【インタビュー】“アイスリボン取締役選手代表”藤本つかさ~さくらえみが犯した罪は大きい~【後編】
アイスリボンの第二次アイドルプロジェクトである『マッスルビーナス』のメンバーとして2008年にデビューした藤本つかさ。当初は映画に出れるというキッカケから始まったプロレスラー人生だったが、今やアイスリボンの代表として様々な団体のベルトも戴冠し女子プロレス界の一翼を担う存在となった。
そんな中アイスリボンが「10年目の到達点」として5月4日に横浜文化体育館に進出!全対戦カードも決定した今、代表である藤本つかさにこれまでを振り返ってもらった。
■代表から見たアイスリボン
――現在アイスは星ハム子さんしか藤本さんよりキャリアが上の選手が居ない状況で下の若い選手が多い状況ですが、他団体より新人が多いというのはどう感じていますか?
「いっぱい後輩が入ってくるのは良い事だと思います。アイドルに例えると、色んな人が入ってくる大人数のアイドルグループは活気づくじゃないですか?固定メンバーでやっているアイドルは低迷停滞する事も多くて、それは女子プロレスも同じだと思ってるんです。なので色んな人が入ってこないと団体が活気づかないと思ってるのでほんと新人は一番の宝だと思っています。練習生も居ますし」
――その中でアイスの選手はリングネームが独特だと思いますが、何か信念があるのでしょうか?
「リングネームは直感です。最初は何も決めてないんですけど話してみてキャラとかがあったりしますし、なんとなくまるっぽいからまる子でとか直感が多いですね。それが逆に統一性というか変わったリングネームになってるのかなと思います。雪妃真矢とかは普通じゃないですか?」
――いや普通ではないんじゃないですかね。宝塚風ですし
「見た目からの完全な判断ですね(笑)」
――出身地をモチーフにしたリングネームも多いですよね
「意識はしてなくて、藤田あかねとかも居ますし。凱旋興行は無理をしてでもやりたいっていう思いがあるので…でも名前でハム子さんは得をしてると思います(笑)そういう意味での統一性ですね。まる子はまるちゃんって呼んで欲しいからですし」
――アイスリボンは地元と根付いて地域密着型のイメージも強いですよね
「さっきも言った事なんですけど、やっぱり無理してでも凱旋はやりたいっていうのは私も佐藤社長も共通の考えがあるので、あなたの街にアイスリボンみたいな感じで。47都道府県出身のレスラー集めて全国にアイスリボン行きたいです」
――地域密着型ということで、今アイスとして実際に行っていることはなんでしょう
「地元の法人会の方々と仲良くさせていただいてます。昔は全く相手にされてなかったんですけど、今は(東京都)北区の人たちから講演会に呼ばれたりとか、私が東北出身という事もあるので岩手とか宮城の大学で講演させてもらったりだとか。今は特に川口法人会の人たちと一緒にアイドルとコラボしたりお笑いとコラボしたりしてプロレスを広めてますね。あと遠征ができるようになったんですよ。前までは結構人も少ないというのもありましたし、学生が多いというのもあったので遠征が限られた人数しかいけなかったんですよ。今も学生はいますけど居なくても遠征ができるようになった」
――男子の団体は今関西方面進出を狙っている団体も多いですが、アイスリボンは新規で目指すとしたらどちらへ
「私が宮城出身なので東北にはやっぱり行きたいなと個人的な気持ちはありますし、折角プロレスラーになったので選手の凱旋はしたいと思っているので沙弥とハム子さんの北海道とか。北海道巡業する女子団体とか今ないじゃないですか?それをアイスが復活させられればいいなと思います」
――他団体と差別化するうえで大事にしている事はありますか?
