【試合結果】2・15 MASTERS後楽園ホール大会 ドン・フライ&太陽ケア&新崎人生&大谷晋二郎 with 武藤敬司vs天山広吉&小島聡&ヒロ斎藤&スーパーJ with 蝶野正洋 藤波辰爾&長州力&獣神サンダー・ライガーvs藤原喜明&長井満也&冨宅飛駈 with 前田日明
『PRO-WRESTLING MASTERS』
日程:2019年2月15日(金)
開始:19:00
会場:東京都・後楽園ホール
観衆:1759人(超満員札止め)
▼スペシャルシングルマッチ 20分1本勝負
○高岩竜一(ZERO1)
9分44秒 デスバレーボム→片エビ固め
●リッキー・フジ(K-DOJO)
▼タッグマッチ 30分1本勝負
ディック東郷(みちのく)/○獅龍
10分51秒 ムーンサルトプレス→片エビ固め
NOSAWA論外(東京愚連隊)/●FUJITA(東京愚連隊)
▼スペシャル6人タッグマッチ 30分1本勝負
[平成維震軍]越中詩郎(フリー)/青柳政司(フリー)/○齋藤彰俊(NOAH)
16分22秒 スイクルデス→片エビ固め
グレート小鹿(大日本)/タイガー戸口(フリー)/●将軍KYワカマツ(フリー)
▼スペシャル6人タッグマッチ 45分1本勝負
藤波辰爾(ドラディション)/○長州力(リキプロ)/獣神サンダー・ライガー(新日本)
12分1秒 リキラリアット→体固め
藤原喜明(フリー)/長井満也(ドラディション)/●冨宅飛駈(パンクラスMISSION) with 前田日明
▼BATTvsTEAM2000 スペシャルタッグマッチ 60分1本勝負
[BATT]ドン・フライ(フリー)/●太陽ケア(フリー)/新崎人生(みちのく)/大谷晋二郎(ZERO1) with 武藤敬司(WRESTLE-1)
17分24秒 ラリアット→片エビ固め
[TEAM2000]天山広吉(新日本)/○小島聡(新日本)/ヒロ斎藤(ドラディション)/スーパーJ(フリー) with 蝶野正洋(フリー)
“BATTvsTEAM2000”の対抗戦で蝶野のシャイニングケンカキックが炸裂!ドン・フライの裏切りでT2000が勝利!前田日明と長州力があわや乱闘も笑顔で握手!
第1試合
両者しっかり握手を交わしてからゴングが鳴ると、ロックアップからロープへの押し込みあい。両者クリーンにブレイクし、手4つから腕の取り合い、グラウンドでの足の取り合い、サイドヘッドロックとオーソドックスな攻防を展開。高岩のスリーパーをリッキーが髪を掴んで外そうとするも、高岩に髪が無いため失敗するといったコミカルな演出を交えながら高度なレスリングテクニックを披露する。
高岩がリッキーのアームロックを前転して脱出すると、リッキーは張り手。これに高岩は逆水平チョップでやり返していくが、リッキーはサミングからニードロップ、スリーパーと攻め立てるが、高岩はロープエスケープ。
一旦離れてから再度手4つで組み合っていくが、高岩がリッキーのバックを取って足を刈り、キャメルクラッチで固めながら顔面かきむしり。これをレフリーに咎められると解放してエルボードロップ。更にコーナーに押し込んで逆水平チョップを放っていくと、リッキーは場外にエスケープし間合いを取る。
リッキーがリングに戻ると、高岩はすぐに飛びかかり首4の字固めへ。リッキーは倒立で脱出しようとするが、高岩は身体をひねってこれを妨害し、更に絞め上げていくがリッキーはなんとかロープへ。
高岩はリッキーをコーナーに押し付けて座らせて執拗に顔面を蹴りつけ、さらにコーナーに振って串刺しラリアット。さらにコーナートップからダイビングエルボードロップを投下してフォールも2。続けてブレーンバスターを狙うが、リッキーは逆にブレーンバスターで投げ返す。高岩はリッキーをコーナーに振っていくが、リッキーはダイビングクロスボディで切り返す。追撃を狙うリッキーだったが、高岩がガットショットで動きを止めてパイルドライバーを狙う。これをリッキーがウラカンラナで切り返してフォールも2。続けてカミカゼで叩きつけ、2発目を狙うが、高岩はこれを着地してデスバレーボムを狙っていく。これを着地したリッキーにラリアットを放ち、グロッキー状態のリッキーに満を持してのデスバレーボムを放ち、カウント3を奪った。
