【インタビュー】『自分が一番ストロングスタイル』虎になれなかった男・“初代タイガーマスクの二番弟子”間下隼人がベルト奪還へ向け気炎!ジャガー横田が殻を壊し10・30王座取りへ!

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 2007年に“初代タイガーマスク”佐山サトルの弟子としてデビューした間下隼人は、兄弟子たちの後ろに隠れNO.2のまま15年が経過。しかし団体の至宝であるレジェンド王座が真霜拳號に流出すると、自ら奪還に名乗りを上げた。
 自団体のベルトだけではなく、真霜の持つ2AW無差別級王座にも名乗りをあげ、目前に迫る10月30日2AW千葉大会ではダブルタイトルマッチへと発展。
 殻を破って主役に躍り出た間下はどのような思いで真霜と向かい合うのか?
 虎の遺伝子に誇りを持つ間下にその思いを聞いた。

『GRAND SLAM in TKPガーデンシティ千葉』
日程:2022年10月30日(日)
会場:千葉・TKPガーデンシティ千葉
開始:13:00

▼2AW無差別級&レジェンド・チャンピオンシップ ダブル選手権試合
【王者】真霜拳號(2AW)
vs
【挑戦者】間下隼人(ストロングスタイルプロレス)

■ベルトはリングの下からセコンドとして後ろから見るものってイメージでした

――デビューして十数年、(レジェンド王座)ベルトとはあまり縁がありませんでしたが、ご自身の団体のレジェンド王座をどのような目で見ていたのでしょうか
「なんかずーっとセコンドで見ているもので。正直、初めは『巻きたいな』って思っていたんですけど、『縁はないんだろうな』ってどこかで諦めに近いものがあったので。今は巡り巡って、去年スーパー・タイガーと闘ったときにあと一歩まで行って、今年こうやって目の前にあるっていう。佐山先生が設立したベルト、団体の象徴でもありますが、船木誠勝さん、関本大介さん、大谷晋二郎さん、藤田和之さん、スーパー・タイガーと、業界的にもストロングスタイルを作って守ってきた人たちのベルトなので。真霜選手もそれにふさわしい選手だと思いますし、取り返すのは自分しかいないなという気持ちですね、今は」

――レジェンド王座に限らず、ベルトへの思いというのはこれまであったのでしょうか
「UWA(アジアパシフィックヘビー級王座)は巻いていましたが、レジェンドチャンピオンシップというのは……。他団体のベルトにしても、そこにたどり着いていないというか、ベルトというものにあまり縁がなかったので。ホントに。前にアジアパシフィック巻いたときは嬉しかったですけど、どうしてもレジェンドの方が格上というイメージは拭いきれなかったので。それで僕も将軍岡本選手に負けているので、それは心残りではありますけども。レジェンドは、崇高というか、かなり上の位置……リングの下から、セコンドとして後ろから見るものっていうイメージのものでしたね」

――プロレスラーとして目指す頂点、目標というものはどこにあったのでしょうか
「今はベルトを取り返すこと。それで去年果たせなかったスーパー・タイガーを倒すことが、団体のトップ・象徴だと思うので、そこが目標ですね。真霜選手を超えていかなくちゃいけない」

――ストロングスタイルというものについてのイメージは
「やはり、最近は無くなりつつある言葉だと思うんです。この間、アントニオ猪木会長が亡くなられてからまたピックアップされている言葉だと思うんですけど、本当に強い人、ケンカが強い人、心が強い人がやるプロレスというか、ホント強い人が闘う、ホントまんまのストロングスタイルってイメージが強かったんで、どうしても僕はそこに踏み切れてなかった部分があります。ここ1~2年は、自分の中のストロングスタイル、様々な形がある中で自分にしかできないストロングスタイル、この前の会見でも言ったんですけど、自分が一番ストロングスタイルだと思ってる最近は試合をしています」


■このまま良い子ちゃんで『スーパー・タイガーの後ろにいる目付きの悪い人』で終わる訳にはいかない

――ベルトを獲られたときから入場曲を変えられた(悪童会『クソッタレ行進曲』)と同時に、試合のスタイルも少し変わりました。これはどういった心境からでしょうか
「確か解散している方たちで自分もそんなに知っていた方ではなかったんですけど、自分に合っているなと思って。そこで多分“反逆”というテーマが出来てきたので。スーパー・タイガーって、完全な善玉というかベビーじゃないですか。となると、やっぱりそのスーパー・タイガーのレジェンド王座に挑戦していく前とか、スーパー・タイガーと組んでいた時期が8ヶ月くらいあったんですけど、ずっとNo.2というか。それで『このままじゃダメだ』『自分を変えなきゃ』と思って“反逆”“反抗する”って気持ちで変えました」

