「お母さんがやり残したことは全て私がやる」アルシオン卒業式で府川唯未&田中きずなの母娘が競演!アルシオンの魂を継いだきずなが母超え宣言!
12日、東京都・新宿FACEにて『ARSION THE FINAL~卒業~』が開催。アルシオンが約26年の歴史に幕を下ろした。
アルシオンは、現在スターダムでエグゼクティブ・プロデューサーを務めるロッシー小川が1997年に全日本女子プロレスを退社後に創設した女子プロレス団体。1998年2月18日に旗揚げ戦を行った。
当時世の中を席巻していた総合格闘技の技術やルチャ・リブレを全面的に取り込んだスタイリッシュなファイトスタイルで女子プロレス界に革命を引き起こした他、“ハイパー・ビジュアル・ファイティング”をテーマに掲げて選手たちのビジュアル面も強化。ファッションブランドとのコラボやグラビアへの進出など世の中の女子プロレスに対するイメージを大きく変えた。
アルシオンのこうした方針は現在の女子プロレス界の礎を作ったと言っても過言ではなく、プロレスの歴史を語るには外すことの出来ない重要な団体だ。
しかし、アルシオンはリング禍で死者を出してしまったことや、リング外のゴタゴタが続発したことなどで低迷。2003年6月22日に活動休止し、そのまま自然消滅したかに思われていた。
それから約20年あまりの時が過ぎた中、府川唯未が発起人となってアルシオンの歴史に正式に終止符を打つための“卒業式”としての大会『ARSION THE FINAL~卒業~』が開催されることに。
この日の府川は大会運営スタッフとして大忙しの中、第1試合では吉田万里子とのトークバトルに参戦。
吉田とのトークでは、アルシオン黎明期に関節技主体のファイトスタイルへ変えていく中での苦労を語り合い、2人でのめり込んでいく中で「今思えばお客さんをおいてけぼりにしちゃったかもしれない(笑)」と当時を振り返った。
その後のセミファイナルでは、Sareee&チェリーvs関口翔&田中きずなのタッグマッチが実施。
この試合は、裏投げの系譜を継ぐSareee、吉田万里子の『息吹』で頭角を現したチェリー、noki-Aの弟子に当たる関口、府川唯未の娘であるきずなというアルシオンの遺伝子を持つ選手たちによる試合となった。
試合では2023年4月デビューと最もキャリアが浅いきずなが集中的に狙われる展開となるも、きずなは両親譲りの巧みなサブミッションで肉薄。Sareeeには母さながらの飛びつき式腕十字を見せてあわや大金星という場面を作るも最後はSareeeの裏投げに沈んだ。
試合後のきずなは「やっぱりお母さんがいたリングで、お母さんが頭の怪我で不本意な引退をしたので、やり残したことは全て私がやるというのを今日お母さんに伝えられたらいいなって思っていて、結果負けてしまったんですけど、今出せる力は全部ぶつけれたかなと思います。なのでこれからもっともっと強くなれるように、お母さんみたいになれるように頑張ります。正直入場のセレモニーを一人で端で見て泣いてしまったぐらいほんとにお母さんが大好きだった場所なので、そこに立てる事ができて嬉しかったです」とコメント。
メインイベントでは、AKINO&Leon&山縣優vs大向美智子&府川唯未&藤田愛の6人タッグマッチが実施。一夜限定復帰を果たす府川の入場時にはきずながロープを上げ、アルシオンのリングで実現した母娘競演には場内が大きく沸く。
府川は飛びつき式腕ひしぎ逆十字固めやビクトル式ヒザ十字固めなどキレッキレのサブミッションを見せるも勝敗はつかず。試合は10分フルタイムドローに終わった。
全試合終了後にはメンバーたちの卒業式が実施。浜田文子のサプライズ登場で場内が沸く中、ロッシー小川から各選手たちにメッセージ入りの卒業証書が手渡されてアルシオンは完結。
この光景を見て号泣するきずなを府川が強く抱きしめ、アルシオンの魂は母から娘へと受け継がれた。
大会を終えた府川は「同じリング……しかもこのアルシオンのリングにきずながいてくれるっていう、それが信じられないというか。1年前までデビューもしてなかったのに……。私が知らないところですごい頑張っていたりとか、私はどうしても家にいるこの子しか見ていないので、『外ですごい頑張ってるよ』って皆さんに言っていただいたりとか、選手としての“田中きずな”……私の娘ではなく、“きずな選手”がロープを上げてくれたっていうのが本当に嬉しいです」ときずなの肩を抱きながら目を細める。
対するきずなは、「プロレスラーとしての母の姿を間近で見られて嬉しかったです!本当に自分はまだまだで、超せる日は来るのかって思ったんですけど、超さなきゃいけないって、改めて思いましたし、時間はかかっても、いつか」と強い覚悟を語った。