試合後、高岩は倒れたリッキーを助け起こし、しっかり握手を交わしながら互いに深々と頭を下げて健闘を称え合った。
第2試合
ルチャルールに則り、片方が場外に出た時点でノータッチで試合権が入れ替わるルールでの試合。
東郷とFUJITAでゴングが鳴ると、ロックアップからロープへの押し込み合い、グラウンドでのヘッドロック、腕関節の取り合いと堅実な攻防を展開。クリーンブレイクし、東郷とFUJITAはお互い敬礼を交わしてから両者タッチ。
獅龍と論外のマッチアップとなると、会場全体から論外コールが起き、これに拗ねた獅龍が帰ろうとするのを東郷がなだめてリング上へと導く。獅龍と論外は巧みなロープワークからのショルダータックル合戦を繰り広げ、獅龍はリープフロッグで論外の突撃をかわして風車式バックブリーカー。飛び出してきたFUJITAにも風車式バックブリーカーを見舞うが、論外とFUJITAが獅龍にチョップを放ち、倒れた獅龍がハンドスプリングで起き上がる。このやり取りを数回繰り返し、3人でソバットの形で飛び跳ねて着地。満足げな獅龍へ論外がキャメルクラッチに捕らえたところへFUJITAが低空ドロップキックを放つコンビネーションを見せる。これを救出に来た東郷の足をそれぞれ持ちながら場外へスライディングし、コーナーポストに東郷の股間を打ち付ける。
リングに戻った論外はなぜか股間を押さえてのたうち回り、急所攻撃を受けたとアピール。獅龍が近づいてくると右手を差し出し、クリーンファイトを誓う握手を求める。獅龍がこれに応じ、一旦離れたものの、論外はガットショットからコーナーに叩きつけ、FUJITAが串刺し逆水平チョップ、首投げ、後頭部への低空ドロップキック。論外も首投げから後頭部へのミドルキックを放つと、獅龍のマスクを剥ごうとする。これを止めに来た東郷が論外の背後からチンロック、FUJITAも東郷の背後からチンロックと4人が数珠つなぎでチンロックを掛け合う形になるが、論外とFUJITAはこれを解放し、獅龍へダブルのフラップジャック。論外がコーナーへ振ろうとするのを振り返した獅龍は論外へ串刺しのあびせ蹴りを放ち、そのままエプロンに落下すると見せかけトップロープを逆上がりしてリングに戻り、東郷にタッチ。
東郷は論外に串刺しラリアットからコーナー上でテンカウントパンチ。東郷と獅龍は論外とFUJITAをハンマースルーしてぶつけようとするが、愚連隊の二人が同時に振り返し正面衝突させる、そして論外とFUJITAが相手それぞれの足を持ち、開脚させながら輪になる形で足関節を極める。論外がその輪の中心にレフリーを呼び込み、レフリーが輪の外に出ると東郷と獅龍が反撃に出て、東郷がFUJITAにクロスフェイス、獅龍が論外にキャメルクラッチ。先に脱出した論外が東郷をカットするが、獅龍が論外を場外にドロップキックで吹き飛ばし、獅龍がプランチャを放つが論外がこれを回避。リング上では東郷がFUJITAにペディグリーからコーナーへ上がってダイビングセントーンを狙うが、論外がこれを妨害している間に復活したFUJITAが組み付いて雪崩式ブレーンバスター。しかしここで獅龍がリングインし、愚連隊の二人をハンドスプリングエルボーで同時に場外に落とすと、獅龍と東郷が同時にトペ・スイシーダ。さらに東郷がFUJITAをリングに上げて肩車で担ぐと、コーナートップから獅龍がダイビングショルダー。反撃を狙うFUJITAを獅龍がフライングクロスチョップでカウンターし、加勢に来た論外を東郷がコブラツイストで捕縛し動きを止めている間に獅龍がFUJITAへコーナートップからムーンサルトプレスを投下し、カウント3。
勝利した東郷と獅龍がポーズを決めていると、論外とFUJITAもこれに加わり4人でポーズ。最後は全員それぞれと握手を交わして健闘を称え合いながらリングを後にした。
第3試合
77歳のワカマツ、76歳の小鹿、70歳の戸口と、全員70代のタッグが実現。
久々の試合となるワカマツが気合を入れて雄叫びを上げると、越中は「ワカマツ出てこい!」と挑発。ワカマツも向かっていこうとするが、戸口と小鹿がこれをなだめて引き下げ、越中と戸口のマッチアップでゴング。
