【試合結果】8・14 垣原賢人復帰戦~カッキーライド~ 藤原喜明vs垣原賢人 冨宅祐輔vs丸藤正道 鈴木みのるvsロッキー川村
『垣原賢人復帰戦~カッキーライド~』
日時:2017年8月14日(月)
開始:18:30
会場:東京・後楽園ホール
観衆:1054人
▼第1試合 UWF 道場スパーリングマッチ(時間無制限)
藤原喜明(藤原組)
10分25秒 勝敗なし
垣原賢人(フリー)
▼第2試合 UWF ルール(30 分1本勝負)
○船木誠勝(フリー)
2分44秒 三角絞め
●田中稔(フリー)
▼第3試合 UWF ルール(30 分1本勝負)
○中野巽耀(フリー)
4分38秒 しゃちほこ固め
●中村大介(夕月堂本舗)
▼第4試合 UWF ルール(30 分1本勝負)
○鈴木秀樹(フリー)
6分59秒 風車固め
●野村卓矢(大日本)
▼セミファイナル UWF ルール(30 分1本勝負)
○鈴木みのる(パンクラスMISSION)
7分43秒 脇固め
●ロッキー川村(パンクラスイズム横浜)
▼メインイベント UWF ルール(30 分1本勝負)
●冨宅祐輔(パンクラスMISSION)
8分44秒 ヒザ蹴り
○丸藤正道(NOAH)
ガンを乗り越えた垣原賢人が復帰戦で藤原組長と一騎打ち!盟友・高山への想いを叫ぶ!鈴木みのるがUWFルールでミドル級KOPロッキー川村に勝利!
第1試合
垣原が入場すると大垣原コールが起きる。続いて、特別セコンドとして、桜庭和志が入場。
スパーリングルールということで、ノーレフリー&時間無制限で試合が行われることがアナウンスされる。
垣原と藤原は固く握手をかわしてから試合開始。
お互いに間合いを詰めながら垣原がタックルに行くも、藤原はそれをいなして逆に押さえ込み有利に進める。なんとか立ち上がった垣原はにじりより藤原をグラウンドに引き倒すが、倒れ際に藤原がアームロックで捉え、垣原はこれを抜け出せずタップ。
垣原は果敢に攻めて行くが、藤原をタックルで倒した際に腕をアームロックの形で捉えられ、タップアウト。
今度は藤原からタックルに行きグラウンドへ。垣原は体勢を入れ替えて袈裟固めに捕らえるが藤原は体勢を入れ替え際に垣原の足を取り、足首を捻り上げる。垣原は動けずタップアウト。
藤原が自ら倒れ、垣原にマウントを取らせる。ここで垣原は亀になった藤原を上からスリーパーで捕らえるが、藤原はローリングしながら垣原のヒザを固め、垣原がタップアウト。
垣原は果敢に攻めていくが藤原がアキレス腱固めで捕らえると垣原がタップアウト。
開始直後に垣原はマウントを取られるが 三角絞めの形で切り返す。あわやタップ寸前まで行ったものの、藤原は垣原の腕を取り、逆にアームロックで固めると垣原はタップ。
スタンドで組合い、垣原が引き倒すと藤原はタートルポジション。ここから垣原がローリングでスリーパーに入る。藤原もこれを外して逃れようとするが、この隙をつき腕十字を狙う。しかし藤原は決まり切る前に垣原の足を取り足首を固めると、逆に垣原がタップ。
藤原は垣原を即座に低空タックルで引き倒し、亀になった垣原に腹固め。ここからまた足を固めると、垣原がタップ。
10分を超えたところでスパーリングが終了と言う形で、垣原と藤原はお互いに正座し向き合って礼。固く握手を交わした。
藤原はマイクを取ると、「カッキー!元気じゃねぇか!お前は治る!」と熱く激励。二人は抱擁しあい、互いの健闘を称え合った。
会場に大垣原コールが巻き起こる中で、垣原はマイクを取る。
