【試合詳細】12・15 PANCRASE350 ニューピアホール大会 名田英平vs栁川唯人 鈴木悠斗vs小川道的 岡田拓真vs敢流

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『PANCRASE 350』
日程:2024年12月15日(日)
会場:東京・港区 ニューピアホール
開始:12:30

【試合結果】
▼第1試合 フライ級戦 5分3R
●砂辺光久(ReversaL Gym OKINAWA CROSS×LINE)
2R 4分46秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
○時田隆成(トライフォース東中野)

▼第2試合 63kg契約 5分3R
○ギレルメ・ナカガワ(ボンサイ柔術)
1R 2分20秒、腕十字固め
●渡邉泰斗(サツキジム横浜)
※当初、ナカガワVS平岡将英の対戦予定だったが、平岡が練習中の怪我により欠場。急遽、渡邉の出陣となった。直前での試合決定のため、63kg契約。

▼第3試合 フライ級戦 5分3R
●菅 歩夢(THE BLACKBELT JAPAN)
判定1-2
○岸田宙大(パンクラス大阪稲垣組)

▼第4試合 フェザー級戦 5分3R
●岡田拓真(リバーサルジム横浜グランドスラム)
2R 0分54秒、TKO
○敢流(パンクラス大阪稲垣組)

▼第5 試合 ライト級戦 5分3R
○鈴木悠斗(パラエストラ八王子)
1R 1分50秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
●小川道的(柔術兄弟/ALIVE伊勢支部)

▼第6試合 コーメイン フェザー級戦 5分3R
●名田英平(総合格闘技道場コブラ会)
1R 3分21秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
○栁川唯人(K-PLACE)

▼第7試合 メインイベント バンタム級戦 5分3R
―田嶋 椋(OOTA DOJO)
VS
―オタベク・ラジャポフ(TAJMMAF GYM)
※オタベクが、61.2kg契約のところ最終計量で62.6kgと1.4kgの超過。このため対戦中止となった。

オタベクの体重超過によりメインがまさかの対戦中止!代打の代打メインを勝利で飾った栁川がフェザー級KOPに挑戦名乗り!ルーキーの時田が砂辺にTKO勝利で世代交代を告げる鐘を鳴らす

第1試合


 砂辺は2001年より参戦の超ベテラン。パンクラス軽量級のパイオニアであり、フライ級、スーパーフライ級、ストロー級の3階級を全て初代制覇。パンクラス初の殿堂入りファイターとなった、まさにレジェンドだ。
 RIZINにも出場し、パンクラスマットからはしばらく遠ざかっていたが、今年4月、5年ぶりに復帰。前田浩平に判定で敗れた。今回は今年デビューの若手。どんな闘いを見せるか。
 対する時田はアマチュアパンクラス・バンタム級トーナメントを勝ち抜き、プロ昇格。今年9月にパンクラスデビューしたばかり。デビュー戦で判定勝ちしている。バックボーンはレスリング。

 1R。いきなり走りでた砂辺。時田は落ち着いてかわす。お互い距離を取るが、時田が片足タックルからテイクダウン。砂辺は尻もちを往いているが、背中はつけさせない。チョークを狙う。しかし、これは外れた、ヒジを入れる。
 時田は両足を抱えパウンドを落とす。立った砂辺だが、時田が投げてバックを取り殴る。立ち上がる砂辺。時田がまた投げてバックにつく。さらにバックマウントへ移行する時田。
 逃れようとする砂辺だが、時田は両足をかけて首を狙う。しかし、入っていない。足を外そうとする砂辺。バックから殴る時田。残り1分、時田がバックをキープして終了。
 ジャッジは3名ともに10-9時田。砂辺はやや消耗しているか。

 2R。フェイントをかける時田。回る。砂辺が中央でやろうとアピール。時田がパンチからタックル、ケージへ押し込む。砂辺は尻もちをつき、激しくヒジを入れる。立ちたい「砂辺。しかし時田はバックに周り殴る。逃れたい砂辺だが、ガッチリとロックされ動けない。
 時田はパウンド、ヒジ。残り1分、大きくパウンドを落とす時田。上になりヒジを連打すると頭部に連続で入り、レフェリーが試合を止めた。