越中と戸口はロックアップから腕の取り合い。これを制した戸口が越中をマットに叩きつけ、ロープに掴まりながら踏みつけていき、小鹿にタッチ。
小鹿も越中の腕を獲りに行くが、これを取り返した越中がそのままコーナーへ連れ帰り青柳にタッチ。
青柳は小鹿をコーナーに押し付けて顔面を踏みつけていくが、小鹿が青柳の足を取り、そのままコーナーへ連れ帰って戸口にタッチ。戸口は青柳を羽交い締めにすると、ワカマツが青柳にチョーク攻撃。これをレフリーに止められると戸口は小鹿にタッチ。
小鹿は青柳にスリーパーをかけながらナックルを落としていき、ブレイクされると戸口にタッチ。
戸口は再び青柳を羽交い締めにし、ワカマツが逆水平チョップを打ち込んでいく。戸口とワカマツが青柳をロープに振ってダブルチョップからワカマツがフォールも越中がカットし、ワカマツの耳を捻り上げて青柳とともにコーナーへ戻り、斎藤にタッチ。
ワカマツは斎藤に手4つを仕掛けていくが、斎藤が手を挙げるとタックルで組付き、自軍コーナーへ押し込んで小鹿と戸口に斎藤を押さえつけさせ、ガットショットの雨あられ。
タッチを受けた戸口が斎藤をショルダータックルで吹き飛ばし、二発目を狙っていくが、斎藤がショルダースルーで切り返して戸口を場外に蹴り出すと、全員入り乱れた場外戦へ。
越中がエプロンから戸口、ワカマツへそれぞれミサイルヒップを放つなど躍動するが、小鹿とワカマツが斎藤を集中攻撃し、ワカマツが斎藤をリングに戻すとショルダークローで痛めつけていく。斎藤がロープに逃れると小鹿にタッチ。
小鹿は斎藤にボディブローを放っていきフォールも2。起き上がった斎藤が小鹿にエルボーを連射し、自軍コーナーへ押し込んで越中にタッチ。
越中と小鹿は張り手合戦で打ち合っていくが、これを制した越中がロープへ飛んでランニングヒップアタック。さらに青柳にタッチしてから平成維震軍三人で太鼓の乱れ打ち。
青柳は小鹿を起こそうとするが、小鹿は青柳の指に噛みつき、さらに代わる戸口も青柳の指に噛み付く反則攻撃。そして、戸口が青柳を押さえつける中、ワカマツが逆水平チョップを連打。青柳はミドルキックを放っていくが、ワカマツはこれをキャッチして引き倒し、ロープにこすりつけて攻撃するも、これをレフリーに咎められるとリリースして両者タッチ。
越中と小鹿のマッチアップとなり、両者は再び張り手で打ち合っていくが、越中が小鹿を自軍コーナーへ連れ帰り、タッチを回しながら小鹿の耳を捻り上げて攻撃。小鹿も斎藤を自軍コーナーへ押し込んでタッチを回しながら串刺し逆水平チョップなどの攻撃を見舞っていく。
戸口と斎藤のマッチアップとなり、戸口が斎藤をロープに振っていくが、斎藤はニールキック。ここに青柳を呼び込み、二人で戸口をコーナーへ振ってダブルのミドルキック。追撃を狙う斎藤を戸口が突っ張って自軍コーナーへ押し込んで小鹿にタッチ。
小鹿は斎藤に張り手を見舞い、ワカマツにタッチするとワカマツも逆水平チョップで続き、さらにクロスチョップ。さらにハンマーパンチを見舞っていくが、ワカマツの背後から越中がヒップアタック。これによろけたワカマツへ、斎藤がスイクルデス。一発目は空振りしてしまい、改めて放った二発目のスイクルデスで3カウントを奪った。
第4試合
田中ケロがリングアナウンサーを務め両軍を呼び込み、最後にセコンドとして前田日明の名をコールすると場内は割れんばかりの大歓声。一度リングに上がりファンに向け一礼した前田は、青コーナー下に設置されたイスに座って試合を観戦。
長州と長井のマッチアップでゴングが鳴ると、ロックアップからロープに押し込みあい、互いにクリーンブレイク。手4つで組み合うと、長井がヒザを入れて先制しミドルキックを放っていくが長州はこれをキャッチして足を刈り、そのままサソリ固めへ。長井がこれをブレイクすると場外へエスケープ。一旦リングに戻ってから両者タッチ。
藤原と藤波のマッチアップとなり、ロックアップからコーナーへの押し込み合い。押し込まれた藤波が張り手で返し、藤原の頭をコーナーへぶつけていくが、藤原はノーダメージ。さらに藤原は自らコーナーのマットを外して金属のパーツを剥き出しにすると、自ら全力でヘッドバッド。額から流血するも、藤原は涼しい顔で余裕をアピールし、藤波を張り手でコーナーまで追い込んでいく。藤波も藤原に組み付いて自軍コーナーへ押し込んでいき、ライガーにタッチ。
