HEAT-UP 4.12BumB大会 パワフルタッグトーナメント準決勝 キャリーオーバー10vs.マッスルフューチャーズ、スーパーJボーイズvs.無宿
パワフルタッグトーナメント準決勝
日時:2015年4月12日(日)
開場:18:00 開始:18:30
会場:東京・BumB東京スポーツ文化館マルチスタジオ
観衆:86人
▼第1試合 ド根性、対無宿初シングル!シングルマッチ 15分1本勝負
○SHINYA ISHIDA(無宿)
11分20秒 △(デルタ)ドライブ→片エビ固め
●近藤“ド根性”洋史
▼第2試合 タイガースワールド〜ようこそ青い世界へ〜 タッグマッチ 20分1本勝負
○柴山貴哉/雫有希(マーベラス)
6分40秒 ジャンピングネックブリーカードロップ→片エビ固め
無宿の「赤虎」(無宿)/●無宿の「青虎」(無宿)
▼第3試合 摩訶不思議☆バチバチ☆アドベンチャー シングルマッチ 30分1本勝負
×原学
13分40秒 青虎の乱入で収拾がつかず→ノーコンテスト
×PSYCHO(無宿)
▼第4試合 パワフルタッグトーナメント準決勝 Iブロック タッグマッチ 45分1本勝負
○新井健一郎(無宿/DRAGON GATE)/那須晃太郎(無宿/U-FILE)
11分26秒 PSYCHOのハイフライバム→片エビ固め
●山田太郎(666)/タケシマケンヂ(スポルティーバ)
※アラケン&那須組がトーナメント決勝戦に進出
▼第5試合 パワフルタッグトーナメント準決勝 IIブロック タッグマッチ 45分1本勝負
田村和宏/○アミーゴ鈴木
21分21秒 タイガー・スープレックス・ホールド
岩本煌史(スポルティーバ)/●兼平大介
※キャリーオーバー10がトーナメント決勝に進出
パワフルタッグトーナメント、決勝は田村&アミーゴ対アラケン&那須に決定!
トーナメントが終わっても青虎ワールド全開...しかし...
オープニング
試合開始前にてっしー手島レフェリーと弥武芳郎リングアナがリングに上がりインフォメーションを行う。以下の決定事項をアナウンスした。
①5月16日(土)新百合ケ丘大会の全カードが決定。
②4月25日(土)王子大会にて「Road to 新百合ケ丘 ロイヤルランブル〜タムラマニア2015〜」を開催、優勝者は新百合ケ丘大会への出場権を獲得できる。
③同王子大会にて「さくらえみ復帰戦?」が決定。
しかし決定カードに記載されているのは「さくらえみ♪」となっており、"若干軽い方のさくらえみ♪"が出場するのではないか……と気になっている二人であった。
④6月13日(土)高島平大会は“プロレスこけら落とし記念特別価格”として全席自由2000円で開催。
⑤6月27日(土)王子大会、7月12日(日)北千住大会の開催が決定。
続いてパワフルタッグトーナメント決勝戦2試合の見所を話す両者。手島レフェリーは「個人的にスーパーJボーイズに優勝して欲しい」と言う。その理由として「10万円で一生暮らすって言ってる」と、どこまで本気なのかはわからないが山田&タケシマの心意気に惹かれたようだ。
選手入場式、代表挨拶は兼平大介。
「今日は初めて自分の師匠である田村さんと試合をするのですが、普段の練習から"殺すつもりでやれ"と(館内笑い)言われておりますので……本気で殺しにいきます。皆さん期待していて下さい。」"大事な所で噛んでしまう"という汚名を返上するしっかりとした挨拶を務めた兼平。
しかしどうしても入場式の締めは"仲良しトリオ(タケシマ談)"による一芸になるのがお約束。この日は柴山貴哉が音頭を取り、急遽参戦した雫有希も加わって円陣を組む。呆然と立ち尽くす兼平、足早に去っていくアミーゴ鈴木……最後は雫がタケシマを蹴っ飛ばして退場させる。
第1試合