垣原「藤原組長、本当にありがとうございました!そして、セコンドに付いてくれた桜庭選手、ありがとうございました!UFC殿堂入り、おめでとうございます!ここに集まってくれた皆さんは、ファミリーです!!皆さんの応援があったから僕はこのリングに戻ってくることが出来ました。皆さん本当にありがとうございました!最後に、ちょっと一つだけメッセージを。僕はこの闘病中、ずっと色々な形でサポートしてくれた男が居ます。今その男が大きな怪我と戦っています。高山……本当に、本当に高山のおかげで俺はまた戻ってくることが出来ました。だから、今度は僕が高山選手を応援する番だと思っています!だからみなさんもどうか、高山が必ずリングに戻ってくると思いますので、みなさん高山に大きなエールをお願いします!!」
第2試合
この試合以降はUWF特別ルールにて試合が行われる。
<UWF特別ルール>
・各選手の持ち点を5としてロストポイント制を採用し、打撃などによるダウン、関節技や絞め技などでロープエスケープした場合に1点ずつ減点される。
・試合の勝敗は打撃によるKO、関節技や絞め技などによるギブアップ、レフェリーストップ、持ち点が0になるTKOによって決し、時間内に決着がつかない場合は持ち点の多い方を勝者とする。
・あらゆる蹴り技、顔面への掌底、首から下は拳による打撃が認められ、グラウンド状態での打撃は顔面への蹴り技のみ禁止とする。
・タックルや投げ技などでテークダウンした後のグラウンドの攻防では、あらゆる関節技や絞め技が認められる。
田中と船木の一戦。固く握手を交わしてからゴング。
両者じっくりと間合いを詰めていくが、ファーストコンタクトは船木のミドルキック。これで田中はダウンを取られ、残り4点
田中はグラウンドに引き倒し、アームバーやアンクルロックを狙っていくが、船木も即座に体勢を入れ替え、マウントの取り合いへ。
バックを取った田中だが、船木は腕のクラッチを外して脇固めを狙う。これを前転でかわした田中だったが、船木はすぐにアームバーへ切り替える。これを田中は体を起こして外しにかかるが、体を起こした瞬間を狙って船木が三角絞めへ。これを返すことが出来ず、田中はタップアウト。
<試合後コメント>
船木誠勝
――カッキーライドでの試合を終えられて如何ですか
「そうですね。やっぱりね、生き残ってるってことは、まだまだ引っ込む年齢じゃないってことですよ。今日はね、スパーリングって形でしたけど、次は是非本戦で試合してみたいですね。で、来年、もしくは再来年。本人とも控室で話をしたら、こういう大会があると気持ちが高まってきて病気も治るだろうって。目標が有るとやっぱり気持ちも身体も良くなるらしいね。だからこういうのはとても良い、一番いい栄養じゃないかな。だから、次は是非、本戦で裸になって、リングシューズ着けて、試合してみたいですね。まだ正直自分は試合をしたことがないので、UWFのときには冨宅と二人でイチバン一緒に練習した中なので、できれば生きてる内に一回試合をしてみたいなと思います」
第3試合
ゴングが鳴ると、二人は激しいジャブとローの打ち合いで間合いを詰めていく。
中野がグラウンドに持ち込むと、中村は即座に足を取りに行く。中野もアキレス腱固めで返し、硬直状態へ。ここで身体を起こした中村がアームバーを狙うが中野はクラッチで堪える。中野はローリングして体勢を入れ替え肩固めへ移行。中村も体を起こしてマウントを狙っていくが、中野がアームロックで捕らえると中村はネックスプリングで外し、ブレイク。
中村は低空タックルを狙うが、中野がこれにヒザを合わせるとクリーンヒット。中村はダウンを獲られ、。中村は残り4点。
勢いに乗った中野はジャーマンを狙うが、これをこらえた中村はッグラウンドに引き込みアキレス腱固め。ここからアームバー、中野はエスケープ。残り4点。
中野が有利な状態で再開、中野はスタンドのスリーパーから腕を取ってチキンウイング。さらにはジャーマンで投げ捨てる。そして中野は立ち上がった中村へラッシュをかけ、ワンツー。中村がタックルを狙って突っ込んできたところへヒザを合わせ中村がダウン。中野はしゃちほこ固め。これで中村がタップアウトし、試合終了。