ライガーは藤原にブレーンバスターを狙うが、藤原がこれを電光石火の脇固めで切り返す。これは長州が出てきて即座にカット。藤原はライガーを自軍コーナーへ押し込んで冨宅にタッチ。
冨宅はライガーをフロントネックロックで絞め上げていくが、これを振り払ったライガーが掌底。倒れた冨宅の足首を捻り上げていくが、藤原がライガーへヘッドバッドを見舞いカット。ライガーは長州へタッチ。
長州は冨宅の腕を取り、アームドラッグで投げ捨ててからスリーパー。これをブレイクされるとライガーにタッチ。
ライガーは掌底連打から首投げ、グラウンドでのヘッドロックに捕らえるが、これを抜け出した冨宅がライガーに腕固めからの腕十字。ライガーはロープに足を伸ばすが、エプロンから長井がライガーの足を蹴って妨害。藤原と冨宅が代わる代わる腕十字を仕掛けていき、冨宅が三角絞めで勝負を決めにかかるが、位置が悪くライガーはすぐにロープを掴む。長井がライガーを場外に蹴り出してイスで殴打すると、全員入り乱れた場外戦へ。
藤原や冨宅がセコンドの前田に加勢を求めるが、前田は立ち上がるも苦笑いでやんわりと拒否。
そのまま藤原と長井がライガーにダブルのレッグスプレッドを決め、長井がライガーのマスクを剥ぎにかかるが、これは長州がカット。長井はロープに走るが、ライガーが掌底でカウンターを入れ、藤波にタッチ。
長井は藤波にミドルキックを放っていくが、藤波はこれをキャッチしドラゴンスクリュー。さらに裸絞からドラゴンスリーパーに入ろうとするが、藤原がヘッドバッドでカット。長井は冨宅にタッチ。
冨宅は飛び出していくが、同時に飛び込んできたライガーが冨宅に掌底を入れ長州をアシスト。ふらつく冨宅へ、長州がロープに走って渾身のリキラリアットを叩き込み、カウント3を奪った。
試合後、藤波は前田をリングに呼び込むと、前田にマイクを持たせる。
前田「本日はこういう自分の先輩を中心とする大会にこんなに大勢のお客さんが……(チケットが)ソールドアウトだと聞いています。ホントにご来場ありがとうございます」
前田が挨拶をして頭を下げると、突如長州がロープに走り、リキラリアットの構えを見せ、前田が身構えるが長州は直前で動きを止めて破顔。長州の茶目っ気に前田も笑顔。
藤波、ライガーが前田と握手を交わしている間に長州は控室へと引き上げようとするが、藤波とライガーが聴衆を前田の前に連れ出すと、長州は前田と一瞬だけ握手。 長州はすぐに踵を返してリングを降り、前田も観衆へ手を振りながらリングを後にした。
<試合後コメント>
長州力&藤波辰爾
藤波「行きゃ良かったのに!勢いで!前田に!(笑)行けば勢いでこっちもなんか、けしかけようと思ったんだよ」
長州「いやぁ(笑)」
藤波「いいんだよ!これで前田が上がったら、もうちょっと先の話ができるし。またね、上げるのが大変だけど」
(一旦藤波は退席)
――長州選手、久々にリング上で前田選手と対峙していかがでしたか
長州「久しぶりでもないんだよ。……やり過ぎだよ、持たんわ(笑)よく向き合うって言ってんだよ」
――MASTERSも今回最後の参戦となりました。引退まで試合数も残り少なくなってきました
長州「あとイベントのようなものを除けば4つある。4つで終わる。うん。……日明は上がんないって(笑)今から1年かかるよ。上がるったら言ったらもっと前に出てるよ。今日敬司とか出ますよね。満員になるまで来ていただいて。あの野郎(笑)」
(長州が退席し、入れ替わりに藤波が戻ってくる)
藤波「どう?前田は?ほら!お客さん、これだけ来てもらって。長州はあそこでブリーカーで行けばよかったのにね!それ待ってたのに……。でも上出来でしょう!あそこまで、前田はリングに上ったじゃないですか。もうちょっとで背広脱がせる!4月だな!4月に前田をもうちょっとけしかけて。でも、目つきはリングに上がったら急に目つきが変わったもんね。まあ、お待ち下さい!」
前田日明
