジャンピング・ケンカキックでスーパーを吹っ飛ばすが、永田もビッグブーツで間下を排除。シュレックが永田にラリアットも、スーパーがシュレックにスクリュー・ハイキック。さらに顔面へのハイキック、飛び膝蹴りを見舞うも間下がカット。
 永田が間下をナガタロックIIで押さえる中、スーパーがシュレックを牙斬(※ブレーンバスターで持ち上げ、前に落としながら顔面へ膝蹴りを見舞う)で3カウントを奪った。

 試合後には全員で健闘を称えながら握手を交わし、永田&スーパーは勝利の敬礼ポーズを決めた。

<試合後コメント>

間下隼人
「おい永田裕志!勝った気になってんじゃねーぞコノヤロー!いつでもシングルしてやるよ!ストロングスタイルプロレスはなあ、ベルトがあろうがなかろうがな、俺が引っ張っていくってもう決まってんだからオイ。あぁ?ミスターIWGPだ?超虎だ?佐山サトルの一番弟子だ?恩返ししたいだ?クソッタレなこと言いやがってよ!全員ぶっ殺してムチャクチャにしてやるからな!」

永田裕志&スーパー・タイガー
永田「ありがとうございました」
スーパー「ありがとうございました!」
永田「リング上でタイガーの本名言わなくて良かったよ(笑)」

――改めて、2人でタッグを組んだ感想は
永田「やっぱキレがありますね、スーパー・タイガー。佐山先生のお弟子さんだけあって蹴りとかスピンキック系のキレは素晴らしいなと思いますよ。それをプロレスにいい感じに入れていけば。もうちょい場数も必要かなって。いい部分ばっかりじゃなくて、場数はもうちょっと踏めたらいいかなと」
スーパー「ミスターIWGP、子供の頃から見ていた永田選手の背中を実際間近で見て、深みというものがやっぱり、そうそうに物真似できるものじゃないですし、レスリング、そして打撃の1つ1つも本当に深みの一言というか。今、本当に僕が到達できないところですけど、必ずそこに少しでも近づけるように。それがまた佐山先生、そして猪木会長に対する恩返しだと思っています」

――小林邦昭さんの追悼セレモニーに出たときの感想は
永田「今日、僕がこのストロングスタイルプロレスに参戦できるようになったのも、最初は元はと言えば、小林邦昭さんが僕自身を佐山先生に引き合わせてくれたことがキッカケですから。今から31年……32年ぐらい前ですかね?あの大宮のシューティングジムに小林さんが。僕が蹴りを覚え始めたころで『佐山のところに連れて行ってやるよ』って小林さんが言ってくれて、大宮のジムに連れて行ってもらってそこで手ほどきを受けたのが最初で。そこから何度か教えを乞いにお邪魔しましたし、それ後もいろんな会場でお会いしたときに佐山先生に声をかけていただけるようになって。まあ、佐山先生はUFOの一員として新日本プロレスに来られたときも、猪木会長と毎朝闘魂棒を持って佐山先生と一緒に多摩川をずっと歩いて合同トレーニングをやったり、その間に当時出だした総合格闘技の技術というものを一緒にやらせていただいたり。蹴りもそのときに教わりましたし、その他にもいろんな相手をテイクダウンする技術とか、そのタイミングとかを教わって。それもすべて小林邦昭さんが僕を佐山先生に引き合わせてくれたことがキッカケなんで。今日ももしかしたら小林さんが見ててくれているなら、僕がこのストロングスタイルプロレスに上がっていることを喜んでくれているんじゃないかと思ってます」
スーパー「僕も佐山先生について最初に格闘技として入って、道場というか寮がありまして。そこに小林邦昭さんが来てくださって、新日本プロレス伝統のちゃんこの作り方を最初にやってもらったのが始まりで。そこから大会でお会いして、僕にとっては佐山先生とは違った親戚のおじさん的なすごい身近な方だったので。それがこういう形になって。先輩たちも猪木会長もそうですし、少し寂しい思いは。その分もっともっと頑張って先輩たちに少しでも安心してもらえるように。その思いが今回すごい強かったですね」