再び坊主頭にしていた近藤、「デビューした時を忘れないように」と決意の表れであった。ゴングが鳴ると同時に近藤はドロップキックの速射砲をISHIDAに浴びせかける。逆水平を挟んで串刺しドロップキックを連発。奇襲攻撃にダメージを負ったISHIDA。
早くもド根性デスロックの体勢に入るが、嫌ったISHIDAが顔面へのキックからマウントエルボー、チョーク攻撃。「舐めた真似するんじゃねぇ!」とでも言っているかのよう。
打ち下ろすようなエルボーで近藤をダウンさせたISHIDA、フライングメイヤーからスリーパーへ。容赦なく絞め上げるが近藤はロープへ。なおもエルボーで攻めるISHIDA、近藤の顔面を蹴りつける。
ドロップキックで反撃した近藤、バックフリップからド根性ホームラン。しかしダメージのせいかフルスイングとはいかず、カウント2で跳ね返される。ならばとド根性デスロックへ、腰をしっかり落として絞り上げるがロープに逃げられる。
ここがチャンスとブレーンバスターを仕掛けた近藤、しかしISHIDAは背後に降り立ってトラースキック。よろけた近藤にRKO、カウント2で跳ね返されると両腕で首を掻っ切るポーズから△(デルタ)ドライブへ。完璧な3カウントを奪うと、「顔じゃねえんだよ」とでも言わんばかりに余裕の表情でリングを後にした。
敗れた近藤、5月の新百合ケ丘大会でデビュー1周年を迎える。そろそろホームランよりもかっこいいと言われる三塁打を豪快にかっ飛ばして欲しいものであるが。
第2試合
当初予定されていた柴山のパートナーであるエディ・フレンチが負傷のため欠場。急遽当日の同会場で開催された夢名塾に参戦していた雫有希が代打として出場。マーベラス所属となってからは初の参戦となる。
そんな事は知ったこっちゃねえとばかりに、今日もまた入場から大暴れの青虎。カメラマンがレンズを向けていれば襲いかかるわ、観客席の女性客を見つけては襲いかかる始末。のっけから館内に悲鳴がこだまする。パートナーの赤虎が必死で止めている。
投げ込まれた紙テープ……青虎のコール時に紙テープが乱舞するのは異様な光景ではあるが。それを食べようとする青虎、「紙なんだから食べちゃダメ!」と止める赤虎。おもむろにマイクを握ると
「おいっ!久しぶりだなしっばっやっまぁ〜!(柴山「うっせぇオラっ!」)今日エディ・フレンチと当たるカードって言うから俺達この条件飲んだんだけど?なんで『女の子』なんだオイ!?
まあいいや、せっかくこの会場初めてなんだからな。この渡辺さんがなんでこうなったのか(館内笑い)、理由を説明しよう!」
と、改めて渡辺宏志が青虎になった経緯を語る赤虎。
「いつもはちゃんとした渡辺さんですから。証拠を見せます。」
といきり立つ青虎のマスクを脱がせると、我を取り戻した渡辺宏志がきょとんとした表情で立ちすくんでいる。事の成り行きを見つめている柴山と雫。
渡辺「何でここにいるんだ?(館内笑い)」
赤虎「あっ……ハイ……」
渡辺「何でお前がここにいるんだよ!?」
赤虎「あっ、すんませんでした!」
渡辺「すいませんじゃねえだろ!」
赤虎「これ被ったらわかると思うんで。とりあえず被って貰っていいすか??」
渡辺「(マスクを見つめて)……またこれか!まだこんなもんで遊んでるのかお前は!え?被れって?」
赤虎「試しに……ハイ。」
渡辺「ったくもう!……あのなぁ、いい歳なんだからいつまでもこんなので遊んでるんじゃないよ!」
赤虎「すいません、今日でやめますんでこれ。」
渡辺「で?どうすんだこれ?」
赤虎「いやや、一回被って貰っていいすか?記念に(館内笑い)。」
渡辺「何でこんな事やんなきゃ……んっとに!(マスクを被って)ほら!被ってやったぞ!どうすんだこれ?」
赤虎「青虎、お手。」
青虎「うがう〜っ(きちんとお手をする)」
赤虎「(改めて館内に向かって)こういうことですから!ね!こういうことですから!あの〜、人の肉を食べますからね!噛まれないように注意して下さいね。オイ!俺達の言いたい事はこれだけやオイ!
