【試合結果】5・20 PANCRASE新木場大会 【バンタム級KOP暫定】ハファエル・シウバvs上田将勝 藤野恵実vsシャロン・ジェイコブセン 井島裕彰vs北方大地

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『PANCRASE 296』
日程:2018年5月20日(日)
開始:16:30
会場:東京・新木場スタジオコースト
観衆:2009人

[プレリミナリーファイト]
▼第1試合 ストロー級 3分3R
○三谷敏生(総合格闘技道場 コブラ会)
2R 34秒、TKO(フロントチョーク→レフェリーストップ)
●杉浦弘幸(NEVER QUIT)

▼第2試合 ライト級 3分3R
●上田厚志(総合格闘術骨法烏合會 矢野卓見道場)
判定0-3
○高橋 弘(パンクラスイズム横浜)

[第24回ネオブラッド・トーナメント]
▼第1試合 バンタム級 3分3R
○小川隼也(フリー)
判定3-0
●平田純一(DAMM FIGHT JAPAN)

▼第2試合 フェザー級
○亀井晨佑(パラエストラ八王子)
判定3-0
●小島勝志(STYLE PLUS GYM)

[本戦]
▼第1試合 ライト級 3分3R
●網 潤太郎(和術慧舟會AKZA)
判定0-3
○小林 裕(フリー)

▼第2試合 バンタム級 3分3R
●清水俊一(総合格闘技 宇留野道場)
判定0-3
○林 大陽(CAVE)

▼第3試合 フライ級 3分3R
○上田将竜(緒方道場)
判定3-0
●倉岡幸平(蒼天塾)

▼第4試合 ウェルター級 3分3R
●高木健太(リバーサルジム川口REDIPS)
1R 7秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
○中村邦夫(パンクラスイズム横浜)

▼第5試合 ストロー級 5分3R
●井島裕彰 (GUTSMAN)
2R 46秒、フロントチョーク
○北方大地(パンクラス大阪 稲垣組)

▼第6試合 バンタム級 5分3R
○藤井伸樹(ALLIANCE)
判定3-0
●アラン“ヨシヒロ”ヤマニハ(ブルテリア・ボンサイ)

▼第7試合 ウェルター級 5分3R
●奈良貴明(パンクラスイズム横浜)
1R 48秒、TKO(チョークスリーパー→レフェリーストップ)
○村山暁洋(GUTSMAN)

▼第8試合 ライト級 5分3R
○トム・サントス(Team Brazillian Thai)
1R 3分43秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
●冨樫健一郎(パラエストラ広島)

▼第9試合 ストロー級 5分3R
○藤野恵実(FIGHT FARM)
判定3-0
●シャロン・ジェイコブセン(TRIPLE THREAT GYM)

▼第10試合 セミファイナル フェザー級 5分3R
田中半蔵(FUNS)
VS
上迫博仁(チームクラウド/和術慧舟會HEARTS)
※上迫が減量中に脱水症状で救急搬送、試合不可能になったため中止。

▼第11試合 メインイベント バンタム級キング・オブ・パンクラス 暫定王者決定戦 5分5R
○ハファエル・シウバ(ASTRA FIGHT TEAM)
判定3-0
●上田将勝(パラエストラ東京)

上田将勝が引退!最終戦はバンタム級KOP暫定王座戦も有終の美は飾れず!北方がリベンジを誓いストロー級KOPの砂辺に宣戦布告!

第1試合


 網は2010年、小林は2016年のネオブラッド・トーナメント優勝者。
 1R。前回、試合が流れてしまった網は嬉しそうな顔で向き合った。ジャブを出して行く小林。打ち合って、網がケージへ持って行く。さらに持ち上げて押し込む。小林が足を狙ったところで終了。
 2R。開始直後から撃ち合い。網がケージへ押し込むと入れ替え合う。片足を抱えてケージへ押し込む網の口を塞ぐ小林。ヒザを打ち込むが、網は放さない。網が粘り強く押し込んで終了。
 3R。網が右ストレートからパンチを振っていく。しかし小林のパンチがヒット! よろけた網だが抱えてケージへ。小林は殴り続け、終了直前に腕を狙うが極まらず。
 判定は3-0で小林が勝利。