――シュレック選手と対戦しての感想は
永田「怪物的なパワーで蹴りいくらやってもなかなか効かないし。もうちょっと踏み込んで、蹴り一辺倒でもしょうがないなと思って牽制したんですけど、効かないですね、あの身体。もろ差しを取ったから『よし、ぶん投げてやろう!』と思ったけど、腰が重かったし。やっぱり、いくらぶち込んでも『ウガーッ!』って顔してガーッと来られると『おいおいおい?!』。ちょっと人間離れした生命力というか……なんていうのかな、強靱な耐久力というのを感じましたね。格闘技の片手間ではなくて本当の意味でプロレスに参戦されたら、もっととんでもない可能性を持っているんでね。かと言って総合格闘技でも貴重な選手ですから、僕がどうこう言うことじゃないかもしれませんけど、すごい選手、世の中にはああいう選手がいるんだなってのをちょっと感じました」

――ストロングスタイルプロレス初参戦を終えての感想は
永田「そうですねえ、初めて会う選手ってのは……女子の選手は初めて会う人がいましたけど、男子の選手は結構会ったことがある人が多いので、そんなに違和感なく。会場の雰囲気も不思議と明るかったというか僕に対して好意的だったんでね。やっぱその中でシュレック選手と目が合ったときは強烈な……なんて言うんですかね、バチバチ来る視線もぶつかり合ったし、間下選手も僕に敵意とは言わないですけどすごく意識を感じました」

――名前通りの“ストロングスタイル”を感じたか
永田「まあ、ストロングスタイルっていう定義はどこにあるかというといろんな意味があるんですが、やっぱここの団体はここの団体なりのストロングってのをいろんな選手たちが模索しているんじゃないかなと。ガンガンぶつかり合って、蹴っ飛ばして、でもそれだけじゃダメだし。なにがストロングスタイルなのか、僕も32年間、新日本でそういうものをずっと追究している。まだわからないですけどね。彼らも分からないながらも追究しているのは試合を見て感じました」

――今後の参戦はあり得るか
永田「オファーをいただければ。とりあえず今回まあ、ずーっと10年以上前からリアルジャパンプロレスのときから参戦を熱望していたんですが、なかなかいろんな大人の事情でこちらに参戦は出来なかったんです。だから、今年新日本プロレスの菅林会長にお願いしたところ、こういう形で参戦が決まったのでよかったです。だからもし呼んでいただけるならありがたく参戦させていただきますし、永田が不要ということだったら仕方ないですね」
スーパー「今日のお客さんのこの爆発力というのは永田選手が来てこれだけ盛り上がったと思うので。またぜひストロングスタイルに」
永田「呼んでください」
スーパー「間下もそうですし、シュレック選手も、他の選手も永田選手を意識してバチバチ来てたと思います。僕自身も味方だけじゃなくて」
永田「やってないですもんね」
スーパー「そうですね。そういう形もまた」
永田「日体大らしいからね。日体大の大学の後輩だって自分で言ったもんね?(笑)」
スーパー「また1つ別のところでも繋がりがあって。永田選手、キックボクシングのジムで伊原ジムってところに」
永田「お!よく知ってるね」
スーパー「伊原会長が僕の同郷なんです。元々伊原会長は目黒ジムってところで。沢村先生の。僕はそこで。藤本会長が佐山先生と同郷で。山口。そこでヘビー級を探してるっていうので僕が藤本会長から」
永田「あぁ、そうなんだ!詳しいねえ、なんか!」
スーパー「色々御縁がありまして」
永田「あすこは5年前までいたけど、ヒザの調子が悪くなってそこから行かなくなっちゃった」
スーパー「今は新日本キックも結構大変みたいですね」
永田「……そういうことは言わないほうがいいぞ。いまのなし。カット(笑)」
スーパー「また色々よろしくお願いします!」
永田「ありがとうございました!」

