花鳥風月 3・13スターライズタワー大会 西村&ヒロvs鈴木&GENTARO 勝村&貴vs矢郷&ジョシュ
『シアタープロレス花鳥風月 無我伝承』
日時:2016年3月13日(日)
開場:12:30 開始:13:00
会場:東京・スターライズタワー大会
観衆:175人
▼エキシビションマッチ 5分間
中川達彦
5分 ドロー ※両者ロストポイント無し
唐澤志陽
▼第1試合 20分1本勝負
○佐藤光留
9分57秒 チキンウイング・アームロック
●服部健太
▼第2試合 タッグマッチ20分1本勝負
江利川祐/○三尾祥久
13分38秒 鎌固め
●瓦井寿也/住吉久仁夫
▼第3試合 20分1本勝負
○宮本和志
8分39秒 ラリアット→片エビ固め
●松本崇寿
▼第4試合 タッグマッチ20分1本勝負
○高岩竜一/和田城功
16分21秒 デスバレーボム→体固め
山本裕次郎/●岡田剛史
▼第5試合 20分1本勝負
○伊藤崇文
14分40秒 ヘッドシザース
●梅沢菊次郎
▼セミファイナル タッグマッチ30分1本勝負
○勝村周一朗/佐々木貴
15分8秒 スリーパー→レフェリーストップ
矢郷良明/●ジョシュ・オブライエン
▼メインイベント タッグマッチ30分1本勝負
○西村修/ヒロ斉藤
16分4秒 足4の字固め
鈴木秀樹/●GENTARO
花鳥風月で無我が復活!西村が試合以上のロングマイクでドリー・ファンクJr.参戦を発表!
エキシビジョンマッチ
篠宮の欠場を受け、当日にカードが変更。瓦井が第二試合に出場となった為、ダークマッチは、エキシビションとなり、急遽抜擢された練習生・唐澤志陽が中川とエキシビションマッチを行った。上半身裸・スパッツ姿でリングイン。
ゴングが鳴るとミドルキックの打ち合い。唐澤はヒザで中川を突き飛ばす。中川も空手仕込みのミドルキックで対抗する。2分が経過したころ、唐澤は首投げからヘッドロックで極めにかかる。中川は落ち着いて体を入れ替え、腕ひしぎ十字固め。3分が経過し、再びスタンドの打ち合いへ。唐澤はグラウンドへ持ち込むが、これを中川はヘッドシザース。唐澤が抜け出すと、スタンドの応酬に。4分を越えたところで中川が正拳突きラッシュ。唐澤はかわすことなく耐え、ここでタイムアップのゴングが鳴った。
オープニング
スパイシーKにより、オフィシャルリングドクターとして井上一志(ピークパフォーマンスラボ)、ジャッジとして、たけむら光一、ジューク岡村が紹介される。
続けてイメージソングを歌う「VERONICA VERONICO」がオープニングアクトとして『SIREN』を熱唱し、無我復活大会のオープニングを盛り上げた。なお、「VERONICA VERONICO」はセミファイナル終了後には『時には昔の話を』(加藤登紀子/映画『紅の豚』エンディングテーマ)を歌唱した。
第1試合
服部はオープニングアクトを務めたVERONICA VERONICOの生歌で入場。(曲名は『Centaurus』)
試合は入場の派手さとは対照的な、互いに間を取り合う静かなスタートで始まる。互いに攻撃を仕掛けられるとカワす読み合いが3分ほど続くと、服部はフロントネックロックの形で佐藤を固め、体勢を袈裟固めに持っていき試合を徐々に動かし始める。
服部は腕に狙いを定めるが、佐藤は取り返しアームロックへ。
服部、ヒザ十字へと動くが、佐藤は足を取り返しアンクルホールド。服部もすぐさまアンクルホールドへと仕掛け直すが、佐藤も返す。服部はこれに負けずひねりかえすと、佐藤からロープブレイクを奪う。
スタンド状態になると、佐藤はミドル連打からブレーンバスターの体勢に。しかしここは服部が切り返しドロップキックから押さえこむ。カウント2で返らせるが、続けざまに腕ひしぎ十字固めへ。佐藤は再びロープブレイク。その後佐藤は蹴り込むが、またも服部はバックを取り渾身のジャーマンスープレックス。しかしホールドしようとしたところで腕をひねりあげられ、佐藤が逆転勝利を挙げた。