第2試合


 3連敗のあと、昨年10 月、合島大樹に判定勝ちし連敗を止めた清水。ここで勝ち、勢いをつけたいところ。林は清水とは逆に3連勝中。さらに星を伸ばしたい。
 1R。パンチを出して行く林。清水は片足タックルに入るが、林はこれを止め、パンチで離れる。打ち合いとなり、林の右フックで清水がよろけると、林は上に。お互いに殴って終了。
 2R。フェイントをかけながら前に出る清水。パンチ、右ミドルとたたみかける。さらに右ストレート。林は1Rほど手が出ていないが、セコンドの声はきちんと聞こえている様子。パンチで清水をよろけさせ、上になって終了。
 3R。パンチを出していく林。清水はタックルに入るが、切られてしまう。ここで林の蹴りがローブローとなり、試合中断。しばらくして再開。
 清水がタックルから上になり、ケージへ押していく。バックに回り背中に乗る。さらに正対してしがみつく形。林はバスターで叩きつけ、殴って終了。判定3-0で林が勝利。
 崖っぷちから這い上がってきた「崖登りの男」は、崖の上の、さらなる高みを目指す。

第3試合


 倉岡はZSTでプロデビュー。パンクラスには2017年より参戦し、1勝1敗。2013年からパンクラスに上がり、13戦を経験している上田は「他団体から来た選手には死んでも負けられない」と話した。果たして試合の行方は?
 1R。右ハイキックでたたみかける上田。倉岡の蹴りがローブローとなり試合中断。再開すると、上田は片足タックルからケージへ押し込み、ヒザ連打。脱出できない倉岡。
 上田が正対してケージへ押すと、倉岡は入れ替えるが、膠着しブレイク。上田はタックルからケージへ押し込み、投げて上に。倉岡が下から殴って終了。
 2Rも同様の展開。組んで入れ替え合い、お互いヒザを打ち込む。残り20秒でブレイクがかかり、倉岡が短距離のタックル。上田が受け止めたところで終了。
 3R。蹴りで距離を測る上田。組まれるが突き放す。上田も組むが、入れ替えられたところでブレイク。
 いったん離れると、上田は組んでケージへ押し込み。投げてテイクダウン! 残り20秒で首を狙うが、ブザーを聞いた。
 判定3-0で上田が勝利。

第4試合


 パンクラス初参戦の中村邦夫はFighting NEXUSを主戦場にしてきた。対する高木は2011年よりパンクラスに上がり、豪快なパンチでKEI山宮(2014年10月)、佐藤天(2015年8月)、手塚裕之(2016年7月)らを倒して来た。今回も高木のパンチがうなるか。
 1R。中村は、開始すぐに右ストレートをヒットさせる。高木がひるむとパンチのラッシュ! 高木が倒れるとパウンドを連打。レフェリーが止めた。
 なんとわずか7秒でのパンクラスデビューとなった。

第5試合


 2014年の初参戦時は地味な印象だったが、めまぐるしいグラウンドの攻防でこのところ存在感を増している井島。現在3連勝中だ。
 対する北方は「稲垣組の若頭」として着々と成長。2016年12月には砂辺光久の持つストロー級タイトルにも挑戦した。砂辺をして「稲垣組の最高傑作」と言わしめた北方は1Rで砂辺を追い込んだが、2Rでパンチをもらいダウン。さらにジャーマンで投げられ、チョークスリーパーでタップアウトした。
 しかし、このまま引き下がってはいられない。再び王者と相見えるには1つ1つ勝って近づいていくしかない。昨年は八田亮、ダニエル・パックマンに勝利。ここで勝って、さらに勢いをつけるチャンスだ。