――その反抗心というのは、団体やスーパー・タイガー選手に対してではなく、自分の心に対してのもの?
「そうですね。振り切らないと、殻を破らないと、このまま良い子ちゃんで『スーパー・タイガーの後ろにいる目付きの悪い人』で終わる訳にはいかないなという思いもあったので、殻を破りたい気持ちは大きかったですね」

――スーパー・タイガー超えを目指す中で、そのスーパー選手を真霜選手が倒してレジェンド王座を戴冠しました。真霜選手に挑戦表明したのは、目標とするスーパー選手を先に倒されたからなのか、ベルトを自団体に取り戻したいからなのかで言えばどちらでしょうか
「どっちもですね。なんだろうな、真霜選手の話になると、元々プロレス界的にも有名な方ですし、あの方は結構ストロングスタイルだと思っていたんですよ。スーパー・タイガーはどう思ってるかわからないけど、僕が目指さなきゃいけないタイプだと思うんですよ。ストロングスタイルを謳っていく上で。あの人に弱いイメージ無いじゃないですか。強いし、端正な顔立ちだし、スゴい体つきをしていて、多くは語らない武士みたいな佇まいで……。『只者じゃない!』って思わせる圧迫感があって、実際に只者ではない。蹴りも出来て、投げも出来て、関節も出来る。メインはスーパー・タイガーと真霜さんだったので僕自身はそんなに絡みは無かったんですけど、やってて1つ思ったのが、頭がメチャクチャいいなと。頭の回転というか、プロレス・闘いに対する構成力というか。顔には出さないようにしてましたけど、『この人只者じゃないな』っていうのは強く心に思っていました。あのときもスーパー・タイガーのサポートをするつもりで闘ってたんで、総合力では勝てましたけど、実際にベルトをかけた闘いではスーパー・タイガーが負けましたから、上回った部分は多分プロレス力・人間力でしょうね。強いですよ、ホントに」

――真霜選手は、挑戦表明を受けたときに『お前はスーパー・タイガーより強いのか?』と問いかけ、間下選手は少し迷ってから『自分のほうが強い』と答えました
「ありましたねぇ。『イヤなこと聞くなあ』と思いましたね(笑)そういう部分も含めて、あの場でそういうことが聞けるっていうのがスゴいですよね。真霜さんは多分僕のことなんてよく知らなくて、“スーパー・タイガーの隣りにいるチンピラみたいな奴”くらいに思ってたと思うんですけど、僕ら2人の関係を見抜いて投げてきたんだと思います。あの時点で『あっ、先手を取られたな』って思いましたね。でも、意を決して。実際にスーパー・タイガーと喧嘩したら勝てはしないかもしれませんけど、あの人にない部分を僕は持ってると思って、『スーパー・タイガーよりも強い』と。その言葉もまあ上手く返されちゃったんですけど、アレはホント、アレでしたね。『イヤな質問するなあ』と思いましたね(笑)」

■佐山先生から『一番弟子の桜木です、二番弟子の間下です』って言ってもらえるのメチャクチャ嬉しいですよ

――その後、2AWに乗り込んで、次期挑戦者決定戦を制して真霜選手の持つ2AW無差別級王座への切符も手に入れました。元々レジェンド王座を取り戻すための闘いでしたが、2AWのベルトも獲るということは考えていたのでしょうか
「いや、正直考えていなかったですね。なかったですけど、なんだろうなあ。どっかで十何年諦めていた自分が最近爆発している部分があって。ダブルタイトルマッチってあまり聞かないですけど、これは美味しいなと。どっちももらったほうが良いじゃないですか。今共同戦線を張っているディアナさんのジャガー横田さんとお話させていただく機会があったときに、『君は身体も大きいしスピードもあるし、顔もすごくレスラー向きだけど、どこか優しさがある』と言われたんです。『闘う相手はだいたい先輩なんだからヤっちゃえばいいのよ。No.2じゃダメなのよ。いつまでも後輩気分じゃダメだ』って言われて。金言じゃないですけど、それが結構心に刺さったんです。それで背中をバチンと叩かれた気持ちになって。自分の壺の中に溜めに溜めすぎていた欲があって、ジャガーさんに「壺をハンマーで叩き壊された」ことで溢れ出ている感覚ですね。『どうせなら獲ってやるよ!』って」

