“黒い呪術師”アブドーラ・ザ・ブッチャーの引退式に初代タイガーマスク、マスカラス兄弟、坂口征二、スタン・ハンセン、ドリー・ファンクJr.らが登場!「ジャイアント馬場がここにいれば完璧だった」
19日、東京都・両国国技館にて『ジャイアント馬場没後20年追善興行~王者の魂~アブドーラ・ザ・ブッチャー引退記念~さらば呪術師~』が行われた。
アブドーラ・ザ・ブッチャーは1970年に日本プロレスに参戦し日本のプロレス界に初上陸。ジャイアント馬場からピンフォールを奪うなどの圧倒的な強さを見せてライバルとして活躍し、その後は全日本プロレス、新日本プロレス、大日本プロレスなどのリングに上っていた。
ブッチャーは2012年に全日本プロレスにて現役引退を表明していたが、7年後のこの日改めて引退セレモニーが行われることとなった。
このセレモニーには徳光和夫さん、ミル・マスカラス&ドス・カラス、初代タイガーマスク&新間寿、秋山準、武藤敬司、坂口征二、スタン・ハンセン、ドリー・ファンク・Jr.が登場し、デストロイヤー、鈴木みのるからはビデオメッセージが送られた。
車椅子のままリングに上ったブッチャーはマイクを取ると「ファンの皆さん、東京に帰ってきました。一つだけ足りないことがあります。ジャイアント馬場がここにいてくれれば完璧だった。若い人たちに言いたい。自分の親が歳をとっても決して老人ホームにぶち込んで忘れるようなことはするな。いずれは歳をとってそういう事になるんだから親を大事にしろ。それだけは言いたい。忘れるんじゃないぞ。皆さん本当にありがとうございました」と挨拶。その後、引退の10カウントゴングと選手コールが行われた。
セレモニーからバックステージに戻ったブッチャーのもとへ、キム・ドクが駆け寄って来ると、両者笑顔でしっかりと握手。
そしてブッチャーは「残念ながら昔のレジェンドたちでもうこの世にいなくて、天国に旅立った人がいっぱいいる。でも、皆いつしかあの世に行くわけですから、僕もいつかは行きます。でも、近い将来というのは嫌ですね。もうちょっとここにいたいです」と穏やかな表情で語り、会場を後にした。
そして、“アブドーラの名を継ぐ者”としての決意を固める弟子のアブドーラ小林は、ブッチャーから受けたハラスメントの復讐にフォークで襲撃するつもりだったが断念したことを冗談めかして話し、「『もっと目に力を入れろ。日本人は目が細いから力を入れると顔が笑ってるように見えるから目を見開け』って教わったのが印象的ですね。ブッチャーもこう(カッと目を見開く)やるじゃないですか。技術的には教わってないけど、レスリングの立ち姿を教わったのが印象に残ってますね」と師匠との思い出を笑顔で語った。