中村は深く一礼。中野は中村に握手を求め、固く握手を交わした。
バクステ外神田一丁目あいさつ
垣原賢人の娘、垣原綾乃が所属するアイドルグループ、バクステ外神田一丁目がリングに上がり、垣原綾乃が父の復帰に際して想いを綴った手紙を朗読。
綾乃「パパへ。パパが引退してから、なんと11年が経ちました。当時10歳だった私はなんともう21歳になりました。あの頃は、パパが復帰するとか、私がアイドルになるとか、全く想像もつきませんでした。思えば、ずっとパパの背中を見ていた11年でした。恐らく私はパパの背中に追いつきたくてこの仕事を始めたんだと思います。いつもストイックで努力家で、頑張っているパパ。そんなパパに厳しくしつけられたので、正直他の家が羨ましく思えたときもたくさんありました。でも、パパが私のパパで本当に良かった!私は、特に可愛いわけでも、喋れるわけでも、歌やダンスが上手いわけでもありません。でも、パパは昔から私を信じてくれています。その気持に答えられないことばかりでくや意志思いをすることが多いですが、パパの期待に応えられるようこれからも精一杯進んでいきます!パパの病気が発覚した時、それはそれはショックで毎日泣いていました。なによりつらかったのは、まだ世間に発表できないときに、友達にも言えなかったことです。でもこうして、皆様に応援していただいて本当に、家族4人でなんでも乗り越えてきたし、家族の絆も深まったし、私達カッキーファミリーなら乗り越えられると思います。パパが癌になった時、人よりも誠実に生きていたはずなのに、「なんでパパが」って思いました。でも、パパだからこそだって思ってます。パパだからこそ癌になったんです。絶対にギブアップしないし、周りに勇気と元気をくれるから、パパは選ばれて託されたんだと思いました。11年前、ここで私は「パパは私のヒーローです」と言いました。パパは今でも、相変わらず、私のヒーローです!垣原綾乃より」
最後は涙ぐみながらも父への思いを語った綾乃は、そこから明るく振舞い、他のメンバーを呼び込み、合計9名が登場。
綾乃は「パパは私がお仕事に行くときに、『頑張ってね』ではなく、『輝いてね』という一言をくれます。なので、今日はたくさん輝きたいと思います!」と宣言し、グループで『The輝ける』を歌い、父に輝く姿を見せる。
2曲目は、父が闘病中に聞いて元気をもらった曲として、シャ乱Qの『上・京・物・語』を綾乃がソロで歌い上げる。
最後は、綾乃が「今日はリングに立たせていただいてありがとうございました!」と挨拶した。
山崎一夫&前田日明あいさつ
山崎「えー、あのライブの後にこんなむさ苦しいおっさんが……(笑)さっき、カッキーが藤原さんとスパーリングしましたけどね、僕も18、19の頃あんな感じでボコボコにやられて……相当痛いんですよ、一つ一つの関節技が。あの痛みに耐えられるんであれば、どんな治療にも耐えられるし、これからのカッキーも、また苦しいトレーニングをするかもしれないですけど、そこそこ大体のことには耐えられる。そんなスパーリングだったんじゃないかと思います。本日はカッキーライドご来場ありがとうございます!(会場に沸き起こる山崎コールに対して)……お気遣いありがとうございます(笑)僕は普段、六本木のテレビ局の方に呼ばれてですね、ご存じの方もいらっしゃる方もいるかもしれないんですが、解説はぼちぼち喋らせて頂いてるんですけど、こういう挨拶は大の苦手でして。僕よりもよっぽど弁が立つ方が今日はいらっしゃっています。スペシャルゲストの入場です!」
ここで会場にキャプチュードが鳴り響くと、会場には割れんばかりの大歓声で前田コールが巻き起こる。 入場した前田はリング上でマイクを取り、挨拶。