「まあ、俺は座って見てただけなんで(笑)」
――座って見ている形でしたが、ご覧になっていかがでしたか
「面白いんじゃない。やっぱり、みんな長いキャリアがあるんで、次の展開次の展開っていうんで、なんていうかね、流れるように色んな場面を作って試合組んでて」
――試合中から藤波選手に煽られる場面がありました
「場外に出てきて俺の前でこうやって(羽交い締めのジェスチャー)やったら、その時は『蹴らなあかんのかな』と一瞬思ったけどね(笑)」
――試合後、リングに上がられて、長州選手がリキラリアットに行く素振りを見せました
「いやー、どうなるかね、分かんないね」
――身構えるような感じはありましたか
「いや、もう瞬間にならないと分かんないね。空手とかと一緒でパッと身構えないとわかんないし」
――長州選手と向き合った感想は
「いや、みんなよくやってるなと思いますよ。昔なんか、ルー・テーズとかゴッチさんが60になってもやってる、70になってもやってるって言ってましたけど、出来るんだなとか言ってましたけど、今みんなやってるでしょ。そういう選手の試合をちゃんとこうやってお客さんが見に来てくれてるってのはありがたいですね」
――そういったレジェンド選手たちの姿を見て、前田選手の闘争心は沸き起こりますか
「いやー、俺はね、ちょっとね、引退試合やったんで、ダメですね」
――今回、MASTERSに初めて出られましたが、今後もこういうお話があれば上がっていく?
「そんなこと言っても、なにをやっていいか分かんないんだけど。今日は正直、なんで呼ばれたか分かんない(笑)セコンドって言うんで、なんか役割あんのかなと思って。けど、『ただ座ってくれてればいい』って(笑)なんか場外にもつれてこうやって(羽交い締めのジェスチャー)るとき、叩いたりとか蹴ったりとかしなきゃいけないかなと思ってたけど、そういう場面もなかったし。で、『上がれ』って言われてどうしようかなと思ったら、マイク渡されたしね(笑)まあ、案ずるより産むが易しで良かったですね。まあ、今日のMASTERSの人たちの試合っていうのは、なんていうか、派手なロープワークもないし、変わった、リバース、リバース、リバースって行くような展開も無いし。長年やってる試合の経験と、間と、THE プロレスって試合組んでやってるんですね。そういうキレイな試合を参考に、色々頑張って欲しいですね。プロレス界ね、今怪我が多いんでね。プロレスは今のようにルチャっぽくなってると、一発怪我やっちゃうと大きいんでね。やれヒジを壊しました、ヒザを壊しました、首を頚椎捻挫しましたじゃ済まないような損傷で身体が動かなくなったりとか。厳しい試合、激しい試合、怖い試合、キツい試合=アクロバチックでは無いんですよね。気持ちであったり気分であったり、それを持っているだけの。プロレスに対して、“決めごとで”っていう定義も浸透しちゃいましたけど、それを分かってても『ひょっとしたらプロレスはリングの上でホントにやり合ってんじゃないか』って思わせるような……若いんだから、たまにそういう揉めたようなことはあると思うんですけど、揉めた試合の時に、その雰囲気が普段の試合にも出るように、っていうことを自分の中で考えてたんですよね。前田日明自身が成功したのは何かって言うと、業界の人達まで騙したんですよね。猪木さんもそれが出来たし、自分もそういう猪木さんを見習って、業界の人間、一緒にやってる人たちも騙すのは最高なんだなって、やってました。若い人もそこまでやってね、何が現実で何がウソなのか、何が作り込みなのかって分かんないように、やってる内にやってる本人も分かんなくなってくんですよ。そこまでやったら印象に残るすごいレスラーとして名前が残るでしょうね。そのへんの部分がゴソッと抜けちゃってるんで、プロレスはどんどんダメになって行きますね。やってる本人さえも分かんなくなるようなアングルが組めたら最高ですね」
第5試合
“BATTvsTEAM2000”の対抗戦となるこの試合、久々の来日となるBATT陣営のドン・フライの入場に観衆は割れんばかりの大歓声。さらに武藤がかつての入場曲『OUTBREAK』で入場。