「兼業レスラーを受け入れることが多分、うちしかできない事だと思ってます。学生でも受け入れる門戸はあります。何か仕事しながら土日だけプロレスとか、兼業を初めて受け入れたのがうちじゃないですか。それは今も続けてます」
――厳しい意見ではアイスリボンの技術力の低下という部分が言われる事もありますが
「まあでも私も言われて来てる事なので、それが今は言われなくなった。じゃあ後輩たちもできるでしょって。まだまだな人はいっぱいいますけどね」
――今代表として見て、新人の中で気にかけてる選手というのは誰になるのでしょう
「やっぱりメインの2人ですね。世羅と優華」
――それはなぜ
「世羅は、スターになれると思っています私は。ただ本人にその自覚がない。だからその自覚を持たせればすぐに(上に)行きます。素質がある。持ってるものが、体格であったり顔だったりまとめる力だったり、そういうのが全て備わっている人なので、後は本人の気持ちですね。優華はぶっ飛んでいるところがあるんですけど、それはプロレスラーとして必要なものですし、この子だったら空気を変えてくれるというのが優華なんですよ」
――2人ともサイコなイメージがありますが
「そうですか!?世羅も!?」
――世羅さんは人毛(デスマッチ)とか
「あれはやばかったですよ…やばかったですよ!ほんとにやばかったですよあの時は!私も大変でした」
――取材中に口の中に人毛が入って来たり、家に帰ってシャワーを浴びたら自分の毛じゃない人毛が流れてきたりとホラーでした
「その節は皆さんにご迷惑をおかけしました…ハム子さんも蕁麻疹出ましたし…」
――ほんとにその2人に任せて大丈夫ですか?(笑)
「アイスリボンどこ行くんでしょうね(笑)でも大事なのはプロレスラーとしてなので、人としては色々説教することはありますけどアイスリボンのプロレスラーとしては任せられます」
――最近Yahoo!ニュースでアクセスランキング1位を取っている雪妃真矢さんにも注目が集まっていると思うのですが
「雪妃は怪我を何度もしてて人一倍悔しさはあると思う選手だと思うんです。性癖を爆発させたい?って言ったんでしたっけ。なんか本心を出したいって言いたかったらしいんですけど、それが何故かそっちになってしまったらしいです。でも私も雪妃のTwitterを見て何があったのって思いましたけど、今彼女は色んな意味で注目されてる選手なのは間違いないのでそんなこと良くも悪くもないじゃないですか?これはチャンスだぞって本人に伝えましたし、そのチャンスをものにできると思うので、雪妃の性癖を見に横浜文体に来てほしいですね」
――藤本さんから見て、今の女子プロレス界の良し悪しはいかがでしょう
「女子プロレス界…今のままだとどんどん狭くなってしまいます。ただでさえ狭いのに、もっと狭くしちゃってるのが女子プロレスの悪いところだと思うので、もっと外に外に行かないと、女子プロレスという物自体が無くなると思います。良い部分は、女子は感情を露わにするのが女子プロレスだと思うので、常日頃の恨みつらみも全てプロレスでやるじゃないですか?それが怖かったりもしますけど、それがまた面白いっていうのはありますね。でも最近女子プロレスって残酷系で売ってるじゃないですか?それは嫌で、こんなに面白い物があるんだよっていうものをうちは提供したい。残酷を売りにはしたくない。なんで女子はいつもそういう所から広げられるんだろうっていう悔しい気持ちはありますね」
――藤本さんにとってさくらえみとはどういう存在なんでしょう
「まあ私のプロレスラーになったキッカケはあの人ですよね。私の人生を狂わせた人(苦笑)良い意味でも悪い意味でもですけど」
――感謝してる部分はあると
「ありましたけど、でもあの人が犯した罪は大きいんですよ。このアイスリボンに退団という選択肢を作ってしまったのはさくらさんだと思います」
――フリーになってやるということを藤本さんはよく思っていない?