前田「今日はこのようなお足元の悪い中、ご来場いただきまして心より感謝致します。正直、垣原が今にも死にそうだって話を聞いたんですけど、パッと今日見てみてたらピンピンしてるんで、死にそうだったってのは一体何だったんだっていう(笑)頭の一つでも殴ってやろうかと思いました(笑)まあ元気で何よりです。今、次から次へとケガ人続出で、苦しいときだと思うんで心配してます。高山のこととかも色々聞いてて心配なのですが、人間はどんなことがあっても諦めたらダメですね。諦めないことで、新しい自分が見えてくるんですね。意識も、感情も、心も、自分の中で変わってきて、周りの人が影響されてくる。新しい気持ちも行動も、見えてくるんです。彼らも大変ですけど、諦めずに頑張って欲しいですね。垣原もたまに電話してガンについて、ああでもないこうでもないって言うんですけど、ちょっともう、いつもなんだかんだって言うんで、もう治ってるようなものなんで、おたおたするんじゃなくて、高山も合わせて大きく壊れてしまった後輩に、更に二人に力を。更に更に頑張って欲しいと思います」
第4試合
ゴングが鳴ると、野村はローキック、続いてミドルキックで先制。鈴木が組み合うも野村はキックで突き放す。野村が掌底を連打していくと、鈴木は自ら倒れ猪木アリ状態を作り出す。
野村は鈴木の足を取りに行くが、鈴木は上手く引き込んでグラウンドへ持ち込む。マウントを取った鈴木は顔面に掌打を打ち込んでいく。体勢を入れ替えた野村は鈴木にアキレス腱固めを仕掛けていくが、鈴木は野村の腕を取り、足を引き抜いて脇固めへ。野村がこれを堪えると、鈴木がアームロックに切り替え、バックを取る。
そのままスタンド状態になるが、野村は鈴木のクラッチを切り、その腕を固めながら再びグラウンドへ。
体勢を入れ替えた鈴木がマウントを取ると、顔面にヒザを押し付ける。そのまま足を取りマウントにはいるが野村は待っていたとばかりに素早く三角絞めへ。虚を突かれた鈴木は対応が遅れ、野村のアームバーがきれいに入る。しかし鈴木は即座に体勢を起こして逆にマウントを取り返す。鈴木は顔面にヒジをこすりつけ野村の顔面を攻める。その腕を取って野村は再びアームバーを狙う。鈴木はクラッチが間に合うものの、野村は三角絞め。鈴木は前転でかわし、ロープエスケープ。鈴木は残り4点。
再開し、野村のミドルキック、掌底、さらにミドルがクリーンヒット。そのままフロントネックロックに入るが、鈴木はその腕を取ってグラウンドでリバースフルネルソンに捉え、そのまま立ち上がってダブルアームスープレックス。着地した後も風車固めで痛めつけ、これに野村がタップアウト。
試合後、鈴木は野村に歩み寄り、耳元で何かを囁くと握手を求め野村はこれに応じる。しかし、その後鈴木が抱擁しようとするとそれは拒否。互いに一礼して退場していった。
第5試合
ロッキーはいつものボクシンググローブを着けた状態で入場するが、試合前にこれを外し、バンテージを巻いた状態の拳へ。
鈴木はセコンドに付いていた練習生を蹴飛ばしながら入場。リングに上がると、レフリーの和田良覚がレガースを着けていない鈴木に、レガースを着けていない状態でのキックは反則である旨を厳重に注意。
ゴングが鳴ると両者は睨み合い、互いに掌底を放ちながら距離を詰めていく。組み付いたロッキーが鈴木をコーナーに押し込み、レフリーがブレイクを宣言するも、鈴木は体勢を入れ替えて逆にロッキーをコーナーに押し込み、殴打。
再びスタンド状態で向かい合うと、両者は一気に距離を詰め、激しい乱打戦へ。鈴木が優位に進め、ロッキーをコーナーに追いやると、鈴木はロッキーを引き倒してグラウンドへ。鈴木はタートルポジションを取ったロッキーにぶっこ抜きでのゴッチ式パイルドライバーを狙うが、これはロッキーが耐える。すると鈴木は即座に切り替えてロッキーにアキレス腱固め。ロッキーはロープエスケープし、残りポイントは4に。