続けてTEAM2000の面々がそれぞれの入場曲をミックスした曲で入場し、最後に蝶野が入場すると会場はさらなる大歓声。黒一色のスーツで現れた蝶野はリング上でTEAM2000のジャンパーを羽織って観衆にそれを見せつける。TEAM2000の面々はウルフパックポーズを合わせて結束を高め、蝶野が青コーナー下に置かれたイスに座って見守る中で試合開始。
小島と人生でゴングが鳴ると、ロックアップで組み合い、小島が人生をコーナーに押し込み、離れ際に拝むポーズを取る。再び組み合ってショルダータックル合戦となり、これを制した小島が胸筋をピクピクと震わせてアピール。さらにショルダータックルを狙っていくが、人生が側転でこれをかわし、トラースキックを放つ。これをかわした小島がラリアットを放っていくが、その腕をキャッチした人生はそのままコーナーへ上がり、拝み渡りからブレーンチョップ。両者タッチ。
Jとケアのマッチアップとなり、両者は組み合っていくがJがパワーで圧倒。ショルダータックルで吹き飛ばし、手4つで組み合っても上からケアを潰していく。Jはボディスラムからエルボードロップを放っていくが、これを回避したケアが巻き投げ。両者距離を取り、タッチ。
天山と大谷のマッチアップ。ロックアップで組み合い、ロープへ押し込みあい。大谷が天山に「久しぶりだなぁ!」と叫びながら張り手を見舞い、天山も笑顔で張り手でやり返す。しかし大谷は天山の顔面にビッグブートから水面蹴りを放ち、フォールも2。大谷は天山を引き起こすが、天山はモンゴリアンチョップで畳み掛け、小島にタッチ。
テンコジは二人で大谷に打撃を放っていき、小島は「俺もやるー!」と大谷にモンゴリアンチョップ。さらに二人で天山がヘッドバッド、小島がエルボードロップの合体技。大谷は小島に張り手で突っ張っていくが、小島はDDTで切り返しフォールも人生がカット。小島はヒロにタッチ。
ヒロは大谷にエルボードロップからセントーン、さらにチンクラッシャーを放ってJにタッチ。
Jは大谷を滞空ブレーンバスターで叩きつけ、天山にタッチ。
天山はTEAM2000の面々を呼び込み大谷にトレイン攻撃。よろけてリング中央に踏み出した大谷をJがラリアットで叩き伏せ、ヒロがセントーンで追撃。天山がフォールも、これを返した大谷が一矢報いて人生にタッチ。
人生はコーナートップからブレーンチョップ、さらに対角線コーナーに上がってダイビングショルダーと続け、念仏パワーボムを狙う。これをカットしに飛び出してきたヒロにトラースキックを見舞い、天山の足を取ってレッグスクリューを見舞うとフライにタッチ。
フライは天山に向かっていくが、天山は膝をついてフライに命乞い。しかしフライは気にせず天山の顔面にナックルを入れ、コーナーに押し込んで張り手を連発。さらにスリーパーで組み付き、グラウンドに持ち込んでバックマウントを取りながらスリーパーで締め上げるが、これはJがカット。フライは大谷にタッチ。
大谷は観客のアンコールに答えながら顔面ウォッシュを3連発。更に串刺し逆水平チョップ、串刺しビッグブートを放ってからジャーマンスープレックス。天山もすぐに起き上がってラリアットを見舞うも力尽き、ダブルダウンから両者タッチ。
ケアと小島のマッチアップ。突っ込んでいく小島の動きを膝蹴りで止めたケアは逆水平チョップからスイングDDT。さらに小島をコーナーに押し込むが、小島がリバースしてマシンガンチョップ。さらに「行っちゃうぞバカヤロー!」からのダイビングエルボードロップを成功させ、エルボー連打からのローリングエルボーを放つが、ケアがトラースキックでカウンター。さらに延髄へ左足でジャンピングヒールキックを放ち、ラリアットでトドメを狙うが、小島がキャッチしてコジコジカッター。ダブルダウンとなるも、JがBATT陣営に突撃して蹴散らすと、小島にトレイン攻撃を仕掛け、蝶野をリングに呼び込む。
蝶野はケアにシャイニングケンカキックを見舞うと、ここにBATT陣営のセコンドに付いていた武藤がリングに飛び込んできて蝶野、天山、J、小島と次々にドラゴンスクリュー、さらに小島にシャイニング・ウィザードを見舞い、ケアが渾身のTKO34thで叩きつけるもカウントは2。ならばとシットダウン・パワーボムを狙っていくが、蝶野がイスを持ってリングに乱入。