オイ!あそこに……『見ようによってはいい女』がいるぞ!(館内爆笑)」
と、野獣に戻ってしまった青虎が雫に近づく。さすがの「唯我毒尊」「女子版人間魚雷」もこの時ばかりはうら若き乙女に戻る。しかし、雫の近くに寄って匂いを嗅ぐ様子を見せた青虎、そそくさとその場を離れると……「おえ〜っ」と明らかな拒否反応を示す。
余りにも失礼な態度を見せた青虎に対し、雫は怒りのショルダータックルで吹っ飛ばす。ここで試合開始のゴング。
場外戦でペースを取り戻した赤虎&青虎、リング内に戻ると雫を二人がかりでいたぶっていく。と、ここで赤虎が明らかに距離が離れすぎている雫に対してエンジェルプレス。どう見ても自爆にしか見えないがそのままフォールの体勢、カウント2で返す雫。これも青虎の魔力なのか?
その後も雫をいたぶる赤虎と青虎だが、赤虎に放ったゴアでピンチを脱する雫。ここから柴山が大活躍!ジャンピングネックブリーカーからロックオン付きの串刺しエルボー、ブレーンバスターを赤虎に放ち劣勢を一気にひっくり返す。
青虎のカットに逢い、TAJIRI公認バズソーから一瞬ピンチに陥ったものの、青虎へのみちドラⅡからダイビング・ボディープレスで再び攻勢に立つ柴山。青虎のワンハンドバックブリーカーからチョーク攻撃を挟んでのフォールを献身的なカットで救う雫。これが勝因に繋がった。
雫を押さえつけ、青虎に噛み付かせようとした赤虎だったがまさかの同士討ちに。背後から、正面から青虎の急所に一撃を加えた雫が得意のフィッシャーマンバスター。すかさず柴山がジャンピングネックブリーカーを叩き込み、ガッチリと片エビで固めると3カウント。急造チームであった柴山と雫が無宿からフォール勝ちを収めた。
ところが青虎は負けた事などお構いなしに試合後も暴れまわる。リング上でひと吠えした後、入退場口でも両手を広げてひと吠え。パートナーも対戦相手も知ったこっちゃないといち早く去っていった。
すっかり「青虎ワールド」の術中にハマってしまった他の三人。しかしこの後、青虎が意外な末路をたどる事になるとは誰が予測できたであろうか。
第3試合
U-FILE無差別級王者原学と無宿のPSYCHOによる異次元対決。全く噛み合わないだろうと予想されたこの試合であったが、原のグラウンドにPSYCHOが上手く対応し序盤は関節の極め合いになる。
スタンドでは原のローとPSYCHOのエルボーの打ち合い、予想を超える両者のせめぎ合いを観客は固唾を飲んで見守る。ロープワークから場外にエスケープしたPSYCHO、原の隙を突いて場外戦に持ち込む。
PSYCHOのペースに引きずり込まれるかと思われたが、原は場外でもPSYCHOを圧倒してリング内に戻していく。リング内に片足を入れた時PSYCHOが動いた。原の左足を掴んだPSYCHOは前方に一回転して捻る。ここから執拗な左足殺しが始まる。
ロープを使う等反則を含めたかと思えば、インディアンデスロックや不意打ちの低空ドロップキック、スピニングレッグロック等正攻法で原の左足を攻め込んでいくPSYCHO。
レッグロックをキックで振り払った原、コーナーに追い込んで胸板にミドルの雨あられ。串刺しエルボーからレッグラリアット、カウント2。高速ブレーンバスターからサッカーボールキック。胸板へのPKを狙った所をPSYCHOが蹴りでカット、スクールボーイの要領でコーナーポストに原の後頭部を叩きつける。