再開後も鈴木は攻めの手を休めず、一気に距離を詰めて掌底を連打。ロッキーも返していくが、鈴木の掌底がクリーンヒットするとダウン。残りポイントは3。
ロッキーは負け分を取り戻すべく果敢に攻めに行き、鈴木をタックルで倒すと肩固め、さらに袈裟固めと攻めていく。鈴木がこれを逃れようとするとアームバーに切り替え、鈴木はロープエスケープ。鈴木のポイントが残り4に。
再びスタンド状態で睨み合う二人だったが、仕掛けたのは鈴木。打撃の合間を縫って懐へ潜り込みスタンド状態での肩固めへ。そこから飛びつき腕十字を狙うがロッキーはマットに伏せる形でこれを堪える。
ここで鈴木がマットに四つん這いになった状態のロッキーの顔面に強烈な膝蹴り。レガースを着けていない状態での蹴りにレフリーが注意。鈴木の減点裁定となる。
再びロッキーは打撃で攻めていくが、組み付いた鈴木が腹に膝を入れる。再びレフリーが注意に入り、さらに減点。
度重なる反則攻撃に怒ったロッキーは、一気にラッシュをかけ、鈴木のボディブローを連発。たまらず鈴木のガードが下がってくると、ロッキーはさらに畳み掛ける。鈴木はダウン。さらにポイントを減らす。
勢いに乗ったロッキーは続けて鈴木にラッシュをかける。ボディブローの連打に再び鈴木のガードが下がってくるが、トドメを狙ったロッキーの一撃に合わせ素早く腕を取り、脇固めでグラウンドへ引き倒す。ロープエスケープを狙うロッキーに鈴木が全体重をかけながら腕を捻り上げると、ロッキーは耐えきれずにタップアウト。
<試合後コメント>
鈴木みのる
――ロッキー川村選手との試合を終えられて如何ですか
「如何ってなんだ?アイツが来いっつったんだ。だからヤった。それだけだよ。ルールを決めたのはテメェらだろ?それはテメェらの都合でしか無い。俺には俺の都合が有るんだよ。だから俺は俺の都合でしかやらない。テメェらの言いたいようにやりたいようにやらねぇ。俺は俺のやりたいようにやるだけだ」
第6試合
冨宅と丸藤は固く握手を交わしてからゴング。
冨宅はローキックで丸藤の接近を許さず、逆に掌底をクリーンヒットさせるなど有利な立ち上がり。
丸藤はグラウンドに引き込むが、冨宅はハーフガードで堪えて下からネックロックへ。冨宅はタートルポジションとなった丸藤へアームバーを仕掛けるが、丸藤のクラッチが間に合い、逆に足を取って動きを封じてから丸藤が袈裟固めの体勢へ。
冨宅はその最中で丸藤の足を取りに行くが、これを逃れた丸藤はスタンド状態へと持ち込む。冨宅はタックルからバックを取るが、丸藤はクラッチを外して腕を取り、そのままグラウンドへ引き倒してキーロック。冨宅は体勢を起こしてアームバーを狙うが、上手く腕を外した丸藤は下から足首を取って前に倒しアンクルロックを狙うが、冨宅は極まり切る前に丸藤の腕を取りアームバー。丸藤はこれを返せないと見て素早くロープエスケープ。
試合が再開されると丸藤はスタンドで勝負をかけ、ローキックを連打。これをかわした冨宅は片足の丸藤を倒して袈裟固め。上手く体勢を入れ替えた丸藤は下から三角絞めを狙うが、首に巻き付けた足を外され逆にアンクルロックに捕らえられてしまう。これをロープエスケープし、丸藤の残りポイントは2。
丸藤は掌底で攻めていくが冨宅はヒザで距離を取らせず、逆に低空タックルで足を買ってアキレス腱固めへ。丸藤はこれを取り返してアームロックを狙うが冨宅はクラッチ。キーロックに切り替える。ローリングでキーロックを外そうとする冨宅だったが、丸藤はこれを離さず。丸藤はそこから三角絞めへ切り替えようとするが、その隙を突いて冨宅が抜け出す。