第2試合


 ナカガワは格闘技代理戦争に出た後、6月にプロデビュー予定だったが、計量失格で中止に。今年9月、仕切り直しのデビュー戦では安藤武尊に判定負け。第2戦は勝利できるか。
 渡邉は今年2月、パンクラスデビュー。NBTは一回戦負けに終わったが、その後ワンマッチで佐藤ゆうじ(6月)、友寄龍太(9月)と2連勝し波に乗る。佐藤に続き、ボンサイ勢を破れるか。

 1R。圧をかけるナカガワ。渡邉は左ハイキック、左右ジャブ。ナカガワが間合いを詰め他ところへ蹴りを合わせる。渡邉がロー、ジャブ。ナカガワもジャブ、ロー。
 渡邉の左右ジャブがヒットするが、ナカガワが片足タックル! 投げてテイクダウン! バックを取ると腕を狙う! しのごうとする渡邉をうつ伏せにし、極めると渡邉がタップ。ナカガワが2戦目で快勝。電光石火の腕十字でボンサイの面目躍如。

第3試合


 菅は昨年NBTエントリーでプロデビュー、バンタム級優勝&MVP獲得。NBT後フライ級に転向、秋葉太樹戦が組まれたが、怪我により欠場となる。今回は、フライ級初戦、今年の初戦並びにTHE BLACKBELT JAPAN移籍後初戦と、初尽くしの試合となる。
 岸田は今年のNBTエントリーでプロデビュー。柔術全日本選手権優勝の実力者だ。反応の速さ、ポテンシャルの高さが光る魅力的な選手。NBTは残念ながら優勝は逃したが、今後大いに期待したい若手の1人だ。

 1R。プレッシャーをかける岸田。ロー、左ハイ。菅が間合いを詰めると岸田が片足タックル、テイクダウン! しかし菅はすぐに立つ。
 岸田が再び片足タックルから倒し、バックに回る。首を狙うが、菅が反転し足を外すと上になる。サイドポジション。しかし立って離れた。
 岸田が右ジャブ。タックルに入るが切られてしまう。岸田が再びタックルに入り、引き込む。下からヒジ。菅はボディを殴る。ケージへ持っていきコツコツ殴るが終了。
 ジャッジは1名が10-9菅、2名が10-9岸田。

 2R。菅がロー、岸田ミドル。菅の左ジャブがヒット、岸田がフラッシュダウン。しかし、すぐに立ち、タックルから引き込む。菅がかぶさり殴る。立ち上がりそうな岸田だが、ボディを殴りながらケージへ移動していく。菅がパウンドを狙うと、岸田が足を狙う。菅は回転して足を抜き、スタンドに。
 岸田がパンチからタックル、テイクダウン。サイドに移行するが、菅が脱出。またスタンドに。岸田が組むと、菅が受け止める。岸田は一度離れるが、再び組んでケージへ押し込む。菅が腕を狙い、そのまま後ろに投げたが、岸田がさらに腕十字! しかし、菅は体をまたいでマウントを狙う。
 下になった岸田だが、菅は首を抜いた。密着する岸田岸田にパウンド。残り10秒で上体を起こしてパウンド。終了。
 ジャッジは3名ともに10-9菅。

