“大鵬三世”納谷幸男が無差別級王者の元横綱・北勝海の弟子を撃破しトーナメント決勝戦進出！
18日、東京都・後楽園ホールにてDDTプロレスリング『D王 GRAND PRIX 2022 in Korakuen Hall』が開催され、上野勇希、納谷幸男がD王優勝決定戦へと進出を決めた。
D王 GRAND PRIX （D王）は、DDTが例年開催しているシングルリーグ戦。優勝者にはDDTの最上級王座たるKO-D無差別級王座への挑戦が認められるため年末～年始のDDT戦線の行方を占う重要な位置づけとなっており、12月4日の決勝戦に向けてリーグ戦は佳境へ突入。この日は各ブロックの最終戦が行われた。
メインイベントでは、D王Bブロック公式戦として樋口和貞vs納谷幸男のシングルマッチが実施。
納谷は名横綱たる大鵬さんの孫にして貴闘力の息子というサラブレッドであり、2017年に初代タイガーマスクこと佐山サトルの弟子として鳴り物入りでプロレスラーデビュー。2019年にDDTへ移籍してからは王座戦線で結果を出せない日々が続いていたが、火野裕士とのタッグ結成などで急成長。今リーグ戦では初戦で火野に敗れたものの、MAO、クリス・ブルックス、KANONと強豪を破って白星を重ねていき、優勝戦線に最後まで名を残した。
樋口は元横綱・北勝海にスカウトされ角界入り。2007年にデビュー後は北道山 和貞として活動し2014年にDDTでプロレスラーデビュー。現在はKO-D無差別級王者＆KO-Dタッグ王者の二冠王であり、“DDTの強さの象徴”として君臨している。
この日のセミファイナルまでの試合経過では、Aブロックの上野勇希が佐々木大輔との激戦を制して先に優勝決定戦進出決定。樋口vs納谷の勝者がBブロック覇者として上野と対峙することに。
2人は序盤から手4つで組み合っての純粋な力比べだけで会場を沸かせ、巨漢ファイター同士が繰り広げるショルダータックルやチョップ＆エルボーの応酬で起きる破裂音にも似た音には観衆からどよめきが起きる。
中盤戦では樋口のラリアットと納谷のニーリフトでの意地の張り合いが展開され、樋口が強烈なラリアットで叩き伏せてからドクターボム。さらにぶちかましを狙うも、納谷がカウンターのスクラップバスターで叩きつけランニングニー。必殺のバックドロップは樋口がブレーンクローで阻止するという一進一退の互角の攻防が展開される。
終盤戦でも両者は真っ向からの打撃戦にこだわり、樋口が死力を尽くした逆水平の猛連打。これを耐えきった納谷は首相撲のように樋口を捕らえながらニーリフトを猛連打し、最後はヘソで投げるバックドロップで叩きつけて死闘に終止符を打った。
試合後、メインの試合を終始入場ゲート横で観戦していた上野がリングに上がり、「まさか樋口さんに勝って上がってくるのが納谷ちゃんやとは思わんかったわ。納谷ちゃんはスゴいよ。おっきいし、デカいし、巨人やし。でも、DDTを背負うのは俺やから。デカかろうが巨人だろうが、俺が負ける理由になれへんわ。俺は納谷ちゃんに覚悟で負けへんから」と啖呵。
これを受けた納谷は「上野さん、俺だってDDTを背負って立ちたい覚悟、あるんですよ。今日樋口さんに勝って、次上野さんに勝って12月のビッグマッチ、樋口和貞の持ってるKO-D無差別にメインイベントで挑戦するのは俺だ」と切り返し、ファンに向けて「俺はこれから俺のドラマチックドリームをお客さんに見せていきたいと思います！よろしくお願いします！」と覚悟を訴えて大会を締めた。
バックステージに戻った納谷は、「俺みたいな人間がここまで上がってこれたのは、本当に周りの人たちのおかげで今の俺があるので、やっぱり勝って、D王獲って、樋口さんからベルト獲って、みんなに『ありがとう』と言いたいです。それまではまだまだ、まだまだやらなきゃいけないことがたくさんあります」と力強くコメント。
2018年12月、納谷はリアルジャパンプロレス後楽園ホール大会での試合後に「こんなん俺のやりたいプロレスじゃねぇよ！団体に対しても相手に対しても、ふざけんじゃねぇ！こんな団体辞めてやるよ！」と悲痛な声を上げた。
その荒ぶった姿を見せた4年前と全く同じコメントスペースで納谷が周囲の人間への感謝、対戦相手へのリスペクト、団体を背負う覚悟を口にしたことは、納谷幸男という人間が大きく成長した証とも言える。
大きな成長を見せている納谷がこの勢いに乗ってDDTの頂点に立つのか、それとも実績で勝る上野が勝ってライバルの竹下幸之介に代わるDDTのエースとなるのか。その答えは12月4日の後楽園ホール大会『D王 GRAND PRIX 2022 the FINAL』で出ることになる。