第2試合
先発は三尾と瓦井。瓦井は河童スタイルではなく素顔で登場。
身長差もあるためパワーで攻め込む瓦井だが、三尾は下から足を絡めて反転させフォールに入るなど、トリッキーに対応。離れると三尾は打点の高いドロップキックで観客を魅了する。
江利川vs.住吉。ロックアップからバックの取り合い。江利川はグラウンドで攻められるが、何とか振りほどいてエルボー。住吉も変形カベルナリア、続けてヘッドロックと江利川の首を攻めていく。江利川は振りほどこうとするも、住吉はカバージョ。瓦井に替わるが、ここでも首攻め。瓦井はパワースラムからフォール。ブレーンバスターで攻め立てるが、ここは江利川が首固めでかわす。これをキックアウトすると両者スイッチ。
三尾はドロップキック、背面エルボーからの延髄斬りと猛攻を仕掛ける。ロープに振ると高いドロップキック、ツイスト・オブ・フェイトと叩き込む。ジャーマン・スープレックスは着地されると、住吉は三尾を担いでケブラドーラ・トド・アルトの状態で振り回す。瓦井に替わると、ジャイアントスイング8回転の後、そのまま逆エビ固めへ。ブレイクすると三尾はカウンターでヒザ蹴り。さらにジャンピング・バックスピンキック。インディアン・デスロックから鎌固めへ移行。なんとかほどいた瓦井だったが、ダッシュしたところをカニばさみで転ばされ、またも三尾が急角度の鎌固めへ。瓦井からタップを奪った。
第3試合
2014年4月以来の参戦となる宮本が、花鳥風月で勢いに乗る若手、松本崇寿と激突。
ゴングが鳴るとマッスルポーズを見せつけていく宮本は、序盤からパワーで圧倒。松本にバックを取られても、パワーではねのけ回避する。宮本の攻勢になるとロープ際でチョーク攻撃。これはレフリーのチェックが入るが、反則カウント3で離すと再びかけ直すなど、執拗に繰り出す。これもチェックされると、宮本は強烈な逆水平からネックロック。松本は立ち上がるが、再び逆水平とチョップを受ける。
宮本はブレーンバスターから、無理やり起こし、コーナーに振り、走り込む。しかしこれを松本がかわしてアンクルホールド。
だが宮本のスタミナは奪いきれず。松本を掴むとぶっこ抜きジャーマン。ぶっこ抜きブレーンバスター。カウント2で粘る松本。宮本のラリアットをかわして再びアンクルホールドへ行くが、これはすぐにロープへ逃れられてしまう。宮本は松本の足狙いをヘッドバットで一撃すると、フロントスープレックスで投げ捨て、さらに畳み掛けるようにハーフネルソン・スープレックス。再び投げっぱなし式ハーフネルソンで追い込む。カウント2で粘る松本だったが、立ち上がったところにラリアットがクリーンヒット。粘る松本をパワーで圧倒した。
第4試合
WJマット経験者とZSTと修斗出身者による水と油の無我体現。
先発は和田と山本。ゴングと同時に和田がぶちかますようにラリアット。ストンピングの雨を降らすと、山本は悶絶。和田がタックルを仕掛けるが、これを山本が潰してアームロック。和田が腕ひしぎ十字固めを狙うも、山本がロック。山本は足を狙いに行くが、和田は力で弾き飛ばす。
両コーナースイッチし高岩vs.岡田。バックの取り合いから、足の取り合いへ。ともにアンクルホールドを掛け合い、ロープ際へ。逆水平を入れると高岩は和田へタッチ。和田は逆水平で岡田に攻め入る。するりと足を絡め岡田も反撃するが、位置が悪く高岩へタッチされる。トップロープからエルボー、ボディスラムから逆片エビ固めへ。高岩は和田を呼び込むと、ダブルのショルダータックル。和田に代わるとラクダ固めへ。ここは山本がカット。岡田から山本に試合権利が移ると、高岩が入りダブルのブレーンバスターかと思われたが、なんと空中で切り返し2人まとめてのDDT。ミドルキックを和田に入れると、和田も逆水平で反撃。互いに意地を張り、交互に打ち合う展開に。
