【インタビュー】声優を目指す男子必見!有名声優・鈴木達央が語る肉体改造と声とプロレス格闘技の親和性!

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 累計発行部数が150万部を突破し、累計閲覧数3億5000万回を突破する大人気格闘漫画『ケンガンアシュラ』が、2023年9月にアニメSeason2の配信が決定。
 『ケンガンアシュラ』は2019年大晦日に開催された『RIZIN.20』やプロレスリングNOAHの清宮海斗とコラボを行い、原作者のサンドロビッチ・ヤバ子先生は神田明神で“初代タイガーマスク”佐山聡の息子・聖斗とトークショーを開催。今年のAnimeJapanではDDTプロレスとコラボし、東京ビッグサイトの特設リングで行われた全3仕合は場外乱闘を含め大盛りあがりだった。

 そんなプロレス格闘技界とも縁が深い本作品の主人公・十鬼蛇王馬役を務める鈴木達央さんに、Season2を前にインタビューを実施。熱いプロレス格闘技への愛とアスリートにも負けない肉体改造の真髄を語ってくれた。

■自分の肉体を捨てて、役のために変化させていった

――十鬼蛇王馬役が決定した時はどんなお気持ちでしたか?
「オーディションで十鬼蛇王馬役をやらせていただいたときのことで、今でも覚えている事が一つあります。こういった作品で元々原作が好きだったということもあり、王馬とオーバーラップするぐらいにちゃんと獲物を狩りに行く心持ちじゃないといけないなと思って。当時の自分の中で、一番野太く説得力のある声を出したら『ちょっと重すぎる感じがあるので、軽いものも聞かせてもらっていいですか?』とディレクションをいただきました。軽いものもやったのですが、正式に役が決まった時は『やっぱり重い声が王馬には必要』となったことがとても印象的でした。改めて十鬼蛇王馬になる時は、人の心にズシンと響く音であり、生物的にグッときてしまう雄としての音が必要なんだと直感的に感じたので、それを大事にするようにしました。音的な雄感が、やるぞというときに一番重要なポイントです。そのための訓練が大事になるなと、当時はすごく思っていました」

――雄としての音を出すために実際にどのようなトレーニングを意識されているのでしょうか?
「僕は元々、声色自体でいうと高いんです。職業的な話で言うと、僕の生きる場所はデビュー当時から高音域の中になかったので、中音域から低音域に行かないと生き残れないと当時から思っていて。ポイントポイントの作品たちでわざと低い音を提出して、『この雰囲気がこのキャラクターに合いそうだと思うのですがどうですか?』というところでOKをもらい、一番低い音を更新していっています。実は王馬もそうで、人間は持っている音以上に低くしようとすると限界があるのですが、限界を超えることも可能でして...」

――限界を超える?
「僕は喋るときに顎と喉の付け根部分が膨らむタイプで。喉とのどちんこの間を爬虫類のように動かして広げると、空洞ができて喉仏がより下がるんです。そうすると、響きのあるローの強い音がどんどん出てくる。人間の声域を広げるためには、筋肉を強化するか、加齢とともに声帯周りの筋肉が緩むことによって響きが重くなるという2択しかないんです。ケンガンアシュラのキャストの中で、僕はまだ若い方に入るので、ズシンと雄感のある響きある声を作るためにはそこをクリアにしないといけないと思っています」

――なるほど。それはどのように鍛えるのでしょうか?
「ここからマニアックな話になりますが(笑)。まず首回りのところの声帯横に細い筋肉がいっぱいあって、横と後ろの筋肉が全部肩に連結しているんです。鎖骨の下を通って連結しているので、肩周りの三角筋の前腕中部・後部を均等に鍛えることによってまず土台が出来上がる。元々僕は首の筋肉だけでそれをやっていたのですが、顔のエラの部分と繋がってしまうくらい首が太くなってしまって(笑)。それだと喉だけで響いて胸の響きがなくなるので、薄い低音にしかならないんです。なので、肩の筋肉をつけて首周りの土台をまず楽にしてあげようと...。首周りはしっかりとした地盤を作るのが第一目標ですが、筋肉はつけばつくほど可動域が狭くなるので、伸縮が短くなってしまう。伸縮が少ないと音の波が短くしか伝わらなくなって、詰まって聞こえるんです。伸縮が出来る筋肉量は上がっているけど、可動域は変わらないという...。実は反比例していることをやらなければならなくて」

――そんな事可能なんですか?
「それが出来るようになると、喉周りを筋肉で広げなくて済むのでゆとりができて、半音から一音くらい音を下げられるんです。慣れてくると、その一音下がった中にまたゆとりができるので響きが変わる。さらに響きが出ると、首周りの力みが取れるので胸で響かすことができるようになり、ここ(喉の首の付根部分)を触るとちゃんと音に影響が出る。上の状態で喋ると(胸を)トントンしてもあまり影響しないんですが、下の状態で喋ると息がぽんぽんと音に抜けるというのがあって...。このように、僕は自分の肉体を捨てて、役のために変化させてきたんです」