第5試合


 薮下と優宇の対面でゴング。
 優宇が手4つを求めるが薮下は相手の土俵には応じず距離を取る。優宇がロックアップで組付、押し込んで逆水平チョップからショルダータックル、セントーンと連撃。本間にタッチ。

 本間&優宇がダブルのショルダータックルを見舞い、優宇が本間を背負う形でダブルのボディプレス。さらに本間がコーナー上からぶら下がり式腕十字固めからミサイルキックを放つが、これをかわした薮下がお返しのぶら下がり式腕十字から腕へのダイビング・フットスタンプ。ジャガーにタッチ。

 ジャガーが出てくると腕関節の取り合いを制した本間が脇固めに捕らえるが、ジャガーはゆうゆうとロープへ逃れ、顔面かきむしりからロープに振ってバックエルボー。さらに髪を掴んで引き回しながら薮下にタッチし、コーナーで本間の顔面を踏みつける。
 薮下はボディスラム連発からロープにくくりつけてジャガーとともに顔面踏みつけ。ジャガーにタッチ。

 ジャガーはDDTからパイルドライバーといきなりの大技も本間は必死にロープを掴む。ジャガーはさらにDDTからグリグリと顔面を踏みつけ、コブラツイストへ。薮下にタッチ。

 薮下は首投げからスリーパーホールド。優宇がカットして救出を試みるも、薮下は逃さず捕らえてヘアホイップからコーナーで顔面踏みつけ。さらにアキレス腱固めに捕らえるが、本間は必死のロープブレイク。薮下は執拗に本間のヒザを踏みつけてからジャガーにタッチ。

 ジャガーはバックドロップからパイルドライバー。敢えてカバーには行かず観衆にアピールしてからロープに振っていくが、本間がドロップキックでやり返して優宇にタッチ。

 優宇はジャガーに逆水平チョップ連打。ジャガーが絡め取ってコブラツイストを狙うが、優宇は余裕で振りほどいて小脇に抱える。カットに来た薮下も小脇に抱え、2人にまとめてサイドバスター。さらにジャガーへボディプレスから投げようとするが、ジャガーが十字架固めで切り返し、高角度DDTで突き刺して薮下にタッチ。

 薮下は黒帯で優宇を滅多打ちにし、ジャガーもイスを持ち込んで優宇を殴打。優宇をイスに座らせた上で薮下がドロップキックを叩き込み、ロープに振ろうとするも優宇が引き込んで旋回式サイドバスター。さらにセントーンで追撃し、腕を取りながら起き上がり小法師式逆水平チョップを連打。さらに優宇が投げようとするが、薮下が払い腰で切り返す。薮下がロープに飛ぶが、優宇もカウンターで払い腰。本間にタッチ。

 本間がミサイルキックからブレーンバスターを狙うが、薮下が脇固めで切り返す。本間も上体を起こして腕十字で切り返すが、薮下も同じように腕十字で返すと本間はロープへ。薮下はダブルリスト・アームサルトから黒帯で殴打。本間は黒帯をキャッチしてDDTで突き刺してジャーマンを狙うが、背後からジャガーがイスで一撃。薮下は変形フルネルソンバスターを放つが、形が崩れて本間の右肩からイスへと突き刺す危険な形に。

 レフェリーが本間に駆け寄り、あわや試合終了かと思われたが本間は継戦の意志を示す。その間は優宇が孤軍奮闘して1vs2での大立ち回りを展開。本間が右肩を押さえながらも雄叫びを上げて立ち上がり、優宇とともにトレイン攻撃。優宇が薮下にキャノンボールを叩き込み、ジャガー&薮下を場外に放りだしてみたらし団子を発射も、かわされて本間に誤爆。そこへジャガーがウルトラ・タイガー・ドロップで飛び込んでいき、薮下も本間へウルトラ・タイガー・ドロップ。さらにジャガーがコーナーからのローリング・ギロチンドロップを投下。
 薮下が引き起こしにかかると本間は飛びつき式腕十字。振り払った薮下がスレッジハンマーでなぎ倒してカバーに入ると、優宇がセントーンを放ってカットを目論む。しかし、これが本間に誤爆。ジャガーが優宇へローリング・ギロチンドロップを見舞って排除し、最後は薮下が飛びつき式腕十字固めを決めて本間からタップを奪った。