 1位・井島と2位・北方。勝った方がタイトルマッチに挑戦しておかしくない試合だ。果たして井島が初挑戦するのか、北方がリベンジするのか。
 1R。パンチを出す北方。井島のタックルは切る。井島が再びタックルに入ると、北方はこれを潰しギロチンにとってケージへ。立って外した井島がケージへ押していく。北方は立って入れ替え。ここで井島のパンチがヒットし、北方がダウン! 井島が上になる。
 苦しい北方だが、返して上に! 会場から拍手が湧く。しかし伊島も返して上に。さらに北方が上になり殴る! 伊島は下から細かく殴り、北方は大きなパンチを振り下ろして終了。ブザーとともに会場から再び拍手が沸き起こった。ジャッジは三者10-9で井島。
 2R。開始直後から打ち合う。北方はパンチをヒットさせ、さらに飛び膝! タックルに入って来た井島をギロチンに取り、そのまま絞めると、井島がタップ。来た方が大逆転勝利を挙げた。

 勝った北方は、野性全開。喜びを爆発させるというよりは、獲物を仕留めた野獣のようなワイルドな表情を見せた。マイクを執ると「めっちゃ効いた! 左目も見えへんし、多分、左手は折れてると思う」と激闘を振り返り「でも、最後はここ」と自分の胸を叩き、気持ちの強さをアピール。
 さらに「井島選手、ブラジルのトーナメント優勝者(※Road to パンクラス優勝のダニエル・パックマン)、ZSTの元チャンピオン(※八田亮)を倒したんで、砂辺VS 北方2、いいでしょう! お客さん、見たいと言うてくれますよね。そして砂辺選手、俺の挑戦受けてくれ!」と、砂辺に宣戦布告した。

 スリリングかつドラマチックな逆転劇を見せた北方。まだ27歳と若いが、18歳でデビューしており、キャリアはすでに9年になる。これまで、ネオブラッド・トーナメント優勝、最年少チャンピオンなどの目標を掲げて来たが、どれも実現はしなかった。また、伸び悩んだ時期もあったが、苦しい時期を超え、ここまできた。計量の時には「自分を見つめる時間を多く取るようにしたら、自分で自分のことがわかって来た」と語っていた。がむしゃらに練習し、闘って来た時期を超え、以前より格闘技に対して真面目だし、ハングリーになっていると話す北方は、もうヤンチャ坊主ではなく、思慮深い大人の男に成長していた
 北方の中で、何があっても譲れない存在が格闘技。パンクラスのベルトを巻き、さらなるステージに向かって走り出す。

第6試合


 バンタム級3位・藤井と9位・ヤマニハの対戦。
両者とも寝技を得意とし、さらに打撃もできる巧者同士だ。藤井は「似ているようで、でも寝技も打撃も質が少し違う」と言う。一体どちらが優るのか、興味深い一戦。
 1R。プレッシャーをかけていく藤井、パンチを打っていく。タックルに入るが、ヤマニハは付き合わない。藤井のパンチから打ち合い、ヤマニハがタックル。倒れない藤井。ヤマニハはケージへ押し込んでヒザ。パンチを打ち合い、藤井が回り込んで下になり、マウント! 鉄槌、ヒジを落とす。さらにバックマウントから殴って終了。
 ジャッジは三者10-9で藤井。
 2R。打ち合いから藤井がタックル。ヤマニハはケージへ押し込むが、藤井は入れ替え。ヒザを入れるが、ヤマニハは離れ、パンチを当てていく。しかし藤井は片足タックルからテイクダウン! ヤマニハはヒジ、藤井は殴る。ヤマニハが手首を取るが、藤井は外して大きくパンチ連打。ヤマニハは首を抱えるが、藤井は首を抜いてパンチ、ヒジ! 立って猪木アリ状態に。藤井はかぶさってハーフマウントになるが、また立つ。ヤマニハは起き上がらないまま蹴り上げて終了。
 ジャッジは三者10-9で藤井。
 3R。開始すぐパンチを打ち合う両者。藤井が鼻から出血。しかし藤井は大きくパンチを振っていく。タックルからケージへ押し込んだ藤井だが、ヤマニハは離れる。パンチを当てて来ている。
 藤井はタックルからケージへ押し、バックに回ってハーフマウントへ。ヤマニハは下から殴る。藤井もパンチ、ヒジ連打。さらに、立ち上がって飛び込むようにジャンプしてパンチ! 意外な攻撃に会場が沸く。藤井さらにジャンピングパンチ! 終了。
 ジャッジは3-0で藤井が勝利。

