【インタビュー】ブル中野が日本人女子初のWWE殿堂入りを聞いて涙!現役復帰は「メデューサと組んでアスカ&カイリのカブキ・ウォリアーズと戦いたい」

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 2024年3月6日、日本人女子レスラーとして初のWWE殿堂入りをブル中野が果たした。

 ブル中野は1983年に本名の中野恵子としてデビューし、ダンプ松本からの誘いを受けて極悪同盟入りするとブル中野として後世に名を残すヒールへと成長。
 WWF世界女子王座(現:WWE女子王座)を日本人として初めて戴冠し、海外にも活躍の幅を広げた。
 1997年に現役引退後も後輩レスラーたちを見守り、STARDOMの解説やYoutube『ぶるちゃんねる』での情報発信の他、海外女子団体『SUKEBAN』のコミッショナーとしてプロレス界に関わり続けている。

 様々な功績が認められての今回のWWE殿堂入りとなるが、受賞発表翌日にブル中野に直撃インタビューを行った。

■その時代その時のWWEに合うように変えていける才能のある人だから残っていけてる

ーーまずはWWE殿堂入りおめでとうございます
「ありがとうございます」

ーー殿堂入りのお話を聞いた時の心境はいかがでしたか?
「ある人を介してWWEがZOOMで話をしたいとはじめ言われまして、全然殿堂入りなんて思っていなかったし、私にまさか試合のオファーもないと思っていたからなんなんだろうと不安しかなかったんですけど、話を聞いたところ今回殿堂入りが決まりましたと言われて、はい、もう嬉しくて泣いてしまって(苦笑)」

ーーご自身の中で殿堂入りはいつかという思いはあったのでしょうか?
「メデューサが何年か前に殿堂入りしたので、もしかしたらいつかはあるのかなとは思っていたんですけど、WWEを辞める時にWCWという団体ができて皆そこに吸収されてしまって、メデューサもゴミ箱にWWEのベルトを捨てて行ったというのがあったんで・・・噂で私とメデューサの話は会社内ではしないという事があると聞いていたから、絶対にないだろうなと思っていたらメデューサが殿堂入りしたので『もしかしたら許すんだ』という気持ちも出てきて。私自身はベルトを捨ててもいないし何もしてないけども、WCWに吸収される形になったのでないかなと、あっても2%ぐらいかなと思っていました」

ーーWWF世界女子王座を日本人で初めて戴冠していますが、当時のWWFにおいて日本人女子選手の扱いや団体の雰囲気というのはどのような状況だったのでしょうか?
「選手の中ではすごく良くしていただいたというか、何も変な事はなく、試合が面白かったんで男子のレスラーたちも毎日私達の試合を見て次の日真似をするぐらいすごいリスペクトしてくれていました。ただ、その当時のアメリカは人種差別があったので、テキサスや南部の方に行った時にはレストランに行っても注文を取りに来てくれないとかはありました。私がアジア人だと見てわかったと思うので」

ーーブルさんがベルトを獲られてから次に日本人選手が獲るまで26年ほどの時間がかかりましたが、日本人選手とWWEの乖離はどういう風に感じていらっしゃいましたか?
「私とメデューサの戦いが終わった後、プレイボーイとかに出られていた綺麗な人達がレスラーになっていったんですよね。だから、怪獣みたいなそういうものは必要ないのかなって思っていたんですけど、時間が経って日本人もみんな細くて綺麗でちゃんと身体も鍛えた子たちがいっぱい出てきたので認めてもらえるようになったのかなという部分はあります。やっぱりアジアというとミステリアスとか忍者とか芸者とかそういうイメージがあると思うので、そういう部分を上手く生かした選手がしっかりとできてるんだろうなと思います」

ーー今のアスカ、イヨ・スカイ、カイリ・セインの活躍はどのようにブルさんの目に映っていますか?
「いやもうすごいですよね!いろんな風に自分をカメレオンのように変えていって、その時代とその時のWWEに合うように変えていける素質というか才能のある人だからこそ残っていけてるんだろうなと思っています」

