木村がダウンを奪ってゲーオに勝利!-60kgトーナメントは兄弟対決を制した弟・功也が優勝!KID「K-1に出たい」
新体制となったK-1の第二回大会で事件が起きた。第一回大会(11月3日)の65キロトーナメントで圧倒的な強さを見せつけた王者ゲーオから「戦慄のブラジリアンフック」木村“フィリップ”ミノルがダウンを奪って判定で勝利したのだ。
前回大会で山崎秀晃、久保優太、左右田泰臣という日本人トップファイターに勝利したゲーオ。もはや敵なしかと思われたが、前田憲作K-1プロデューサーは「何かをやる可能性を持っている」と対戦相手に木村を指名。木村も「11月の負けをストーリーにしよう」と徹底的に自身の弱点を見つめなおし「打倒ゲーオ」に執念を燃やした。
その成果が試合に出た。1Rはゲーオの左ミドルに対して、前蹴り、ロー、ミドルで蹴り返してパンチを狙う。2Rからゲーオが圧力を強めてミドル、ハイ、さらにヒザで木村を追い込む。木村は防戦一方となるが、かろうじてダウンを逃れる。
そして勝負の3R後半、ゲーオがさらに圧力を掛けてきた時に、木村は「もう気持ちで前に出るしかない。自分に『行け、行け!』とムチを打って行きました」と前に出て「ずっと狙っていた」左フックを強振。これが左ストレートを打ちこもうとしたゲーオにカウンターでヒットして、ゲーオダウン! 場内の熱狂の中で試合終了。
判定は2-0で木村。1Rにゲーオに蹴り負けなかったことが奏功した格好だ。マイクを持った木村が叫ぶ。
「シャー! どんなもんじゃい! (涙ぐみながら)これは世界タイトルマッチのつもりで、死にものぐるいでやりました。『2か月じゃムリだよ』と言われても、自分の弱いところと向き合って、成長できると証明したかった」
そして、こう宣言した。
「スターがいない、カリスマがいないK-1は終わりました。これからは僕の時代です。オレについてこい!」
「これからは僕の時代」は、かつて魔裟斗がムラッド・サリ(元ムエタイ王者)をK-1のリングでKOした時のセリフ。
バックステージで木村はこう振り返った。
「まだ若いんで、これからピークを作っていきます。でもまだ土台の部分でゲーオに勝ったのは大きい。11月に優勝してたらベストだけど負けたんで、前回の試合を見直してとことん自分のダサいところを見て『これをストーリーにしよう』と。そこに集中しました。(ダウン寸前まで追い込まれた2Rは)11月3日の試合が自分を支えてくれたんだと思います」
ゲーオは「木村はいい選手だと思うけど、1、2Rは自分が取っていると思うので、延長があってもよいのではないかと思っているし、判定には戸惑っている。(再戦したいか?)自分としては負けていない試合。すぐにでも再戦したい」とコメント。
木村はゲーオの「すぐ再戦」の希望を聞くと「やめときます(笑)。自分には自分のストーリーがあるんで。今度ゲーオとやる時はKOしないといけない」。
試合前の会見から煽り映像、入場、そして試合と今回の木村の頑張りは大きかった。K-1に若きニュースターが誕生した。
また、60キロトーナメントでは決勝戦で兄弟対決が実現。準決勝までに右足にダメージの蓄積していた兄・弘嵩に対して、弟・功也が要所でローを浴びせて動きを止めて終始優位に進めて優勝。
功也は「これまで兄の背中を見て戦ってきましたけど、まだまだ未熟ですけど、これからは兄弟並んでK-1を盛り上げていきたい」とコメントした。
なお、この日のリングには先に主宰するKRAZY BEEがK-1ジムに加盟することが発表された山本KID徳郁が登場。KIDは「これからジムから選手を送り込みたい」と表明。また、バックステージでは「ウチのジムは総合格闘技の選手ばかりだけど、K-1で試合をすると総合の5〜6試合分、打撃の経験値が上がる。ウチの選手にやらせたいし、オレもチャンスがあるならK-1で試合をしてみたい」とコメント。これには前田プロデューサーも「嬉しい言葉ですね」と顔をほころばせた。
【文・写真/スポーツライター茂田浩司】
K-1 WORLD GP 2015 〜-60kg初代王座決定トーナメント〜
日時:2015年1月18日(日)
開場:14:30 開始:16:00
会場:東京・国立代々木競技場第二体育館
観衆:4500人▼プレリミナリー・ファイト(1)/K-1 -65kg Fight/3分3R