■筋肉は密度が高いから、音の波は響ききらない

――声を作るために体を作ると?
「はい、体を変形させています。今は声に特化した胸から上の筋肉を作っている状態です。そこにプラスで、いい声やエグみ、人の耳に残るなど、フックとして『あ、この人の声だ』と振り向きたくなる音には、喉鳴りの音が入っている。それを24時間意識することを大事にしています」

――ご自身の体を研究されているんですね
「常に自分の状態を把握しながら、響かせる時と響かせない時を意図的に変えることを心がけています。ノーマルで喋っているときは鼻口腔内が広がるのですが、その状態でどの音が鳴るかを表情筋の動かし方で変えられるんです。今まではどちらかというと、僕は左半身で鳴らすタイプでしたが、左半身鳴りだけだといつか限界が来ると感じて...。じゃあ次は右半身を鳴らせるように、と分散もできるし。全部で鳴らそうと思ったら、こういう(声が響く)風な変化が出る。左・右・真ん中で全部変える、というようなことが出来るようになるんですよ。でもこれは、目の前で聞くと全部わかるんですが、音に乗るとちょっと分かりづらくて。細かく細かく調整しています」

――文字ではわかりづらいかもしれませんが、目の前で聞いているとよくわかります!
「僕は前傾姿勢になりやすくて肩が前に入るので、矯正して肩甲骨がしっかり背骨に乗るようにしています。グッと胸郭が広がるようになると、胸の響きとここ(喉元)に余裕ができるので、音がより広がるんですよね。且つ、肩がしっかりとしたポジションに入ると力点が入りやすくなるので、しっかりとした骨立ちができるようになるんです。その状態で声をバッと出して、腹筋から下の使い方を変えると、音を出す時のスピード感を出すために骨盤底筋がすごく必要になってくる。骨盤底筋というのは骨盤の下についている筋肉で、鍛えると横隔膜の下がり幅が大きくなる。さらにその奥側をしっかり使えるようになると、音の出方は下から上がってくるものが主になるんです。骨盤から背骨を伝って、背骨から鼻腔内を通って前に出ているみたいな」

――骨盤から音を出す・・・
「僕は、歌や発声の時、まずしっかり骨盤から音が出ているのか?を確認しています。歩く時も骨盤底筋の内側をしっかり意識しながら歩くと、太ももの骨と連動しているので、いつもよりも動ける幅も広がります。それが柔術や武術で言う、丹田の下部分『下丹田』です。中丹田、下丹田、上丹田があり、上丹田が大体鳩尾と呼ばれる部分です。下丹田を支えるには上もないといけないので、そのために腹筋はどうしようか、と試したり。筋肉は密度が強いので、波打った時の収縮が多くてもすぐに響ききらない。でも、脂肪にはゆとりがあって波もある。水に近いところなので、波が伝わりやすいんです。響きがまろやかになるし大きくなる。だからある程度の脂肪も必要になってきて、塩梅をうまく取らないと、と今ちょうど増量期に入っていて、体をより改造中です(笑)」

――体作りがアスリートや格闘家と同じですね
「これが大体今やっているトレーニングで、声の進化方法や変化方法という感じです。だから王馬の声自体、Season2になってから前より低いラインも出るようになっています。パンチを打ったり動いたりする時に、力点を入れると人間は声が上ずってしまうんですよね。でも低いラインにゆとりができると、どの音をやっても王馬の音を重いものとして全て表現できる。下の余裕ができた分だけ、より余韻が作れますし、いっぱいいっぱいな様を『いや、この音王馬だと軽すぎるんだよな』ということがなくなります。これを作るためには、トレーニングがまだ必要なのですが...」

――ストイックですね、声優さんのインタビューとは思えない...
「これ、需要ありますかね(笑)!?多分聞いていてちんぷんかんぷんかもしれないのですが。読者の方も『意味わかんないこと言っているな』となっているかもしれません(笑)」

――声の仕事を深く理解することができて、とても面白いです
「ずっとこうしてやっていますね。整体の先生に僕が『もっとああしたい、こうしたい』『トレーニングをした時に柔軟性がなくなって、声の響きが悪いからなんとかできないか』と無茶なオーダーを言い続けたりして。先生も『わかった、球関節まで使って色々とほぐしてみるわ』『最近肩周りまで詰まっているイメージがある』『やっぱ骨がずれているかも』と色々と教えてくれています。そこから『姿勢とかどうしたらいいか?ちょっと矯正とかした方がいいか?』などと会話の中から広げてみたりします」