再びスタンド状態になるが、丸藤が休むことを許さず再びタックルで引き倒しマウントを取る。丸藤は足を取り、4の字固めを決めると、冨宅はたまらずロープブレイク。残り4点。
丸藤はプロレス式の腕取りから掌底を狙うが、冨宅がそのタイミングに合わせてカウンターの掌底。よろける丸藤に冨宅は掌底を連打し、コーナーに追い詰める。しかし丸藤が体勢を入れ替え冨宅をコーナーに押し付けると、ニーリフト一閃!これで冨宅がダウン。レフリーが試合を止め、丸藤の勝利となった。
エンディング
メインイベント終了後、大ダメージを負って立ち上がれない冨宅に丸藤が歩み寄り、一礼。冨宅はそれに応えて立ち上がり抱擁を交わし、固く握手。丸藤が正座し一礼すると、冨宅も正座して礼を返す。丸藤が冨宅の手を取り高々と掲げると、観衆は大歓声で応えた。
そこへ垣原が登場しリングイン。丸藤と冨宅を指し、「これがUWFです!」と叫ぶ。そして、同期の冨宅に歩み寄り、「最後残念だったけど、スゴイよ」と健闘をたたえ、固く握手。そして出場選手やゲストなどの関係者全員をリングに呼び込み再びマイクを握る。
垣原「僕には最高の仲間がいます!だから、病気になんかに負ける訳無いです!心配なのは高山選手です。みんなで高山選手のことを応援していきましょう!高山が負けるわけ無いですよ!彼は帝王です!僕だってここまで快復してリングに戻ることが出来たんです。高山、帝王!お前なら絶対大丈夫!高山、絶対大丈夫だよ!!高山、絶対大丈夫だからな!!絶対!!絶対だ!!お前は絶対このリングに戻ってくる!!」
と盟友・高山への思いを涙ながらに熱く叫んだ。
そして、「カッキーライドは夢や希望を乗せて、これからも走っていきます!よろしくお願いします!どうもありがとうございました!」と叫び深々と一礼すると、会場に流れるUWFメインテーマに合わせて観衆は大・垣原コールで選手たちを見送った。
<興行後コメント>
丸藤正道
――冨宅選手との試合を終えられて如何ですか
「まあ、ビビってたけどね(笑)」
――今日は見たことのないコスチュームですが
「垣原さんがレガース見たいって言うから、作ってきたんです。請求書は垣原さんに送ろうかな(笑)」
――こういった大会のメインを任されたことについての思いは
「いや、俺って言うか、ホントに冨宅さんありきの部分だからね。僕はやっぱり垣原さんのため、垣原さんを応援しようとしている周りの人たちの声と、俺のこういう試合を見てみたいという人達……高山さんもこういうのやってみなよってよく言ってたんで、今日は魅せることはできなかったけど、とりあえずまた来てもらえると。そのときはまたこのレガースを付けるかもしれないし。まあ練習は全然足りないけど、またやりたいね。まあやりながら思ったけど、プロレスの、キーロックとか足4の字とかってのは、ふとしたところでかけられるものなんだね」
――UWFに無い技術を試合の中で出して、結果的に勝利できたことに関しては
「だって俺の中にはUWF無いもん!(笑)こんな言い方しちゃ悪いけどもね、でも、本当に受け入れてくれた垣原さんもそうだし冨宅さんもそうだし、UWFファンの皆さんがね、ああやって受け入れてくれたっていうのは、それだけでも本当にありがたかったし。今年で19年、来年で20年、年齢的にも37,8になって、中々新しいことに挑戦するってきっかけがつかめない無い中でこういった試合をさせてもらったっていうのは、本当にに感謝しか無いですね」
――得るものはありましたか
「もう、全て。得るものしか無かったですよ。失うものは……まあ、負けたら失うものは有るかもしれないけど、とにかく感謝と喜びに尽きる大会でした。これは小さな力かもしれないけど、垣原さんや同じ病気の人、そして高山さん、みんなに少しでも何か力になれば俺的には今日は良いですよ」
――そのコスチュームは今日だけ?