岡田vs.高岩の場面になると、高岩がラリアットからブレーンバスター。さらに担ぎ上げるが、岡田が飛び降り、スライディングからのアンクルホールド。和田が飛び込んでくるも、山本が卍固めで抑える。高岩復活しラリアットも、これを岡田は背面に回り込みジャーマンスープレックス・ホールド。カウントは2。高岩が立ち上がり組みつくと、パワーボム。岡田はキックアウトするが、またも担ぎ上げられ必殺のデスバレーボムが炸裂。3カウントが叩かれた。
第5試合
ゴッチイズムのパンクラシストと対峙するのは谷津イズムの地下帝王。
梅沢は序盤は力で押し込むが、伊藤は足を取ってうまく回避する。梅沢もこれを器用に脱出し、腕十字へ。梅沢は徐々に今までにないベーシックな部分の引き出しを開け始める。伊藤の足取りヒザ十字もフックを効かせてこらえ、逆にヒザ十字をかける。伊藤がかけ直すと、「ロープ近いぞ!」と挑発。菊沢はその言葉に「いけよ、いけよ! こいコラー!」と、耐えぬく選択。苦悶の表情で耐えると、寝ころんだまま逆水平を伊藤に2発打ち込み、技を強引に外す。
梅沢はしばし場外で回復を計ると、伊藤が抗議。じらされた伊藤がエプロンに近づくと、梅沢はロープを挟んで伊藤にヘッドロック。そのまま場外を引きずりこむ。リングインした後もヘッドロックの状態は変わらず、伊藤も強引に丸め込んでフォールへ入り、キックアウトの反動でロックを解こうとするが梅沢はまだまだ外さない。何とか離れると、伊藤は前蹴りから蹴りを連発。しかし、梅沢はヘッドバットから一本足頭突き。
ダウンカウント8で立ち上がった伊藤は、飛びヒザ蹴りから平手打ち。勢いにのる伊藤はなんと梅沢にヘッドバットを試みる。しかしこれは自分に大ダメージ。梅沢は再度ヘッドバット。揺らいだ伊藤は裏投げからヘッドシザースをクルリと決め込み、苦戦の末に勝利を挙げた。
第6試合
無我に入団したことを表明する矢郷は、勝村と佐々木に握手を求めに行く。「無我一発目。クリーンファイトで行きます。よろしくお願いします」。
警戒する花鳥風月&FREEDOMSトップチームは、勝村がジョシュに対し、「無我ってわかってんのか?」と。佐々木は「絶対にわかってねえだろ!」とツッコミながらも、ジョシュとは握手。矢郷と佐々木も握手を交わす。勝村も矢郷と握手を交わすが、離れ際にトーキック。矢郷の策士っぷりは無我に入っても衰え知らずだった。
ここで試合開始のゴングが鳴ると、ニヤニヤしながら近づく矢郷に、勝村が怒りのフライング・ニールキック。
ジョシュvs.佐々木。佐々木は腕をひねってコーナーへ。勝村と交代しロープワークから連弾を放つ構えだったが、場外の矢郷が勝村の足をすくい転倒。ジョシュも勝村の指を踏みつけていく。矢郷はリングサイドから「レッツゴー・ジョシュー! レッツゴー・ジョシュー!」と煽っていく。
矢郷vs.勝村の場面。エルボーで攻め入り、サイドから落としていく矢郷。そのまま逆エビ固め。ジョシュも加勢。矢郷はSTFから変形フェイスロック、変形アームロックへと移行していく。コーナーに詰め寄ると余裕の平手打ち。ジョシュに替わると、また手指を踏みつけるなど、細かい反則を交え攻めたてる。ジョシュは勝村の足をひねっていくが、これを勝村、パンチで脱出。ジョシュはすかさずレッグストレッチを極め、矢郷にタッチ。
勝村も佐々木に替わると、佐々木はローキック連打で矢郷を蹴り倒す。左右の足をそれぞれ痛めつけると「めんどくせ!」とまとめてヒザ殺し。ナックルパートは矢郷がかわしてマンハッタンドロップ。「ディック・マードック!」と叫ぶ矢郷だったが、ブレーンバスターは決められず、佐々木が逆にブレーンバスター。