ここへフライが入ってきて蝶野からイスを奪い取るが、互いに見つめ合った二人はニヤリと笑い、フライはケアをイスで殴打しBATTから謀反。さらにフライはうやうやしく頭を下げながら蝶野にイスを手渡すと、蝶野がケアをイスで殴打。救出に入ろうとした大谷もイスで排除し、その間に小島がロープへ走り、ケアに渾身のラリアット。これでカウント3を奪った。
試合後、TEAM2000の面々は笑顔でフライと握手を交わし、蝶野を中心に記念撮影。それを終えると蝶野はマイクを持ち、去っていく武藤の背中に語りかける。
蝶野「武藤!オイ!お前!いつまでこんな興行やってんだテメェコラ!オイ!ここに出てるOB!俺はみんな尊敬してる!まさにMASTERSだ!いいか!そのMASTERSを!食い物にしてるのがお前だ!オイ!素晴らしい大会だ!ただな!すべての先輩たち、多分、去年ここに上がったリングのことを忘れている!オイ!お前ら(観衆)笑ってるけどテメェらも一緒だ!オイ!去年来てる奴いるかこの中で!(多くの観客が手を挙げる)お前らアホだ!いいか!かつて新日本プロレスには、神がいた!そして今!このMASTERS、ここにはキング武藤がいる!……お前らキングじゃピンと来ないか。分かるかお前ら!……詐欺師だ!お前らも騙されてんだ!我々TEAM2000は勤勉なプロレス業界を守るべく!そのために我々はこれからMASTERSを含め、プロレス界……防犯だな!今、武藤はロクでも無い奴だ!コジ!よく分かってるな?!(小島が吹き出す)いいか!お前らマスコミもそうだ!お前らもだまダサている!分かるか!原!MASTERS、本当に素晴らしいOBたちが精一杯頑張ってる。こういう興行をなくさないためにも俺は、武藤をしっかりチェックする!またこのリングで会えることを楽しみに待ってる。OK! WE ARE TEAM2000!」
その後、蝶野は自らのサングラスのスペアをフライに渡してかけさせると、フライは大喜びでコーナーへ上がり観客へアピール。装いもTEAM2000色に染まったフライを呼び込み、改めて記念撮影をし、TEAM2000はリングを後にした。
<試合後コメント>
BATT
ケア「ソーリー……」
武藤「(ケアと握手を交わしてから)……何も言うことは無い。質問だ。質問に答えるよ」
――試合中にドン・フライ選手が寝返る展開となってしまいました
武藤「多分、もしかしたら、俺の人望の無さと言うか。皆さん知っての通り。それが今日は露骨に出ちゃったなと」
――蝶野選手のイス攻撃にやられたりという場面もありました
武藤「そうですね。正直ね、BATTってチーム、これだけだからね。あと馳先生がいるだけで。TEAM2000はうちらより若干歴史が長いってことなんで。蝶野もこんな中でようまとめきってると思いますよ。その差ですよ」
――人生選手、ケア選手、大谷選手の3人と戦ったことに関しては
武藤「いやぁ、ホントにコンディション良くて。あんまりリングサイドで背中見てることって無いから、やっぱり彼らからはホントにエネルギーいただきましたよ。俺も早く復帰したくなってますよホントに」
――蝶野選手がリング上のマイクで……
武藤「聞いてないよ。何言ってるかわかんないよ。滑舌悪くなったよアイツも」
――「この興行が無くならないように武藤選手をチェックする」と言っていました
武藤「まあ、負けたから何を言っても……何言ってるかわかんないよ。マイク通しても何も分からなかった」
――興行全体を通してはいかがですか
武藤「試合自体は正直1つも見てないんですけど、なんか毎回思うんですけど、皆さんやってる人たちが本当に楽しそうにやってると言うか、それに反応してお客様たちもホントに楽しんでくれてるんじゃないかなあって思いますね。いやぁ、楽しかったですよ」
――超満員札止めとなりました
武藤「試合見てないからね、正直。歓声の音とかも全然聞こえてないんですけど、なんか控室に帰ってくるレスラーたちの表情とか見てたら、皆さん気持ちよさそうに試合してんじゃねぇかなあと。その雰囲気は伝わってきました。ただ長州さんも今日、MASTERSお別れで……ドンドンどんどん居なくなっちゃうなあ。蝶野もそうは言うものの、中々、絞り出すの大変だよ。ただ、まだ具体的に日にちは言わないけど、夏はもう一発やりたいと思ってますね」