「今日だけ……じゃないですかね。なんせ俺、蹴りヘタクソだから(笑)」
垣原賢人
――復帰を果たして藤原選手と対戦して如何でしたか
「メチャクチャ強かったですね。本当にもう、手も足も出ないというのはこういうことを言うんですね。何も出来ない自分が本当に悔しかったですね。諦めない心で立ち向かっていったんですけど、それがどこまでお客さんに伝わったかわからないですけど」
――諦めない心はどこまでお客さんに伝えられたと思いますか
「どうなんですかね。それはお客さんが決めることなので、なんとも」
――会場からはカッキーコールがすごく沸き起こりました
「やっぱり、リングで聞く声援は最高ですね。やっぱりこれは、大興奮ですね!病みつきになりますね!これで終わらせちゃいけないなと。元々復帰戦のつもりでいましたので、今後も継続してまたチャンスが有ればリングに上っていきたいなと思っています。……声援は病みつきになりますね」
――大会を主催された側として、これだけの選手や観客が集まったことについては
「本当にお客様にもっと感謝の気持ちを伝えたかったなというのが、反省するところかなと思いますね。これをまた次に活かしていきたいと思いますね」
――藤原選手相手に結果的に一本も獲れなかったことについては
「まだまだ練習不足というか、まだ今年1月からトレーニングを始めたばかりというか、スパーリングもですね。そんなに甘くはないですよ。やっぱりまた戦いたいですね。一本獲るまで、ですね」
――この大会は今後また何かに繋がりそうですか
「はい」
――あれだけ攻め込まれても立ち向かって行かれたわけですが、その中に垣原さんの諦めない心というのが出ていたと思います
「どうでしょうかね(笑)お客さんが決めることなので」
――戦いを終えて、ダメージというか、体調は如何ですか
「体中痛いですね。あんだけ肘とか足首とか、体中の関節を極められたわけですから。痛いです。ミシミシ言いましたね。まだ興奮しててアドレナリンが出いるんでアレですけど、もう、明日なんかは歩けないでしょうね」
――今後はどのような活動をしていく予定ですか
「三日後、また検査があるので、それで検査の結果を踏まえてまた徐々に様子を見ながら主治医を通してどうしていくのかを極めていきたいです。気持ちの中では、『もういっちょ!』ってところですね。もういっちょと言うか、何丁でもやりたいところはありますね」
――病院からは、練習や試合などについてGOサインが出ているのですか
「正直、許可は出てませんね(笑)見切り発車で」
――止めろと言われたらどうしますか
「そういう風に言われないように今のところははぐらかして……(笑)こうしてメディアに出てしまって『えっ?!やるの?!』なんて言われて、『いやーそうみたいですね』なんて誤魔化して(笑)」
――率直に言ってすごく元気そうに見えます
「そうですか!(笑)まあ、その中で色々機会を増やしてですね。まあ、悪性リンパ腫というのは中々しつこいと主治医からずっと言われていますが、とりあえずは痛くはないのですが、しっかりと足元を見つめていかなければいけないですね。でもこういうチャレンジというのはしていかないと、どうしても怖いので……病気に対して、立ち向かっていきたいですね」
――実際リングに上る前のコンディション作りというのは大変でしたか?多少は無理をしなければならないけど、無理をしすぎてもダメだったと思います
