WWEネットワークの散歩道 10回目
- 2016-5-6
- WWEネットワークの散歩道
『WWEネットワークの散歩道』も10回目の今回でしばらくお休み。7月日本公演の頃に再開するつもりですので、その時はまたよろしくお願いします。
ひとまずの最終回となる今回のテーマは『クリス・ベノア』。新日本プロレスの道場に留学生として来日し、ペガサス・キッド、ワイルド・ペガサスの名前で活躍。小さい体ながらもWCW世界王者、WWE王者にも輝いた、"新日本プロレス道場が生んだ最高傑作"とも評された選手です。
残念ながら彼の人生が家族との無理心中という幕引きだったため、WWEでは公式にはクリス・ベノアをフィーチャーした映像作品は発売、配信しない方針を打ち出しています。そしてWWEネットワークでも試合自体は数多く配信されていますが、「CHRIS BENOIT」で検索しても引っかかることはありません。
そもそも自分がこのようなかたちでWWEネットワークの試合ガイドを連載することにしたのも、クリス・ベノアの素晴らしい試合の数々を後世に伝える手助けにならないかというのが発端なのです。これまでの連載でも意識的にベノアの試合を多めに紹介してきました。
個人的な思い入れを書き連ねてもさびしくなるだけですね。素晴らしい試合の数々の、ほんの氷山の一角を紹介していきましょう。これまでWCWとWWEの両メジャー団体のシングルの王座戴冠は紹介しているので、まずはWWEタッグ王座のベルトを奪取した試合を。スティーブ・オースティンが長きに渡って抗争を続けてきたビンス・マクマホン、王座挑戦の直前に当て逃げまでしてきたトリプルHと手を組みWWEを支配していた時代の試合です。
この試合での注目してほしいのは実はベノアではなく、トリプルHのプロレスに対する情熱なのです。試合終盤にトリプルHがクリス・ジェリコに捕えられたオースティンを助ける際、腿の筋断裂を起こしてしまうのですが、その後も痛みをこらえながら試合を続け、ジェリコの見せ場であるテレビ放送席上でのウォール・オブ・ジェリコ(逆エビ固め)も受け続けます。
かつてミック・フォーリーはアンダーテイカーとの金網戦でのダメージについて、「真剣に勝敗を争う競技ならここで試合は終了。だけど僕たちがやってるのはインチキなショーだから、最後までやり続けなければいけない」と自伝で書いていました。"インチキなショー"は照れ隠しなのでしょうが、集まってくれたお客さん、期待してくれているお客さんを裏切れないという気持ちがミック・フォーリー、そしてこの日のトリプルHにそうさせたのでしょう。この試合の後、トリプルHは半年以上欠場することになります。
【RAW417:年2001年5月21日】
http://network.wwe.com/video/v536613783
<おすすめの試合>
スティーブ・オースティン、トリプルH対クリス・ベノア、クリス・ジェリコ(1時間21分くらい)
ベノアとジェリコがタッグ王者であった時期はそれほど長くはなかったものの、マニアの記憶に永遠に残る試合がひとつあります。この2人にエッジ&クリスチャンとハーディーズとダッドリーズがTLCで挑んだ試合です。カードを見ればどれだけ面白いかが想像でき、そしてそのハードルを楽々超える試合です。
【SMACKDOWN!92:2001年5月24日】
http://network.wwe.com/video/v638561683
<おすすめの試合>
クリス・ベノア、クリス・ジェリコ対エッジ&クリスチャン対ハーディー・ボーイズ対ダッドリー・ボーイズ(1時間05分くらい)
WWEでの最初のシングル王座戴冠の試合も紹介します。WWEインターコンチネンタル王座をレッスルマニアという大舞台で奪取した試合です。当時インターコンチネンタル王座とヨーロピアン王座(消滅)の二冠王だったカート・アングルが、トリプル・スレートマッチ(3人同時にリングインして、勝ち抜けで勝利)でベノアとクリス・ジェリコの挑戦を受けた試合です。立て続けに2試合タイトルマッチが行われるという変則ルールですが、1999年11月にWWEデビューしたアングルが、当時無敗のまま2つの王座を獲得し、ルール上無敗のまま王座転落するという秀逸なオチになっています(笑)。
このレッスルマニアはトリプル・スレートマッチ、3WAYラダーマッチ、フェイタル・4ウェイ・イリミネーションマッチと変則ルールが3つもあり、なおかつレッスルマニア史上初のバッド・エンディングとなる大会なのです。
【レッスルマニア16:2000年4月2日】
http://network.wwe.com/video/v31356305
<おすすめの試合>
エッジ&クリスチャン対ダッドリー・ボーイズ対ハーディー・ボーイズ(57分くらい)
クリス・ベノア対クリス・ジェリコ対カート・アングル(1時間52分くらい)
ザ・ロック対トリプルH対ビッグ・ショー対ミック・フォーリー(2時間32分くらい)
最後に紹介するのはクリス・ベノアの生涯のベストマッチとして最も多くの人が挙げるであろう、カート・アングルとのWWE王座戦。WWEがどんなにハレンチなシーンやソープオペラ的なシーンを打ち出しても、こうして世界最高峰のプロレスを大切にしてきたのが、結果論とはなりますが、WCWとの興行戦争に勝ち残った重要な要素だと思います。
【ロイヤルランブル:2003年1月19日】
http://network.wwe.com/video/v31353939
<おすすめの試合>
クリス・ベノア対カート・アングル(1時間10分くらい)
さて今回紹介する日本人選手の試合もベノア絡みで。新日本プロレスとWCWが業務提携していた時期のプロレス・ワールドカップとして行われた全面対抗戦です。
WWEの年間最大のPPVイベントがレッスルマニアなら、このスターケードがWCWの最大イベントなので、新日本プロレスとの提携をとても大切にしていたことがうかがえます。
【スターケード:1995年12月27日】
http://network.wwe.com/video/v31673797
<おすすめの試合>
獣神サンダー・ライガー対クリス・ベノア(03分くらい)
金本浩二対アレックス・ライト(17分くらい)
蝶野正洋対レックス・ルーガー(36分くらい)
マサ斎藤対ジョニー・B・バッド(48分くらい)
大谷晋二郎対エディー・ゲレロ(1時間04分くらい)
天山広吉対ランディー・サベージ(1時間22分くらい)
佐々木健介対スティング(1時間36分くらい)