PANCRASE326で復活したロッキー川村2が元・教え子の内藤由良とミドル級王者決定戦へ!「1つの歴史を自分の手でしっかり終わらせる」
11日、都内新宿区のパンクラスにおいて、『PANCRASE 326』(21日、ベルサール高田馬場)で行われるパンクラス・ミドル級王者決定戦の調印式が行われた。
ランキング1位の内藤由良(リバーサルジム横浜グランドスラム)は、2020年に初参戦。恵まれた体格と子供の頃から磨いてきたレスリング力で4連勝中だ。
対するロッキー川村2は2005年にパンクラスでプロデビュー。2006年にNBTライトヘビー級で優勝し、3度ベルトを巻いている生粋のパンクラシストだ。2017年以降パンクラスには上がらず、プロレスで活躍していたが、昨年9月、4年ぶりに復帰、新井勇二を膝蹴りでKOしている。
実は、内藤は子供の頃、パンクラスの子供向けジム「キッズ・ラボ」で練習しており、川村はラボ時代の恩師でもある。初参戦時から「川村先生と闘いたい」と発言していたが、5戦目でタイトルマッチとして実現した。
内藤が勝って恩返しをするのか、川村がキャリアの差を見せるのか、見逃せない一戦だ。
両選手は廣瀬隆司・キング・オブ・パンクラス評議会 評議員長の立ち会いのもと、出場誓約書にサインした。
――まず、意気込みをお願いします。
川村「エイドリアン」
内藤「先生を超えるだけです」
――今、先生を超えるという言葉がありましたが、川村選手との関係を、内藤選手からご説明いただけますか。
内藤「僕はもともとピーズラボ横浜というところでキッズレスリングをやっていたんですけれども、入会したのが小学校2年生ぐらいで、川村さんはそのときはまだ練習生でした。佐藤光留先生、大石幸史先生などなど、たくさんの先生、パンクラスを引っ張ってきた先生たちにレスリングを教えてもらっていました。
その中でも川村先生にも、挨拶をしっかりとか、返事、態度とか、そういうところをしっかり教わっていたので、レスリングはあんまり教わってはなかったんですけど(笑)、そういう教育をしていただきました」
――幼少期の頃から教えていただいた人と、パンクラスのケージの中でベルトを懸けて闘うということには、今どういう思いがあるのでしょうか。
内藤「自分が小さい頃から見て来たパンクラスという最高な舞台で、最高のタイミングで最高の相手と最高のベルトを懸けて闘うことができるのは本当にすごく嬉しいですし、とても気合いが入っています」
――昔からの教え子がこうして同じ舞台に上がって来てベルトを懸けて闘うというのは、どういった心境なんでしょうか。
川村「……エイドリアン」
――お2人におうかがいします。今回、どのような試合をしたいと思っていますか。
内藤「川村先生から教わって来たことを、そのまま返すだけなんで。もちろん熱い試合になると思います」
川村「……エイドリアン!」
――最後はどんなフィニッシュにしたいと思っていますか。
内藤「面白い試合っていうのは、判定ではなく完全決着だと思います。どのような決着になるかは総合格闘技なので(やってみないと)分からないんですけど、しっかりと5ラウンドのうちに仕留めに行きたいと思っています」
川村「エイドリアン」
――内藤選手は、この試合はパンクラスの継承の試合だと、パンクラスの歴史を引き継いでいく試合だということを話していますが、その辺りのことをお聞きしたいです。
内藤「パンクラスは、僕が生まれる前からやっている団体ですし、長い歴史の中で、最近の格闘技は1試合1試合、ストーリーもなく終わってしまうような試合が目立つなあと個人的には思っていて。
やっぱり、歴史の長いパンクラスだからこそ、こういうストーリーがあるし、長いスパンで楽しめる。パンクラスのファンに楽しんでもらえる試合になるんじゃないかなと思っています」
――来年は、パンクラス30周年を迎えます。かつての先生を超えて、自分がパンクラスの中心にという、その辺の意気込みはいかがでしょうか。
内藤「もちろん、しっかり自分がベルトを獲って、キング・オブ・パンクラシストは強いということを世界に示していきたいと思っています」
――デビュー当時はハイブリッドレスリングの申し子と言われてパンクラスを牽引してきた川村選手ですが、こうして下から突き上げられる立場になりました。そのあたりはどう思っていらっしゃいますか。
川村「エイドリアン!」
――内藤選手がキッズラボにいらした頃の、川村さんとの思い出とか、印象に残るエピソードなどはありますか?
内藤「レスリングの練習のときとかは、たとえ子供であっても、一対一の“人間”として対応してくれて、スパーリングでは1回も勝たせてもらえませんでした」
――川村選手から見て、その頃の内藤選手はどんな生徒さんだったんでしょう。
川村「………エイドリアン。」
――内藤選手は、以前、「恩返しをしたいので、ロッキー川村ではなく、川村亮と対戦したい」とおっしゃっていました。今日出て来た方は、どうやら“ロッキー川村2”選手なんです。その件に関してはいかがですか。
内藤「これが、彼の仕事だと思います」
――貫き通すというところに関してはいかがですか。
内藤「昔から一貫して、プライベートでもロッキーが好き、スタローンが好きと言ってたので、それを貫き通しているのは強さにもつながっているのかなと思います」
――内藤選手の中では、今回の相手は「川村先生」なのか、「ロッキー川村2」なのか、どちらなのでしょうか。
内藤「さっきから歴史とか色々話してきたんですけど、試合になれば、内藤由良VSロッキー川村ということなので、そこは、試合中は1回忘れます。1人の相手として倒しにいくだけですね」
――川村選手、今回、答えは「エイドリアン」で貫いていますが、これは相手が内藤選手だから、いろんなことを言いづらいというのもあるのかなと想像もしています。もし「エイドリアン」という答えが返ってきたならば、そうであると理解したいと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
川村「…………エイドリアン」
――キッズの頃、印象に残っている川村選手の試合や、これで憧れた、という試合などありましたら教えてください。
内藤「そうですね。僕はやはり、ダニエル・アカーシオ戦(※2006年9月)がすごく印象に残っていますね。
アカーシオはシュートボクセ・アカデミーの選手で、その当時はヴァンダレイ・シウバ選手やマウリシオ・ショーグン選手が先頭に立っているチームで、日本に来て川村亮という新人を倒そうとしていて、試合前から食ってかかろうという雰囲気がすごかったです。
1ラウンドはすごいピンチには見えてたんですけど、それでも諦めないところとか、そこでしっかりKOで勝った瞬間とかは、(自分は)すごい小さいときだったんですけど、ものすごく印象に残っていて。ああいうお手本……気持ちの強さだったりとか、憧れましたね」
――そういったところから、プロ意識を学んだり、形成されたりしたのでしょうか。
内藤「そうですね、強い相手に立ち向かっていく姿はとても勉強になりましたし、僕も(川村が)アカーシオ戦をやったときぐらいの年齢になっているので、ここから対世界に向けて、外国人をどんどん倒していきたいですね」
――では最後に、どういった姿を見せて、どのような試合をしたいというところを改めてお願いします。
内藤「しっかり歴史のあるパンクラスの中で、1つの歴史を自分の手でしっかり終わらせる。自分の手で、足で、極め技で終わらせるというのが、今回の僕の仕事だと思っているので、それを全うしたいと思います」
川村「エイドリアン!」
(写真・文/佐佐木 澪)