「そうですね。すごーくその匙加減が難しかったですね。誰にも相談できなかったので、自分の体調見ながらというか、試行錯誤しながらでしたね。それで上手くいったかはわからないですけど」
――自分自身としては、リングに上ってみて想定していたのと比べてどのくらい動けましたか
「どうですかね……やっぱり、まだ0点に近いのかなと。こんなコンディションで上がったら恥ずかしいというか、情けないなという感じはしました。色々反省して、明日から頑張りたいと思いましたね」
――お嬢さん、綾乃さんのお手紙を受けてのご感想は
「あんなことを思ってたんだなーって。普段家ではあまりああいう会話をしませんので。改めて聞いて、彼女の中にもいろんなものがあったんだなーと思いました」
――お手紙の中で「頑張れ」ではなく「輝け」と仰っていたという言葉がありました
「やっぱり、スターたるもの輝かなければいけないと思うので」
――前田さんからは「もう治っているようなものだ」というお言葉がありました
「前田さんが言うなら間違いないなと(笑)前田さんからは本当に色んなアドバイスを貰って、何年もの間良くしてくださったので。何年もいろいろ励ましていただきました。ああいう言葉をかけて頂けると、すごく安心できますよね、病気に関して。前田さんはいろんなものが見えている人だと思いますので。まあ、調子に乗らないようにね、これからも走り続けていきますよ。まだまだ長いのでね。まだ始まったばかり、今日からスタートだと思っています」
――「次は高山選手に勇気を与える番だ」という言葉がありましたが、改めて高山選手への思いを
「今大変な状況だということで、本当に僕の闘病中に一番励ましてくれて、色々情報を集めてくれて、すごく動いてくれたんです。今度は僕が恩返しする番というか、僕が高山選手の力になってあげたいなと。応援していきたいなと。自分にできることはすごく小さいんですけど、こういうことを発信していきたいし、高山選手をサポートしていきたいなと思います。彼が戻ってくるまで続けなきゃいけないなと思いました」
――それは、今日のようにファンが参加できる催しなどでしょうか
「まだ具体的にはなにも。僕が勝手に思っているだけなので。でも今日は、こういうことを発信させていただいたんですけど、本当に皆さんが立ち上がってくれて、色々な支援の仕方が有ると思うので、彼がリングに戻ってくるまでサポートをしていけたらなと思いますね。そのために、皆様にも応援してほしいし、力を借りたいなと思います」
――改めて、今日の試合について入団テストの時からの関わりの藤原組長と復帰戦を行ったことについての感想を
「まず、Uの頃の恩師とスパーリングが出来たということは感動しましたし、『いやー、組長つえーな』と思いましたね。すごく骨太だし、肘を使ったりね、体重の乗せ方だったり、関節の取り方だったり、騙すような動きだったり……超一流の技術を体感できて最高の気分ですね」
――やはり威圧感とかオーラは感じますか
「ファイターとしてだけじゃなくて、ガンを克服したというところもありますね。人間としての大きさを感じましたね。正直ね、もうちょっとなんとかなるんじゃないかってナメてた部分もあるかもしれないんですけど……いやいや、とてもとても。年齢だって、70近い中、年齢的なものを考えたら若い自分が有利な部分もあるんじゃないかと思ったんですけど、やってみたら、スゴイですね、威圧感が。技術も素晴らしかったです」
――そういった中で、刺激は受けましたか
「そうですね。大きな刺激を受けました。本当に組長の手を借りて良かったなとしみじみと思います」