フライ級KOPへ無敗の挑戦者「超新星」鶴屋怜が挑む!チャンピオン・猿飛流とともに『PANCRASE 330』への意気込みを語った!
12月8日夕、都内新宿区のパンクラスにて、『PANCRASE 330』(12月25日、横浜武道館)でメインとなるフライ級チャンピオンシップの調印式が行われた。
調印式には第7代フライ級キング・オブ・パンクラシスト猿飛流、挑戦者・鶴屋怜が出席。廣瀬隆司キング・オブ・パンクラシスト評議員長の立ち会いのもと、出場誓約書にサインした。
猿飛流は20歳でプロデビューしたが、精神的疾患を患い格闘技も出来なくなった。2〜3年療養生活を送ったが、格闘技を諦めきれず、2017年、27歳でパンクラスに復帰。自分の心とも闘いながら格闘技を続けてきた。
2019年、ネオブラッド・トーナメントフライ級優勝を飾り、荻窪祐輔、上田将竜を倒してチャンピオンシップにたどり着いた。その道のりから「苦労人」と呼ばれている。
猿飛流の憧れの存在である第5代同級王者・仙三がONE Championship参戦中のため防衛戦の見通しが立たず、今年1月24日付でベルトを返上。小川徹が第6代王者となり、猿飛流が3月、小川に挑戦。判定0-3で第7代王者となった。
挑戦者・鶴屋怜は往年の名格闘家・鶴屋浩の実子でまだ20歳。幼少時からレスリングで鍛え、小学4年、6年で全国優勝。高校2年ジュニアオリンピック2位、世界大会出場。高3で2020年全国高校選抜大会フリースタイル60kg級で準優勝など数々の輝かしい実績を持つ。
そのほか、柔術、サンボ、アマチュアMMAでも実績を残し、2021年、満を持してMMAプロデビュー。DEEPで3連勝をあげ、今年9月、パンクラスに闘いの場を移した。
これまでの試合は全て1R、2R決着で、全てがKO、一本勝ち。文字通り「超新星」が無敗のままチャンピオンシップに挑む。
両選手との一問一答は以下。
――まず両選手から意気込みをお願いします。
鶴屋「こんにちは、鶴屋怜です。今回タイトルマッチなんですけど、タイトルマッチだからどうこうじゃなく、いつも通り、普段の試合と変わらないような動きでしっかり相手をKOもしくは一本で勝ちたいなと思います。よろしくお願いします」
猿飛流「リバーサルジム川口REDIPSの猿飛流と申します。今回、鶴屋怜くんとタイトルマッチ、5分5R闘わせてもらうんですけど、怜くんはこれから世界へ行くような、日本を代表して闘うような選手だと思います。
でも一回ここで、王者として怜くんに1回だけ黒星をつけて厳しさを教えて、王者の強さを見せます」
――お互いの印象を教えてください。
鶴屋「そうですね、猿飛流選手はスタミナもあって、全体的にできるすごく良い選手だと思います。でもまあ、しっかり自分が何もさせないで勝ちます」
猿飛流「(鶴屋は)パンクラス3戦目でタイトルマッチで、1戦目、2戦目でもそれだけの実力を見せて、ランカーの秋葉(太樹)さんと上田(将竜)さんを1Rで倒して、圧倒的な組みの強さがありました。その、怜くんの強い部分でも勝負ができるように準備してきました。
そこでも上回って、全体的に自分のMMAをやろうと思っています」
――鶴屋選手、猿飛流選手から、初めて土をつけて厳しさを、という言葉が出ましたが、いかがでしょうか。
鶴屋「そう言われたんですけど、いつも通りやれば1Rでフィニッシュできると思うんで。
そうですね、たとえば、今まで青木(真也)選手や山本KID(徳郁)選手がやってきたように、歴史に名が残るような試合にしたいと思います」
――猿飛流選手、王者として厳しさを伝えたいということですが、どういった試合をして土をつけたいですか。
猿飛流「怜くんは、今まで1R、2Rで相手を全員仕留めてきたと思うんですけど、その先の、未知の闘いを経験させたいなと。自分にはそれができると思っているので。