○後藤眞暢(日本/triple-y)
1R 1分30秒 KO
●斉藤雄太(日本/K-1ジムEBISU小比類巻道場)▼プレリミナリーファイト(2)/K-1 -60kg Fight/3分3R
●勇魔(日本/池袋BLUE DOG GYM)
3R 判定 3-0(27-30,27-29,27-30)
○神戸翔太(日本/POWER OF DREAM/TEAM AK)▼プレリミナリー・ファイト(3)/K-1 HEAVYWEIGHT Fight/3分3R
●学武(日本/チームドラゴン)
3R 判定 3-0(28-29,29-30,29-30)
○藤田智也(日本/ K-1ジムEBISU小比類巻道場)▼プレリミナリーファイト(4)/K-1 -65kg Fight/3分3R
○平本蓮(日本/チームペガサス)
1R 1分25秒 KO
●石川祐樹(日本/シルバーウルフ)▼第1試合 K-1 WORLD GP -60kg初代王座決定トーナメント・リザーブファイト/3分3R・延長1R
○闘士(日本/池袋BLUE DOG GYM)
3R 判定 3-0(30-26,29-27,30-26)
●キム・フンジェ(韓国/浦項ジム)▼第2試合 K-1 WORLD GP -60kg初代王座決定トーナメント・一回戦(1)/3分3R・延長1R
●島野浩太朗(日本/菅原道場)
3R 判定 3-0(26-30,25-30,25-30)
○ハビエル・エルナンデス(スペイン/Team UFM)▼第3試合 K-1 WORLD GP -60kg初代王座決定トーナメント・一回戦(2)/3分3R・延長1R
○卜部弘嵩(日本/チームドラゴン)
1R 2分03秒 TKO
●カリム・ベノーイ(アルジェリア/TEAM NASSER KACEM)▼第4試合 K-1 WORLD GP -60kg初代王座決定トーナメント・一回戦(3)/3分3R・延長1R
○山本真弘(日本/藤原ジム)
3R 判定 2-0(30-29,30-29,29-29)
●グァニー・バラッジ(フランス/Club CS)▼第5試合 K-1 WORLD GP -60kg初代王座決定トーナメント・一回戦(4)/3分3R・延長1R
○卜部功也(日本/チームドラゴン)
1R 2分05秒 KO
●デニス・ピューリック(カナダ/Iron Tiger Muay Thai/Banchamek gym)▼第6試合 スーパーファイト/K-1 -55kg Fight/3分3R・延長1R
●戸邊隆馬(日本/シルバーウルフ)
3R 判定 3-0(28-29,28-29,28-29)
○堀尾竜司(日本/TRY HARD GYM)▼第7試合 スーパーファイト/K-1 -55kg Fight/3分3R・延長1R
○瀧谷渉太(日本/KSS健生館)
3R 判定 3-0(30-25,30-26,30-27)
●ショウ・ロン(中国/鄭州東方飛龍格闘クラブ/CFP)▼第8試合 K-1 WORLD GP -60kg初代王座決定トーナメント・準決勝(1)/3分3R・延長1R
○卜部弘嵩(日本/チームドラゴン)
延長1R 判定 3-0(10-8,10-8,10-8)
●ハビエル・エルナンデス(スペイン/Team UFM)▼第9試合 K-1 WORLD GP -60kg初代王座決定トーナメント・準決勝(2)/3分3R・延長1R
○卜部功也(日本/チームドラゴン)
1R 2分44秒 KO
●山本真弘(日本/藤原ジム)▼第10試合 スーパーファイト/K-1 -70kg Fight/3分3R・延長1R
●佐藤嘉洋(日本/名古屋JKファクトリー)
延長1R 2分08秒 KO
○サニー・ダルベック(スウェーデン/Stockholm Comrades)▼第11試合 スーパーファイト/K-1 -65kg Fight/3分3R・延長1R
●ゲーオ・フェアテックス(タイ/FAIRTEX)
3R 判定 2-0(28-29,28-29,28-28)
○木村“フィリップ”ミノル(ブラジル/Fighting Kairos/マイウェイジム)▼第12試合 K-1 WORLD GP -60kg初代王座決定トーナメント・決勝戦/3分3R・延長1R
○卜部功也(日本/チームドラゴン)
3R 判定 3-0(30-27,30-27,30-27)
●卜部弘嵩(日本/チームドラゴン)
※卜部功也が-60kg初代王者となる