第7試合


 奈良は2016年よりパンクラスに参戦。昨年は2連勝していたが、11月に高木健太に判定で敗れており、星を戻したいところ。相手は現在ノーランカーだが、元王者だけに、勝てば大きい。
 村山は2012年よりパンクラスに参戦。2016年には鈴木槙吾からベルト奪取、第9代王者となる。しかし、同年10月に三浦広光に王座を奪われてしまう。さらに、約8ヶ月ぶりの復帰戦(2017年12月)の再起戦では佐藤天にTKO負けしている。今回こそは勝ち、再びの戴冠への足がかりにしたいところだ。

 1R。奈良が右ミドルを当てていく。村山は前に出て右フックを当てる。さらに倒し、バックに回ってチョークスリーパー! 奈良はタップアウト。

村山 ケージ上コメント
「GUTSMANと、早稲田で暁道場をやらせていただいている村山暁洋です。プロ20勝目、1本で勝ててよかったです。いい勝ち方ができたので、また来年あたり、タイトルマッチに挑戦してベルトを巻きたいです」

第8試合


 サントスは今年3月にパンクラス初参戦。井上雄策に2RでTKO勝ちし、ポテンシャルの高さを見せた。
 富樫は2012年より参戦、7戦4勝を挙げている。昨年11月にアジズ・パフルディノフに敗れ、今回が再起戦となる。

 1R。パンチを出していく冨樫。サントスはロー、前蹴りでプレッシャーをかける、慎重に距離をみる冨樫。サントスはロー。
 冨樫が組みに行くが、サントスは付き合わない。サントスのローがローブローとなり、タイムストップ。
 再開すると、冨樫が組みつくが、サントスの右フックでダウン! すかさず追撃に入るサントスをレフェリーが止めた。
 サントスは「私、トム・サントスがパンクラスのチャンピオンです。久米、カカッテコイ(日本語で)! 今までやってこられたのは、チームと神のおかげ。これからも、やりたいことをやってチャンピオンになりたい。日本アリガトウ!」と久米鷹介の持つ王座へ挑戦宣言した。

第9試合


 藤野は2013年5月以来5年ぶりのパンクラス参戦。昨年はROAD FC、DEEPで3勝している。キャリア15年の藤野は、公開練習で「今の女子格闘技はレベルの差がかなりある」「下の子たちが挑戦して来ないから、外国で闘うしかない。女子格闘技を名乗るのであれば、ケンカを売って来いよ。ババアをナメんなよ!」と日本の女子格闘技の現状に苦言を呈し「男子女子関係なく、1つの試合として見てもらえるレベルの高い試合をしたい」と語っている。

 対するシャロンはレスリングがバックボーンで、2008年全米チャンピオンになっているという。MMAは2012年から始め、2015年より女子格闘技の世界最高峰団体といわれるINVICTA FCに上がり、4戦3勝1敗の成績をあげている。
 藤野は「似ているタイプ」と評していたが、どのような展開となるのだろうか。

 1R。いきなり打ち合う両者。激しさに会場から驚きのどよめきが上がる。シャロンはケージへ押し込むが、藤野が入れ替えてヒザ連打。お互い入れ替えあってヒザを打ち込み、負けん気がほとばしる。
 藤野がパンチを打って離れると、再び打ち合いに。藤野がタックルに入ると、シャロンは受け止めてケージへ押し込む。藤野は真ん中へ押し戻して行くが、再びケージへ押し込むシャロン。藤野はヒザを打ち込んで離れ、またも打ち合う。
 シャロンは組んでケージへ押し込むが、藤野は入れ替えて首を狙う。シャロンがこれを外すと、藤野は殴って離れ、パンチを打っていく。シャロンが倒れ猪木アリ状態になるが、シャロンが上になり殴る。マウントを取ったところで終了。
 ジャッジは10-9で二者がシャロン、1名が藤野につける。
 2R。藤野がパンチから組み、足をかけてテイクダウン! すぐに片足パス。シャロンが回ると藤野はサイドポジションに。鉄槌を落とす。さらに回ってフロントチョークに抱えるが、外して立つ。引き込もうとするシャロン。藤野はすぐに立ち、再び打ち合いに。
 離れて組みに行ったシャロンをフロントチョークにとる。外して立ったシャロンはケージへ押し込んでいく。引き込んだ藤野だが、シャロンがサイドからマウントを奪取。パウンドを連打して終了。
 ジャッジは三者ともに10-9で藤野。
 3Rも激しい打ち合いからスタート。藤野が組んでケージに押し込み、ボディとヒザを打ち込む。シャロンもヒザを返すと、藤野は離れ、パンチを打っていく。パンチで主導権を握った藤野に対しシャロンはタックル。藤野が上になるが離れてパンチを打ち合う。
 組んでケージへ押し込むシャロン。ボディを攻める。残り1分、入れ替え合う両者。藤野がパンチで離れ、圧力の強いパンチを打っていく。シャロンが組み、テイクダウンしたところで終了。
 ジャッジは3―0で藤野が勝利。スリリングな勝負を制した。