 試合後もジャガー&薮下はそれぞれ凶器を持って優宇&本間に暴行。止めに来たセコンドの妹加にまでイスを振り下ろし、リング上を完全に制圧した。

 ジャガー&薮下は今年3月21日のストロングスタイルプロレス後楽園ホール大会にてダーク・タイガー&ダーク・チーターを相手に初防衛に成功しているため、今回が2度目の防衛になる。

ジャガー「歌っていい?(笑)……(※大・ジャガーコールが起きる)歌わないよ!(笑)どうもありがとう!どうもありがとう!1回目の防衛、成功!ありがとう!ありがとう!ヤブに拍手!」
薮下「今日はお忙しい中、皆さんありがとうございます。1日も長くジャガーさんとタッグのベルトを持っていたいので、これからも真面目に練習して頑張っていきたいと思います。今日は応援ありがとうございました」

<試合後コメント>

ジャガー横田&藪下めぐみ
ジャガー「初防衛だよ。やっぱ優宇は闘いがいがあるな。デカいね。初防衛にしちゃキツかったですね。やっぱもっと私たちがペアならではの技を作り出さないとキツいね。なのでもっともっと練習して努力して1回でも多く防衛できるように頑張りたいと思います。ヤブもJd'での後輩なので。2人で持ったSSPWのタッグベルト、1回でも多く防衛します」
薮下「今回は初防衛ってことで。相手の本間多恵選手は関節を使う選手なんですけど、私は関節技では絶対負けられないので。獲るなら関節って決めてました。これからもっともっと色んなデカい人対策をしていかなきゃいけないなと実感したので、小さい体でもデカい人に上回れるような関節技や投げ技を練習していきたいなと」
ジャガー「でも優宇投げたのはすごかったよ!ナイス!(※サムズアップ)」
薮下「ありがとうございます(照)もうちょっと技のキレを出せるように」
ジャガー「流石だよ。私は投げれないよ。すごい」

――次の防衛戦について
ジャガー「好みとかは別としてどんどん強い人が来てね、私たちが防衛していかないとレベルも上がらないのでね。より強い人、より強い人、と思ってます」

第6試合



 ゴングが鳴ると、両者ゆっくりと距離を詰めながら組み合い、付かず離れずの距離を取る。
 船木がグラウンドに誘っていき村上は足を、船木は首を狙う。船木が引き込んで三角絞めを狙うも、村上はスイープしてブレイク。

 再び向き合い、ゆっくりと組み合ってから村上が払い腰のような形でグラウンドへと転がすが、船木は投げられながら引き込んで三角絞めへ。村上の動きが止まり、あわや試合終了かと思われたが村上はなんとかロープへ。
 また向き合ってゆっくりと組み合い、船木がコーナーに押し込むと村上は両手を広げてブレイクを要求。船木が離れ際に強烈な張り手を見舞うが、村上はニヤリと笑いながら自らの顔面をバチバチとぶん殴る狂気を見せる。
 船木が掌底の猛連打から膝蹴りを見舞って倒し、サッカーボールキックからチキンウィング・フェイスロック。そのまま腕固めに捕らえつつ投げようとしていくが、村上が振り払って「来いやコラァッ!」と雄叫び。