ーーこの3人とブルさんの関係はあるのでしょうか?
「カイリとイオはSTARDOMだったので、私がブシロードに吸収される前のSTARDOMの解説をずっとやっていたので2人はずっと見ていたし、よく取材とかでも一緒になりました。アスカに関しては私の引退式の時に華名時代に参戦してもらいまして、WWEに入ったあとも一緒にインタビューやお仕事はさせてもらっています」

ーー殿堂入りが発表されて何か連絡はありましたか?
「すぐにカイリから『おめでとうございます』とメッセージいただいて返事しました」

ーー日本人選手が海外で活躍するためにはどのような事を頑張ればいいのでしょうか?
「やっぱりお客さんが何を求めてるかしっかりと分かった人しか残れないんだと思うんですよ。自分がやりたいことをやるだけではダメだと思うので、何が受けて何が欲しいのかをちゃんと理解してる人が残っていけるんじゃないかなと思っています」


■日本のプロレスのレベルって元々全女の時から世界一

ーー今アメリカの女子プロレス団体『SUKEBAN』にも関われています。WWE殿堂入りした選手がコミッショナーを務める唯一の団体になることで注目度が増すのではないでしょうか?
「すごい注目してくれてSUKEBANにいる選手たちがフィーチャーされる事はありがたいですよね。皆頑張っている選手なんで」

ーー『SUKEBAN』は今後どのように成長していくのでしょうか?
「1回目ニューヨークでやってこの間マイアミでやり、次はロサンゼルスで3回目やるんですけど毎回毎回選手たちの心構えというか意気込みがどんどん増していってるんですね。はじめは多分キャラクターを変えられてしまって今までの自分じゃないキャラクターをすることにすごい戸惑った部分もあったと思うんですけど、1回目2回目をやった事で自分たちが受け入れられて待っていてくれるファンたちが沢山いるということで、すごい自信に変わってきているので、3回目のロサンゼルスがすごく楽しみだし、選手たちが今すごく乗り気になってSUKEBANの中でチャンピオンになりたい、一番になりたいという気持ちが芽生えてきた事が今一番面白く感じています」

ーー今回の殿堂入りを機会に新たにWWEだったり他団体とやりたい、出したいという気持ちはありますか?
「そうですね、次のロサンゼルスの後はアメリカ以外の国にも行く予定になっているから、どこどこと何かっていうのはまだないんですけどとにかく世界中のプロレスを見ていないプロレスファンじゃない方たちにも楽しんでもらえるコスチュームだったりガウンだったリメイクだったりヘアだったりネイルだったり、世界一流のプロの人たちがみんなついていてくれているのでそういうところでプロレスファン以外のファンを増やそうというのが今の目標ですかね。これから先逆にアジアに行きたいとか日本に行くってなったとしたら、その国の一番の団体と対抗戦はしていきたいと思っていますね。昔の全女の対抗戦みたいな感じでSUKEBAN対日本の国のどこどこの団体とか、そういう風にあちこちでやっていきたいと思っています。ただ今は、まだそこまでははっきりとどことやりたいというのはないですね」

ーーSUKEBANの他にKITSUNEやSPARKなど日本人女子を中心とした団体もアメリカで増えていますがどのように感じていますか?
「ほんとに、遅かったなという感じですね。多分日本のプロレスのレベルって元々全女の時から世界一だと思っていたので、まあそうだろうなって、そうなるだろうなって思っていましたね」


■最後に1試合ぐらいするかもしれない

ーー4月6日の授賞式もABEMAで無料生中継される事が決定しました。
「ほんとに今もう毎日毎日、いつも授賞式でのスピーチを英語で練習してます(苦笑)どういうスピーチにしたいかとWWEから聞かれて自分の思いを原稿にして送りまして、こういう言い回しの方が英文としていいと修正いただいて、それを必死に今24時間毎日毎日見て練習しています」

