入江茂弘が竹下幸之介からKO-D無差別級を奪取し竹下のV12を阻止!「とにかく今のマンネリ化したDDTを変えたい」
29日、東京都・後楽園ホールにてDDTプロレス『MAX BUMP 2018』でKO-D無差別級選手権試合が行われ、入江茂弘がV11王者・竹下幸之介を破って新王者となった。
入江は年始に行われたDDT最強を決める『D王グランプリ』にエントリーされなかったことを不満に持ち、「僕の好きだったDDTではなくなった。楽しいと思えないしもう一丸となっていないし“チーム”ではない」と3ヶ月間雲隠れ。その後、両国国技館大会のエンディングでリングに乱入し、竹下幸之介の持つKO-D王座への挑戦を要求。これに「自分勝手すぎるし自由と勝手は違う。そんな人間が挑戦する権利はない」と反発した彰人を今月1日の後楽園ホール大会で撃破し、王座挑戦権を勝ち取っていた。
これに対し竹下は「別に(今のDDTを)否定するのは自由だけど、僕は実際この一年ベルトを死ぬ気で守ってきたし、竹下幸之介のDDTというものを作り出せたと思う。入江さんの言うその全て、僕が受け止めてこのベルトまだまだ防衛しますんでよろしくお願いします」と受けて立つ覚悟を見せていた。
昔のDDTが好きな入江と、今のDDTを作り上げてきた竹下。新世代のイデオロギー闘争は、団体の進退を占う大事な一戦として注目が集まっていた。
試合は一進一退のバチバチとした撃ち合いが続き、入江のビーストボンバーと竹下のラリアットが何度もぶつかり合った。
竹下も試合終盤には数々の挑戦者を葬ってきたジャーマンスープレックスやサプライズローズなどで畳み掛け勝負を決めに行くが、入江は虚を突いてグラウンドでスリーパー、さらに飯伏殺しで打ち据えると、最後は渾身のビーストボンバーで3カウントを奪った。
試合後、入江にベルトが渡されると入江はベルトに顔を埋めて静かに想いを爆発させる。それを見た竹下は、入江の手からベルトを奪い取り、一年以上連れ添ったベルトに礼を言うように抱きしめてから入江に手渡した。
マイクを取った入江が「幸之介は本当に素晴らしいチャンピオンだよ。アンダーボーイズとベルトを賭けてメインイベントで戦えたことを僕は嬉しく思っている。ありがとう。最初、DDTに戻ってくるときは僕は一人だと思ったけど、みんな応援してくれて、渡瀬とジェイソンが僕と一緒にやっていくと言ってくれて嬉しかったです」とコメントしているところへ、石井慧介がリングへ。「俺はお前が両国に戻ってきたときから思うところがあった。そしてお前と戦うために実績(インディージュニア王座)を作った。俺の挑戦、受けろ!」と挑戦表明。
入江も「石井、この数年DDTでなんの実績も残してないくせにそんなベルト獲ったくらいでなに勘違いしてんだ?」と一蹴しながらも、最終的に石井の挑戦を受け入れた。
バックステージに戻った入江は、「自分が自由に、好き勝手にやるためにこのベルトが必要だと言って、戦いたかった竹下幸之介に挑戦したんですけど、いま実際このベルトを持ってみて、やっぱりうれしかったです。何よりも竹下幸之介というすばらしいチャンピオン、すばらしいプロレスラーと戦えて、このベルトを取れたことは本当にうれしいです。とにかく今のマンネリ化したDDTを変えたい。その一心でした。
次の挑戦者の石井ですが、リングに上がってきた時は『一緒にやっていこう』という直訴なのかと思ったんで、うれしい気持ちがあったんですけど僕に許せない気持ちがあったみたいで。僕はもう石井はこの数年間、何をしていたのかわからない、いつもお尻を出すような試合しかやっていない。僕がベルトを持っているから挑戦したい、僕が相手だからメインに出られる。そんな気持ちで来るんだったらぶっ潰してやりますよ。ただあいつが僕に向かい合った時からはもう味方じゃないし、このDDTに仲間というのはいなくなったんだというのは強く感じました」と真剣な面持ちでコメントした。
対する石井は「思うことがたくさんあったのは事実です。海外に出るのはいいけど、軍団作ったりとか勝手過ぎる行動があったんで、その気持ちをぶつけられればいいなと思っています。次で五回目の挑戦になるんで、あとがないと思っていきます」と語った。
V12を逃しベルトを手放した竹下は「負けた今、言えることはこの1年間応援してくれた人たち、戦ってくれた選手。そしてプロレスの神様。本当にありがとうしか言えることはないですね。もちろん今はくやしくて冷静に考えられないというか。今日負けて、ここまで悔しいという気持ちはこの一年ないというか。一からではないです、ここまで築き上げたものがあるんで、この続きから。これでゲームオーバーじゃないんで自分のやるべきこと。可能性を誰よりも自分が信じ続けたいと思います。今は悔しいですけど、後悔はないです。この1年間。一切悔いはないです。まだまだここから。いまKO-D無差別に行くという気持ちはゼロ%です。まだまだ自分がやれることはあるだろうし。もっともっとプロレスの可能性、DDTの可能性、竹下幸之介の可能性を信じて進んでいきたいと思います」と悔しさに顔を歪ませながらコメントを残した。