 3R。岸田がロー。菅も蹴る。菅がアッパー。岸田が片足タックルからテイクダウン。しかし、菅が上に。しかし、岸田は下から三角を狙う。さらに腕十字へ。しかし、菅が外した。
 菅が上になり、岸田はガードポジション。岸田、足を狙う。足を抜いて立とうとする菅。岸田はバック取れず。菅が首投げで投げるが、岸田が回ってバックを奪う。反転する菅だが、岸田が三角を狙う。
 菅は反転するが、岸田はギロチンで引き込みながら反転する。背中を向けて立とうとする菅だが、岸田がバックについた! 岸田はケージ際でかかえ、後ろに倒れて首に両足をかける。しかし、菅が反転して上になりパウンド。岸田も下から殴るが、終了。
 ジャッジは1名が29-28菅、2名が29-28岸田、2-1で岸田が勝利。
 極めることはできなかったが、諦めず食らいついていく岸田の気迫が素晴らしかった。菅も上を取りながら決めきれなかったが、勝負に対する意地を見せた。まだ発展途上の両選手、何年か後にまた見てみたいと強く思わせる試合だった。

第4試合


 岡田は昨年6月にパンクラス初参戦、以来3連勝中。しかし、負傷療養のためしばらくケージを離れ、約1年後の復帰戦となった。
 一方の敢流は今年、3戦全てKOでNBT優勝を飾っている。NBTでは実力差を見せて勝つことをここ心がけていたという。敢流自身、ランキング入りしているが、今回は初のランカーとの試合。今回も差を見せつけるか。

 1R。プレッシャーをかける敢流、岡田が組むが敢流は離れた、敢流ジャブ、岡田、やや効いたか。敢流、強いロー!
 岡田がタックルに入るが、敢流切った。さらに圧をかけていく。敢流ロー、左ミドル。岡田もロー。敢流が前蹴りから左ジャブ。キレがいい。
 敢流が組んでケージへ押し込む。岡田は首狙い! 肩パンチ連打、さらにカカト。敢流が頭を抜いて外した。今度は岡田がケージへ押し込んで肩パンチ、顎へのヒザ。入れ替えたい敢流だが、岡田が肩パンチ連打。さらに押し込む岡田。残り15秒で敢流が入れ替え、岡田がヒザを入れたところで終了。
 ジャッジは1名が10-9敢流、2名が10-9岡田。

 2R。プレッシャーをかける岡田。敢流が前に出て左パンチヒット! さらに右ハイがヒット! 崩れるように倒れた岡田に、敢流がバックからパウンド連打! 立とうとする岡田だが、敢流は投げてさらにパウンド連打! 動けない岡田。レフェリーが止めた。
 敢流が4戦連続KO勝利。

《敢流 ケージ上コメント》
「パンクラス大阪稲垣組の敢流です。今年2024年のNBTに優勝して初めての試合だったんですけど、KOで勝利できてよかったです。
 今の格闘技界はなんか、ネットとかSNSとかで注目を浴びてるやつばっかで。知名度とか色々あると思うんですけど、僕は実力だけで上がっていきます。そこらへんの中途半端な格闘家とは違うんで、僕に注目してくれたら嬉しいです。今日はありがとうございました」

《敢流 試合後コメント》
「今日、フェザー機のタイトルマッチがあると思うんですけど、僕、全然どっちにも勝てる自信があります。まずはランキング上位の選手と次やらせてもらって、1人ずつ倒していってベルトまで行きたいと思うんで、注目しといてください。
 今日は応援ありがとうございました。ベルトまで無敗で突き進むんで、これからも応援よろしくお願いします」

第5試合


 名門・パラエストラ八王子のホープ・鈴木は昨年7月にパンクラスデビュー。初戦こそ判定勝ちだったが、その後4戦KO勝利の破竹の勢いだ。今年はNBT同級でも優勝している。
「みんなに格闘技に夢を持ってもらうために、パンクラスからもらったお金で良いものを購入する」と話していた鈴木。今回もボーナスを手にすることができるか。
 対する小川は2016年パンクラス初参戦。これまで大阪大会に参戦してきたが、これが東京初進出となる。

 1R。いきなりパンチで出る小川。鈴木もパンチを返し打ち合いに。鈴木の右パンチがヒット! しかし、小川は組んでケージに押し込む。鈴木はケージでこらえながらヒザを打ち込む。鈴木が投げてテイクダウン! 鉄槌を打ち込む。小川は下から仕掛けようとするも、鈴木がパンチ連打。
 立とうとする小川。殴る鈴木。レフェリーが試合を止めた。鈴木はこれで5連続KO勝利。