藤野ケージ上コメント
「ババアをナメんなと言いたかったですけど、相手が強くて1本取れませんでした。年齢のせいにはしたくないですし、もっと強くなりたいです。女子も格闘技も盛り上げていけるよう頑張りますので応援してください。そして、この後、上田(将勝)選手を見届けたいと思います」

第11試合


 現在、パンクラス・バンタム級の王者は石渡伸太郎(CAVE)で、2011年12月の戴冠以来、約6年半の長きにわたり王座を守っている。しかし、昨年5月、シウバを相手に5度目の防衛を果たしたあと、RIZINバンタム級トーナメントに参戦。4試合を闘い抜き決勝に進んだが、堀口恭司に敗れた。石渡は現在休養中のため、暫定王者決定戦が行われる。
 ベルトを懸けて闘う上田とシウバは2度目の対戦。前回は2016 年7月、判定3-0で上田が敗れている。シウバが再び勝ってベルトを巻くか、上田がリベンジと戴冠を果たすのか。

 1R、ケージの真ん中に向かい走って出る上田。気合いが入っている、お互いロー。上田が片足タックルを仕掛けるが、シウバは潰す。しかし上田はアームバーを狙っていく。シウバはバックを取り、がっちりキープ。細かく殴る上田は体勢を返して腕を狙うが、シウバは外して再びバックを取る。そのまま立ち上がる上田。
 残り20秒、上田は足関節に移行するが、上になったシウバが殴って終了。
 ジャッジは三者10-9でシウバを支持。
 2R。プレッシャーをかけていく上田。シウバが右ハイキック。パンチ、ミドルと攻めるシウバ。上田もパンチを返すが、シウバの重いローをもらい、少し効いているか? しかし上田も左ミドルを返す。これを嫌ったシウバがタックルからテイクダウンするが、上田はすぐに立つ。しかし、バックを取るシウバ。正対した上田は鼻血を流している。
 ケージへ押すシウバ。上田はボディを連打し、足を抜いて立つ。しかしシウバはバックをキープしたまま。上田がボディを殴って終了。
 ジャッジは三者10-9でシウバ。
 3R。上田が左ハイキック。プレッシャーをかけながら左パンチ、ミドル、ローを放つ。シウバはパンチからタックル、テイクダウン。ケージを押し込んでいく。上田が鉄槌を打ち込むと。シウバは持ち上げてマットへ。上田は背中をつけてはおらず尻餅状態に。上田は立つが、シウバはバックに回りケージへ押し込む。ここでブレイクがかかり離れる。上田の表情を見ると、気力・体力ともにまだまだ大丈夫そう。集中している。
 タックルを仕掛けた上田だが、ギロチンに取られる。上田は立つが、シウバはそのままケージへ押していき、上田がボディを連打して終了。ジャッジは二者10-9シウバ、一人が10-9上田と割れる。
 4R。両者ともにかなり汗をかいているが、お互い集中している。
上田のミドルの蹴り足を取ろうとするシウバだが、上田は取らせず、やや距離を取っている。シウバの右パンチが鼻のあたりにヒット。上田は再び鼻血を見せるが倒れない。
 シウバがパンチで入ってくると、ギロチンに捉えた上田。しかしシウバは外してバックに回り殴る。上田は立つが、シウバはバックを取ったまま。上田はヒジ連打。脱出できるか? 残り20秒で立った上田だが、シウバがバックを取ったまま終了。
 ジャッジは三者10-9でシウバ。上田の表情にやや疲れが見える。
 最終ラウンド。ここまで闘い抜き、両者ともさすがに疲労の色を隠せない。しかし、集中は途切れていない。
 上田はタックルを仕掛けるが、シウバは付き合わない。しかし上田は諦めず、二度、三度とタックルを仕掛けると、会場から大きな上田コールが湧き上がる。上田は左ハイキック、ロー。シウバにも疲れが見え始めている。
上田が片足タックル。シウバはこれを潰してバックに回り、ケージへ押し込む。立ちたい上田。残り2分!
 シウバはバックをキープし、ヒザから引き込み殴る。残り1分!
再び上田コールが湧き上がるが、上田は反撃できないまま終了のブザーを聞いた。
 ジャッジは3―0でシウバが勝利。暫定王者となった。

