【#プロレス今日は何の日】1987年12・27 新日本プロレス両国国技館 新日本プロレス両国暴動事件
- 2020-12-27
- プロレス今日は何の日
【#プロレス今日は何の日】
1987年12月27日 新日本プロレス 両国国技館
新日本プロレス両国暴動事件!
たけしプロレス軍団(TPG)は、世界の北野ことビートたけしがプロレス団体旗揚げを宣言し、『たけしのオールナイトニッポン』で練習生を募って結成。
当時の練習生には、後にスペル・デルフィンとして世界にその名を轟かせることとなる脇田洋人、後に邪道&外道となり今でも新日本プロレスマットで暴れまわる秋吉昭二&高山圭司がおり、結果論ではありますが名選手発掘能力は高かったことが分かります。
“打倒猪木”に燃えるTPGとマサ斎藤が結託し、猪木に直接挑戦状を叩きつけビッグバン・ベイダーなる謎のレスラー投入を宣言するなど対決の機運を高めていました。
そして両国、たけしプロレス軍団からの刺客ビッグバン・ベイダー登場!
当日は藤波辰巳&木村健吾vsマサ斎藤&ビッグバン・ベイダーのカードが組まれるも、TPGのダンカンが「アントニオ猪木の逃げる姿を見に来たのか?あんたら猪木を卑怯者にしていいのか?」と挑発!
ちびっこの私でも『いや、ちゃうやんちゃうやん!そんな話ちゃうやん!』とツッコミましたよ!
ちびっこの思いなどつゆ知らず、猪木はこの日自身が組まれていた長州力とのシングルマッチを無視してベイダーの挑戦受けてしまう!
荒れる長州!うつむく長州!
「どうですか~っ!?」ちゃうで猪木さん!あかんよ!絶対あかん!長州の気持ち考えてよ!
なんで?なんでこうなったん?藤波&木村vsマサ&長州のタッグマッチに変更!
わっちゃかわっちゃかしてるのに強制的に試合開始!
もちろん、モノが飛び交いやめろやめろの大合唱!
たまらずマイクを持つ長州!歓声で聞き取れない部分はプロレスファンの感性で補完すると、「みんな!納得いかなくても、とにかく試合だけはやらせてくれ!絶対俺が猪木を倒すから!」と叫ぶ(叫んだはず)!あの長州がこんな顔するなんて、と悔しさを越えた悲しみを感じた私、初めて「切ない」という感情を抱いた記憶です。
さて、長州がマイクで一旦収め100%納得ではないもののやっと猪木戦へ!
『いいから始めちまえ!』的なイノキイズム!荒れる予感!
果たしてナックル、蹴り、頭突きとストレスを乗せ続ける猪木!
卍固めで動きが止まったところ馳が乱入で試合を止め、不安がる田中ケロちゃんをよそにベイダー戦になだれ込む!
そして、甲冑脱ぎその顔を見せたベイダー、ここまで毎週のように「謎のマスクマン襲来!」って煽ってたはずが『あれ?素顔なん?マスクマンって言うてたやん…』程度の疑問などぶっ飛ばすその場しのぎのドタバタ続き!
結果「猪木3分足らずであっさり敗北!」って、そら暴動も起こりまっせ・・・。
どうにも収まらない皆様に、ケロちゃん土下座で悔し涙!
控室では、坂口・藤波から「社長(猪木)が出て行って謝らなかったら収まらないですよ!」「なんで謝らないんですか!」と攻め立てるも、「うるせえ!俺が頭を下げたら誰も観に来なくなるぞ!」「出した結果がたとえ客が求めるものと違っても、それに対して謝ったら客に媚びなきゃいけなくなるぞ。だったらテメーらが頭を下げてこい!俺は謝らん!」と言ったそうな。
(『KAMINOGE』83 -鈴木みのるのふたりごと-より)
一見、めちゃくちゃやな!と思われがちなこの言葉、何となく意味は分かります。
出した結果が誤ってたら謝りましょうを強制する風潮がある昨今、(全部が全部とは絶対に言えませんが)正しくもあると思います。
ちなみに翌日の東スポの記事の大見出しは「猪木が悪い」の5文字。うむ、そら書かれても仕方ない…
一方のベイダーは、このときいったいどんな気持ちだったのか。
だってズカズカ入ってきて散々罵倒される中、有無を言わさぬそのパワーで一気に勝負付けて帰って行ったんですよ。
私30年疑問でした。
そして、ほんとに30年後の2017年、なんと「藤波辰爾&ビッグバンベイダー メモリアルトークショー」が開催されることに!そりゃもう行ってきましよ!あらゆる雑誌・書籍・WEBで語られることが無かったあの時のベイダー氏のあの日の気持ち、ずっと、ずっと聞きたかったあの時の私の気持ち。ひょっとしてこの質問ってNGなのか?やら思いつつも、意を決して聞いてみました!(たぶん緊張で声ちっちゃかったと思います)
「可能でしたらデビュー戦の思い出をお聞かせください」と。
ベイダー氏は『う~ん、そうだね~』という表情で、「当時無名だった自分をメインイベントに出場させた猪木さんを称えるべき1日だった」と振り返り、「大きなことが3つぐらいが成し遂げられた1日であり、新日本プロレスにとってもベストな1年ではなかったがあの1日で大きく変わったように思う。当時無名だった私をメインイベントに放り込んだうえ、猪木さんにシングルで戦い勝ってしまった。結果的に自分が猪木さんに勝ったことで、私と戦う意味がある選手が増え新日本プロレスが新しいスタートを切ったと思う」と語ってくれました。
『ああ、ベイダーさん。めっちゃええ話聞けましたわ・・・』
緊張で汗までかいてた私の足元から天井までさわわ~っと風が吹き抜けるような感覚、一気に晴れやかな気持ちになりました。勝手ながら大仕事をやりとげた満足感で満たされましたとさ。
この当時医者から余命2年と宣告されていたというベイダーさんですが、このトークショーの翌日行われた藤波の45周年大会終了後のセレモニーの最中にリング上で突然倒れ込み、そのまま意識を失って搬送されてしまうという事件がありました。
当時もとても心配だったのですが、その翌年の2018年6月18日にお亡くなりになりました。世界のリングで活躍しプロレス界にビッグインパクトを残したベイダーさん、安らかにお眠りください。
今日もプロレス最高っ!
著者:AJスレンダー
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キン肉マン、プロレス、ファミコンで育った少年期から早や数十年、
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