串刺しスピンキックから痛めつけた左足へのスワン式キック。シザースキックを狙うが原がかわして投げっぱなしジャーマン。これを着地したPSYCHOは原に絡みついてアンクルホールドへ。原はロープへ。
左足を取ったPSYCHO、原は膝蹴りで対抗。飛び付き腕十字を押しつぶして丸め込むPSYCHO、カウント2。再びスクールボーイで丸め込むが、切り返した原が腕十字。と、ここでセコンドのISHIDAがてっしー手島レフェリーの注意をそらす。腕十字でタップするPSYCHOだが、レフェリーが見ておらず無効に。
抗議する原の隙を突いてPSYCHOの延髄斬り、シザースキックが立て続けに炸裂。とどめのハイフライバムを狙おうとするPSYCHOだが、ここで何故か青虎が乱入しPSYCHOをエプロンから引きずり落として攻撃を加える。止めようとするISHIDAや手島レフェリーにも暴行、おまけにリング内の原にも地獄突きをかます青虎。
収拾がつかなくなってしまったリング内、手島レフェリーは無効試合のゴングを要請。にわかに湧き上がる観客席の一部……ってこれは第2試合じゃなくて第3試合なのですが。
尚も暴れる青虎のマスクを強引に引き剥がした赤虎。訳のわからない渡辺宏志はISHIDAが押さえつけている。
「針が……針がアカンみたい」明らかに様子が違う赤虎、おもむろにマイクを握る。
「PSYCHO!怒ってる?(「大丈夫だ」と意思表示をするPSYCHO)ごめんな……PSYCHOごめんな。もう……アカンようになってもたから青虎やめるわ、もう。もう……こんな不完全なもんアカンわ!こんなマスクプロレス界にあったらアカンわ!!
……という事で、このマスク被すのやめて、このマスクはもう売ります!こんなんプロレス界にあったらアカンから、あの〜、一般社会に投げます。休憩時間このマスク、売りますんでね。価格は何と……破格の15万円!(館内笑いと驚きが入り混じる)あの〜、この個体(=渡辺)はいるから持って帰って。」
これには渡辺も激怒、「人を物みたいに言いやがって!!」しかし押さえているISHIDAに背後から襲われて拉致されてしまう。休憩時間に15万円の価格を付けられた青虎マスクだが、結局買い手が見つからず再び無宿の手に渡る事に。
想像以上の好勝負となった原とPSYCHOの一戦だったが、最後は青虎に全部持って行かれてしまった。原も黙ってはいられないだろう。そして無宿に連れ去られてしまった渡辺宏志の運命は?青虎マスクに仕込まれた中国針の餌食になる次の犠牲者は?
第4試合
怪進撃を続けるスーパーJボーイズ、結成されてから一度の敗戦も無いままタッグトーナメント準決勝に進出。今回はセコンドに就いていた雫有希を巻き込んで入場、迷惑そうでいて楽しそうな雫の表情に館内から拍手が。
かたやこちらも負けなしのアラケン&那須組、リング上のJボーイズを見ると「何だありゃ?」という表情。無宿メンバーもセコンドに勢揃いで必勝態勢。
先手を取ったのはJボーイズ。ゴング前の奇襲でアラケン&那須を場外に叩き落とすと、山田がラ・ケブラーダ、トペと場外弾を連発。リング内に戻るとタケシマがアラケンにジャーマンスープレックスホイップ。
まさかの波状攻撃の前にアラケンは場外にエスケープ、邪魔な無宿セコンド陣に山田がエプロン疾走トペコンで追撃。リング内にアラケンを引きずり込むとタケシマのフェイントヘッドバット。袈裟固めから肩固めと繋いでいくタケシマ。
なおも続くJボーイズの攻勢。クイックタッチを使い代わる代わるアラケンを攻め込んでいく。オープニングでてっしー手島レフェリーが望んでいた通りの展開になるのか?