■キラキラ舞う蛍光灯って、血がついていないと光るけど血がついていると光らない

――ほぼ格闘家と同じ体作りをされていますが、格闘技への印象はいかがですか?
「以前はそこまで入り込んでいなかったです。ですが、ケンガンアシュラに携わることによって、色々な格闘技を勉強して知ることになり、原作のサンドロビッチ・ヤバ子先生も含めていっぱい教えてくださって『え、そんな世界なの!?』と興味を持っていきました。『ムエタイの肘って”スッ”てやったとき本当に切れるの?』と思っていたら、『いや、本当にパックリいくんですよ』と動画を見せてもらい『本当だ!』というような。『ガンガン切れるじゃん!』と。そこからどんどんのめり込んでいきました」

――もうしっかりとハマってしまったと
「気がついたらどっぷりハマっている感じですね。ケンガンアシュラチームであれば、関林ジュン役の稲田徹さんがDDTプロレスさんでやられていますね。僕はプロレスで言うとWWEが好きで、以前から徹さんにも誘っていただいていました。そもそもこの業界に入るきっかけになった、アメリカの海外ドラマ『特攻野郎Aチーム』という作品もハルク・ホーガンとコラボしている時期があったりもして。『何やってる人だろう?あ!プロレスラーじゃん!WWEってすごい団体があるんだ』と知って好きになりました。当時はWWEくらいしか知らなかったのですが、そういうところで活躍されている選手たちは知っていました」

――今のWWEで好きな選手はいらっしゃいますか?
「ASUKA選手が超推しです!ただ、彼女のファイトスタイルは奇抜だけどカッコいいとか、それでいて華麗で、派手さもあって…みたいなところしか知らなかったです。そうしたら徹さんが日本のプロレスのよさをたくさん教えてくださって。現地に行ったら、流血デスマッチで人が血だらけになる様を目の前で見て『ああ、蛍光灯ってこんなにキラキラリング上に舞うものなんだな』と驚いて。『キラキラ舞う蛍光灯って、血がついていないと光るけど血がついていると光らないんだ』ということもそこで初めて知りました。どんどんのめり込んで『こんなに面白いんだ』と知るきっかけになりましたね」

――ケンガンアシュラを通して点が線になったような?
「点が線になって、線が面になってる状態ですよ(笑)!」

――もし鈴木さんご自身がケンガンアシュラの世界に入ったとしたら、戦いたい相手はいますか?
「生き残れる気はしませんが、腕の折れている氷室かな(笑)。一番読者の方々からもネタキャラ扱いされています(笑)。氷室と戦ってある程度善戦するのか、ボッコボコにされるのか...。やってみたいですね(笑)」

――Season2も激しい戦いが続くと思いますが、最後にファンの皆さんに一言お願いします!
「色々な作品とは違う裏話もお話ししましたが(笑)。ケンガンアシュラSeason2になって、製作陣が『Season1からの課題をどういう風に超えていくか』ということに、とにかく全員で立ち向かっている作品です。その上でSeason1から岸監督が仰っていた『世界をアッと言わせて、驚かせる作品にしたい』というコンセプトは変わらず、現在進行形で戦っている最中です。バトルニュースの読者の皆様に熱量が少しでも伝わってほしいです。是非9月からのNetflixの配信に合わせて、今から『ケンガンアシュラ』をマイリストに入れて、いつでも見られるようにしてください。まだ見たことがない方は『そんな作品があったんだ』という気持ちで一話だけでも見ていただけると。皆さんの好きな格闘技と同じ熱量の、我々のアニメ作りが感じられるのではと思っております。格闘技という世界の新しいフィクションに目を向けていただけると幸いです。Season2も力一杯殴り合っていきたいなと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします!」

<鈴木達央>
11月11日生まれ。海外ドラマ『特攻野郎Aチーム』を見て声優を目指し、2003年にTVアニメ『DEAR BOYS』で声優デビュー。代表作に『Free!』橘真琴役、『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEシリーズ』黒崎蘭丸役など。

『ケンガンアシュラSeason2』
2023年9月21日・Netflixにて世界独占配信
公式HP:http://kengan.net/

<配信情報>
【STAFF】
原作:サンドロビッチ・ヤバ子/作画:だろめおん(小学館「マンガワン」連載)
監督:岸 誠二
シリーズ構成:上江洲 誠/キャラクターデザイン:森田和明/音楽:高梨康治(Team-MAX)
アニメーション制作:LARX ENTERTAINMENT

【CAST】
十鬼蛇王馬:鈴木達央/山下一夫:チョー/乃木英樹:中田譲治/秋山 楓:内山夕実/理人:金子隼人/関林ジュン:稲田徹/今井コスモ:榎木淳弥/桐生刹那:浪川大輔 他

「ケンガンアシュラ」 公式サイト
https://kengan.net/
「ケンガンアシュラ」公式X(旧Twitter)
https://twitter.com/kengankai
「ケンガンアシュラ」公式YouTube
https://www.youtube.com/@user-nx4pi9gr5y

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