《鈴木 ケージ上コメント》
「パラエストラ八王子の鈴木です。本当は11月に試合があったんですけど、松本(光史)選手が怪我しちゃってなくなって。でも、試合がやりたくて他のランカーの人たちと試合できないかって交渉させてもらったんですけど、もうみんな何か自分とやりたくないって言って逃げたんで、これ実質、自分がチャンピオンってことじゃないですかね!?
 相手がいないんで日本でもやるかわかんないですけど、これから海外でもやって行こうと思ってるんで、ぜひ応援してください。あと、減量に付き合ってくれた人たちありがとうございます。これでちょっとお金もらえるのかな。ありがとうございます!」

《鈴木 試合後コメント》
――見事なKO勝利おめでとうございます。今のお気持ちはいかがですか。
「最高ですね、はい。勝ってよかったです」

――パウンドの威力がすごかったです。相手の動きが止まりましたね。
「打ち方とかないんですけど、ただ、殴ればいいかなっていう。思いっきり殴れば大体倒れるでしょって思ってるんで」

――握力がすごいんですよね。
「そうですね、80ちょっとぐらいです」

――りんごも潰せるはずですね。やっぱグーが強いって感じですね。スタンドの打撃なんですが、今まで少し粗い感じだったのが修正されていて、綺麗なパンチになっていました。重点的にトレーニングされたのでしょうか。
「いや、そういうわけじゃないんです。ちょっと何か言われたからそう言ってんだろうみたいに思われるかもしれないんですけど、実は綺麗にも打てるし、ちょっと粗くも打てるんです」

――なるほど。
「練習と試合は全く違って、練習ではもうすごいコンパクトに綺麗に打ってて、 試合になるとやっぱりみんな力が入ってちょっと雑になったりするから、練習はちょっと違う感覚でやってるんです。実は前回、解説の石渡(伸太郎)さんが、今回ちょっと何か粗いって言ってたんで、今回はちょっと綺麗に打ってみるか、できるんだぞというところを見せたかったんです」

――そうだったんですね。石渡さん。今日お休みで残念です。でも、もしかしたら配信で見てらっしゃるかもしれないですね。さて、今日の勝利で無傷の6連勝になります。ボーナスは何に使いますか?
「そうですね、なんか買えたらいいなと思って。やっぱり、パンクラスさん、パンクラスはこれだけもらえるんだぞっていうのを知ってほしいんです。格闘技は面白いんだぞって、稼げるんだぞっていうところを見せていきたいです」

――素晴らしい心意気ですね。いつもスーツ姿で会場にいらっしゃるそうですが、そこもいいですね。さて、今後の展望などお聞かせください。
鈴木「ランカーの人たちにもう全部断られたりしてるんで、相手がいないのかなと思ってて。パンクラスで本当にやりたいんですけど、海外に自分も行きたいなとも思ってるんで、来年から海外とかも視野に含めて進んでいこうかなって感じですね」

――相手側からは断られてしまっていますが、パンクラスのランカーで闘いたい選手はいますか?
「うーん、いや、特にないですね。もう誰でもいいかな。別に誰が来ても倒せると思ってるんで、誰を当ててもらってもいいかなっていう感じです」

――まだ10 代なんですね。
「はい。4日前とか水曜日で19歳になりました。18でもう1試合したかったんですけど、みんな断られちゃって」

――では、最後に一言お願いします。
「これから世界でやっていくかまだわかんないんですけど、将来的には世界で活躍できる選手になりたいと思ってるんで、今から、 今からでも遅くないんで、応援お願いします!」