――ジャガー横田さん率いるCRYSIS興行にも出場されていました
「去年の12月ですね。初めてジャガーさんと戦わせていただいて、身体も小柄で年齢も僕の母親より上ですよ。『大丈夫なのかなあ』と思ってたら、コールのときに額くっつけてきて、身長差もあるから『なんだよこれ』と思って、離れてから振り向いた瞬間にイスでメチャクチャ叩いてきたんですよ。びっくりして。場外に落とされたんですけど、首にイスかけて腹踏まれまくって。そこで思わず『クソババア!』って言っちゃったんですよ(笑)でも多分アレは僕を奮い立たせるために言ってきたと思うんですよ。『思い切り来いよ』『ナメんなよ』って。僕もそんなに短気ではないですけど、さすがにカチンと来たんで、『このクソババア!』って。『クソババアじゃねーだろ!』って言われたんですけど、僕からしたらクソババアじゃないですか(笑)僕ももう本気で蹴ったりして。もうあったま来たんで。そしたらジャガーさんも本気でブチ殺しに来た。イスも、底が抜けない方でぶっ叩いてきて。『こいつヤバいな』と思って。そのあと、さっき言った金言をもらって、『ああ、そういうことだったんだな』って。たんこぶは出来ましたしヒジも悪くなりましたけど(笑)ナメてた部分があったと思うんですけど、あれは本当にいい経験になりました」

――ストロングスタイルプロレスとディアナが協力体制を取って、収穫があったわけですね
「ぶっちゃけ、初めは『えっ?』って思ったんですよ。『なんで?』って。佐山先生が決めたことだからなにも言わないけど、スーパー・タイガーも思っていたと思うんですよ。女子の試合も入ってきて、僕がちょうど反旗を翻した日にちょうどタイガー・クイーンがデビューしたんですよ。『タイガー・クイーンが出ます』と聞いて、『どーせそこまででもないだろう』と思って見てたら、まあ、アレ(凄いボテンシャルの高さ)じゃないですか。一気に僕の15年分を場外ケブラーダで一気に消し去っていった!僕も見とれちゃったんです。それが悔しくて、もう、ホントに。だから、それこそスーパー・タイガーとか桜木裕司は『どうでもいい。クイーンはクイーンだから』と思ってるでしょうけど、僕は面白くなかったですね、正直」

――後輩のタイガー・クイーン選手に嫉妬心を抱いたと
「分かるんですよ、僕も。会社的にもキャッチーだし、あれだけ盛り上がって、あれだけ先生のコピーみたいな動きして、女子であんな動きして。それで、ストロングスタイルプロレス所属になって、【スーパー・タイガー、タイガー・クイーン、間下隼人】って書かれるようになる。その並びもイヤなんですよ。『俺のほうが上だろ?』って思うんですけど、分かるんですよ。その方がチケットとか売れるでしょうし。僕はクイーンに対してジェラシーもあるし、嫉妬もしてるし。あっちはなんとも思ってないでしょうけど。スゴいキレイな目してるなって(笑)。だから、僕はそういう意味も込めてタイガー・クイーンに『腹違いの妹』と言ったんですよ。敵でもないし、味方でもない。そういう17年間の鬱憤がもう……壺ですよね。でっかい壺が叩き割れてるんで、真霜選手に対しても、悪いですけど八つ当たりさせてもらいます。ムチャクチャやるしか出来ないですからね。僕が仮に佐山先生みたいなステップを出来るかと言ったら出来ないですし、クイーンみたいな場外ムーンサルトなんて出来ないですし、スーパー・タイガーみたいな人を殺すようなハイキックも出来ないですし。その僕に何が出来るかって言ったら、メチャクチャやっていくしか出来ないんで。荒々しくやるしかないですし、それをぶつけるしかないですよ」

――序列をぶち壊してトップに立ってやろうと思い立ったということですね
「勲章がないと主役になれないんです。ずっとNo.2で……最初はNo.3とか4でしたけど、みるみるみんな辞めてって、いつの間にかNo.2になって、佐山先生から『一番弟子の桜木です、二番弟子の間下です』って言ってもらえるの、メチャクチャ嬉しいですよ。僕は外では『佐山先生の弟子です』とは言わないんで。そこまで達していないんで。そういった部分の、自分の鎖を引きちぎる意味でも、レジェンド王座は必要なんです。レジェンド王座は、僕にとってベルトであり鍵でもあると思うので、なにがなんでも取り返さないといけないです」


■修羅場の数を考えれば同じくらいか、僕のほうが上かもしれない

――アウェーでの王座戦ということに感じることはありますか。普段レジェンド王座戦はホームの後楽園ホール大会で行われますが、今回の舞台は2AWのホームとも言えるTKPガーデンシティ大会です
「外でやるってこと無いですよね。初めてのパターンじゃないかな?敵地でなにされるかわからないですし、囲まれたらさすがに僕もヤバいですけど、そもそも期待なんてされてないプロレス人生でしたから、敵地であろうがアウェーであろうが、逆にブーイングくれるくらいのほうが力になりますよね。メチャクチャやりやすいですよ。逆にここでもっかいスーパー・タイガーが行ったらクリーンファイトになるわけじゃないですか。それだったら見てるお客さんも面白いは面白いんでしょうけど、多分求められてるものはそこじゃない。そこがスーパー・タイガーに無くて僕にある強さだと思うんですよ。メチャクチャやりそうな雰囲気が見た目であるじゃないですか、僕(笑)だからそこはあんまり緊張はしないんで、気負いはないですね。『見とけよ』って感じです」

