全国8団体が集結した学生プロレスラーの祭典『学プロALLSTARS』は大熱狂!「学生プロレスが後楽園ホールで試合するための一歩に」

8日、東京都・新木場1stRINGにて学生プロレスのオールスター大会『学プロALLSTARS』が開催された。
学生プロレス(以下学プロ)とは、大学生・短大生・専門学生などがサークル活動・部活動といった形を取って行うプロレス活動の1つ。学園祭内でのプロレス大会の実施が活動の中心となっているが、近年ではプロが使用する会場で自主興行を行うことも多い。
関東においては、かつてジャイアント馬場さんから教えを受けたMEN'Sテイオーが古巣のUWF関東学生プロレス連盟へ指導ノウハウを持ち込んだことから技術が体系化。その技術は今日に至るまで先輩から後輩へと口伝で受け継がれており、年々そのレベルは向上中。
卒業後には学プロOBらが主崔するアマチュアプロレス団体で選手活動を続けるための環境も充実している他、プロテストを受けて正式にプロレスラーとなる例も珍しくない。
また、全国各地のローカルインディープロレス団体などでも学プロ出身者が指導に携わっていることが多く、“学生プロレス”という文化はプロレス界の裾野を広げている立役者と言っても過言でない。それどころか、新日本プロレスの社長である棚橋弘至(ターナー・ザ・インサート等)、スターダム社長の岡田太郎(スティーブ・OH粗チン)も学プロ出身であり、プロレス界の中核に食い込んでいると言える。
かつて各大学のプロレス同好会・研究会が一同に会す『学生プロレスサミット』が地上波でも放送されていた時代があり、2008年にUWF関東学生プロレス連盟(早稲田、慶応、駒沢、法政、東海、中央、東洋など)、SWSガクセイプロレス(帝京など東京都多摩地区の大学を中心)、日本大学プロレス研究会(NUWA)、一橋大学世界プロレスリング同盟(一橋大学、武蔵野美術大学、東京造形大学、東京大学、津田塾など/HWWA)の関東圏の団体により復活。
2017年の記念すべき10回目の大会では九州産業大学プロレス研究部(KWF)を加えた5団体にて開催し、後楽園ホールを満員にする盛り上がりを見せていた。
だが学プロからプロになる選手も出始めると本格志向が広がり始め、その最中に怪我が起きたことなどから学プロサミット2018が中止に。その後は復活することなく、新型コロナウイルスの蔓延により文化祭なども中止になると学生プロレスサミットは記憶から薄れていった。
しかし、関西ではRWF(立命館プロレス同好会)、DWA(同志社プロレス同盟)、OWF(大阪学院プロレス研究会)、W-CROSS(佛教大プロレス格闘技研究会)の4団体による『関西学生プロレス祭』が2017年に行われ、その後関東のUWFやSWSも参加。
2024年2月には、当時のKWF(九州産業大学プロレス研究部)代表の素潜り名人てつをを発起人に関東・関西が合流した『学プロALL STARS』が新木場1stRINGで開催。この大会は当日券無しの超満員札止めを記録する大成功を収めており、今回はその第2回大会。AWA(愛知大学プロレス同好会)も合流し、学生プロレスサミットに続く新たな全国的学プロムーブメントが再び出来上がった。

第1試合から本大会の発起人である飯ブシコシ幸太のSWS世界三冠統一ヘビー級が行われ、腰振り明星粗チンなとの東西対決へ。粗チンなのブラックホールであわや新木場が飲み込まれそうになるが、飯ブシコもブラックホールで対抗するとコブラ奥村レフェリーがビンタを叩き込んで対消滅させる。怒涛の展開から飯ブシコがロコモノ、みちのくドライバーII、最上級をキミに(=変形チリドライバー)と畳み掛け3カウントを奪った。

メインイベントでは[第51代京都統一ヘビー級王者]"珍棒"那須皮被りちんちんvs[第66代UWF認定世界ヘビー級王者]最高足コキの団体を背負った対決に。昨年の学プロALL STARSでも同カードが組まれており、その時は最高が那須皮を23分13秒垂直落下式ブレーンバスターで沈めていた。
お互いの手の内を知っているだけに小細工なしのぶつかりあいとなり、最高が場外の花道でブレーンバスターからリングでもブレーンバスタースラム。必殺の裏投げを狙うも那須皮はカウンターのノーザンライトボムで叩きつけ、ゴッチ式パイルドライバーから伝統技・マッスルカリバー。2発3発と防いだ最高だったが、那須皮はスワントーンボムを投下して動きを止めるとマッスルカリバーをついに叩き込み3カウント。
激闘を終えて大歓声に包まれる会場で那須皮は「いつも、リング上で対角でも隣りにいても、羨望と嫉妬の感情が俺の中で渦巻いてました。一番認めてる相手です。そんな足コキに勝ちました。その勝因が、運でも、たまたまでも、実力でも、そんなのは正直どうでもよくて、この勝ったというこの事実だけ、それで、俺は満足です」と涙目に。
そして満員のお客さんに向けて「この興行を開催した目的、それは学生プロレスが後楽園ホールで試合するための一歩になればと思って開催しました。あと何年、何十年、どんだけかかるかわかりません。でも俺は、学生プロレスが後楽園ホールで試合してるところ楽しみに待っています。学生プロレスは、正直人数も少なくて継続が困難なとこあると思います。でもこうやって会場に足を運んで見に来てくださるお客さんがいる限り、学生プロレスは存続していくと思っています。ですので、皆様、全国の学生プロレスに、これからもますますの応援よろしくお願いいたします」と、学生プロレス完全復活に向けてアピールした。
『学プロALL STARS』などの効果もあり、昨年から今年にかけて新1年生の入団が増えたという学生プロレス界。当時も多少無茶をして新宿FACEに進出した事で始めてプロレスを見る学生たちが増え、OBたちの支えもあって後楽園ホールに進出した経緯もある。
当時より日本全国の学生プロレス団体で連携がとれている現在、後楽園ホールで学生プロレスラーたちが試合をする日もそう遠くないかもしれない。