ママさんレスラーが8年ぶりのベルト戴冠で実の娘を防衛戦の相手に指名?!「プロレスラーになったのだからこのベルトに挑戦してこい!」

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 31日、埼玉県・アイスリボン道場にて『アイスリボン1044』の無観客試合が行われ、星ハム子が雪妃真矢を破って約8年ぶりにIW19王座を戴冠した。

 IW19王座とは、2010年にアイスリボンの姉妹団体として誕生した『19時女子プロレス』のベルト。当時はUSTREAM配信での無観客興行を中心に、クラウドファンディングもまだ主流でなかった時代に個人協賛を集めて王座戦を行うなど画期的な試みを数多く行っていた。
 東日本大震災後に初王座戦が行われると、被災地出身選手を中心にしたトーナメントだったこともあり、アイスリボンが行っていた復興支援の『被災地キャラバン』でも地元出身の王者がベルトを掲げ被災地に勇気を与えていた。

 しかし当時は「無観客はプロレスではない」・「配信で王座戦を行うなんてお客さんに失礼」という批判も多く、女子プロレス団体JWP(現:PURE-J)も反発。徐々にお客さんを入れての公開放送形式に移行したが、2013年6月に団体は活動休止に。IW19王座も第10代王者として君臨していた藤本つかさが封印した。
 あれから約7年が経過し、現在は新型コロナウイルスの影響で各団体が興行を中止しYoutubeなどでの無観客配信が中心に。アイスリボンもニコニコ生放送やYoutubeで配信を行っており、時代が追いついたこともあって王座復活のトーナメント戦が先月25日から開催されていた。
 19時女子経験者であるAブロック6人、未経験者のBブロック6人による12人でのトーナメント戦となり、準決勝は勝ち残り3WAY戦に。ルールは19分1本勝負で引き分けの場合はニコニコ生放送での視聴者投票にて勝者が決定。オーバー・ザ・トップロープあり(決勝戦ではなし)の場外カウント19秒という特殊ルール。

 Aブロックを制覇した星ハム子は、1回戦の藤本つかさ戦(藤本:24.6%、ハム子:75.4%)、準決勝のつくし戦(つくし:46.2%、ハム子:53.8%)と時間切れ引き分けからのファン投票で勝ち進んでおり、ファンからの絶大な支持を得て決勝進出を決めた選手。
 Bブロックを制覇した雪妃は現ICE×∞王座(アイスリボンシングル王座)を保持しており、「最高峰のベルトを持っている人間として負けるわけにはいかない。私はタイトル戦線の最前線を駆け抜けてきた意地とプライドと経験値があるんです」と二冠王を目指して意気込んでいた。

 試合はハム子がタックルやボディプレスなどのパワー技、雪妃やキックやジャーベなどを駆使した互いの持ち味を生かした互角の様相を呈するが、試合中盤になるとハム子は藤本が得意とするエースクラッシャー、つくしが得意とするフットスタンプなどを繰り出し、自身が勝利してきた選手の想いも背負って戦っているのだと叫ぶ。
 必殺のダイビングボディプレスをかわされ、スピンキック、ハイキック、バズソーキックと立て続けに頭部に被弾して窮地に陥るハム子だったが、雪妃の必殺技であるスノウトーンボムをかわしてからの女の執念(腕を絡め取っての丸め込み)で3カウント。
 ハム子が現ICE×∞王者から勝利し、2012年10月以来のIW19王座戴冠を果たした。

 悲願の再戴冠を果たしたハム子は、「嬉しい!こんなことは一生ないと思ってた……。私、10周年を過ぎて何を目標に頑張っていいか分からなくなった時期があって。ベルトのことも頭から離れていたんですけど、チャンピオンだけのアイスリボンにさせたくないので、私は生配信の王者としてお客さんに『プロレスでハッピー!』を届けて、プロレスでお客様をたくさん笑顔にしたいと思います」と笑顔で語る。

 そして、「私が初めてこのベルトを取ったときに、(地元の)北海道に持ち帰って、一番に喜んでくれたのがいぶきで。いぶきも実はプロレスラーになる前に巻いたことがあって(笑)すごい笑顔でぴょんぴょんしてたので、『実際にプロレスラーになったのだからこのベルトに挑戦してこい!』という思いはあります。新しい技を磨いたり、いぶきなりにも成長していっていると思うので、母娘対決も楽しみですね」と防衛戦の相手候補として同団体に所属する実娘・星いぶきの名を挙げた。

 さらにハム子は「ICE×∞王座に挑戦するなんて、いつ以来だろうって思うくらい挑戦していないので、私が『したい』って言ってお客様が『行け!』って言ってくれるのであれば、もう最年長ですけど、もう一回ICE×∞のベルト狙ってもいいのかなって思います」と、団体の至宝奪取にも意欲を燃やした。

 ハム子は、デビュー後しばらくは自分に自信が持てない時期が続いていたが、2012年に自身初のシングルタイトルであるIW19王座を獲得したことが転機となり、今ではアイスリボンになくてはならない中心選手へと成長した。
 現在、IW19王座の防衛戦およびインターネットでの生中継大会の予定は未定だが、かつて自身を押し上げたこのベルトをハム子がどう活かして防衛ロードを歩んでいくのかに注目したい。

 なお、アイスリボンは6月6日の埼玉県・蕨での道場マッチより観客を入れての興行再開を発表。南側のみかつ間隔を開けて席を配置するため50人を上限とし、入場時の検温とマスクの着用を必須のうえ、十分な換気とオゾンや次亜塩素酸水の消毒をして万全の体制で興行を行うとのことだ。

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