しかし百戦錬磨の新井健一郎は一味違う。ツープラトンのクロスラインを狙ったJボーイズ、巧みに体勢を入れ替えたアラケンは山田の手を取り、ロープに振ったタケシマにクロスラインをブチ込む。
ここで那須に交代。那須は当日K-DOJO後楽園→いたばしグリーンホールと2大会にも出場していたのだが、全く疲れを感じさせないファイトを展開してみせた。今度はタケシマがローンバトルを強いられる。
那須のサッカーボールキックから見事なフォームのドロップキック、アラケンはセコンドの赤虎の手を借りコブラツイスト。散々タケシマをいたぶった無宿だが、ホイップ串刺し攻撃を読まれてアラケンが鉄柱に肩をぶつけてしまう。
ようやく山田が登場、那須→アラケンの順にエルボーを放つと、那須にランニングネックブリーカー。後頭部を押さえて苦しむ那須を見て、タケシマがミスター村杉レフェリーの注意を引く……山田は横浜大会で赤虎&青虎から勝利を収めたレイ絞首刑もどきの反則勝ちを狙う。しかし冷静だった那須はこれに気づき不発に終わってしまう。
これに怒ったアラケン、テーピングを使って山田の首を絞める本当のチョーク攻撃。ボディースラムでフォールに入るとタケシマがカット。ブレーンバスターで叩きつけてフォールに入ると再びカット。今度はバックドロップから……タケシマの前に立ちはだかるアラケン。
このやり取りの最中に息を吹き返した山田はアラケンに延髄斬り。串刺しラリアットの共演から二人がかりでエルボーを叩き込んでいく。タケシマのスピア、山田のダイビングダブルニーと波状攻撃。
アラケンがここで「待った!」握手を求めるがその手を払いのける山田。ロープに走るとアラケンが村杉レフェリーの腕を引っ張る。山田のドロップキックが村杉レフェリーに誤爆してしまう。すかさず那須が稲妻レッグラリアットで追撃。
タケシマを排除した無宿、ここから怒涛の連携で山田を仕留めにかかる……と思われたが、倒れ込みながらも山田はアラケンの急所に蹴りを一発。タケシマも那須をエルボーで吹っ飛ばす。
再度の急所攻撃からタケシマの用意したパイプ椅子をセットする山田、北千住大会で中森華子&雫有希組から反則勝ちを収めたパイプ椅子攻撃を受けたように見せるアレを再現しようとする。
しかし……誰もが完全にPSYCHOの存在を忘れていた。リング中央で寝そべる山田はハイフライバムの標的に最高。ダメージを受けカウントが遅くなってはいる村杉レフェリーだが、余裕の3カウントを奪ったアラケン。急所攻撃のダメージもなんのその、コーナーに登って両手を広げてアピール。無宿のアラケン&那須がトーナメント決勝に進出。
善戦(?)虚しく敗れ去ったJボーイズ。立ち上がれない山田を介抱するタケシマ、雫、近藤。何故かこの状況でマイクを握るプロ魂を見せる山田。
「無宿……俺達スーパーJボーイズの夢……10万円で『山田鍼灸院』と『居酒屋ケンヂ』を開店して……一生安泰な生活をする夢を……よくも……
だが、覚えておけ!スーパーJボーイズはまた、いずれこのリングに還ってくる。いいか!スーパーJボーイズのJは!JapanのJでも!ジャガイモのJでもない!俺達の……Jは……」
力尽きる山田太郎、「太郎さーん!!!」BumBに響くタケシマの叫び。山田を背負って帰っていくタケシマ、2015年初頭のHEAT-UPマットを大いに(?)盛り上げてくれたスーパーJボーイズに拍手を送ろうではないか。
一方、大きなアクションを起こさずに去っていった無宿。メイン終了後に無宿ならではの自己主張をして自らの決勝進出を祝うのであった。