 船木はローキック連打で刈り倒し、クロスヒールホールド。流石の村上も悲痛な声を上げるが、折れること無くロープへ。船木はさらにローキックを猛連打していくが、村上がキャッチして顔面への左ストレート一閃。グロッキー状態の船木を無理やり引き起こしながら「バイバ~イ♪」と殺人キック(※腕を取りながら顔面へミドルキック)で3カウントを奪った。

村上「えー、今日も一言だけ。18年間の思い、テーマは全部受け切る。それがテーマでしたが……キツかったです。無事に防衛できました。これからも横を向かず、信念を貫いて今後もプロレスの王者としてこのリングに立ち続けます。ありがとうございました」

<試合後コメント>

村上和成
「(※深く息を吐き、しばらく天を仰いでからコメント)先程リングで言ったように、18年の思い、全部受け切る。受け切ったうえで絶対に勝つという気持ちでした。あの短い時間でしたが、4度ほど心が折れそうになりました。しかし自分の内の中に1つ『己に勝つ』というテーマ。これを貫いてあのラッキーなパンチが当たって、僕にこの勝利というものが傾いただけ。それが僕にこの王座というものを傾けただけであって。実際は試合を見ると9割以上押されていたと思います。まあでも、チャンピオンになったことは間違いないので。またここにいる僕のタッグパートナーの皆様に、今後も呼びつけますけど、また好き放題に書いてください。今日の試合のことも好き放題書いてください。好き嫌いは絶対にあるんで。そこに対して遠慮しないでください。それは僕からの皆様へのお願いと『今後ともよろしくお願いします』という激励です」

――蹴りをキャッチしてパンチを出すというのは思い描いていた通り?
「いえ、思い描いてないです。本当にもう、苦肉の策だと思います。僕の中ではなにがなんでもハッキリ言って、最初にローキックで倒された時点で、心はもう8割以上折れてました。やっぱり最後……どこかに隙ができます、お互い。その隙を僕は見逃さなかった、ラッキーなところに行ったという。これは本能だと思うんですけど、本能のまま闘っていった結果がこうだったのかという気もしますし。本当に紙一重だと僕は思います」

――18年越しに実現した船木選手との試合はどうだったか
「いや、ホントに、ケンカ売ってましたけど、日々弱い自分と闘うのに必死でした。なので実は猛練習しすぎて、オーバーワークっていうのを散々言われたんですけど。でもオーバーワークをして、そこまで自分を追い込めたというのは船木さんがいなければ出来なかったことですし。『まだまだ出来るな』っていう自信をくれたのも船木さんだと思いますんで。この勝利を無駄にせず。このリングで……まあ、他のリングもそうですけど、このリングではチャンピオンなんで、チャンピオンとしての風格。もっともっとブチ切れて、血反吐吐くぐらいしばき回したいなと思います」

――今後の防衛戦について
「う~ん……今日はこの一戦だけに身を置いてきたから考えたくもないですけど、まあ1つ言えるなら、次の防衛戦、たまたま今日このリングに、なんでかこの拍子に降りてきた、あの男。アイツがよしと言えるか、会社がよしと言えるかわからないですけど(※敬礼ポーズ)この男、勝負したいねえ?あの大阪でのタイトルマッチの借りを返したいなあと、今思いました。質問してくれてありがとう。なので、僕のタッグパートナーたち、一生懸命俺のタッグパートナーとして本音を届けてくれ」

――途中まで船木選手のペースだったが、危ないと思った瞬間はあったか
「僕は自分で、本当に受け切ろうと。今日上げたテーマは『弱い自分に勝つ』というのと『受け切る』というこの2つのテーマだったんですけど、それを貫くことだけ。まあそれで負けたらそれはそれまでという気持ちだったんで。相手の土俵に降りてみたときに、それも1つのリングだと思いますし自分の中でテーマだったので、ああいう形になりました」

――最後は一瞬の隙を逃さず逆転勝ちをした
「そうですね。アレが本当に最後のワンチャンスだと思ったし、僕が唯一猪木さんに言われた『本能のまま闘え』というところの1つのターニングポイントだと思います」

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