【コラム】全日本プロレス・ジュニア新時代到来か!?あすなろ杯優勝者・田村男児が世界ジュニア初挑戦!

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「あんまり言葉で表現する方じゃないけど、こうやってリングで証明したことが俺の答えです。8月30日、絶対獲ります。」

8月23日全日本プロレス・埼玉大会のメインイベントを制した男は、まだ慣れないマイクで、飾り気のない、そしていっぺんの曇りもない思いをリングの真ん中で吐き出した。

その男は8月30日、後楽園ホールのリングで岩本煌史の持つ世界ジュニアヘビー級王座に初挑戦する。
世界ジュニアヘビー級王座は、全日本プロレスにおいて長い歴史を持ち、同階級最高峰の王座だ。

一体、その挑戦者はどういう男なのか?

男の名は田村男児。
男児と書いて、ダンと読む。
多くを語らず、実直で朴訥な男だ。
その名前の文字の並びだけで、どことなく道場で流してきたその汗の量とにおいが伝わってくるような、そんな名前だ。

2019年1月2日にデビューした、茨城県鹿嶋市出身の21歳で、学生時代はアマチュアレスリングに勤しみ、2017年愛媛国体では少年男子フリースタイル96kg級でベスト8入りを果たす。
だが、そんな経歴を持ちながらも、プロのリングはそう甘くない。
ダンは昨年のデビューからしばらくの間、結果という結果を全く出すことが出来なかった。

ダンには二人の同期がいる。
大森北斗と青柳亮生(あつき)だ。
北斗は総合格闘技のバックボーンを持ち、その気の強さで今年の五月にいち早く世界ジュニア王座への挑戦権をつかみ取った。
亮生は、実の兄が同じ全日本プロレスの青柳優馬で、運動神経も顔立ちもいい。
黙っていてもファンの注目を浴びることはわかっていた。

ではダンには何があるのか?
イメチェンの為、唐突に赤髪モヒカンにしてみるが、どこか野暮ったさは抜けない。
培ってきたレスリング技術を試合で出しても、どこか持て余しているような印象を受けた。
だが、それでもダンは自分を信じた。
自分の培ったバックボーンとこれからの自分を信じた。
そしてただ、黙々と道場で練習を続けた。

ダンが爆発したのは7月に開催された『第5回あすなろ杯』だった。
かつては川田利明や秋山準も優勝を果たした全日本プロレス伝統の若手リーグ戦だ。
新型コロナウイルスの影響による無観客興行で開幕したあすなろ杯だが、その優勝決定戦は有観客興行一発目のメインイベントで開催された。
ダンはそこに駒を進め、プロレスに飢えた観客の熱視線に包まれる中で見事全勝優勝を果たす。
その背中は厚みが増し、表情には自信が満ち溢れていた。
そして、ダンは世界ジュニアヘビー級王座挑戦への切符を掴み取った。
あすなろ杯覇者としての誇りと自信を携え、今、ダンは大いなる一歩を踏み出そうとしている。

しかし、迎え撃つ王者・岩本ももちろん負けられない。
7月25日、長らく横須賀ススム(DRAGON GATE)の腰へと流出していた世界ジュニアヘビー級王座をやっとの思いで取り戻した。
岩本の戴冠は今回が三度目になる。
しかしながら過去の戴冠はいずれも短命に終わり、全日本プロレスのリングにおいて『岩本時代』を築いているとは言い難い。
だからこそ、田村男児に一足飛びに時代を築かせるわけにはいかないのだ。

新たな『岩本時代』の幕開けとなるのか?
それとも田村男児がそれすらもブチ破るのか?
今、全日本プロレスジュニア戦線は新たな時代の扉が開きかけているのは間違いない。
果たして8月30日、その扉を開くのは王者・岩本か?
挑戦者・ダンなのか?

文:鈴木みたらし

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