そして、怜くんの試合の中で、まだ皆さんが見ていない部分を引っ張り出したいなと。2人で最高の試合にして、先ほど怜くんが言ってくれたように、歴史に残るような試合にします」
――チャンピオンにおうかがいします。鶴屋選手に挑戦された時のお気持ちはいかがでしたか。
猿飛流「上田さんが1Rでやられちゃって、ケージ上で対戦表明してもらって、率直に『ああ、とうとう来たな』って思いました。怜くんがDEEPからパンクラスに来た時に、『わぁ、来たか、超新星が』と思って。
でも、怖さとワクワクが混じるような感じで。想像通り、怜くんは上がってきて、とうとう来たな、っていう感じです」
――いつか当たるな、と。
猿飛流「怜くんがパンクラスに来た時に、恐らくやるだろうなと思いましたね」
――鶴屋選手は、挑戦した時のお気持ちを振り返っていかがでしたか。
鶴屋「そうですね、相手が猿飛流選手じゃなかったとしても、どっちみち全員に勝たないとしっかりチャンピオンにはなれないって感じがしたので、相手がどうこうというよりは、普通にチャンピオンベルトに挑戦したいなという気持ちでした」
――チャンピオンにおうかがいします。今回の試合に向けて、改めて強化してきたこと、取り組んできたことはありますか。
猿飛流「いつも通り5分5Rは最後まで動けるように、後輩のSASUKEや他の方たちにやっていただきました。それから、専修大学レスリング部にもレスリングの部分を強化するためと、自分の持ち味である5分5Rをずっと動き続ける、その部分を意識して練習してきました。
前回も最後まで動ける試合ができたと思うんですけど、前回を上回るような試合をしたいですし、できると思っています」
――挑戦者におうかがいします。今回、5分5Rということで、改めてやってきた練習、あるいは自信はいかがでしょうか。
鶴屋「いつもと変わらないです。普通に毎日二部練やって、試合がない時でもしっかり仕上げているので、いつも通り練習しているだけです」
――鶴屋選手、パンクラスの王者という部分に関しては、どのような思いがあるでしょうか。
鶴屋「小さい頃から格闘技を見て育ってきたので、日本国内のベルト(を獲る)というのは自分の夢の一つでもあったので、しっかり獲って、パンクラスの代表と言えるようなチャンピオンになりたいです」
――猿飛流選手、鶴屋選手は、これまで秋葉太樹選手、上田将竜選手という、猿飛流選手がこれまでしのぎを削ってきた戦友たちを葬ってきました。その部分に関してはどのような思いがあるでしょうか。
猿飛流「素直に本当に、小川(徹)さんと上田選手好きなんですけど、負けてしまったから、僕がその分頑張ろうとはそこまではなく。でも、怜くん本当に強いなあと思います。秋葉選手と上田選手を何もさせずに倒して、その強い怜くんと試合で闘えるっていうのが単純に楽しみだなあと思います。怖さもあり、楽しみもありっていう感じですね」
――この試合はメインイベントとなり、今年のパンクラスの最後を締める試合となります。ファンにはどのようなところを見てもらいたいですか。
鶴屋「パンクラスの最終試合としてふさわしいメインにして、しっかり勝って会場を盛り上げて終わりたいなと思います」
猿飛流「ネットでも書いてもらっていたんですけど、『超新星VS苦労人』という形で今回は試合を見てもらえると思います。
怜くんは幼少の頃から世界で闘うためにずっとやってきて、僕はこのパンクラスの、尊敬する仙三さんのベルトが欲しくて、一度引退しても格闘技にしがみついて、やっとベルトが獲れた、お互いに積み重ねてきたものがあります。そのどっちの思いが上回るか、それを見てほしいです」
緊張からか、やや硬い表情の鶴屋と、リラックスした雰囲気の猿飛流。全てが対照的な両選手。猿飛流が新星の連勝を止めるのか、苦労人を仕留めて鶴屋がステップアップするのか。見逃せない一戦だ。
(写真・文/佐佐木 澪)