――ホームでのタッグマッチでは花見達也選手と、次期挑戦者決定戦では浅川紫悠選手と2AWのトップどころと闘って来ていますが、2AWの真霜選手以外の選手に強さを感じる部分はありますか
「スタイルが違いすぎるんですよね。十嶋くにお選手、浅川紫悠選手と、あとは花見達也選手と仁木琢郎選手と闘ってるんです。花見選手は小さい割にガッツがあって、仁木選手は多分レスリングやってたのかなって強さがありますね。そういうところで負けちゃ、ホントに僕の16年が無くなっちゃうなって。でも、仁木選手はウチ向きなのかなと思いましたね。ガッツリ組んできたんで。体格は小さいですけど、仁木選手と花見選手はガッツがありましたね。それを足したのが真霜選手。真霜選手も、2AWではスタイルが違うというか。僕も小学生からプロレス好きだったんで色々プロレス見に行ってたんですけど、真霜選手がデビューしたあとの2002年かな?僕、山口でサインもらってますからね(笑)誰と組んでたかは覚えてないですけど、3vs3とかで闘ってて、勤王党になる前ですよ。普通のプロレス好きなちょっとヤンチャな子として、サインもらいました」

――憧れた真霜選手から、憧れが消えた瞬間はどこだったのでしょう
「難しいなあ。そういう憧れはまだどこかにあるのかもしれないですね。佐山先生がおっしゃるストロングスタイルプロレスに今一番強いのかなって。船木誠勝選手もそうですけど、能力的にトータルバランスで一番近くないですか?ホントに弱いイメージがないんです。ベルト持ってる、持っていないに関わらずに強いってイメージしか無い。全方向に刀構えてる感じですよね。ああなりたかったですけどね。もちろん僕もプロレス好きですから、マスクかぶりたかったですよ、もちろん。それ含めて“虎になれなかった男”って言われるんですけど、逆にそれが今考えれば、スーパー・タイガーがいて、スーパー・ライダーがいて、クイーンがいて、逆に僕だけ素顔なんで、ある意味で個性かなと。

――今回、真霜選手に立ち向かうに当たって佐山先生から新たな指導はあるのでしょうか
「『気持ちで負けるな』って部分は言っていただきましたね。でも、それはずっとスーパー・タイガーと闘うときから言われてましたね。クイーンも言われてるかもしれないですけど、それは佐山門下の人間は全員言われてると思います。気持ちで負けずに前に進むって部分は。僕は、それを脳内で『メチャクチャやってやれ』って変換して受け取ってるんで」

――真霜選手は打投極のすべてが揃った選手ですが、それはある意味掣圏道が掲げるような路上での闘いとは違い、ルールの中で闘ってきた選手なので、そこに勝機はあると思いますか

「そう、まさにそうですね。もちろんプロレスではあるんですけど、もとを辿れば掣圏真陰流、すなわち実戦型っていうのがあるんで、ここでいきなり始まったらルールは無いわけじゃないですか。机だってひっくり返せるし、リングで戦ったら叩き割ることも出来るわけじゃないですか。そういう根性は据わってると思うんで。実際見てきたし、やられてきてるんで(笑)真霜選手もやられてるかもしれないですけど、経験値・キャリア・名声・ネームバリュー・実績、全然追いついてないですけど、違った意味の修羅場の数を考えれば同じくらいか、僕のほうが上かもしれない。そこが武器ですね」

――最後にこのダブルタイトルマッチにかける思いをお願いします
「まず2AWのベルトについてですけど、無差別級王座を謳っているだけあって過去に色んな人が挑戦していて、真霜さんに女子の方が挑戦していたこともありましたし、階級も男女も関係ない。だったら他団体の、業界的に見たら格下がかっさらっても問題ないでしょって思うんで、申し訳ないけどウチのレジェンドと一緒に頂戴していければと思いますね。レジェンドは、憧れのベルトですよ。下手したら一番僕が見てきたベルトかもしれない。巻いたことはないけど、巻くのを手伝ったり、管理したり。僕が一番見てきた勲章であり、称号であり、憧れですよ。これを取り返して僕が次のチャンピオンにならないと。真霜選手に対しても同じですよ。ああいうザ・ストロングスタイルっていう、見たまんまの強さ。あの人を乗り越えてこそ意味があるレジェンドチャンピオンシップだと思うんで。立って良し、寝て良しの真霜拳號をしっかりメチャクチャにしてやろうと思ってます」

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