勝村に替わると、ミドルキックからロープに振ってのドロップキック。仕留めに行くと矢郷は「NO,NO」とフレアーポーズ。足払いからコーナーにスルーしコブラツイストへ入るが、これは佐々木がカット。ジョシュに替わると、勝村に猛ラッシュ。エルボー連打からラリアット。しかしこれを勝村がかわし、背中に乗ってスリーパーホールド。
ジョシュは、おんぶ状態でスリーパーを仕掛け続ける勝村に対し、勝村の背中をコーナーへ勢いよくぶつけ振りほどこうとするが、3度目のコーナークラッシュへ行きかけたところ、リング中央付近でついに力尽きそのまま、前のめりに倒れ込む。ピクリとも動かないジョシュを見たレフリーはここで試合をストップ。レフリーストップの判断が下された。
第7試合
赤コーナーは西村。青コーナーは鈴木が先発。
鈴木はすぐさま西村をロープ際に追い詰めるが、クリーンブレイク。西村はヘッドロック。鈴木が返そうとするのだが、なかなか体勢を崩せず、西村もすぐにハンマーロックで鈴木を押さえ込んでいく。西村が続けてヘッドシザース。鈴木は西村の正面に体を移動させるが、倒立せずに西村の脚を緩め、そのまま頭を外していく。スタンディングになると力比べ。西村がブリッジの形で押し込むと、鈴木が起き上がる前に肩を押し込んでフォール。これはカウント1。
西村vs.GENTARO。GENTAROはヘッドロックに取るが、西村がロープに振って、カウンターのタックルを2発。GENTARO押し込むとヒロにタッチ。ヒロはショルダータックルでコーナーに。首投げからスリーパーホールド。これをGENTAROはアゴ砕きで脱出。鈴木に替わるとエルボースマッシュを連打。ヒロは西村と交代。西村も鈴木へエルボースマッシュ。鈴木も負けじとエルボースマッシュ。エルボースマッシュの打ち合いが続くと西村がロープに振り、返ってきたところをコブラツイスト。鈴木もコブラツイストをかけ直し対抗する。
GENTAROに替わると、西村に弓矢固め。これはヒロがカット。西村のエルボースマッシュでGENTAROはグラつき、鈴木にタッチ。
腕の取り合いから始まる西村と鈴木だったが、西村がうまく回り込んでスリーパーホールド。しかしGENTAROがこれをカット。西村はヒロにタッチ。
ヒロはハンマーパンチからネックドロップ、スリーパー。しかし鈴木はヒロを自コーナーに押し込み、GENTAROとスイッチ。GENTAROはヘッドバットを打ち込むがヒロは平気な顔。ヒロが逆にヘッドバットを打つと、ヒロはボディスラム、ギロチンドロップでカウント2と追い込む。
西村に替わるとエルボースマッシュをGENTAROに打ち込み、鈴木に見せつけるようにダブルアーム・スープレックス。そのままフォールに向かうが、これは鈴木がカット。鈴木と西村でそのままエルボースマッシュの打ち合いが始まるが、試合権利を持つのはGENTARO。ヒロが鈴木を分断させると、西村がスピニング・トー・ホールドから4の字固め。GENTAROも反転して西村を苦しめるが、再度鈴木が入ってくる。だがこれをヒロがカットし、鈴木秀樹にセントーンを投下。西村もGENTAROにひっくり返された4の字を再反転。これでGENTAROからギブアップを奪った。
エンディング
「2007年ぶり、9年ぶりの無我。いかがだったでございましょうか。楽しいこと、辛いこと。話したいことが20個くらいあるんですけれども、これからお話ししたいと思います。
(ここで、どこからともなくパイプイスがリング上へ上げられる。)
街頭演説ではありませんが、街頭演説で椅子を使う。こんなバカなことはございません。立ったまま簡単に説明いたします。
まず、なぜ無我というものが必要なのか。プロレスの歴史というのはいろんな説がございます。フミ・サイトーの説も一論 ビル・ロビンソンさんの説もあり。
流智美さんの説もあり。私が今日お話しいたしますのは、師匠・カール・ゴッチさんがこれがプロレスのルーツなんだよ、という話です。