「全然そういうことではないです。フリーはフリーでめちゃくちゃ大変だと思います。でも団体に、いつまでも団体に甘えちゃいけないからフリーになるとかいう発言よくあるじゃないですか?団体にいることが甘えてるわけじゃないし、フリーになった事がすごいわけでもないし甘えでもないし、大変なんですけど、私が団体プロレスを好きという事もあるのでいいんですよその人の道で。ただそういう選択肢を作られてしまった事でアイス側の私にとってはツライ経験は沢山しました」
――代表としては一人また一人と居なくなっていくのはツライ部分があったと
「そりゃそうですよね。ツラかったです」
――直近ではアイスリボンの初期メンバーである希月あおいさんも退団されてしまいました
「それもそうなんですけど、なんか後輩が退団という言葉を軽々しく言うようになったのは昔退団した人が居たからだと思うので、その発言を言った時にあんたが悪いんじゃないよって思いました。過去にそういう決断を見せてしまってごめんねって思いました」
――色々な思いがある中で5月4日の横浜文化体育館大会では闘うこととなりました
「どうなんだろう、本当に…4年以上経ってると、いつもならスラスラ言葉が出てきてこういう試合になるんだろうなっていう予想ができるんですけど、今本当にできなくて、そんな自分にどうした藤本って思ってます。動揺してるんですかね?ああ言えばこう言う私が、今喉につっかえてる物があって、ゾワゾワします」
――さくらさんが「アイスリボンを終わらせる」と言った後、藤本さんもすぐに世羅に「あとは任せた」とマイクを置きリングを後にしてしまいました
「そういう時に咄嗟に世羅って言葉が出てきた意味をわかってほしい、世羅には」
――高橋奈七永とさくらえみというのは過去に何度も闘ってきた相手ではあるわけですが
「何度も闘って来ましたし、あの2人から私はベルトを取っている(2010年12月に志田とのタッグでリボンタッグ王座を奪取)ので、ただあの2人のタッグチャンピオンだった時から4年の空白がありますからね…私が4年間やってきたように向こうもやってきてるので、どっちがスゴイとかはないと思いますけど、アイスリボンを終わらせるって事はほんと許せない。後輩たちにも安心させないといけないので勝ちます」
――終わらせるという言葉の1つの受け取り方としては、さくらえみという存在の過去の呪縛を解くというようにも受け取れます
「そうですね。色んな所で『藤本さんのプロレス人生を取材させてください』となった時に必ずさくらえみが出るんですよ。それが嫌でいつも。結局そこが聞きたかったから私を呼んだんだなって思う事がいっぱいあって、ほんとに嫌だったんですよ。だからもう、今回のこの試合で終わらせて『もう聞かないでください』って言いたいです」
――奈七永さんに関しては今藤本さんはSEAdLINNNGに出られていて、ハイスピードに普段は照準を絞っているのであまり関わる事はないですけれど
「私がSEAdLINNNGに出る目的は南月たいようですから(笑)SEAdLINNNGでは南月たいようがいるから参戦してるんですけど、やっぱりSEAdLINNNG以外で見た時に、アイスリボン10年目の到達点というタイトルで思い浮かんだのはやっぱり奈七永さんで。10年たって横浜文体で大きい箱で試合ができます!それが到達点です!って言うんじゃなくて、10年前とは明らかに違うアイスリボンを見せたい。そのためには10年前の旗揚げ戦の頃から居た奈七永さんを倒すことですよって思ってたので、奈七永さんありきというか。Xとかどうでも良かったんですけど、まさか…ね」
――さくら、奈七永、藤本というアイスリボン10年の3人の関係がある中、ここ1年ベストフレンズとしてタッグを組んでいる中島安里紗が横にいるという部分ではこれからの新しい物を見せていくという思いもあると思います
