Rayさんへ想いよ届け!涙なき追悼興行
(文・写真/安西伸一)
11月30日(金)、東京・新木場1stRINGで、8月30日に脳腫瘍で亡くなった女子プロレスラーのRayさんを送る追悼興行が行われた。
ステージの上にはマスクやコスチュームが並んで展示され、リングインする時のRayさんそのものを模したマネキンも一体、立っていた。遠目から見ると、まさにそこでRayさんが微笑んでいるようで、祭壇の中の写真の笑顔もまぶしく輝いていた。
亡くなってからもう3ヵ月。親しかった選手達にも、心の整理をつけてこの日に臨まなければなければ…という想いはあったのだろう。追悼大会なのに涙はほとんどなく、明るく元気にRayさんを送り出す大会になった。
バトルロイヤルに登場した旧姓・Rayや、タッグマッチでRayさんの衣装を着たコマンド・ボリショイは、Rayさんのリング上の姿を思い出させた。Rayさんの技も使ってみせ、会場を訪れたファンにRayさんの魅力を再確認させる、そんなシーンが何度も見られた。
そして追悼のテンカウントゴングの時、リングの中央に置かれたのは、Rayさんの姿をしたマネキン。四方の客席から赤い紙テープが舞い、あっという間にリングは赤い海になった。
最後はRayさんのお母さんも入って、全出場選手とリングで記念撮影。10団体以上が協力して開催された追悼興行は、こうして幕を閉じた。
7年前、Rayさんのお父さんの家族葬の時、「私の時は派手にやってほしい」と言っていたというRayさん。お母さんは、私が先に逝くんだからと考えもしてこなかったのだが、それを思い出し、「多くの方に、華やかに送って頂けたら…」というのが、お母さんの今大会に向けての願いだったそうだ。
美しく、力強く、元気よく、リングで躍動してきたRayさん。プロレスと出会えて幸せでしたか? Rayさんはまるで背中に羽が生えたように躍動する選手だったけれど、本当に天に召されてしまった。病気がなければ、まだまだ頑張れた選手だった。
亡くなったという実感はなかなか持てないけれど、みんな想いは精一杯、届けたよ。集合写真からそんな声が聞こえてくるようなたくさんの笑顔は、Rayさんがみんなに愛されていた証しなのだ。