これはフミ・サイトーにいわせると、それはそうじゃないという説であります。
ゴッチさん曰く。1800年代後半にイギリスのマンチェスターにございます、リバプール。ランカシャー地方。そして近くにヨークシャーテリアで有名なヨークシャーエリアというのがございまして。
ここがルーツらしいのですね。
1800年代。それで人間には鍛えずとも武器となる部位がございます。こぶし、つまさき。かかと、すね。ひざ。これらは使ってはいけない。そして鍛えることができない急所。
つまり顔面、のどもと。みぞおち。股間。これらを攻めてはいけない。ようするに鍛え上げられた力と技で、鍛え上げたところを攻め合う競技として、ランカシャー地方で、プロレス(ランカシャーレスリング)が発明されました。
1800年の前半にプロレスはアメリカに渡りまして、特に五大湖周辺。ミシガン州近辺で多くの著名なレスラーを輩出しました。ゴッチさんもそう。ビル・ミラー、ミスターX。
1920年代、30年代、40年代と経て、サーカスの軍団も合流して、だんだんショーアップされました。そして1960年代に力道山が日本へ持ち帰ります。
これにはCIAが日本テレビに仕掛けた3S政策。すなわちセックス、スクリーン、スポーツが絡んでたりという噂もありますが、これを話すのは別の機会にいたしましょう。
さて、プロレスというものは時代とともに、歴史とともにドンドン過激に、派手に進んできたのでございます。
そんな中、リングで受け身を取る、ロープワークを取る我々レスラーは、その場その場で戦法、戦術を即興で考えるわけですけれども、激しくなればなるほど皆様にとって一撃一撃の重みは無くなってしまうわけでございます。
例えば1発のバックドロップ。
これは大変レスラーにとってはダメージなのに、しかしながら皆さんにとっては1発よりも2発。3発4発と慣れとともに求められ、果ては10発のバックドロップでは(レスラーは10倍以上のダメージが残るのに、観客側は)『あ、あんなに簡単にできるんだ』と、1発の重みはなくなってしまうのでございます。
これはレスラーだけの責任ではなく、時代とともにアクションも映画もそうです。
私は映画『007』が大好きですが、1962年、イアン・フレミング『ドクター・ノオ』というものを作ります。
これはピストル1発。ワルサーPPKで仕留めてしまう。
しかしながら今は(映画の見せ場のため)10発、20発。300発もの銃撃が必要なわけですね。映画もファッションも、ビジネスも。いや、すべてがビジネスであるためにどんどん新しいものとして進化し続ける。
それは時代とともに、合わせなければならないんですけれども、合わせるとともに、媚を売らなければならない。
しかしながら、時には『こっちがルールですよ』というものも、押し付けなければならない。そうでなければ別のものになってしまう。それが一つの無我の理論でございます。
舌が乾いてまいりました。なにか水か何かありますでしょうか。
(ここでスタッフが水を持ってくる)
まあ、そんな中で、趣味の話、政治の話、野球の話は人前でするなと、死んだばあちゃんにさんざん言われてきましてですね。それもそうです。
読売ジャイアンツファンに阪神タイガース、85年吉田タイガースの理論を一生懸命話しても、それは誰も居心地良く聞いてくれないわけであります。
ちなみに私は1982年、根本(陸夫)監督から広岡(達朗)監督に移りました西武ライオンズ。根本さんがゼロから作ったライオンズが非常に好きでありまして。
ピッチャー東尾(修)。15番・松沼兄。16番・松沼弟。キャッチャー・大石(友好)。もしくは22番・田淵(幸一)という頃ですね。広岡さんが何が凄いかというと、完全な管理野球を始めた。
野球の世界で食事から怪我の予防をするという玄米菜食の理論を広岡さんが入れたわけですね。そんな中で当時のプロ野球は優勝が前期、後期と分けられておりまして。