第5試合
アミーゴ鈴木が懐刀であるタイガーSHを炸裂させ、成長著しい兼平大介から堂々のピンフォールを奪い決勝戦に駒を進めた。この技でアミーゴが勝利したのは2013年4月14日、SECRET BASE横浜大会で豪からピンフォールを奪って以来。長期欠場から復帰してからは初めてである。
両者共にキャリア10年超え、という所から"キャリーオーバー10"とチーム名をつけた田村&アミーゴ。対して"マッスルフューチャーズ"を名乗る岩本はキャリア2年半、兼平に至っては半年も経過していない。
正真正銘の初対決となった田村と兼平。試合前の挨拶で「殺す気で行く」と意気込んでいたが、改めて田村和宏の懐の深さを感じさせられた事であろう。
自分よりも上背のある兼平を相手に、グラウンドで完全にコントロールする田村。デスロックで兼平の両足を固めると思わず舌を出す。リバースインディアンデスロックを仕掛けると、ロープに逃さんと片足で必死に引きずっていく。見つめるてっしー手島レフェリーの表情にも力が入っている。
アミーゴと岩本、アームホイップからレッグシザース、顔面へのキックでアミーゴが翻弄。田村は岩本にチョップの洗礼、岩本はエルボーからガットショット、ボディースラム。兼平とのツープラトン、兼平はフォールに入るタイミングが若干遅れてしまう。
岩本チンロックで田村の動きを止める。兼平は前蹴りで繋ぐが、田村が隙を突いて左膝に低空ドロップキック、ドラゴンスクリューと足殺しを続けていく。
アミーゴはヘッドバット、田村はローキック。兼平の左足にダメージが蓄積されていく。容赦ないキャリーオーバー10の足殺し。田村のニードロップからレッグロック、アミーゴのジャベ、田村のナガタロック。
高い地点から落とす兼平独特のフラップジャックから反撃、岩本はアミーゴの身体をトップロープに固定し腰目掛けて膝蹴り。そのままブレーンバスターで投げ飛ばす力技を披露。
痛めつけた腰を支点にした岩本のキャメルクラッチ、曲者アミーゴの表情も歪む。カウンターのニーリフトからハリケーンドライバーを狙う岩本、着地したアミーゴにソバットから追い打ちをかけるが読んでいたアミーゴはスタンガンで逆襲。
田村と岩本は目まぐるしいバックの取り合い、抜け出した田村がスリングブレイド。ミサイルキックで岩本を倒すと観客を煽ってコンビネーションからミノルスペシャルへ。担ぎ上げた岩本、田村も察知してソバット一閃。ロープに走るがカウンターの払い腰で投げ飛ばす岩本。
兼平は田村をコーナーに振るが、逆に振られて串刺しミドルを食らう。再度串刺し攻撃を狙う田村、兼平キックで迎撃、ジョン・ウーを彷彿させる背面跳びドロップキックで田村をコーナーに追い詰める。
兼平側転エルボーからフェースクラッシャー、館内からは「武藤!」の声も上がる。ブレーンバスター合戦を制した兼平、得意のランニングニーに行くが田村膝への低空ドロップキックで防御。
ラ・マヒストラルからアンドレに繋ぐ田村、凌いだ兼平はクロス式STFからリバースチキンウイング。カットに入るアミーゴを岩本が大外刈りから三角絞めで逆カット。マッスルフューチャーズ最大の好機だったが脱出したアミーゴが何とかカット。
田村と兼平の打撃合戦、打ち下ろすようなエルボーの兼平に対し、田村は顔面を張り飛ばす。コーナーに振った兼平、田村逆襲のウルトラタイガードロップ。胸板へのランニングローへと繋ぐ。
アミーゴは兼平の不意をついて足刈りから背中へのエルボードロップ、スリーアミーゴス。フォールをカウント2で返されるとクロスフェース、岩本懸命のカット。