TEAM2000
蝶野「面白い興行でした。なんかあれば」
――ドン・フライ選手をTEAM2000に引き入れての勝利でした
蝶野「ドンは元々、TEAM2000立ち上げのときからの長い絆がありますから」
――蝶野選手もイスを持ち込んで試合に介入していました
蝶野「まあでもあんま余計なことしなくてよかったかなと。ジェフなんかもね、試合は今ほとんどやってないって言っても、練習のときと全く変わらないくらいのコンディションで動いてるし、ドンなんかもね、かなり長い間リングに上がることから遠ざかってたって聞いてるんですけど、全くその辺はそういうものを感じさせず。テンコジの二人はこのまま新日本のタッグのベルト狙えるんじゃないかってくらいコンディション良かったんで。ヒロさんについては見てのとおりです。ですよね?」
ヒロ「ヤバかったね」
蝶野「いやいや素晴らしかったです」
ヒロ「あまりしてない」
――試合後、「武藤選手をチェックする」という言葉がありました
蝶野「ホントにMASTERSって、プロレス界の錚々たる方々をもう一度リングに上げて、というので本当に素晴らしいなと。ただ、高齢者の先輩方の使い方が……皆さん記憶もしっかりしてなさそうな方も多いんでね。使い方が巧みで上手だなと。お客さんも騙されてるしね。マスコミも騙されてるし、そのへんのところはキングと言った以上はね。新日本の中で色々歴史はありましたけども、その中でも武藤敬司っていうのはプロモーターとして脳でも素晴らしいですよね。そのへんの使い方。多分、今年出たOBの半分くらいの方は去年出たことを忘れて、ただ単に招聘されてリングに上がってると。藤波さん、長州さんは去年のことを覚えてないんじゃないかなって。……そんなこと無い?(天山へ)」
天山「まあ……大丈夫です!」
蝶野「ヒロさんは覚えてます?」
ヒロ「覚えてるちゃんと」
蝶野「あっ、覚えてます?」
ヒロ「まだそこまで行ってない」
蝶野「俺も去年出てたの忘れてて」
ヒロ「あらっ!」
天山「ちょうど1年前ですよね」
蝶野「その辺は、OBの方たちはちょっと不安ですよね。上手にリングに上げて、お客さんたちもどんどん去年よりも人数が増えてますから、これ以上被害者を増やさないようにという想いで行きたい」
――武藤選手が「夏にもう一度やりたい」というコメントをしていました
蝶野「今日見た感じだと、ヒザの手術の術後経過も良さそうなんで、早くリングに上ってきてもらって。リングから離れて裏方に行けば行くほど悪いこと考えますから。プロレスは、リングに上ってる選手たちってのはホントに純粋です。裏方の人間ってのはどの時代もやっぱり汚い人間が多いんで。その辺を選手たちをわからずリングに上げて、OBの方たちも、動悸・息切れの中で一生懸命頑張ってましたからね。そこらへんのケアもね、今日も息切れされてるカメラマンの方いっぱいいいますんで、そのへんもケアしながらの興行にしてもらいたいですね。でも我々、TEAM2000は新日本の色んな選手たちを当時声がけをしてね、参加してくれてましたんで、まだまだメンバーはたくさんいます。まだ新しいメンバーも追加していきますんで。なんかあればいつでもMASTERSに顔を出しに来るつもりなんで、よろしくお願いします」
――蝶野選手もコンディションが良いのでは
蝶野「いや、俺はダメだわ」
天山「今度はまた試合、選手としてちゃんと……」
蝶野「いや、今日イス持ってちょっとよろけちゃって」
天山「いやいやいやいや(笑)蝶野さんがいるとやっぱり心強いって言うか、TEAM2000、ドン・フライも、ジェフも、もちろんテンコジ、ヒロさんもしっかりとまた俺達の絆……年に一度の、じゃないですけど、あとは蝶野さんがリング上で……」
ヒロ「立ってるだけでいいから」
蝶野「立ってるだけでいい?」
天山「立ってるだけじゃダメですね」
ヒロ「ダメ?立ってるだけでいいよ」
天山「また、ガンガンやってもらいたいなって。お願いします」
蝶野「うん。頑張ります(笑)」