前期優勝がライオンズ。後期が日本ハムファイターズ。玄米菜食主義とは180パーセント違う食肉生産のファイターズ。食肉企業vs.菜食主義のライオンズが闘うのでございます。
結果、見事、広岡さんが勝ちました。そして日本シリーズでは中日ドラゴンズに4勝2敗で広岡西武が勝ったのであります。
わたしはもちろんライオンズファンであります。ま、そういうことであります。
何が言いたいかというと、最後に一つだけ小話をしてですね。
1990年代に新日本プロレスでは坂口征二さんが社長になられました。そして武藤敬司さんがスペース・ローン・ウルフを終えて、グレート・ムタとしてWCWで大成功して日本へ帰ってまいりました。
そして闘魂三銃士がそろった4月。ワタクシと天山(広吉)。そして国士館上がりの小原(道由)という岩窟親父がおりました。6月に金本(浩二)が入って、これが私の同期になります。
朝から晩までこき使われ、体罰、しごき、いじめ。そんな日常茶飯事でございました。24時間体制の体罰、しごき、いじめ。そんなことを思いながら今、文京区の教育問題に取り掛かっております。
そんな中で、天山広吉。非常にバカ真面目な男でありまして。
ある日ですね。『西村さん、私はもうきついしごきに耐えられない。もうやめ(て夜逃げし)ますから、西村さんは残って頑張ってください』。
『わかった天山。今までありがとう』。涙を流し、お別れをいたしました。『いつか京都で逢おう』。お互い涙を流しましてですね。床に就いたわけでありますけれども、
次の日8時に起床すると、天山、まだ寝てましてですね。2時、3時に夜逃げするつもりが、疲れすぎて起きられなかったわけでございますね。
しょうがないからまた朝から一緒に雑用するという。
とっておきのエピソードがですね。
私は大変に車のメカニックに詳しかったのでありますけれども、獣神サンダー・ライガー選手が天山にとんでもないオンボロ車を売りつけたのでありますね。
天山は車に詳しくない。売りつけた車はグロリア430ハードトップという車でありまして、西部警察で最初にぶっ飛ばされる車です。
大門軍団は同じグロリアの330セダンに乗っておりましたけれど、天山はまるで操作がわからない。
それである日、等々力の多摩川堤でハンドルを切った際、正面衝突してしまいまして、ラジエーターはへこみながらもギリギリ助かりましたと。
しかしながらクラクションが効かない。ホーンが効かないでどうするかといたしますと、天山は窓を開けて「ピー! ピッピー!」と口で言うんですね。
さらにこの車、ワイパーがフロントパネルの下というとても珍しいところにあるんですけれど、ある日雨の日、わたくしが運転してワイパー全開にして使いますと、天山はワイパーの下げ方を知らないものだから、快晴でもいつもワイパー全開で、しかもクラクションは自分の口でという状態で走ってるんですね。
もともと弱いバッテリーが、そんな状態だから毎日のようにバッテリーが上がってる。早く直せばいいのに、ある日は環状線。ある日は目黒通りで止まったりという。
まあ、そんなわけでありまして。4月17日。この花鳥風月に、ドリー・ファンクJr.が参ります。
現在わたくしの先輩でございますヒロ斎藤さん。ドリー・ファンクJr.。そして私が何らかの形で絡むカードで4月の無我は考えております。
ぜひとも花鳥風月にご期待ください。そしてその時にはぜひ、またお話をさせていただきたいと思います。どうも今日はありがとうございました。」
メインイベントの試合時間をも上回る、西村のロングマイクの後は、大会エンディングテーマとして「VERONICA VERONICO」が『TINO』を歌いながら来場者を見送り、新生・無我を締めくくった。
(記事・写真提供/花鳥風月)