ーーそういう点では以前受賞された方に相談などされたのでしょうか?
「昨日まで誰にも言えなかったんですよ!WWEが発表するまでは誰にも言えないので、ほんとは1月9日にコンタクトがあって1月16日に決まっていたんですね。そこからスピーチの話もそうだし受賞の時に指輪がもらえるというので指輪のサイズを調べたりとにかくずっと水面下でバレないように色んな事を動いていて、昨日やっと発表されたから動けるということで各所連絡させていただいています」

ーー肩の荷がおりたような感覚ですね
「そうですね。これからなんですけどね(苦笑)」

ーーぶるちゃんねるでロッシー小川さんと対談していましたが今後の絡みはどのような形になるんでしょう
「SUKEBANのアドバイザーとして入っていただきたいという話はぶるちゃんねるの動画で出したんですけどOKをもらっていて、これからSUKEBANの会社とロッシーが話をしていきます。SUKEBANの中にいる選手も引き締まったというか、『ロッシー入るんだって!?変わっていくぞ。広がっていくぞ』という動きもあったので、これは逆に面白いなと思っています」

ーー日本でやる体勢が整ったという感じですね
「SUKEBANの会社が世界をターゲットにしているので全世界行く中の一つですが、それまでに色々SUKEBANの事を知ってもらって来てほしいな、見たいなって思ってもらえるような団体になった時に来日するとは思います。キャラクターを完全に作ってしまっている形なので、日本の人たちはあまりそういうの好きじゃないじゃないですか?一体何やってんだって感じになっちゃうので、『来なくていいよ』じゃなくて『来てください』になったらやろうと思っています」

ーーWWE殿堂入りを経て、今後ブルさんの活動はどのような形になっていくのでしょうか?
「今はSUKEBANのコミッショナーの仕事でアメリカに行くことが多かったんですけど、実際に殿堂入り獲った後にオーストラリアなど各地でサイン会が入っています。昨日発表される前から私がアメリカに来てるという事でサイン会が決まっていたんですけど今回の事で一回キャンセルしまして、WWEの殿堂入りしたブル中野として改めてブッキングをしていただける事となりました。SUKEBANプラス自分のサイン会や撮影会があちこち増えていくと思います。それをやっていくことでアメリカだったり色んな国でお世話になったファンの方たちに恩返しができるかなと思っています」

ーーちなみに選手としての復帰はありますでしょうか?
「はい、ギャラとオファーがあえば(笑)最後に1試合ぐらい、練習したりで1年ぐらいはかかると思いますけどもしもオファーがあるならするかもしれないですね。若いから勢いもあって迫力もあってスピードもあってっていう試合ではない事をどういう風に表現するかっていうのは歳をとってないとできないと思うので、経験値を活かして何かできるんだったら」

ーーその際は自分がやり残した相手とやりたいのか、今の現役の若い子たちとやりたいのかですとどちらでしょうか?
「日本でやるつもりは全くなくて、やるとしたらアメリカだと思っています。私は勝手にですけど、ずっとメデューサと対戦して来たので今度は組んで、今頑張っているカブキ・ウォリアーズ、アスカとカイリとやっても面白いかと思ってます(笑)そういう楽しい事が色々想像できるような事がプロレス界には沢山ないといけないと思っているので、できればいいかなと思っています。もちろんオファーはまだ来てないですけど(笑)」

ーーありがとうございました。最後に日本のプロレスファンへメッセージをお願いします
「ほんとにアメリカにいる時には1人で、試合はもちろん楽しかったですけど生活の面で苦しい事もいっぱいあって。それを一生懸命我慢してやったかいがあったなと思っています。この賞をいただくことで全て報われて、いい思い出に全部が変わりました。本当に嬉しいです。殿堂入りした時のスピーチもありますが、殿堂入りした人しか見れない景色を、9万人ぐらい入る会場の景色を楽しんできたいと思います」

 WWE殿堂入りに続き今後に関しての夢も持たせてくれたブル中野。日本人女子レスラー初の晴れ舞台となる授賞式の様子は、2024年4月6日(土)午前11時よりABEMAで生中継される。

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