第6試合


 名田は2017年パンクラス発参戦。初期は大阪大会に出場していたが、2019 年のNBT優勝をきっかけに東京進出し、東京でもおなじみの顔となった。負けん気の強い、粘り強いファイトスタイルで闘ってきたが、ここ4戦は連敗している。2戦を地元で闘ったのちの東京。若手の台頭を許さず、来年に向け勝利で終わりたいところ。
 対する栁川は昨年のNBT優勝者。しかし、優勝後のRyo戦で大逆転負け、初の黒星をつけられ「一度死んだ」(本人談)。負傷箇所の手術を行いケージから遠ざかっていたが、今年9月、9ヶ月ぶりの復帰戦で糸川義人に判定勝ち。今回はベテラン相手にイケイケで勝利できるか。

 1R。お互いロー。名田がスリップすると、柳川が上になり足関! しかし、名田は足を抜いて立った。
 スタンドから名田が組んだが、柳川がケージに押し込みながらヒザを打ち込む。肩パンチを打ちながら入れ替えたい名田だが、柳川が入れ替えさせない。栁川ヒザ。名田が肩パンチ。
 柳川が足をかけて押し倒しテイクダウン! 立とうとする名田だが、栁川はガッチリ捕らえている。バックに回る栁川は、名田に尻もちをつかせる。
 名田が立ち、バックに。栁川は足をかけて倒しバックマウントに。パウンド、ヒジを落とす。チョークを狙うが、パウンドに切り替え、左のパウンド連打! 動けず打たれるままの名田。レフェリーが試合を止めた。
 柳川が快勝。来年への道をつけた。

《栁川 ケージ上コメント》
「ちょっとさっきドラ焼き食べすぎて気持ち悪くて。今日はメインが2試合飛んじゃったんですけど、僕がメインを急きょ任せていただく形になりました。任せていただいてありがとうございます。
 そして、今日ここまで自分1人で作り上げることは絶対にできてません。まずK-PLACEの仲間、そして見に来てくれた方々、そして僕の体を普段塗料してくれてる整体の先生はじめ、皆さん、いつもありがとうございます。本当に。
 とりあえず勝って、2つ勝って。 うん、勝ち方も悪くないでしょう。なので、来年タイトルマッチをやらせてください。相手は誰でも構いません。ぜひよろしくお願いします。ファン皆さんで相手決めちゃって大丈夫なんで。
 今夜、チャンピオンが決まると思うんですけど(夜の部・『PANCRASE 351での平田直樹VS三宅輝砂戦)、全然誰でも、どちらかとでもやるんでやらせてください。お願いします。
 今日は皆さん遠くまでありがとうございました。僕と今後一緒に闘ってくれるよっていう方、まだ全然お話欲しいんでお願いします。ありがとうございました」

《栁川 試合後コメント》
――見事KO勝利でメインを締めた栁川選手、おめでとうございます。今の心境はいかがですか。
「安心しましたね。もうメインが2つ飛んじゃって、急きょメインイベントになって、俺がメインかと思ったんですけど、でもやっぱりメインの仕事は、自分が何か出したいことを出せば、自然とそれがメインの仕事って思って、今回こんな形になったんで、とりあえず安心してます」

――怪我でしばらく休んでいて、前回いい勝ち方して、そこからまた今日、メインイベントでフィニッシュ。
「いい気分っすね、ほんとに。八王子の鈴木(悠斗)選手も言ってたんですけど、僕もボーナス欲しいっすね、ほんとにいい気分なんで、本当に、でも、そんぐらいのいい勝ち方できたかな」

――相手はベテランということで、接戦になるのかなと思いましたが、早い段階でのフィニッシュ。何か作戦とかあったのでしょうか。
「いや、作戦というよりかは、やっぱりけたRyo戦の時のマインドがすごく自分を成長させてくれたと思います。あの時もベテランと若手っていう構図で闘って負けて、それでほんとにいろんなものに気づけました。自分に足りないもの、相手にあって僕にいないものとか、相手が勝ってるものとか、そういうのに色々気づけて、それをずっとこう、鍛えてきたりとか、うん、積み重ねてきて今回がある。うん、本当にその負けが僕を今こうして成長させてくれてると思います」