「そうですね、私が今大切にしている1つがベストフレンズなので、最初シングルを考えていたんですね、奈七永さんとシングルを。考えていたんですけど、会見の前日の夜中の1時かな、安里紗に電話して(苦笑)ゴメンいろいろ考えたんだけどどうしてもやっぱ文体っていう大事な大会で大事なパートナーと組みたいと言って、それでもいいかなこんな時間に申し訳ないけどって話をしたら喜んでって言ってくれたので。それが10年目の到達点。1年も組んでないですけど私にとってはベストフレンズありきの文体です。現在過去未来が詰まった試合ですね」
――女性にあんまりこういうこと聞くのもあれですが、女子プロレスラーは結婚されていない方も多いですが藤本さんはそのあたりは
「早く結婚したいですよね私も!(笑)プロレスの魅力なんですよ、プロレスって中毒になるじゃないですか?だから皆プロレスと結婚しちゃうんです。どうしよう(笑)結婚したいです!ほんとにしたい」
――最近だと成宮さんの寿引退もありました
「一番いい形だと思います。色々あると思いますけど、一番良い終わり方ですよね女にとっては」
――今後後輩たちにはそういう点では
「皆女としても幸せになってって思ってます。いやでもそれは思いますけど、プロレスを極めて目標を達成したらじゃないのって思います。その前に先に行くなよって言いますけど!ふざけんなよって、順番考えろよって!(笑)」
――今後、女子プロレスラー藤本つかさはどうなっていくのでしょう
「私は、アイスリボンに、居るんでしょうね。アイスリボンの取締役選手代表に居るんだと思いますよ。多分今のメンバーが全員居なくなっても居ると思います。どうしよう結婚できない(苦笑)でも色んな人が入って色んな人が抜けても、色んな人が抜けるのもアイスリボンなのかなとちょっと思いますし、家族みたいなものなので、皆(プロレスラーとして)生まれた時から知ってるわけじゃないですか?だから私がアイスリボンを離れる事はないでしょう」
――それでは最後に、代表から見て今のアイスリボンのメンバーと今後どうなっていきたいですか
「皆家族の一員になってなってくれればいいなと思います。大家族になります!」
『アイスリボン横浜文化体育館大会~10年目の到達点~』
日程:2016年5月4日(水・祝)
開始:15:00
会場:横浜文化体育館
▼第1試合 まる子軍vs長浜軍 6人タッグマッチ20分1本勝負
長崎まる子/松本浩代(エスオベーション)/ベーターノワール
vs
長浜浩江(WAVE)/真琴(REINA)/水波綾(WAVE)
▼第2試合 リング&マット4WAYタッグマッチ 30分1本勝負
松本都/235/植木嵩行(大日本)
vs
[アカレンジャーズ]佐々木貴(FREEDOMS)/GENTARO(FREEDOMS)
vs
[ヤンキー二丁拳銃]宮本裕向(666)/木高イサミ(BASARA)
vs
村上和成/パピヨン朱美(でらべっぴん)
※リングに加え、ステージ上に設置したマットでもカウント可能なWリング方式となる
▼第3試合 柊くるみ復帰戦 6人タッグマッチ20分1本勝負
柊くるみ/豊田真奈美(フリー)/テキーラ沙弥
vs
星ハム子/宮城もち/藤田あかね
▼第4試合 トライアングルリボン選手権試合15分1本勝負
【王者】チェリー(DDT)
vs
【挑戦者】弓李
vs
【推薦者】大畠美咲(WAVE)
※第21代王者2度目の防衛戦
▼第5試合 雪妃真矢7番勝負4本目 シングルマッチ20分1本勝負
[正危軍]雪妃魔矢with尾崎魔弓(OZアカデミー)
vs
木村響子(フリー)
▼第6試合 シングルマッチ30分1本勝負
つくし
vs
里村明衣子(センダイガールズ)
▼第7試合 タッグマッチ30分1本勝負
[ベストフレンズ]藤本つかさ/中島安里紗(JWP)
vs
さくらえみ(我闘雲舞)/高橋奈七永(SEAdLINNNG)
▼第8試合 ICEx∞選手権試合30分1本勝負
【王者】世羅りさ
vs
【挑戦者】優華
※第22代王者初防衛戦