ここでキャリーオーバー10の連携殺法。ダブルのレッグシザースからエルボードロップ、そして「俺を投げろ!」ダウンする兼平の上にアミーゴがブレーンバスターで田村を投げる……兼平が転がって避けたため自爆に。
チャンスと見たマッスルフューチャーズ、兼平の串刺しエルボーから岩本のハリケーンドライバー、兼平のランニングエルボーパッド。カウント2でアミーゴが返すと兼平追い打ちのランニングニー。
耐えるアミーゴ、兼平を担ぎ上げると復活した田村がコーナー最上段から後頭部へのダイビングニー。そのままブロックバスターで叩きつけるがカウント2。田村が岩本をカットする間にフィニッシュのタイガーを決めた。
エンディング
20分を超える激闘を繰り広げたメイン。起き上がれない四人の前にアラケン率いる無宿が無法の乱入。一時はアックスボンバーでアラケンを排除したかに見えた田村だったが、那須のミドルを食らってダウン。
倒れる田村とアミーゴを前に、那須がマイクを握る。
「田村さんよぉ!オイ!決勝進出おめでとう!決勝の相手わかってるよな!俺と、新井さんだよ!こんなんでハァハァいってる位で俺達に勝てると思うか?……どう思います新井さん?」
那須からマイクを受け取ったアラケン。
「オイ!オイ!田村!アミーゴもよく聞けお前。今日晃太郎ちゃん、アナタ、昼に後楽園行って試合して、その後板橋行って、そしてここに飛んできて、一日三試合やってまだ戦えるって言うんですから!
お前ら二人、アミーゴと田村!このトーナメントで優勝したら、その賞金で二人で温泉行くってよお前!どっからどう見ても自分らの事しか考えてねぇでよぉお前!
もし俺ら無宿のメンバーが、もしHEAT-UPの人間だったら、全員こう言うよなぁ?『賞金獲ったらその場でお客さんに10万円バラ撒きますけど』オイ!!(館内及び無宿メンバーから大きな拍手)それ位言えねぇのかよオイ!!まあ言うても俺ら無宿だから。
俺らの目的は金なんかじゃねぇよ。俺らの目的は田村、テメェをとことんとことん、もう勘弁してくださいって言うまで追い詰める事だ。まあその結果、今月末俺らの手には10万円が握られてるって訳だ。
そん時なぁ、気分良かったらバラ撒いちゃうかも知れないけど。それはそん時だ。そういう訳で王子の決勝の日まで、どうぞご機嫌よう。
(動かない田村を見て)ちゃんと聞こえてるんですかねぇ?俺達の声が。そんな訳で田村さん、お邪魔しました。」
起き上がった田村とアミーゴは改めて優勝を誓い合う。
「(無宿に)一泡もふた泡も吹かせてやろうじゃねえか。まだまだやれるよな!若い奴にも負けねえよな!そして、悪い奴にも負けねぇよな!俺らが勝って、このリングをもっとヒートアップさせたいと思います!なあアミーゴ!勝って温泉行くぞ!!」と結束を深めた。
そして対戦した岩本と兼平にはこう語る田村。
「今日は俺らの勝ちだ。俺はお前らが、いつか俺を超える事を願っている。だけど!俺はもっと強くなる!そして、お前らが追いつけない位差をつけて!俺らまだ35だからな、もっと身体もデカくなるし、そして……(観客席から「頭も良くなる!」の言葉が)そう!頭も良くなる!俺らはまだ成長する!俺らの進化、止まらないよな!まいったかー!!」田村は思いのたけを岩本と兼平にぶつけてみせた。
そして勝ったアミーゴに締めを任せるが……二度ある事は三度ある、今回も『アミーゴヒートアップ』は失速に終わり、田村はまたもずっこけてしまうのであった……
【記事提供/HEAT-UP】