 シウバは酒井正和・パンクラス代表からベルトを巻いてもらい、
「日本の皆さんに感謝します。また。このような機会を与えてくださったパンクラスにも感謝しています。暫定ですが、王者になれました。日本が大好きですし、今後もパンクラスで闘っていきたいです。この勝利は、亡くなってしまった友人にも捧げたいと思います」
とコメント。


 試合前から、これがラストマッチと話していた上田は、シウバのコメントが終わるまで待ち、マイクを執った。
「今日はたくさんの応援ありがとうございました。ハファエル選手はすごく強くて、力及びませんでした。悔しいですけど、すべて出し切りました。今日をもって引退します。ありがとうございました」
と改めて引退宣言。両手のグローブを外し、マットに置いてケージを下りた。
 会場からは「上田!」「お疲れさま!」と声がかかり、ファンは温かい拍手で見送った。
 上田が置いたグローブにはスポットライトが当てられるという粋な演出がされ、そのままケージ内に置かれた。多くのファンが上田の引退を惜しみ、グローブを写真に収めていた。
 観客の退場後、酒井代表が上田の控え室を訪問、グローブを渡してねぎらった。

<試合後コメント>

上田将勝
「正直、悔しいですけど、最後の方は体が動きませんでした。自分が動いて相手を疲れさせてやろうと思っていたんですけど、削れませんでした。蹴っていくのが作戦でしたけど、思ったより遠かったです。
 何回かミドルが効いたのはわかりましたけど、自分もパンチをもらってしまい、何をやっても相手にうまくやられてしまいました。でも、自分にできることはやりきったと思います。
 相手は前回よりスタミナもついて強くなっていました。勝ちたいという気持ちも向こうの方が強かったと思います。
 自分は、最後の3週間はMMAのスパーリングとかグラップリングとかデジなかったです。痛み止めを打ってなんとか今日にたどり着きました。でも、今日は出し切れました。
 いつもは周りとかあまり見えないんですけど、今日は最後なので、みんなの顔を見渡しながら闘いました。34戦もできて、すごくいい格闘技人生だったと思います。
 最後の舞台はパンクラスでしたが、対応がしっかりしていて闘いやすい団体でした」

 ケージではこらえきれず涙を見せた上田だが、スッキリした表情。本当に「やりきった」からこそなのだろう。「勝って終わりたい」という希望は叶わなかったが、ベルトを巻いて大団円となるよりもファンの心に残るラストマッチだったのではないだろうか。
 人生は、往々にしてうまくいかない。それでも上田は諦めず、好きなことに打ち込み、努力してきた。
 上田が最後に見せた背中は、「試合に負けるのは恥ずかしいことじゃない。本当に恥ずかしいのは、自分の弱い心に負け、できる限りの努力をしなかったことなのだ」と無言で教えてくれているようだった。
 ファンに愛され、仲間に愛された上田。今後は未定だが、どのようなことに関わってもコツコツと努力し、誠実に人生を送っていくことだろう。第二の人生のスタートに幸あれと祈らずにはいられない。
 なお、大会翌日、一夜明け会見が行われる。

(写真・文/佐佐木 澪)

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