――具体的にはどんなところですか?
「一番はマインドです。気持ちですね。もうほんとに最初はノリでいけるでしょ、みたいな気持ちだったんですけど、やっぱりそれだけじゃダメだっていうのとか。それにプラスアルファで、何て言うんですか、僕は生き方、日頃の行いとか人間性を意識してるんですけど、振り返ると、ちょうどその時期、だらしない自分がいたなとかっていうのがあって。僕はそういうのすごい感じるんで。
 今回の試合まで、前回から今回までもずっと、何かもうちっちゃいことなんですけど、身の回りの整理整頓とか、人に挨拶するとか、そういう人として当たり前のことをやるという……僕が好きな言葉で『人間力の向上は競技力の向上』って言葉があるんです。人として上に行けば、競技者としても上に行けるってことがあって、僕はその言葉にすごい支えられて。で、それにまた改めて気づけたのが良かったので、それをずっと保ててるからこそ、今回こういう結果を得られたかなと思っています」

――すごいですね。じゃあ、プライベートから自分を律して。
「そうですね、生活するっていうのがやっぱ結構一番と思って、その稜線からそこをしっかりやりました」

――そうすると、やっぱり気持ちも整ってきたり、普段のトレーニングにもいい影響があったりするんでしょうね。さて、来年タイトルマッチをやりたいとおっしゃっていました」
「いやー、ちょっと勢いで言っちゃったところもあるんですけど」

――でも、やりたいと思うのは当然の気持ちですからね。
「そうですね。僕は格闘家なんで、そんなSNSの影響力とかほんとにどうでもよくて、強さだけを追い求めてるんで、 ほんとに強いやつでさえあれば誰でもいいんで」

――ランカーでやりたい選手はいますか?
「とりあえず、Ryoさんとやりたいです。もう1回、もう1回やりたいっす。もうずっとここ(胸)にね、持ってるんです」

――若者がベテランに隙をつかれての逆転負け。その相手に、俺はこうなったんだぞっていうのを見せてやりたいという。
「そうですね、本当にありがとうみたいな気持ちも込めて、ありがとうございました、あなたをしっかり越えていきたいです、と」

――他にはいますか?
「誰だろう。本当はキム・サンウォンとやりたかったんですよね。離脱してしまいましたけど。うーん、誰ですかね。ほんとに誰でもいいんですけど。でもタイトルマッチ、どっちもやるじゃないですか、平田さんと三宅さん。どっちでもいいからやりたいっすね。負けちゃった方でもいいから」

――なるほど。では、最後に一言お願いします。
「はい。今回パンクラス350の試合を見てくださった方々、応援してくださった方々、ありがとうございました。また、U-NEXTから応援してくださった方々も、ありがとうございました。僕も含め、対戦相手の名田選手含め、他の選手もですね、全員皆様の応援があるからこそ頑張れていますので、今後も応援よろしくお願いします。ありがとうございました」

 当初決まっていた試合が2試合も中止となってしまった『PANCRASE 350』。当初メインに予定されていたバンタム級王座戦の透暉鷹VSカリベク・アルジクル ウルルの両選手が練習中の怪我により試合延期。メインに繰り上がった田嶋椋VSラジャポフ・オタベクもオタベクの計量失敗により中止となり、6試合となってしまったが、一本、KO決着の連続で素晴らしく熱い大会となった。
 特に目立ったのは若手の活躍。レジェンド・砂辺光久にTKO勝利の時田隆成、早すぎる一本を見せつけたギレルメ・ナカガワ、菅歩夢と岸田宙大のめくるめく闘い。そして、敢流、鈴木、柳川のKO勝利には会場が揺れた。
 まだキャリアも浅い、知名度もそれほどない選手たちだが、大会を見事に盛り上げてくれた。この大会を見られなかったファンは、いつか後悔するのではないだろうか。
 KO決着が多かったこともあり、時間としては短い大会だったが、満足度は高かった。若い選手たちが、来年もパンクラスで、輝く未来をつかんでほしいと心から願う。

(写真・文/佐佐木 澪)

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